物理基礎 > 第3編 波 > 第2章 音

⑦ 発音体の振動と共振・共鳴

🎸 1. 発音体の振動と共振・共鳴

「ギターの弦を押さえる位置を変えると音の高さが変わる」——弦や管の中で生じる定常波の仕組みと,共鳴の原理を学ぼう。

ギターの弦を押さえる位置を変えると音の高さが変わるのはなぜ?
弦の振動する長さが変わるから
弦の張力が変わるから
弦の太さが変わるから
弦を押さえると振動できる部分の長さが短くなります。弦が短いほど固有振動数が大きくなり、高い音が出ます。この節で、その仕組みを公式から理解しましょう。

ギターの弦を押さえる位置を変えると音の高さが変わります. フルートの穴をふさぐと違う音が出ます. この節では,弦楽器や管楽器のように「弦や管」で音を出す楽器にしぼり, 弦や管の中で定常波が生じる仕組みと,それによって決まる音の高さについて学びましょう.

$$ L = n \cdot \frac{\lambda}{2} \quad (n = 1, 2, 3, \ldots) $$
\(L\)〔m〕:弦の長さ
\(\lambda\)〔m〕:波長
弦の両端が節 → 半波長の整数倍が弦の長さに等しい
❓ 楽器の音が鳴るとき,定常波は必ずできる?

このページで扱う弦楽器・管楽器では,はい—はっきりした高さの音(音程)が出ているとき,弦や管の中では定常波ができています. 弦の両端や管の端で波が反射し,入射波と反射波が重なることで定常波が生じ,その「モード」が音の高さを決めています.

太鼓やシンバルなど,板や膜を振動させる楽器では,定常波のでき方(節や腹の形)が違います.ここでは「1本の弦」と「まっすぐな管」の場合を学びます.

弦の両端は定常波の節?腹?
どちらでもない
弦の両端は固定されていて動けないため、必ず定常波の「節」になります。この条件を満たす振動だけが弦の固有振動として生じます。

🎸 2. 弦の振動

発音体の振動と共鳴の概要がわかったところで、まずは弦楽器の音の仕組みに注目します。弦の中でどのような定常波ができるのか、基本振動と倍振動を見ていきましょう。

ギターの弦をはじくと音が出ます。弦の中では何が起きている?
弦が一方向に進行する波を出している
入射波と反射波が重なって定常波ができている
弦が収縮と膨張を繰り返している
弦をはじくと波が両端で反射を繰り返し、入射波と反射波が重なり合って定常波が生じます。この定常波の振動数が、弦から出る音の高さを決めます。

🎸 弦に定常波ができる仕組み

ギターの弦をはじくと,弦の上を波が伝わります. 波は弦の両端(固定端)で反射し,行ったり来たりを繰り返します. このとき,入射波と反射波が重なり合って定常波が生じます

弦の両端は固定されているので動けません. つまり,弦の両端は必ず定常波のになります. このような条件を満たす振動を固有振動といい, そのときの振動数を固有振動数といいます.

📐 固有振動数の公式を導こう

弦の長さを \(l\) [m],弦を伝わる波の速さを \(v\) [m/s] とします.

【Step 1】弦の長さと波長の関係

定常波の節と節の間隔は半波長(\(\frac{\lambda}{2}\))です. 弦の両端が節なので,弦の長さ \(l\) の中に「半波長」がぴったり整数個入る必要があります.

半波長が \(m\) 個入るとすると(\(m = 1, 2, 3, \cdots\))

$$ l = m \times \frac{\lambda_{\mathrm{m}}}{2} $$

【Step 2】波長を求める

上の式を \(\lambda_{\mathrm{m}}\) について解くと

$$ \lambda_{\mathrm{m}} = \frac{2l}{m} $$

【Step 3】振動数を求める

波の基本式 \(v = f\lambda\) より,\(f = \dfrac{v}{\lambda}\) なので

\(f_{\mathrm{m}} = \frac{v}{\lambda_{\mathrm{m}}} = \)\(m \cdot \frac{v}{2l}\)
\(f_{\mathrm{m}}\)〔Hz〕:固有振動数
\(m\):腹の数 \((1, 2, 3, \cdots)\)
\(v\)〔m/s〕:波の速さ
\(l\)〔m〕:弦の長さ

🎵 弦の固有振動モードを体験しよう

スライダーで倍振動の次数 \(n\) と張力 \(T\) を変えて,弦の振動モードと固有振動数の変化を観察しよう。 節(緑)と腹(橙)の位置にも注目。

🧮 計算例:長さ 0.60 m の弦の基本振動の振動数(波の速さ 300 m/s)

条件:\(L = 0.60\) m、\(v = 300\) m/s、基本振動

波長:\(\lambda = 2L = 2 \times 0.60 = 1.2\) m

$$ f = \frac{v}{\lambda} = \frac{300}{1.2} = 250 \text{ Hz} $$

答え:\(f = 250\) Hz

aria-label="シミュレーション:弦の固有振動モード(基本振動と倍振動の切替)">

🎵 基本振動と倍振動

\(m = 1\) の場合を基本振動といい, その振動数 \(f_1 = \dfrac{v}{2l}\) を基本振動数といいます.

\(m = 2, 3, \cdots\) の場合をそれぞれ2倍振動,3倍振動,…といい, まとめて倍振動といいます. このとき生じる音を倍音といいます.

基本振動数の式 \(f_1 = \dfrac{v}{2l}\) から,弦が短いほど高い音が出ることがわかります. ギターで弦を押さえると音が高くなるのは,このためです.

なお,実際に弦をはじいたときには基本振動だけが鳴るわけではありません. 基本振動と複数の倍振動(倍音)が同時に起こり,それらの強さのバランスが音色(同じ高さでもギターとピアノで違って聞こえる理由)を決めています. 私たちが感じる「音の高さ」は,主に基本振動数で決まります.

🎸 豆知識:ギターの弦のチューニング原理

ギターの弦の振動数は \(f = \frac{1}{2L}\sqrt{\frac{T}{\mu}}\) で決まります。チューニングペグを回して張力 \(T\) を変えて音程を合わせます。フレットを押さえると弦の有効長 \(L\) が短くなり音が高くなります。太い弦(\(\mu\) が大きい)は低い音、細い弦は高い音を出します。

🎻 豆知識:ピタゴラスと音楽の数学

古代ギリシャの数学者ピタゴラスは,弦の長さの比が簡単な整数比(2:1,3:2など)のとき, 美しい和音になることを発見しました. これが西洋音楽の音階の起源となり,「音楽は数学である」という考え方につながりました.

弦の長さを半分にすると、基本振動数はどうなる?
2倍になる(1オクターブ高くなる)
半分になる(1オクターブ低くなる)
変わらない
基本振動数 \(f_1 = v/(2l)\) より、弦の長さ \(l\) を半分にすると振動数は2倍になります。ギターでフレットを押さえて弦を短くすると高い音が出るのはこのためです。

💨 3. 弦を伝わる波の速さ

弦の固有振動数は波の速さと弦の長さで決まることがわかりました。では、弦を伝わる波の速さ自体は何によって変わるのでしょうか。張力と線密度の関係を学びます。

ギターの弦を強く張ると、波の伝わる速さはどうなる?
遅くなる
変わらない
速くなる
弦の張力が大きいほど波は速く伝わります。速さの公式 \(v = \sqrt{S/\rho}\) から、張力 \(S\) が大きいと \(v\) も大きくなることがわかります。

弦を伝わる波の速さは,弦の張力 \(S\) [N] と線密度 \(\rho\)(単位長さあたりの質量 [kg/m])で決まります.次の式の空欄を埋めましょう.

\(v = \)\(\sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
\(v\)〔m/s〕:波の速さ
\(S\)〔N〕:張力
\(\rho\)〔kg/m〕:線密度(単位長さあたりの質量)

張力が大きいほど,また弦が軽い(線密度が小さい)ほど,波は速く伝わります.ギターで弦を強く張ると高い音が出やすくなるのは,\(v\) が大きくなり基本振動数 \(f_1 = v/(2l)\) が増えるためです.

📐 公式 \(v = \sqrt{S/\rho}\) の導出(高校物理・数学の範囲で)

軽い弦に張力 \(S\) を加えたとき,弦に沿った方向に伝わる波の速さを求めます.

【Step 1】弦の微小部分に働く力

弦の長さ \(\Delta x\),線密度 \(\rho\) の微小部分の質量は \(m = \rho \Delta x\) です. 弦が曲がっているとき,張力 \(S\) の両端からの力の「弦に垂直な成分」の合力が,この部分を加速度 \(a = \dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2}\) で動かします.

【Step 2】運動方程式

曲がりが十分小さいとき,垂直方向の合力の大きさは \(S \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2} \Delta x\) と近似できます(\(y\) は弦の変位). 運動方程式 \(m a = F\) より $$ \rho \Delta x \cdot \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = S \frac{\partial^2 y}{\partial x^2} \Delta x $$

【Step 3】波動方程式と波の速さ

両辺を \(\rho \Delta x\) で割ると $$ \frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = \frac{S}{\rho} \frac{\partial^2 y}{\partial x^2} $$ これは波動方程式 \(\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}\) の形なので,波の速さは $$ v = \sqrt{\frac{S}{\rho}} $$ となります.

弦の張力を大きくすると、波の速さはどうなる?
速くなる
遅くなる
変わらない
\(v = \sqrt{S/\rho}\) より、張力 \(S\) を大きくすると波の速さ \(v\) は大きくなります。これにより基本振動数も上がるので、弦を強く張ると高い音が出ます。

🎺 4. 気柱の振動

弦の振動を学んだので、次は管楽器の音の仕組みです。管の中の空気(気柱)にも定常波ができますが、開管と閉管で振動の条件が異なります。

フルート(開管)とクラリネット(閉管)、同じ長さの管なら低い音が出るのは?
フルート(開管)
クラリネット(閉管)
同じ高さの音が出る
閉管の基本振動数は \(V/(4L)\)、開管は \(V/(2L)\) なので、同じ長さなら閉管の方が基本振動数が半分(1オクターブ低い音)になります。

🎺 管楽器の仕組み

フルートやクラリネットなどの管楽器は,管の中の空気(気柱)が振動して音を出します. 管の端の状態によって,以下の2種類に分けられます.

管の端が閉じていると空気は動けないのでに, 開いていると空気が自由に動けるのでになります.

📐 閉管の固有振動数を導こう

管の長さを \(L\) [m],音速を \(V\) [m/s] とします. 閉管では閉口端が節,開口端が腹になります.

【Step 1】管の長さと波長の関係

節と腹の間隔は4分の1波長(\(\frac{\lambda}{4}\))です. 管の長さ \(L\) の中に4分の1波長が奇数個入る必要があります(1個,3個,5個,…).

$$ L = (2m - 1) \times \frac{\lambda_{\mathrm{m}}}{4} \quad (m = 1, 2, 3, \cdots) $$

※ \(2m - 1\) は奇数を表します(\(m=1\)で1,\(m=2\)で3,\(m=3\)で5,\(\ldots\))

【Step 2】波長と振動数を求める

\(f_{\mathrm{m}} = \)\((2m - 1) \cdot \frac{V}{4L}\)
\(f_{\mathrm{m}}\)〔Hz〕:固有振動数
\(m = 1, 2, 3, \cdots\)
\(V\)〔m/s〕:音速
\(L\)〔m〕:管の長さ

→ 閉管では基本振動数 \(f_1 = \dfrac{V}{4L}\) の奇数倍のみが生じる

📐 開管の固有振動数を導こう

開管では両端が腹になります.

【Step 1】管の長さと波長の関係

腹と腹の間隔は半波長(\(\frac{\lambda}{2}\))です. 管の長さ \(L\) の中に半波長が整数個入る必要があります(1個,2個,3個,…).

$$ L = m \times \frac{\lambda_{\mathrm{m}}}{2} \quad (m = 1, 2, 3, \cdots) $$

【Step 2】波長と振動数を求める

\(f_{\mathrm{m}} = \)\(m \cdot \frac{V}{2L}\)
\(f_{\mathrm{m}}\)〔Hz〕:固有振動数
\(m = 1, 2, 3, \cdots\)
\(V\)〔m/s〕:音速
\(L\)〔m〕:管の長さ

→ 開管では基本振動数 \(f_1 = \dfrac{V}{2L}\) のすべての整数倍が生じる

🎼 豆知識:パイプオルガンの秘密

パイプオルガンには閉管と開管の両方が使われています. 同じ長さなら,閉管は開管の半分の振動数(1オクターブ低い音)を出せるので, 低い音を出すパイプを短くでき,コンパクトに設計できます. 世界最大級のパイプオルガンには数万本ものパイプが使われています.

閉管で生じる固有振動数は基本振動数の何倍?
奇数倍のみ(1倍、3倍、5倍…)
すべての整数倍(1倍、2倍、3倍…)
偶数倍のみ(2倍、4倍、6倍…)
閉管では一端が節、他端が腹になるため、基本振動数の奇数倍のみが固有振動数として生じます。開管では両端が腹なので、すべての整数倍が生じます。

🔧 5. 開口端補正

気柱の公式では管の長さ \(L\) を使いましたが、実際の管楽器では理論通りの音にならないことがあります。開口端で生じるわずかなずれ「開口端補正」を学びましょう。

管楽器の開口端で、定常波の腹は管口ぴったりの位置にできる?
はい、管口ぴったりにできる
いいえ、管口より少し外側にできる
管口より内側にできる
実際には腹の位置は管口より少し外側にずれます。管の中の空気が管口を少し飛び出してから折り返すためです。このずれを「開口端補正」といいます。

これまでの議論では,開口端でぴったり「腹」ができると考えてきました. しかし,実際には腹の位置は管口より少し外側にあります.

これは,管の中で振動する空気が管口を飛び出してから折り返すためです. この管口から腹の位置までの長さ開口端補正(記号:\(\Delta\))といいます.

$$ \Delta \ allingdotseq 0.6r $$
\(\Delta\)〔m〕:開口端補正
\(r\)〔m〕:管の半径
閉管の実効長:\(L + \Delta\)、開管の実効長:\(L + 2\Delta\)

開口端補正 \(\Delta\) は管の半径 \(r\) に比例し,\(\Delta \ allingdotseq 0.6r\) 程度であることが知られています. よって,より正確な固有振動数の計算では,管の長さ \(L\) を「実効長」\(L + \Delta\)(閉管)または \(L + 2\Delta\)(開管)に置き換える必要があります.

🤔 豆知識:開口端補正を忘れると実験値がずれる

気柱の共鳴実験で、管口で空気が少し外にはみ出して振動するため、実際の腹の位置は管口より少し外側にずれます。この補正量 \(\Delta l \ allingdotseq 0.6r\)(\(r\):管の半径)を無視すると、実験から求めた波長が正確ではなくなります。入試では「開口端補正を考慮して」と指定される場合が多いです。

⚠️ 注意

開口端補正の扱い

実験では開口端補正の影響で,計算通りの振動数にならないことがあります. ただし,問題文で「開口端補正を無視する」と書かれている場合は,これまで通りの公式を使います.

開口端補正 \(\Delta\) はおよそ管の半径 \(r\) の何倍?
約 0.3 倍
約 0.6 倍
約 1.0 倍
開口端補正は \(\Delta \ allingdotseq 0.6r\) 程度です。管の半径が大きいほど補正も大きくなります。正確な共鳴実験では、この補正を考慮する必要があります。

🌡️ 6. 気柱の圧力(密度)の変化

これまで気柱の変位に注目してきましたが、音波は縦波なので圧力(密度)の変化も伴います。変位の節と腹で圧力がどう変わるか、意外な関係を確認しましょう。

気柱の中で空気が動かない場所(変位の節)では、圧力変化はどうなっている?
圧力変化もゼロ
圧力変化が最大
圧力は一定
意外かもしれませんが、変位の節(空気が動かない場所)では圧力変化が最大になります。両側から空気が押し寄せたり引かれたりするためです。

気柱の固有振動は縦波の定在波です. そのため,空気の圧力(密度)が時間や場所により周期的に変化します.

🔍 変位と圧力の関係を理解しよう

ここで重要なのは,「変位」の節・腹「圧力変化」の最大・最小の位置がずれていることです.

$$ \text{変位の節} \longleftrightarrow \text{圧力変化の腹}, \quad \text{変位の腹} \longleftrightarrow \text{圧力変化の節} $$
変位と圧力変化は位相が \(\frac{\lambda}{4}\) ずれている
❓ なぜ変位の節で圧力変化が大きいの?

変位の節の両側では,空気分子が逆向きに振動しています. つまり,両側から空気が押し寄せてきたり,両側に引っ張られたりします. その結果,節の位置では空気が「ぎゅっと圧縮」されたり「ばらばらに引き伸ばされたり」して,圧力変化が最も大きくなります.

一方,変位の腹では,周囲の空気も同じ方向に動くため,空気分子の「詰まり具合」は変わりません. そのため,圧力はほとんど変化しないのです.

🎤 豆知識:マイクの位置と圧力変化

管楽器やパイプオルガンの音を録音するとき,マイクの位置が重要です. 管口(開口端)は変位の腹ですが,圧力変化は小さい場所. 管口から少し離れると圧力変化を効率よく拾えます. プロの録音エンジニアは,これを経験的に知っています.

変位の腹(空気が大きく動く場所)での圧力変化は?
圧力変化が最大
圧力変化が中程度
圧力変化がほぼゼロ
変位の腹では周囲の空気も同じ方向に動くため、密度の変化が起きず圧力変化はほぼゼロです。逆に変位の節では、両側から空気が逆向きに押し合い圧力変化が最大になります。

🎵 7. 共振・共鳴

弦や気柱には固有振動数がありました。外部からその振動数と同じ振動を与えると、振幅が大きくなる特別な現象が起こります。これが共振・共鳴です。

ブランコを大きく揺らすには、どのタイミングで押すのが効果的?
ブランコの揺れに合わせた一定のリズムで押す
できるだけ速く連打する
ランダムなタイミングで押す
ブランコの固有振動数に合わせたタイミングで押すと、振幅がどんどん大きくなります。これが共振(共鳴)の原理です。管楽器で特定の音だけが響くのも同じ仕組みです。

同じ振動数に調律された2つのおんさを用意し,一方をたたくと,もう一方も振動を始めます. このように,物体に固有振動数と同じ振動数の力を周期的に加えると, 振動が大きくなる現象を共振(または共鳴)といいます.

$$ f_\text{外力} = f_\text{固有} \implies \text{共振(共鳴)} $$
外力の振動数が物体の固有振動数と一致すると振幅が最大になる

上のシミュレーションで、ブランコの固有振動数に合わせたタイミングで押すと、 振幅がどんどん大きくなることを確認できます。これが共振です。 タイミングがずれると振動はあまり大きくなりません。

管楽器で特定の音だけが強く響くのも、気柱の固有振動数と一致したときに共鳴が起こるためです。

🌉 豆知識:共振で橋が崩壊!?(タコマナローズ橋)

1940年、アメリカのタコマナローズ橋が、強風を受けて大きく揺れ始め、崩壊しました。 風が橋の固有振動数に近い周期で力を加え続けた結果、振動がどんどん大きくなったと考えられています。 現在の橋は、共振を避けるよう設計されています。

📋 その他の共鳴の例
  • ブランコ:タイミングよく押すと大きく揺れる
  • ワイングラス:特定の音で割れることがある
  • ラジオ・テレビ:特定の周波数の電波だけを選別する
  • 電子レンジ:水分子の固有振動数に合わせたマイクロ波で加熱
📐 発展:微積分で見る弦の振動数

弦の波動方程式 \(\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = \frac{T}{\mu}\frac{\partial^2 y}{\partial x^2}\) から、波の速さ \(v = \sqrt{T/\mu}\) が導かれます。長さ \(L\) の弦の両端が固定されているとき、定常波の条件は \(L = n\frac{\lambda}{2}\) です。

$$ f_n = \frac{n}{2L}\sqrt{\frac{T}{\mu}} \quad (n = 1, 2, 3, \ldots) $$

基本振動 (\(n=1\)) が最も低い音で、\(n = 2, 3, \ldots\) は倍音です。弦楽器の音色の豊かさは、これらの倍音の混合比で決まります。

共振(共鳴)が起こる条件は?
できるだけ大きな力を加える
物体の固有振動数と同じ振動数の力を加える
物体を真空中に置く
物体に固有振動数と同じ振動数の力を周期的に加えると、振動がどんどん大きくなります。これが共振(共鳴)です。力の大きさよりもタイミング(振動数の一致)が重要です。

🎯 8. 入試対策

大学入試で頻出のテーマと解法のポイントを整理しよう。

🎯 ① 頻出テーマ:気柱の共鳴

閉管の共鳴条件は \(L + \Delta l = (2n-1)\frac{\lambda}{4}\)(\(\Delta l\):開口端補正)で、奇数倍音のみ生じます。開管は \(L + 2\Delta l = n\frac{\lambda}{2}\) で全倍音が出ます。入試では「水位を変えて共鳴点を2つ見つけ、波長を求める」問題が定番です。2つの共鳴点の差が \(\lambda/2\) になることを利用します。

🧮 ② 典型問題:閉管の共鳴実験

問題設定:一端が閉じた管(閉管)の上部でおんさ(振動数 \(f\))を鳴らしながら水面を下げていくと、管口からの距離 \(L_1\) と \(L_2\)(\(L_1 \lt L_2\))で共鳴が起こった。

ステップ1:波長を求める

閉管の共鳴条件より、隣り合う共鳴点の差は半波長に等しいので

$ \frac{\lambda}{2} = L_2 - L_1 $

両辺を2倍して波長を求めると

$ \lambda = 2(L_2 - L_1) $

ステップ2:音速を求める

波の基本式 \(V = f\lambda\) にステップ1の結果を代入します。

$ V = f\lambda = f \times 2(L_2 - L_1) = 2f(L_2 - L_1) $

ステップ3:開口端補正を求める

1番目の共鳴点では、基本振動の条件 \(L_1 + \Delta l = \dfrac{\lambda}{4}\) が成り立ちます。\(\Delta l\) について解くと

$ \Delta l = \frac{\lambda}{4} - L_1 $

ステップ1の \(\lambda = 2(L_2 - L_1)\) を代入すると

$ \Delta l = \frac{2(L_2 - L_1)}{4} - L_1 = \frac{L_2 - L_1}{2} - L_1 = \frac{L_2 - 3L_1}{2} $

注意:開口端補正 \(\Delta l\) は \(\lambda\) に依存せず、管の形状(半径)で決まるため、同じ管なら振動数を変えても一定である。

🧮 ③ 典型問題:弦の振動数の公式の導出

弦の固有振動数を、弦の物理量(張力 \(S\)、線密度 \(\mu\)、長さ \(l\))で表す。

ステップ1:波の速さ

張力 \(S\)、線密度 \(\mu\) の弦を伝わる横波の速さは

$ v = \sqrt{\frac{S}{\mu}} $

ステップ2:定常波の条件から波長を求める

弦の両端が節なので、長さ \(l\) の中に半波長が \(m\) 個入る条件は \(l = m \cdot \dfrac{\lambda_m}{2}\) です。これを \(\lambda_m\) について解くと \(\lambda_m = \dfrac{2l}{m}\) となります。

ステップ3:振動数の公式

\(v = f\lambda\) より \(f = v/\lambda\) なので、ステップ1・2の結果を代入すると

$ f_m = \frac{v}{\lambda_m} = \frac{\sqrt{S/\mu}}{2l/m} = \frac{m}{2l}\sqrt{\frac{S}{\mu}} $

特に基本振動(\(m = 1\))では

$ f_1 = \frac{1}{2l}\sqrt{\frac{S}{\mu}} $

ポイント:振動数を高くするには、弦を短くする、強く張る(張力を大きく)、細い弦(線密度を小さく)にすればよい。

🔑 まとめ