物理 > 第3編 波 > 第2章 音の伝わり方

② 音のドップラー効果

🚑 1. ドップラー効果

救急車が近づいてくるときと遠ざかっていくときでは、サイレンの音の高さが異なるのはなぜだろうか。——音源や観測者の運動が、観測される振動数をどう変えるのかを理解しよう。

救急車が近づくとサイレンが高く聞こえ、通り過ぎると低く聞こえる。この現象の名前は?
ドップラー効果
うなり
共鳴
音源や観測者が動くことで観測される振動数が変わる現象をドップラー効果といいます。救急車が近づくと波長が短くなり、音が高く聞こえます。

ドップラー効果とは

救急車のサイレンや、電車に乗りながら聞く踏切の警報機の音は、近づくときは高く、遠ざかるときは低く聞こえる。 また、その変化は救急車や電車が速く動くほど大きい。

💡
ドップラー効果:音源や観測者が動くことによって、もとの振動数(音の高さ)と異なった振動数が観測される現象。音波だけでなく、すべての波動で共通に起こる

音源が動くと波面が変わる

音源が動きながら音を出すと、音源から出ていく音波の波面の間隔は、音源が進む前方では狭く、後方では広くなる。 これは水面波の場合にも観察することができる。

音源が動いていても、音は静止した空気中を波として伝わるので、音の速さは音源の前方でも後方でも等しい。 したがって、音源の前方では波長が短くなり、振動数が大きくなって音が高く聞こえる。 一方、音源の後方では波長が長くなって振動数が小さくなり、音が低く聞こえる

📌 ポイント

音源が動く場合のドップラー効果では、音波の波長が変化している。
観測者が動く場合のドップラー効果では、観測者が受け取る波の数が変化している。

🧮 計算例:救急車のサイレンの振動数変化

条件:救急車のサイレンの振動数 \(f = 960\) Hz,救急車の速さ \(v_\mathrm{S} = 20\) m/s,音速 \(V = 340\) m/s。静止した観測者が聞く振動数を,近づく場合と遠ざかる場合で求める。

近づく場合(\(v_\mathrm{S} = +20\) m/s):

$$ f' = \frac{V}{V - v_\mathrm{S}} f = \frac{340}{340 - 20} \times 960 = \frac{340}{320} \times 960 = 1.0625 \times 960 = 1020 \text{ Hz} $$

遠ざかる場合(\(v_\mathrm{S} = -20\) m/s):

$$ f' = \frac{340}{340 - (-20)} \times 960 = \frac{340}{360} \times 960 \fallingdotseq 0.944 \times 960 \fallingdotseq 907 \text{ Hz} $$

通過前後で約 113 Hz の変化が起こる。

答え:近づく場合 1020 Hz,遠ざかる場合 907 Hz

🚑 豆知識:救急車のサイレンとドップラー効果

日本の救急車のサイレンは 960 Hz と 770 Hz を交互に鳴らしている。時速 60 km/h(≒ 17 m/s)で近づく場合、約 50 Hz 高く聞こえ、遠ざかる場合は約 50 Hz 低く聞こえる。通過の瞬間に音の高さが急に変わるのが体感できる。

🤔 豆知識:光のドップラー効果では区別がない?

光のドップラー効果では音源と観測者の区別はない(相対速度だけで決まる)。しかし音のドップラー効果では区別が必要である。なぜなら音は媒質(空気)に対して伝わるため、音源が動く場合と観測者が動く場合で波長の変化の仕方が異なるからだ。

音源が動く場合のドップラー効果で変化するのは?
波長
音の速さ
振幅
音源が動くと波面の間隔が変わり、前方では波長が短く、後方では長くなります。音の速さは媒質で決まるので変わりません。

🔊 2. 音源が動く場合(観測者は静止)

音源が観測者に向かって動くとき、波長はどう変化し、振動数はいくつになるのか——1秒間の波の幾何学から導出する。

音源が観測者に近づくとき、音源の前方の波長はどうなる?
もとの波長より長くなる
もとの波長より短くなる
音源が前進すると前方に出した波の間隔が詰まるため波長が短くなります。

波長の変化

音の速さを \(V\)〔m/s〕、音源の振動数を \(f\)〔Hz〕、音源から観測者への向きを正として音源の速度を \(v_\mathrm{S}\)〔m/s〕とする。

音源は 1 秒間に \(f\) 個の音波を出して \(v_\mathrm{S} \times 1\)〔m〕だけ進む。 一方、音源を出た波は 1 秒間に \(V \times 1\)〔m〕進む。 したがって、音源の前方では \(f\) 個の波が \((V - v_\mathrm{S})\) m の区間に含まれるので、波長は

$$ \lambda' = \frac{V - v_\mathrm{S}}{f} $$
\(\lambda'\)〔m〕:音源前方の波長
\(V\)〔m/s〕:音の速さ
\(v_\mathrm{S}\)〔m/s〕:音源の速度(観測者への向きが正)

観測振動数

静止した観測者には波長 \(\lambda'\) の音波が速さ \(V\) で届くので、観測される振動数 \(f'\) は

\(f' = \frac{V}{\lambda'} = \)\(\frac{V}{V - v_\mathrm{S}} f\)
\(f'\)〔Hz〕:観測者が受け取る音波の振動数
\(f\)〔Hz〕:音源の振動数
\(v_\mathrm{S}\)〔m/s〕:音源の速度(観測者への向きが正)

音源が観測者に近づく(\(v_\mathrm{S} \gt 0\))とき \(f' \gt f\)(高い音)、 遠ざかる(\(v_\mathrm{S} < 0\))とき \(f' < f\)(低い音)となる。

🧮 計算例:音源移動時の波長の変化

条件:音源の振動数 \(f = 440\) Hz,音源の速さ \(v_\mathrm{S} = 30\) m/s,音速 \(V = 340\) m/s。前方と後方の波長を求める。

静止時の波長:\(\lambda = V/f = 340/440 \fallingdotseq 0.773\) m

前方の波長:

$$ \lambda' = \frac{V - v_\mathrm{S}}{f} = \frac{340 - 30}{440} = \frac{310}{440} \fallingdotseq 0.705 \text{ m} $$

後方の波長:

$$ \lambda' = \frac{V + v_\mathrm{S}}{f} = \frac{340 + 30}{440} = \frac{370}{440} \fallingdotseq 0.841 \text{ m} $$

答え:前方 0.705 m(短くなる),後方 0.841 m(長くなる)

📐 なぜ後方では波長が長くなる?

音源の後方(\(v_\mathrm{S}\) が負の方向)では、\(f\) 個の波が \((V + |v_\mathrm{S}|)\) m の区間に広がるため波長は \(\lambda' = (V + |v_\mathrm{S}|)/f\) と長くなる。上の公式で \(v_\mathrm{S}\) を負にすれば自動的にこの結果が得られる。

音源が観測者に近づくとき、観測される振動数 \(f'\) は元の振動数 \(f\) と比べてどうなる?
小さくなる(低い音)
大きくなる(高い音)
音源が近づくと前方の波長が短くなるため、f' = V/λ' > f となり高い音が聞こえます。

🏃 3. 観測者が動く場合と一般式

では次に、音源が静止し観測者が動く場合を考えよう。対称に見えるが、メカニズムが異なることに注目しよう。音源移動との違いを押さえ、一般式を完成させよう。

音源も観測者も静止していて風だけが吹いている場合、観測される振動数はどうなる?
もとの振動数と同じ(変わらない)
風下では高くなる
風上では高くなる
風が吹いても音源・観測者が静止していれば v_S = v_O = 0 です。風だけではドップラー効果は起きません。

観測者が動く場合(音源は静止)

音源が静止しているとき、波長 \(\lambda = V/f\) は変わらない。 観測者が音源に近づくと、静止している場合に比べて 1 秒当たりに受け取る音波の数は多くなる

音源から観測者への向きを正として、観測者の速度を \(v_\mathrm{O}\)〔m/s〕とする。 観測者から見ると、波は相対速度 \(V - v_\mathrm{O}\) で近づいてくるので、1 秒間に通過する波の数は

\(f' = \frac{V - v_\mathrm{O}}{\lambda} = \)\(\frac{V - v_\mathrm{O}}{V} f\)
\(v_\mathrm{O}\)〔m/s〕:観測者の速度(音源から観測者への向きが正)

観測者が音源に近づく(\(v_\mathrm{O} < 0\))とき \(f' > f\)(高い音)、 遠ざかる(\(v_\mathrm{O} > 0\))とき \(f' < f\)(低い音)となる。

📐 公式の導出:観測者が動く場合の振動数

音源が静止しているとき、波長は \(\lambda = V/f\) で変わらない。

観測者が音源から遠ざかる向きに速度 \(v_\mathrm{O}\) で動くとき、観測者から見た波の相対速度は \(V - v_\mathrm{O}\) である。

1 秒間に観測者を通過する波の数(=観測振動数)は

$$ f' = \frac{V - v_\mathrm{O}}{\lambda} = \frac{V - v_\mathrm{O}}{V/f} = \frac{V - v_\mathrm{O}}{V} f $$

観測者が音源に近づく場合(\(v_\mathrm{O} < 0\))は分子が \(V\) より大きくなり、\(f' \gt f\) となる。

⚠️ 要注意!

音源が動く場合のドップラー効果では音波の波長が変化している。 観測者が動く場合のドップラー効果では、観測者が受け取る波の数が変化している。 このメカニズムの違いが、音源と観測者を区別する理由である。

音源と観測者がともに動く場合(一般式)

速度 \(v_\mathrm{S}\) で動く音源から出た \(f\)〔Hz〕の音を聞くとき、 静止した観測者が聞く振動数は

$$ f_1 = \frac{V}{V - v_\mathrm{S}} f \quad \cdots\text{(i)} $$

この音を速度 \(v_\mathrm{O}\) で動く観測者が聞くとき、観測者にとっての音源の振動数は \(f_1\) である。 観測者が動く場合の式(\(f' = \dfrac{V - v_\mathrm{O}}{V} \cdot f\))の \(f\) を \(f_1\) に置き換えると

$$ f' = \frac{V - v_\mathrm{O}}{V} f_1 = \frac{V - v_\mathrm{O}}{V} \cdot \frac{V}{V - v_\mathrm{S}} f $$

\(V\) が約分されて、一般式が得られる。

\(f' = \)\(\frac{V - v_\mathrm{O}}{V - v_\mathrm{S}} f\)
\(f'\)〔Hz〕:観測者が受け取る音波の振動数
\(f\)〔Hz〕:音源の振動数
\(V\)〔m/s〕:音の速さ
\(v_\mathrm{O}\)〔m/s〕:観測者の速度
\(v_\mathrm{S}\)〔m/s〕:音源の速度
📌 ここが超重要

\(v_\mathrm{O}\) と \(v_\mathrm{S}\) は、音源から観測者に向かう向きを正とする。 近づく場合は振動数が大きくなる(高い音)、遠ざかる場合は小さくなる(低い音)。

条件 波長の変化 観測振動数
音源が近づく短くなる高くなる
音源が遠ざかる長くなる低くなる
観測者が近づく変わらない高くなる
観測者が遠ざかる変わらない低くなる

▲ 音源移動では波長自体が変化するが、観測者移動では波長は変わらない

🧮 計算例:一般式で音源・観測者がともに動く場合

条件:音源(振動数 \(f = 800\) Hz)が観測者に向かって \(v_\mathrm{S} = 15\) m/s で近づき,観測者も音源に向かって \(v_\mathrm{O} = -10\) m/s で近づく。音速 \(V = 340\) m/s。

音源から観測者への向きを正とすると,\(v_\mathrm{S} = +15\),\(v_\mathrm{O} = -10\)(観測者が音源へ向かう=負の方向)。

$$ f' = \frac{V - v_\mathrm{O}}{V - v_\mathrm{S}} f = \frac{340 - (-10)}{340 - 15} \times 800 = \frac{350}{325} \times 800 $$

比を計算して整理すると、

$$ f' = 1.0769 \times 800 \fallingdotseq 862 \text{ Hz} $$

互いに近づくので,振動数は元の 800 Hz より大きくなる。

答え:\(f' \fallingdotseq 862\) Hz

📐 発展:微積分で見るドップラー効果

音源の位置 \(x_\mathrm{S}(t)\) と観測者の位置 \(x_\mathrm{O}(t)\) を時間の関数として考える。時刻 \(t\) に出た音が観測者に届く時刻を \(t'\) とすると

$$ t' = t + \frac{x_\mathrm{O}(t') - x_\mathrm{S}(t)}{V} $$

この関係を \(t\) で微分すると \(\dfrac{dt'}{dt} = \dfrac{V - v_\mathrm{O}}{V - v_\mathrm{S}}\) が得られ、観測振動数の一般式が導かれる。微分を使えば速度が時間変化する場合にも一般化できる。

衝撃波

一般式は \(v_\mathrm{S} < V\) の場合である。 物体の速さが音の速さよりも大きい(\(v_\mathrm{S} \gt V\))場合は、物体の前方の空気が強く圧縮される。 物体の後方では、次々に出された音波は物体の先端を頂点とする円錐形の波面をつくる。 これを衝撃波という。 この円錐の半頂角 \(\alpha\) は次の関係を満たす。

$$ \sin\alpha = \frac{V}{v_\mathrm{S}} $$
\(\alpha\):円錐の半頂角(マッハ角)
\(V\)〔m/s〕:音の速さ
\(v_\mathrm{S}\)〔m/s〕:物体の速さ(\(v_\mathrm{S} \gt V\))

\(v_\mathrm{S}/V\) をマッハ数(Mach number)という。マッハ数が大きいほど円錐は鋭くなる。

🚀 豆知識:ソニックブームと超音速飛行

ジェット戦闘機や宇宙船が超音速(マッハ 1 以上)で飛行するとき、衝撃波が地上に届くと「ソニックブーム」と呼ばれる大きな破裂音として聞こえる。コンコルドはマッハ 2 で飛行し、陸上での運航が禁止される一因となった。

ドップラー効果の一般式で速度の正の向きはどちら?
観測者から音源に向かう向き
波の進行方向
音源から観測者に向かう向き
一般式 f' = (V − v_O)/(V − v_S) × f では、音源から観測者に向かう向きを正とします。

🔬 4. いろいろなドップラー効果

反射板・風・斜め方向——教科書の「Zoom」に相当する発展パターンを整理しよう。

壁に向かって走りながら手を叩くと、反射音は元の音と比べてどう聞こえる?
低く聞こえる
高く聞こえる
同じに聞こえる
壁が「動く観測者」として高い振動数の音を受け取り、さらに「動く音源」として反射波を出します。2段階のドップラー効果で振動数が上がります。

反射板がある場合のドップラー効果

音源、観測者がともに静止していても、動いている物体で音が反射することによってドップラー効果が起こる。

音の速さを \(V\)、音源の振動数を \(f\)、観測者・音源・板が一直線上に並び、 板が速さ \(v_\mathrm{R}\) で音源に近づくとき、板で反射した音を観測者が聞く振動数 \(f'\) を求めよう。

Step 1:板を「動く観測者」と考える。板の受け取る音波の振動数 \(f_1\) は

$$ f_1 = \frac{V + v_\mathrm{R}}{V} f \qquad \text{…(A)} $$

Step 2:板を「動く音源」と考える。板は振動数 \(f_1\) で音を出しながら速さ \(v_\mathrm{R}\) で観測者に近づく音源として反射波を出す。

$$ f' = \frac{V}{V - v_\mathrm{R}} f_1 = \frac{V + v_\mathrm{R}}{V - v_\mathrm{R}} f \qquad \text{…(B)} $$

風がある場合のドップラー効果

静止した媒質(空気)中で音を出すと、音波はどの方向にも同じ速さで伝わる。 しかし、一様な風が吹いて媒質全体が動いている中では、地面に対して音の伝わる速さは伝わる向きによって異なる。

無風状態での音の速さを \(V\)、風の速さを \(V_w\) とする。 地面に静止している立場からは、音は風と同じ向きには \(V + V_w\) の速さで、風と逆向きには \(V - V_w\) の速さで伝わるように見える。 このとき、ドップラー効果の式は \(V\) を \(V + V_w\) または \(V - V_w\) で置きかえて

$$ f' = \frac{(V + V_w) - v_\mathrm{O}}{(V + V_w) - v_\mathrm{S}} f \qquad\text{(風と同じ向き)} $$

風と逆向きに音が伝わる場合は、音速が \(V - V_w\) に減少するため、

$$ f' = \frac{(V - V_w) - v_\mathrm{O}}{(V - V_w) - v_\mathrm{S}} f \qquad\text{(風と逆向き)} $$

📌 ポイント

音源も観測者も地面に対して静止しているとき(\(v_\mathrm{S} = v_\mathrm{O} = 0\))は、風が吹いていても \(f' = f\) で振動数は変わらない。 風だけではドップラー効果は起きない。

斜め方向のドップラー効果

音源と観測者を結ぶ方向に対して、音源が斜めに動く場合について考えてみよう。 音源の速さを \(v_\mathrm{S}\)、音源の進行方向と SO 方向のなす角を \(\theta\) とする。 音源が点 S を通過するときに出した音を、静止している観測者が点 O で聞く。

このとき、音源の速度の SO 方向成分は \(v_\mathrm{S} \cos\theta\) であるから、

$$ f' = \frac{V}{V - v_\mathrm{S}\cos\theta}\, f $$
\(\theta\):音源の進行方向と SO 方向のなす角
🧮 計算例:反射板によるドップラー効果(うなりの計算)

条件:音源(振動数 \(f = 1000\) Hz)が壁に向かって速さ \(v_\mathrm{S} = 5.0\) m/s で進む。音速 \(V = 340\) m/s。反射音の振動数とうなりの振動数を求める。

Step 1:壁が受け取る振動数

$$ f_1 = \frac{V}{V - v_\mathrm{S}} f = \frac{340}{340 - 5.0} \times 1000 = \frac{340}{335} \times 1000 \fallingdotseq 1015 \text{ Hz} $$

Step 2:反射音を音源が聞く振動数(音源は壁に近づく観測者)

$$ f_2 = \frac{V + v_\mathrm{S}}{V} f_1 = \frac{340 + 5.0}{340} \times 1015 \fallingdotseq 1.0147 \times 1015 \fallingdotseq 1030 \text{ Hz} $$

うなりの振動数:

$$ f_{\text{beat}} = f_2 - f = 1030 - 1000 = 30 \text{ Hz} $$

答え:反射音 1030 Hz,うなり 30 Hz(毎秒30回)

🧮 計算例:マッハ角の計算

条件:戦闘機がマッハ 2.0 で飛行している。音速 \(V = 340\) m/s。

飛行機の速さ:\(v_\mathrm{S} = 2.0 \times 340 = 680\) m/s

$$ \sin\alpha = \frac{V}{v_\mathrm{S}} = \frac{340}{680} = 0.50 $$

逆正弦をとってマッハ角を求めると、

$$ \alpha = 30° $$

円錐の半頂角(マッハ角)は 30°。マッハ数が大きいほど円錐は鋭くなる。

答え:\(\alpha = 30°\)

🚂 豆知識:電車の警笛と斜めドップラー効果 と

電車の警笛と斜めドップラー効果

踏切の近くで電車の警笛を聞くと、近づくときは高く→通過の瞬間にもとの音→遠ざかると低くなる。通過の瞬間は \(\theta = 90°\) で \(\cos\theta = 0\) となるため \(f' = f\) となり、もとの振動数が聞こえる。

音源が速さ \(v_\mathrm{S}\) で観測者に近づく場合

音源が 1 周期 \(T = 1/f\) の間に \(v_\mathrm{S} T\) だけ進むため、前方の波長は

$$ \lambda' = \lambda - v_\mathrm{S} T = \frac{V}{f} - \frac{v_\mathrm{S}}{f} = \frac{V - v_\mathrm{S}}{f} $$

静止した観測者が受け取る振動数は

$$ f' = \frac{V}{\lambda'} = f \cdot \frac{V}{V - v_\mathrm{S}} $$

観測者が速さ \(v_\mathrm{O}\) で音源に近づく場合

波長は変わらない。観測者は波に対して \(V + v_\mathrm{O}\) の相対速度で進むため

$$ f' = \frac{V + v_\mathrm{O}}{\lambda} = f \cdot \frac{V + v_\mathrm{O}}{V} $$

両方が動く場合を組み合わせると一般式が得られる。

反射板によるドップラー効果の解法として正しいのは?
反射板を音源として1回だけ式を適用する
反射板を「観測者」→「音源」として2段階で式を適用する
反射板の速度を2倍にして1回適用する
反射板がある場合は、まず板を「動く観測者」として受け取る振動数を求め、次に板を「動く音源」として反射波の振動数を求めます。

🎯 5. 入試対策

大学入試で頻出のテーマと解法のポイントを整理しよう。

反射板のドップラー効果(2段階適用)

🧮 ① 典型計算:壁の反射とうなり

問題設定:音源(振動数 \(f\))が速さ \(v_\mathrm{S}\) で壁に向かって進む。音速を \(V\) とする。

解法(2段階)

  1. 壁が受け取る振動数:壁は静止した観測者なので $ f_1 = f \cdot \frac{V}{V - v_\mathrm{S}} $
  2. 壁が反射音を出す:壁は静止した音源(振動数 \(f_1\))として反射波を出す。もとの音源は速さ \(v_\mathrm{S}\) で壁に向かう観測者なので $ f_2 = f_1 \cdot \frac{V + v_\mathrm{S}}{V} = f \cdot \frac{V + v_\mathrm{S}}{V - v_\mathrm{S}} $
  3. うなりの振動数:直接音の振動数 \(f\) と反射音 \(f_2\) の差 $ f_\mathrm{beat} = f_2 - f = f \cdot \frac{2 v_\mathrm{S}}{V - v_\mathrm{S}} $

「板を観測者 → 板を音源」の 2 段階適用がポイント。斜めに進む場合は速度の壁方向成分を使う。

風と波面(名古屋大学 2026)

🏷️
題材:2026 名古屋大学 入試 物理(問題III・図2相当)
ねらい:風(媒質の流れ)があるときの「波面の形」と「波面間隔の見え方」を整理する

原点 O に点音源を置き、空気中の音速を \(V\)、振動数を \(f\) とする。 空気全体が \(x\) 軸正方向に一様な風速 \(w\) で流れている(\(w < V\))とき、 時刻 \(t=0\) に出た波面の位置は

$ (X - wt)^2 + Y^2 = V^2 t^2 $

波面は円のままだが、中心が \((wt, 0)\) に流れる。 波面が \(x\) 軸と交わる点の間隔は方向で異なり、

$ \Delta X_\mathrm{A} = \frac{V + w}{f},\quad \Delta X_\mathrm{B} = \frac{V - w}{f},\quad \Delta Y = \frac{V}{f} $

風下では間隔が広く、風上では狭く見えるが、これは波面の中心がずれているだけで、 観測者が静止している限り振動数は変わらない。

🔑 まとめ