太鼓をたたくと音が聞こえるのはなぜでしょう? 物体が振動すると、周りの空気が押されたり引かれたりして、圧力の変化が伝わっていきます。これが音波の正体です。
条件:\(v = 340\) m/s、\(t = 3.0\) s(往復時間)
$$ d = \frac{vt}{2} = \frac{340 \times 3.0}{2} = 510 \text{ m} $$答え:\(d = 510\) m
空気の圧力が高い部分(密部)と低い部分(疎部)が交互に伝わっていく波を 縦波(疎密波)といいます。私たちの耳は、この鼓膜への圧力変化を感じ取っています。
音が空気の振動であることがわかりました。では、同じ「音」でも大きさ・高さ・音色が違うのはなぜでしょうか。音を特徴づける3つの要素を波の性質と結びつけて理解しましょう。
音には「大きさ」「高さ」「音色」という3つの性質があります。これらは波形のどのような特徴に対応しているのでしょうか? オシロスコープ(波形を表示する装置)で確認してみましょう。
「ド」の音とその1つ上の「ド」の音は、1オクターブ違うといいます。 実は、1オクターブ高い音は、元の音のちょうど2倍の振動数を持っています。
このように振動数が簡単な整数比(1:2など)になると、私たちの耳には「よく調和した音」として聞こえます。
ヒトが聞くことのできる振動数の範囲(可聴域)は、一般に 20 Hz 〜 20000 Hz 程度と言われています。 実際に音を鳴らして確認してみましょう。(※音量に十分注意してください)
※ スピーカーの性能によっては、低音や高音が再生できない場合があります。
※ 年齢を重ねると高い音が聞こえにくくなる傾向があります(モスキート音)。
※ 個人差が大きく、聴覚の健康状態によって変化します。
同じドの音(262Hz)でもピアノとバイオリンで音色が違うのは、含まれる倍音(基本振動数の整数倍の成分)の強さが異なるからです。倍音が豊富な楽器は温かみのある音、倍音が少ないと澄んだ音になります。音叉は倍音がほぼなく、純粋な正弦波に近い音を出します。
音の大きさは強度の対数で表します。10dB上がると音のエネルギーは10倍、20dBで100倍です。日常の音の例:ささやき声 30dB、普通の会話 60dB、電車内 80dB、ジェット機近く 120dB。120dBの音は30dBの音の10億倍のエネルギーを持ちます。人間の耳がこの巨大な範囲を感知できるのは驚異的です。
実際の楽器の音などは、単純な正弦波ではなく、さまざまな振動数の波が混ざり合った「複雑な波形」をしています。これが音色の違いを生み出します。
音の3要素は振幅・振動数・波形で決まることがわかりました。次は、音がどれくらいの速さで伝わるのか、そしてその速さは何によって変わるのかを調べましょう。
カミナリが光ってから音が聞こえるまで時間がかかるように、音の伝わる速さには限りがあります。空気中での音速 \(V\) は、温度 \(t\) [℃] によって変化します。
この式からわかるように、気温が高くなるほど音速は速くなります。 0℃ では約 331.5 m/s、15℃ では約 340 m/s です。
【Step 1】理論的には、気体中の音速は \(V = \sqrt{\frac{\gamma R T}{M}}\)(\(\gamma\):比熱比、\(R\):気体定数、\(T\):絶対温度、\(M\):モル質量)で表されます。
【Step 2】空気(\(\gamma = 1.4\), \(M = 0.029\) kg/mol)を代入すると、0℃(273 K)で \(V_0 \allingdotseq 331.5\) m/s が得られます。
【Step 3】\(V \propto \sqrt{T}\) を \(T = 273 + t\) で展開し、\(t\) が 273 に比べて小さいとき \(\sqrt{1 + t/273} \allingdotseq 1 + t/546\) と近似すると、 $$ V \allingdotseq 331.5 \times (1 + t/546) \allingdotseq 331.5 + 0.607t \allingdotseq 331.5 + 0.6t $$
この近似は −20℃〜40℃ 程度の範囲で十分正確です。
音は空気(気体)だけでなく、液体や固体のなかでも伝わります。
一般に、固体 > 液体 > 気体 の順に音速は速くなります。
音の速さがわかると、音が壁に当たって跳ね返る「反射」を定量的に扱えるようになります。やまびこの距離計算など、身近な現象に物理を使ってみましょう。
山びこのように、音が壁や山に当たって返ってくる現象を反射といいます。 コンサートホールなどで音が響く「残響」も、壁や天井での反射によるものです。
広い講堂や日光東照宮の薬師堂などで手を叩くと、「ビーン」という独特な音が聞こえることがあります。 これは天井と床の間で音が何度も往復反射し、特定の周波数の音が強調されることで起こる現象です。
音の反射は1つの音波の振る舞いでしたが、振動数がわずかに異なる2つの音を同時に鳴らすと、音の大小が周期的にくり返される不思議な現象が起こります。
振動数がわずかに異なる2つのおんさを同時に鳴らすと、ウォーン、ウォーンと音の大小が周期的にくり返されて聞こえます。 このような現象をうなり(beat)といいます。
うなりは2つの音波が重なり合うことによって生じます。
振動数がわずかに異なる2つの音波が合成されると、上のシミュレーションのような波形が現れます:
この音の大小の周期的な変化が、「ウォーン、ウォーン」というように聞こえます。 合成波の緑色の点線(包絡線)が、音の大きさの変化を表しています。
1秒当たりに生じるうなりの回数 \(f\) を求めてみましょう。うなりが1回生じる時間(うなりの周期)を \(T_0\) [s] とすると、 1秒間では \(\dfrac{1}{T_0}\) 回うなりが生じるので、次の関係が成り立ちます:
一方、2つの音源の振動数をそれぞれ \(f_1\)、\(f_2\) [Hz] とすると、周期 \(T_0\) [s] の間に2つの音源から出る波の数 \(f_1T_0\) 個と \(f_2T_0\) 個は波1個分ずれており、次の関係が成り立ちます:
この式より \(|f_1 - f_2| \cdot T_0 = 1\) となり、\(T_0 = \dfrac{1}{|f_1 - f_2|}\) となります。 これを最初の式に代入すると、うなりの回数の公式が得られます:
この式から、1秒間に振動数 \(f_1\)、\(f_2\) の差の数だけうなりが生じることがわかります。 2つの音源の振動数が接近している場合にうなりが聞こえます。
振動数の差が大きすぎる場合(例:1秒間に15回以上)、うなりは個別の音の大小としては認識できなくなります。
なぜうなりが聞こえなくなるのか?
一般に、うなりが明瞭に聞こえるのは振動数の差が1〜10 Hz程度の場合です。 上のシミュレーションでスライダーを動かして、この違いを確認してみましょう。
大学入試で頻出のテーマと解法のポイントを整理しよう。
振動数がわずかに異なる2つの音を同時に鳴らすと、うなりが聞こえます。うなりの回数は \(|f_1 - f_2|\) 回/秒です。入試では「おんさに粘土を付けて振動数を変化させた」「弦の張力を変えた」ときのうなりの変化から未知の振動数を求める問題が定番です。
問題設定:振動数が未知のおんさAと、振動数 \(f_0\) のおんさBを同時に鳴らすと、毎秒 \(n\) 回のうなりが聞こえた。
うなりの回数は2つの振動数の差に等しいので、次の関係が成り立ちます。
$ |f_\text{A} - f_0| = n $
これより、\(f_\text{A} = f_0 + n\) または \(f_\text{A} = f_0 - n\) の2つの候補がある。
典型的な追加条件と判定法:
弦の振動数は \(f = \dfrac{1}{2L}\sqrt{\dfrac{T}{\mu}}\) なので、張力 \(T\) を大きくすると \(f\) は大きくなる。同様に、うなりの増減から振動数の大小関係を判定できる。