「1.5 m や 0.80 m/s のように、物理では量を数値と単位の積で表す」——物理基礎の学習を始める前に、物理量の表し方を身につけよう。
物理量は「数値」と「単位」の積で表されます。 国際単位系(SI)では、メートル(m)・キログラム(kg)・秒(s) など7種の基本単位を定め、 それらを組み合わせた組立単位(例: m/s, N)で他の量を表します。
| 種類 | 物理量 | 単位名称 | 記号 |
|---|---|---|---|
| 基本単位 | 長さ | メートル | m |
| 質量 | キログラム | kg | |
| 時間 | 秒 | s | |
| 電流 | アンペア | A | |
| 組立単位 | 速さ | メートル毎秒 | m/s |
| 力 | ニュートン | N |
同じ物理量でも、単位を変えれば数値も変わる。物理量を比較するには単位をそろえることが必須。
例: 100 cm = 1 m、1000 g = 1 kg、1時間 = 60分 = 3600 s
物理では量を記号(文字)で表し、数式で関係を考察します。記号は英語表記の頭文字が使われることが多いです。
| 物理量 | 英語 | 記号 |
|---|---|---|
| 距離 | — | \(x\) |
| 質量 | mass | \(m\) |
| 時間 | time | \(t\) |
| 速さ | velocity | \(v\) |
| 加速度 | acceleration | \(a\) |
| 力 | Force | \(F\) |
| 仕事 | Work | \(W\) |
| 温度 | Temperature | \(T\) |
| 抵抗 | Resistance | \(R\) |
| 電流 | Intensity | \(I\) |
| 電圧 | Voltage | \(V\) |
物理の記号が英語ベースなのは、近代物理学がヨーロッパで発展したためです。力の F は Force、仕事の W は Work の頭文字。ただし速さの v は velocity(ラテン語由来)、質量の m は mass です。記号と英語名をセットで覚えると、物理の学習がスムーズになります。
物理量を「数値 × 単位」で表せることがわかりました。では、その数値はどこまで信用できるのでしょうか。「測定値の 357 g の 3, 5, 7 はすべて意味のある数字」——有効数字のルールを理解しよう。
測定器具の最小目盛りの 1/10 まで目分量で読み取ります。
例: ものさしの最小目盛りが 1 mm なら、0.1 mm の位まで読み取れます。
下のシミュレーションで、ものさしの読み取りと有効数字の関係を確認してみよう。拡大表示で最小目盛りの 1/10(0.1 mm)まで読み取る様子がわかります。
測定値と真の値の差を誤差といいます。誤差には2種類あります。
測定で得られた意味のある数字を有効数字といいます。
例: 電子はかりで 357 g と表示 → 有効数字は3桁。kg に換算しても 0.357 kg で同じく3桁。
かけ算・わり算:結果は最も少ない有効数字の桁数に合わせる(四捨五入)。
足し算・引き算:結果は末位が最も高い位のものに合わせる。
かけ算:縦 26.8 cm × 横 3.2 cm = 85.76 cm² → 答え 86 cm²(2桁に合わせる)
足し算:21.58 cm + 8.6 cm = 30.18 cm → 答え 30.2 cm(小数第1位に合わせる)
有効数字で「意味のある数字」を正しく扱えるようになりました。しかし物理では、桁数が極端に多い量を扱う場面がしばしば現れます。「太陽と地球の距離は 150 000 000 000 m」——桁の多い数は \(10^n\) の形で表す。
10 を \(n\) 個かけあわせたものを \(10^n\) と表します。\(n\) を指数といいます。
物理量は \(\square \times 10^n\) の形で表します。\(\square\) は \(1 \leqq \square < 10\) とするのがふつうです。
\(\square\) の部分は測定値の有効数字を示しているので、有効数字の桁数がすぐにわかります。
下の図で、指数のスケール感を体験してみよう。スライダーを動かして、原子核から宇宙までの大きさを比べてみましょう。
太陽〜地球の距離:\(1.5 \times 10^{11}\) m
電子の質量:\(9.1 \times 10^{-31}\) kg
光の速さ:\(3.0 \times 10^{8}\) m/s
原子の大きさ:\(10^{-10}\) m 程度
こうした極端に大きい・小さい数を扱うのが物理の特徴です。指数表記のおかげで、桁違いの量を簡潔に表現できます。
ここまでで、物理量の表し方・有効数字・指数表記を学びました。最後に、実験で得た物理量をどう整理して法則を見つけるかを身につけましょう。「実験結果を表やグラフにまとめると、法則が見えてくる」——データの整理方法を学ぼう。
データの数が多い場合は表にまとめると整理しやすくなります。表には時刻・距離・速さなどを整理し、関係を調べます。
物理量の変化をグラフに表すと、表だけではわからなかった「気づき」を得られることがあります。
物理量はなめらかに変化することが多いので、グラフはなめらかな直線や曲線を引く。点と点を折れ線でつながない。
物理でよく登場するグラフのパターンは、おもに次の3つです。グラフの形を見れば、2つの物理量の間にどのような関係があるかがわかります。
下のシミュレーションで、データのプロットとフィッティングを試してみよう。グラフ上をクリックして点を追加し、「直線フィット」で最適な線を引いてみましょう。
グラフが原点を通る直線になれば「比例関係」、放物線なら「2乗に比例」など、グラフの形から物理法則を推定できます。 ニュートンやガリレオも、実験データをグラフ化して法則を発見しました。
物理量と有効数字は、共通テスト・二次試験で必ず問われる基礎。ここで確実に押さえよう。
測定値 \(a = 3.25\) m、\(b = 2.1\) m のとき、\(a \times b\) と \(a + b\) の有効数字を考える。
【解法】
かけ算は有効数字の桁数が少ない方に合わせる:
$ a \times b = 3.25 \times 2.1 = 6.825 \fallingdotseq 6.8 \text{ m}^2 \quad (\text{2桁}) $足し算は末位が大きい方(精度の低い方)に合わせる:
$ a + b = 3.25 + 2.1 = 5.35 \fallingdotseq 5.4 \text{ m} \quad (\text{小数第1位まで}) $ポイント:かけ算は桁数、足し算は末位で丸める。計算の途中では1桁多く保ち、最後に丸めるのが安全。
光速 \(c = 3.0 \times 10^8\) m/s を km/h に変換せよ。
【解法】
1 km = \(10^3\) m、1時間 = 3600 s より
$ 3.0 \times 10^8 \text{ m/s} = 3.0 \times 10^8 \times \frac{1}{10^3} \text{ km} \times \frac{3600}{1} \frac{1}{\text{h}} $ $ = 3.0 \times 10^8 \times 3.6 \times 10^{-3} \times 10^3 \text{ km/h} = 1.08 \times 10^9 \text{ km/h} \fallingdotseq 1.1 \times 10^9 \text{ km/h} $ポイント:10のべき乗の計算を先に行い、最後に有効数字で丸める。単位換算は「割合の掛け合わせ」として捉えるとミスが減る。
自由落下で時間 \(t\) の後の落下距離が \(y = \frac{1}{2}gt^2\) と書けることを、次元(単位)だけから確認せよ。
【解法】
右辺の次元は \([g] \cdot [t]^2 = \mathrm{m/s^2} \cdot \mathrm{s^2} = \mathrm{m}\)。左辺 \([y] = \mathrm{m}\) と一致。
ポイント:公式を忘れたとき、両辺の単位が揃うかだけでも確認すると大きな計算ミスを防げる。次元解析は物理の強力な検算手段。