「電気ストーブはなぜ温かい?」——抵抗のある導体に電流が流れると熱が発生します。この熱の正体を理解しましょう。
下のシミュレーションで、ジュール熱の発生を観察しよう。電流と抵抗を変えると発熱量がどう変わるか確認できます。
抵抗のある導体に電流が流れると、熱が発生します。 ジュールはこの抵抗での発熱量について詳しく研究し、次の関係を導きました。 この関係をジュールの法則といい、発生する熱をジュール熱といいます。
導体に電圧を加えると、自由電子は電気的な力を受けて移動します。 しかし導体中には陽イオンがあり、自由電子は陽イオンと衝突して運動エネルギーを陽イオンに与えます。 これにより陽イオンの振動(熱運動)が盛んになり、温度が上昇します。
つまり、電圧によって自由電子が得た電気的なエネルギーが、衝突によって熱エネルギーに変わるのがジュール熱の正体です。抵抗が大きいほど、また電流が大きいほど、発熱量は大きくなります。
白熱電球は電気エネルギーの約95%を熱に変え、光になるのはわずか5%程度です。LED(発光ダイオード)は電気エネルギーの約30〜50%を光に変換でき、効率が白熱電球の10倍近くになります。同じ明るさなら消費電力(ワット数)が大幅に少なくて済むのです。
1kWh = 1000W × 3600s = 3,600,000 J = 3.6 MJ。電気代の単位でおなじみですが、物理的にはジュールに換算して理解しましょう。1kWhで100Wの電球を10時間、1000Wの電子レンジを1時間使えます。電気代が約30円/kWhとすると、3.6MJのエネルギーが30円で買えることになります。
消費電力 1200 W の電気ケトルで水 500 g を 20℃ から 100℃ に加熱するには、 必要な熱量は \(Q = mc\Delta T = 0.5 \times 4200 \times 80 = 168000\) J。 時間は \(t = Q / P = 168000 / 1200 = 140\) 秒 ≒ 2分20秒。実際はやや長くなります(熱損失のため)。
ジュール熱は電気エネルギーが熱に変わったものでした。では、電気エネルギーは「どれくらいの速さで」消費されるのでしょうか。「60 W の電球と 10 W の LED、何が違う?」——電気が単位時間あたりにする仕事が電力です。
抵抗で発生したジュール熱 \(Q\)〔J〕は、抵抗に流れた電流がした仕事 \(W\)〔J〕と等しくなります。 これを電力量といいます。
電流がした仕事の仕事率(単位時間あたりの仕事)を電力といいます。 電力は電力量を時間でわることで求められます。
電力の単位はワット(記号 W)です。1 W = 1 J/s(毎秒1ジュールの仕事)。
条件:\(V = 100\) V、\(I = 2.0\) A、\(t = 30\) 分 \(= 1800\) s
消費電力:\(P = VI = 100 \times 2.0 = 200\) W
$$ W = Pt = 200 \times 1800 = 3.6 \times 10^5 \text{ J} = 360 \text{ kJ} $$答え:\(W = 360\) kJ(= 0.10 kWh)
電気器具に表示されている「100 V ─ 60 W」などは、100 V で使用したとき60 W の電力を消費するという意味です。 消費電力が大きいほど、同じ時間あたりのエネルギー消費(発熱・発光など)が大きくなります。
電力は電気エネルギーの時間変化率です。
$$ P = \frac{dW}{dt} = VI $$
消費電力量(電気エネルギー)は電力の時間積分で求められます。
$$ W = \int_0^t P\,dt = \int_0^t VI\,dt $$
電流や電圧が時間変化する場合(例:コンデンサーの充放電)にはこの積分が必要になります。
電力と電力量の関係がわかりました。物理ではジュール(J)を使いますが、日常の電気料金では別の単位が使われています。「電気代の『kWh』って何?」——身近な電気消費量と結びつけて理解しましょう。
電力量の単位にはジュール(J)のほか、ワット時(記号 Wh)やキロワット時(記号 kWh)が用いられます。
家庭で使う電気は電力量計で測定されており、消費した電力量に応じて電気料金を支払います。
| 電気器具 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| LED電球(60W形相当) | 約 7〜10 W |
| テレビ(32型液晶) | 約 40〜60 W |
| 冷蔵庫 | 約 100〜300 W |
| エアコン(冷房) | 約 500〜2000 W |
| 電子レンジ | 約 500〜1500 W |
| ドライヤー | 約 600〜1200 W |
| IH調理器 | 約 1000〜3000 W |
下のシミュレーションで、家電の組み合わせと使用時間から電気代を計算してみよう。
60W形相当の白熱電球(消費電力 60 W)と LED電球(消費電力 約 8 W)を1日8時間、1年間使うと、 白熱電球の電力量は 60 × 8 × 365 = 175.2 kWh、LED は 8 × 8 × 365 = 23.4 kWh。 電気料金を 30 円/kWh とすると、年間の差は約 4500 円。LED の方が圧倒的に経済的です。
家庭のブレーカーは一般に 20 A の制限があります。100 V の回路で使える最大電力は \(P = VI = 100 \times 20 = 2000\) W です。消費電力の大きい器具を同時に使うと 合計電流が 20 A を超え、安全のためブレーカーが自動的に切れます。
大学入試で頻出のテーマと解法のポイントを整理しよう。
直列回路:電流 \(I\) が共通 → \(P = I^2 R\) が便利。抵抗が大きい方が消費電力大。
並列回路:電圧 \(V\) が共通 → \(P = V^2/R\) が便利。抵抗が小さい方が消費電力大。
1 kWh = 1000 W × 3600 s = 3.6 × 10⁶ J
家庭の電気料金は kWh 単位。100 W の電球を 10 時間 → 1 kWh。