物理 > 第2編 熱と気体 > 第1章 気体のエネルギーと状態変化

② 気体分子の運動

🔬 1. 気体分子運動論

「気体の圧力はなぜ生じるのか?」——目に見えない分子の運動から,巨視的な圧力や温度を導く。

部屋の隅でスプレーを噴射すると、しばらくして部屋中に匂いが広がるのはなぜ?
風が運んでいるから
気体分子がランダムに高速で飛び回って拡散するから
気体分子は秒速数百メートルでランダムに飛び回っています。スプレーの分子も他の空気分子と衝突しながら四方八方に拡散し、やがて部屋全体に広がります。

気体分子の運動モデル

気体は膨大な数の分子が容器の中を高速で飛び回っている。 分子は互いに衝突したり,容器の壁に衝突したりしながら,さまざまな速さ・方向で運動している。 この運動を統計的に扱い,圧力や温度といった巨視的な量を導く理論を気体分子運動論(kinetic theory of gases)という。

💡
気体分子運動論の基本仮定
  • 分子は大きさを無視できる質点とみなせる
  • 分子間の力は衝突時以外は無視できる
  • 分子と壁との衝突は弾性衝突(力学的エネルギーが保存される)
  • 分子の運動方向はランダムで,特定の方向に偏りがない

分子運動と圧力の関係

このモデルを使って、分子の速さから気体の圧力を導いてみよう。圧力の正体がわかれば、前節の \(pV = nRT\) に分子の視点から物理的な意味を与えることができる。

1辺の長さ \(L\)〔m〕の立方体の容器に,質量 \(m\)〔kg〕の分子が \(N\) 個入っているとする。 分子が壁に衝突すると力積を与え,その力積の総和が圧力として観測される。

分子の速度の x 成分を \(v_x\) とすると,1個の分子が壁に与える力積は \(2mv_x\) である。 この分子が壁と壁の間を往復する時間は \(\dfrac{2L}{v_x}\) なので, 単位時間あたりに壁に与える力は \(\dfrac{mv_x^2}{L}\) となる。

\(N\) 個の分子による圧力 \(p\) は,分子の速さの2乗平均 \(\overline{v^2}\) を用いて次のように表される。

\(p = \)\(\frac{1}{3}\frac{Nm\overline{v^2}}{V}\)
\(p\)〔Pa〕:気体の圧力
\(N\):分子の総数
\(m\)〔kg〕:分子1個の質量
\(\overline{v^2}\)〔m²/s²〕:速さの2乗平均
\(V\)〔m³〕:容器の体積
🧮 計算例:窒素分子の rms 速度(500 m/s)から 1 mol の圧力を求める

条件:\(N = 6.02 \times 10^{23}\) 個、\(m = 4.65 \times 10^{-26}\) kg(N₂分子1個)、\(\sqrt{\overline{v^2}} = 500\) m/s、\(V = 0.0224\) m³

$$ p = \frac{1}{3}\frac{Nm\overline{v^2}}{V} = \frac{1}{3} \times \frac{6.02 \times 10^{23} \times 4.65 \times 10^{-26} \times 500^2}{0.0224} $$

\(500^2 = 2.50 \times 10^5\) と計算して整理すると、

$$ = \frac{1}{3} \times \frac{6.02 \times 10^{23} \times 4.65 \times 10^{-26} \times 2.50 \times 10^5}{0.0224} \fallingdotseq 1.04 \times 10^5 \text{ Pa} $$

答え:\(p \fallingdotseq 1.0 \times 10^5\) Pa(\(\fallingdotseq\) 1 気圧と一致!)

気体の密度 \(\rho = \dfrac{Nm}{V}\)〔kg/m³〕を使うと,よりシンプルに

\(p = \)\(\frac{1}{3}\rho\overline{v^2}\)

と書ける。圧力は分子の運動エネルギーの平均に比例することがわかる。

📐 圧力の導出の詳細

x 軸方向の速度成分 \(v_x\) をもつ分子が,x 軸に垂直な壁(面積 \(L^2\))に弾性衝突する場合を考える。

  1. 衝突で分子が壁に与える力積:\(2mv_x\)
  2. この分子が壁に戻ってくるまでの時間:\(\dfrac{2L}{v_x}\)
  3. 1個の分子が壁に及ぼす平均の力:\(\dfrac{2mv_x}{2L/v_x} = \dfrac{mv_x^2}{L}\)
  4. \(N\) 個の分子による力の合計:\(\dfrac{Nm\overline{v_x^2}}{L}\)
  5. 圧力 \(p = \dfrac{\text{力}}{L^2} = \dfrac{Nm\overline{v_x^2}}{L^3} = \dfrac{Nm\overline{v_x^2}}{V}\)

分子の運動はランダムなので \(\overline{v_x^2} = \overline{v_y^2} = \overline{v_z^2}\) であり, \(\overline{v^2} = \overline{v_x^2} + \overline{v_y^2} + \overline{v_z^2} = 3\overline{v_x^2}\) より \(\overline{v_x^2} = \dfrac{1}{3}\overline{v^2}\) を代入して完成する。

シミュレーション:分子の運動を見てみよう

温度スライダーを動かして,分子の速さがどう変わるか観察しよう。 分子は速さに応じて色分けされ(青=低速,緑=中速,赤=高速),右側に速さの分布が表示される。 壁に分子が衝突すると壁が光る。

シミュレーション:理想気体と状態方程式 PV = NkT

温度と体積の両方を変えて,圧力がどう変化するか確かめよう。 体積を縮めると分子の衝突頻度が上がり圧力が増大する。 右側の速度分布ヒストグラムと理論曲線(マクスウェル分布)を比較しよう。

🚀 豆知識:気体分子の速さはどれくらい?

室温(約 300 K)での窒素分子(\(\text{N}_2\))の2乗平均速度の平方根(rms速度)は約 517 m/s, 水素分子(\(\text{H}_2\))では約 1920 m/s にもなる。 音速(約 340 m/s)を超える速さで分子が飛び回っている。

気体分子運動論で \(p = \frac{1}{3}\frac{Nm\overline{v^2}}{V}\) の「\(\frac{1}{3}\)」はどこから出てくる?
3次元空間で x, y, z 方向の運動が等方的であるため
分子が壁で3回反射するため
分子の速さが3種類あるため
分子の運動はランダムで等方的なので \(\overline{v_x^2} = \overline{v_y^2} = \overline{v_z^2}\) です。\(\overline{v^2} = 3\overline{v_x^2}\) より \(\overline{v_x^2} = \frac{1}{3}\overline{v^2}\) が出てきます。

🌡️ 2. 気体分子の速さと温度

前のカードで、圧力が分子の速さの2乗平均 \(\overline{v^2}\) に比例することがわかった。一方、前節で学んだ理想気体の状態方程式 \(pV = nRT\) は圧力を温度と結びつける。この2つの式を比較すれば、「温度とは何か」の分子レベルでの答えが得られる。

同じ温度の部屋にいる水素分子 \(\text{H}_2\) と窒素分子 \(\text{N}_2\)、速く飛び回っているのはどっち?
軽い水素分子の方が速い
重い窒素分子の方が速い
同じ温度なら平均運動エネルギー \(\frac{1}{2}m\overline{v^2}\) は等しいので、質量 \(m\) が小さい水素の方が速度 \(\overline{v^2}\) は大きくなります。

理想気体の状態方程式との比較

分子運動論から導いた圧力の式 \(p = \dfrac{1}{3}\dfrac{Nm\overline{v^2}}{V}\) を変形すると

$$ pV = \frac{1}{3}Nm\overline{v^2} = \frac{2}{3}N \cdot \frac{1}{2}m\overline{v^2} $$

一方,理想気体の状態方程式は \(pV = nRT = Nk_{\text{B}}T\) である。 ここで \(k_{\text{B}}\) はボルツマン定数で \(k_{\text{B}} = \dfrac{R}{N_{\text{A}}}\) である。 両辺を比較すると

\(\frac{1}{2}m\overline{v^2} = \)\(\frac{3}{2}k_{\text{B}}T\)
\(\frac{1}{2}m\overline{v^2}\)〔J〕:分子1個の平均運動エネルギー
\(k_{\text{B}} = 1.38 \times 10^{-23}\) J/K:ボルツマン定数
\(T\)〔K〕:絶対温度
🧮 計算例:300 K での窒素分子の rms 速度

条件:\(T = 300\) K、\(m = 4.65 \times 10^{-26}\) kg(N₂分子1個)、\(k_{\text{B}} = 1.38 \times 10^{-23}\) J/K

\(\frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3}{2}k_{\text{B}}T\) より

$$ \overline{v^2} = \frac{3k_{\text{B}}T}{m} = \frac{3 \times 1.38 \times 10^{-23} \times 300}{4.65 \times 10^{-26}} \fallingdotseq 2.67 \times 10^5 \text{ m}^2\text{/s}^2 $$

平方根をとると rms 速度が得られる。

$$ v_{\text{rms}} = \sqrt{\overline{v^2}} \fallingdotseq \sqrt{2.67 \times 10^5} \fallingdotseq 517 \text{ m/s} $$

答え:\(v_{\text{rms}} \fallingdotseq 517\) m/s(音速 340 m/s より速い)

📌 ポイント

分子1個の平均運動エネルギーは絶対温度 \(T\) のみで決まり、分子の種類(質量)によらない。 重い分子は遅く,軽い分子は速く動くことで,平均運動エネルギーが同じになる。

温度 \(T\)〔K〕 平均運動エネルギー〔J〕 \(v_\text{rms}\)(N₂)〔m/s〕
200\(4.14 \times 10^{-21}\)422
300\(6.21 \times 10^{-21}\)517
500\(1.04 \times 10^{-20}\)667
1000\(2.07 \times 10^{-20}\)943

▲ 温度が2倍 → 運動エネルギーが2倍,rms速度は \(\sqrt{2}\) 倍

2乗平均速度

上の式を \(\overline{v^2}\) について解くと

\(\overline{v^2} = \)\(\frac{3k_{\text{B}}T}{m}\)

2乗平均速度の平方根(rms 速度)は \(v_{\text{rms}} = \sqrt{\overline{v^2}} = \sqrt{\dfrac{3k_{\text{B}}T}{m}}\) である。 温度が高いほど,また分子の質量が小さいほど,分子の速さは大きくなる

💡
ボルツマン定数 \(k_{\text{B}}\): 気体定数 \(R\) を1分子あたりに換算した定数。 \(k_{\text{B}} = \dfrac{R}{N_{\text{A}}} = 1.38 \times 10^{-23}\) J/K。 \(R = 8.31\) J/(mol·K),\(N_{\text{A}} = 6.02 \times 10^{23}\) /mol。

マクスウェル分布の温度依存性

温度を変えると分子の速度分布がどう変化するか比較できます。高温ほどピークが右にずれ、分布が広がります。

🤔 豆知識:なぜ軽い気体は宇宙に逃げやすいのか?

水素やヘリウムのような軽い分子は rms 速度が大きい。 地球の脱出速度(約 11.2 km/s)に達する分子の割合が多くなるため, 地球の大気から水素やヘリウムは徐々に宇宙空間へ散逸していく。 一方,木星のような質量の大きい惑星は脱出速度が大きいため,水素大気を保持できる。

🤔 豆知識:「温度は分子の速さ」は不正確

「温度=分子の速さ」と覚えがちですが、正確には「温度は分子の運動エネルギーの平均に比例する」です。\(\frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3}{2}k_BT\) から、同じ温度でも軽い分子ほど速く動きます。20℃の空気中で窒素分子は約510 m/s、水素分子は約1900 m/sで飛び回っています。

同じ温度の水素 \(\text{H}_2\) と窒素 \(\text{N}_2\) を比べたとき、正しいのはどれ?
重い窒素の方が平均運動エネルギーが大きい
両者の平均運動エネルギーは等しい
軽い水素の方が平均運動エネルギーが大きい
\(\frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3}{2}k_BT\) より、平均運動エネルギーは温度 \(T\) のみで決まり、分子の種類(質量)によりません。同じ温度なら等しくなります。

🔋 3. 気体の内部エネルギー

ここまでで分子1個の平均運動エネルギーが \(\frac{3}{2}k_{\text{B}}T\) であることがわかった。では、気体全体――膨大な数の分子を合計したエネルギーはどうなるだろうか。これが次の節「気体の状態変化」で中心となる内部エネルギーの正体である。

○×問題:理想気体の内部エネルギーは、圧力や体積に関係なく温度だけで決まる。
×
\(U = \frac{3}{2}nRT\) なので、内部エネルギーは温度 \(T\) のみに依存します。圧力や体積が変わっても温度が同じなら内部エネルギーは同じです。

内部エネルギーとは

物質を構成する粒子(原子・分子)は熱運動による運動エネルギーをもち、また粒子間には力がはたらくため位置エネルギーももっている。これらのエネルギーの、物体中のすべての粒子についての総和を内部エネルギー \(U\) という。

理想気体では分子間力を無視する(位置エネルギー = 0)ので、内部エネルギーは気体分子の運動エネルギーの総和だけになる。 単原子分子理想気体では,分子は並進運動の自由度(x, y, z の3方向)のみをもつ。

分子1個の平均運動エネルギーが \(\dfrac{3}{2}k_{\text{B}}T\) であるから, \(N\) 個の分子の総運動エネルギーは

$$ U = N \cdot \frac{3}{2}k_{\text{B}}T $$

\(N = nN_{\text{A}}\)(\(n\): 物質量〔mol〕)と \(k_{\text{B}} = \dfrac{R}{N_{\text{A}}}\) を用いると

\(U = \)\(\frac{3}{2}nRT\)
\(U\)〔J〕:内部エネルギー
\(n\)〔mol〕:物質量
\(R = 8.31\) J/(mol·K):気体定数
\(T\)〔K〕:絶対温度
🧮 計算例:2.0 mol の単原子理想気体の 27℃ での内部エネルギー

条件:\(n = 2.0\) mol、\(T = 27 + 273 = 300\) K、\(R = 8.31\) J/(mol·K)

$$ U = \frac{3}{2}nRT = \frac{3}{2} \times 2.0 \times 8.31 \times 300 = 7479 \fallingdotseq 7.5 \times 10^3 \text{ J} $$

答え:\(U \fallingdotseq 7.5\) kJ

🧮 計算例:温度を 300 K → 500 K に上げたときの内部エネルギー変化

条件:\(n = 2.0\) mol、\(\Delta T = 500 - 300 = 200\) K

$$ \Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T = \frac{3}{2} \times 2.0 \times 8.31 \times 200 = 4986 \fallingdotseq 5.0 \times 10^3 \text{ J} $$

答え:\(\Delta U \fallingdotseq 5.0\) kJ(温度が \(\frac{5}{3}\) 倍 → 内部エネルギーも \(\frac{5}{3}\) 倍)

📌 ここが超重要

理想気体の内部エネルギーは絶対温度 \(T\) のみに依存し,圧力や体積には直接依存しない。 したがって等温変化では内部エネルギーは変化しない(\(\Delta U = 0\))。

内部エネルギーの変化

温度が \(\Delta T\) だけ変化したとき,内部エネルギーの変化は

\(U = \frac{3}{2}nRT\) の両辺の変化量をとると

$$ \Delta U = \frac{3}{2}nR\Delta T $$

温度が上がれば \(\Delta U \gt 0\)(内部エネルギー増加),下がれば \(\Delta U < 0\)(内部エネルギー減少)。 この \(\Delta U\) が、次の節「気体の状態変化」で登場する熱力学第一法則の中心的な量となる。

📐 公式の導出:内部エネルギー \(U = \frac{3}{2}nRT\)

分子1個の平均運動エネルギーは \(\dfrac{1}{2}m\overline{v^2} = \dfrac{3}{2}k_{\text{B}}T\) である。

\(N\) 個の分子の運動エネルギーの総和は

$$ U = N \cdot \frac{3}{2}k_{\text{B}}T $$

\(N = nN_{\text{A}}\) と \(k_{\text{B}} = R / N_{\text{A}}\) を代入すると

$$ U = nN_{\text{A}} \cdot \frac{3}{2} \cdot \frac{R}{N_{\text{A}}} T = \frac{3}{2}nRT $$
🔬 発展:2原子分子の内部エネルギー

2原子分子(\(\text{O}_2\), \(\text{N}_2\) など)は並進3自由度に加え,回転2自由度をもつ。 エネルギー等分配の法則により,1自由度あたり \(\dfrac{1}{2}k_{\text{B}}T\) のエネルギーが配分されるので, 2原子分子の内部エネルギーは \(U = \dfrac{5}{2}nRT\) となる。

内部エネルギーの可視化

温度と物質量を変えて内部エネルギー U = (3/2)nRT の変化を確認しましょう。分子の運動の激しさが温度に対応しています。

🧑‍🔬 豆知識:ボルツマンと統計力学の誕生

ルートヴィヒ・ボルツマン(1844–1906)は,分子の運動を統計的に扱う「統計力学」の基礎を築いた。 彼の墓碑には有名な式 \(S = k \log W\)(エントロピーの式)が刻まれている。 当時は原子・分子の存在自体が論争の的であり,ボルツマンは激しい批判にさらされた。

🔬 豆知識:ブラウン運動と分子の実在の証明

1827年にブラウンが発見した花粉の微粒子のランダムな動き(ブラウン運動)は、1905年にアインシュタインが分子の衝突によるものと理論的に説明しました。ペランがこの理論を実験で検証し、分子の実在が確認されました。アインシュタインの論文が発表されるまで、分子の存在を疑う科学者もいたのです。

📐 発展:微積分で見る気体分子の速度分布

理想気体の分子速度はマクスウェル分布に従います。速さ \(v\) の分子が存在する確率は:

$$ f(v) = 4\pi n \left(\frac{m}{2\pi k_BT}\right)^{3/2} v^2 \exp\left(-\frac{mv^2}{2k_BT}\right) $$

二乗平均速度 \(v_{\text{rms}} = \sqrt{\overline{v^2}}\) は \(\int_0^{\infty} v^2 f(v)\,dv\) から計算でき、\(v_{\text{rms}} = \sqrt{3k_BT/m}\) が得られます。温度が上がると分布は広がり、ピークが高速側に移動します。

単原子分子理想気体の内部エネルギー \(U\) が変化するのは、次のうちどの量が変化したときか?正しい順に並べよ。
圧力のみ変化(温度一定)
体積のみ変化(温度一定)
圧力と体積が同時に変化(温度一定)
温度が変化したとき
\(U = \frac{3}{2}nRT\) なので、内部エネルギーは温度 \(T\) のみに依存します。圧力や体積が変わっても温度が一定なら \(\Delta U = 0\) です。

🎯 4. 入試対策

大学入試で頻出のテーマと解法のポイントを整理しよう。

🎯 ① 頻出テーマ:気体分子運動論の導出

立方体容器の1つの壁に分子が衝突するとき、運動量変化 \(2mv_x\)、衝突間隔 \(2L/v_x\) から力を求め、全 \(N\) 個の分子について平均をとると \(pV = \frac{1}{3}Nm\overline{v^2}\) が導かれます。これと \(pV = nRT\) を比較して \(\frac{1}{2}m\overline{v^2} = \frac{3}{2}k_BT\) が得られる——この導出過程を穴埋めや記述で問う入試問題は非常に多いです。

🧮 ② 典型問題:気体分子運動論の導出手順

導出の全体像(穴埋め・記述で頻出):

  1. 1個の分子が壁に与える力積:速度の x 成分 \(v_x\) の分子が壁で弾性衝突 → 運動量変化 \(2mv_x\)
  2. 衝突の時間間隔:壁と壁(距離 \(L\))を往復する時間 \(\dfrac{2L}{v_x}\)
  3. 1個の分子が壁に及ぼす平均の力:\(F_1 = \dfrac{2mv_x}{2L/v_x} = \dfrac{mv_x^2}{L}\)
  4. N 個の分子の合計:\(F = \dfrac{Nm\overline{v_x^2}}{L}\)
  5. 圧力:\(p = \dfrac{F}{L^2} = \dfrac{Nm\overline{v_x^2}}{L^3} = \dfrac{Nm\overline{v_x^2}}{V}\)
  6. 等方性:\(\overline{v_x^2} = \overline{v_y^2} = \overline{v_z^2} = \dfrac{1}{3}\overline{v^2}\) を代入
$ \boxed{pV = \frac{1}{3}Nm\overline{v^2}} $

\(pV = nRT = Nk_BT\) と比較して \(\dfrac{1}{2}m\overline{v^2} = \dfrac{3}{2}k_BT\) が得られる。

🔑 まとめ