共通テスト物理「第1問」は、波動・光学・力学・熱力学・電磁気の各分野から独立した小問が5題出題される形式です。1問あたりの配点が高く、基本法則の正確な適用が合否を分けます。
2つの波源が同位相で振動しているとき、ある点での2つの波の山と山(または谷と谷)が重なれば強め合う。これは2つの波が「同じタイミング」で到着することと同じ。経路差が波長の整数倍なら、位相のズレがちょうど \(2\pi\) の整数倍になり、常に強め合う。
2つの波源 S₁, S₂ が同位相・同振幅・同波長 \(\lambda\) で円形波を出している。水面上の点 P での2つの波の重ね合わせを考える。
S₁ から P までの距離を \(l_1\)、S₂ から P までの距離を \(l_2\) とする。波源が同位相なので、P に到達した時点での位相差は経路差 \(|l_1 - l_2|\) だけで決まる。
強め合いの条件(山と山、谷と谷が重なる):
$$|l_1 - l_2| = m\lambda \quad (m = 0, 1, 2, \ldots)$$これは「経路差が波長の整数倍」を意味する。経路差が \(0\)(同じ距離)なら位相差もゼロなので当然強め合う。経路差が \(\lambda\) なら、一方の波が1周期分遅れるが、それはちょうど「次の山」にあたるのでやはり強め合う。
弱め合いの条件(山と谷が重なる)との比較:
$$|l_1 - l_2| = \left(m + \frac{1}{2}\right)\lambda \quad (m = 0, 1, 2, \ldots)$$数値例:波長 λ = 2.0 cm の水面波で、2つの波源からの距離の差が 6.0 cm なら、6.0 ÷ 2.0 = 3.0(整数倍)なので強め合い。差が 5.0 cm なら 5.0 ÷ 2.0 = 2.5(半整数倍)で弱め合い。
もし2つの波源が逆位相(位相差 \(\pi\))で振動している場合、条件が入れ替わる:
波源の位相関係によって条件が変わる点に注意。本問では「同位相」と明記されているので、強め合いは整数倍。
② \((m + \frac{1}{2})\lambda\):これは弱め合いの条件。強め合いと弱め合いを取り違えたもの。
③ \(2m\lambda\):\(2m\) も整数なので形式的には正しく見えるが、\(m\) が整数なので \(2m\) は偶数のみを表す。奇数倍(\(\lambda, 3\lambda, \ldots\))も強め合いなのでこれは不十分。
④ \((2m+1)\lambda\):奇数倍のみ。\(m = 0\) の場合(同距離)が含まれず不適。
同位相の波源では、経路差が波長の整数倍で強め合い、半整数倍で弱め合う。「同位相か逆位相か」を必ず確認し、条件の符号を間違えないこと。共通テストでは波源の位相条件をさりげなく変えてくる出題がある。
凸レンズを通る光は屈折して像を結ぶ。焦点より遠い光源の場合、レンズを通った光は反対側で上下左右が反転した実像をつくる。レンズの一部を覆うと、集まる光の量が減るが、像全体はなくならない。なぜなら、レンズのどの部分を通る光も同じ点に集まるからだ。
図2(a)のように、矢印を組み合わせた形の光源を凸レンズの光軸上に配置し、焦点距離より遠い位置に置く。レンズから見て反対側のスクリーンに実像ができる。
凸レンズによる実像は倒立像である。光源の矢印は y 軸方向(上向き)に太い矢印、x 軸方向(右向き)に細い矢印がある。
レンズを通ると:
つまり上下も左右も反転する。観測者がレンズ側からスクリーンを見ると、矢印は上下左右ともに逆向きになる。
レンズの上半分(y > 0)を板で覆っても、レンズの下半分を通る光はまだスクリーン上の同じ像点に集まる。したがって像全体の形は変わらないが、集まる光の量が約半分に減るため、像全体が暗くなる。
像の一部が消えるわけではない。レンズのどの部分からも全ての像点に光が届くため、レンズの一部を覆っても像の形は保たれ、明るさだけが変わる。
光源の各点からは四方八方に光が出ており、レンズ全面に光が当たっている。レンズの上半分を覆うと、上半分を通るはずだった光線が遮断されるが、下半分を通る光線は依然として正しく屈折し、像点に集まる。
ポイントは「レンズの上半分を通る光 → 像の上半分」ではないということ。レンズのあらゆる部分を通る光が、像の全体に寄与している。だから一部を覆っても像の形は変わらず、光量が減って暗くなるだけ。
① 像の y > 0 の部分が見えなくなった:レンズの上半分を覆うと像の上部が消えると考えた誤り。実際にはレンズの各部分は像全体に寄与する。
② 像の y < 0 の部分が見えなくなった:倒立だから上下が入れ替わると考え、覆った側と反対の部分が消えると考えた誤り。やはり像の一部だけが消えることはない。
④ 変化がなかった:光量が減っている以上、「何も変化なし」は不正確。明るさは確実に低下する。
凸レンズの実像は倒立(上下左右反転)。レンズの一部を覆うと、像は消えずに全体が暗くなるだけ。これはレンズのどの部分を通る光も像全体に寄与しているため。ピンホールカメラのような「光線の1対1対応」とは根本的に異なる仕組みであることを理解しておく。
均一な円板の重心は中心 O にある。そこに質量 m の物体を点 Q に取り付けると、全体の重心は O から Q 側にずれる。この新しい重心の位置は「質量で加重平均した位置」で求まる。糸で吊るして静止するとき、吊り点の真下に重心があることが力のモーメントのつり合いの条件。
質量 \(M\) の均一な円板の外周の点 P で糸を付けてつるす。中心 O から鉛直下方に距離 \(d\) だけ離れた点 Q に質量 \(m\) の物体を取り付ける。
静止した状態で、直線 OQ と点 P の鉛直下方にある点を C とし、線分 OC の長さ \(x\) を求める。
円板の重心は中心 O にある(質量 \(M\))。物体の重心は点 Q にある(質量 \(m\))。全体の重心 C の位置は、O を原点とした「鉛直下向き」の座標系で:
$$x = \frac{M \cdot 0 + m \cdot d}{M + m} = \frac{md}{M + m}$$吊り点 P のまわりの力のモーメントを考える。静止しているとき、P の真下に全体の重心 C がある。
P まわりのモーメントのつり合い(P から鉛直線上の距離):
P の真下からの距離で考えると、O は C から \(x\) だけ上にある。Q は O から \(d\) だけ下なので C から \(d - x\) だけ下。
$$Mgx = mg(d - x)$$ $$Mx = md - mx$$ $$(M + m)x = md$$ $$x = \frac{md}{M + m}$$点 P で吊るされて静止しているとき、糸の張力は P を通る鉛直線上に作用する。この鉛直線を基準にモーメントを考える。
円板の重心 O は P の鉛直下方 R(円板の半径)の位置だが、直線 OQ 上で見ると、P から鉛直下方に O があり、さらに Q がある。
全体の重心が P の真下にあるとき、P を支点としたモーメントのつり合いが成り立つ。これは重心の定義そのものであり、方法1と同一の結果を与える。
① \(\frac{m}{M-m}d\):分母が \(M - m\) になっている。\(m \to M\) のとき \(x \to \infty\) となり物理的に不合理。
③ \(\frac{M}{M-m}d\):分子と分母が逆で、さらに分母に \(M - m\)。\(m = 0\) のとき \(x = \frac{M}{M}d = d\) となるが、物体がなければ重心は O のままなので矛盾。
④ \(\frac{M}{M+m}d\):分子が \(M\) になっている。\(m = 0\) のとき \(x = d\) となり不合理(物体がなければ \(x = 0\) のはず)。
2物体の重心は \(\displaystyle x_G = \frac{m_1 x_1 + m_2 x_2}{m_1 + m_2}\) で求まる。この「質量の加重平均」は力学の基本中の基本。答えの極限チェック(\(m \to 0\) で \(x \to 0\)、\(m \to \infty\) で \(x \to d\))で正答を確認できる。
理想気体の内部エネルギーは温度だけで決まる。p-V 図上の各状態の温度を比較するには、状態方程式 \(PV = nRT\) から「\(PV\) の値が大きいほど温度が高い」と読み取ればよい。A→B は定積で圧力増加(温度上昇)、B→C は断熱膨張(温度低下)、C→A は定圧圧縮(温度低下)。
理想気体が容器内に閉じ込められ、以下のサイクルを経る:
理想気体の内部エネルギー \(U\) は温度 \(T\) のみの関数(\(U = nC_vT\))なので、\(T\) の大小がそのまま \(U\) の大小になる。
状態方程式 \(PV = nRT\) より、温度は \(T = \frac{PV}{nR}\) に比例する。つまり \(PV\) の積が大きいほど温度が高い。
A と B の比較(定積 \(V_A = V_B\)):
p-V 図から \(P_B \gt P_A\) は明らか。同じ体積なので:
$$P_B V_B \gt P_A V_A \quad \Longrightarrow \quad T_B \gt T_A$$A と C の比較(定圧 \(P_A = P_C\)):
C → A は定圧変化で \(V_C \gt V_A\)(図から明らか)。同じ圧力なので:
$$P_C V_C \gt P_A V_A \quad \Longrightarrow \quad T_C \gt T_A$$B と C の比較:
B → C は断熱膨張である。断熱膨張では気体が外部に仕事をするが、熱の供給がないため内部エネルギーが減少する。したがって:
$$T_B \gt T_C$$以上をまとめると:
$$T_A \lt T_C \lt T_B \quad \Longrightarrow \quad U_A \lt U_C \lt U_B$$p-V 図からおおよその座標を読み取れる場合、\(PV\) を直接計算して比較できる。
例えば図から \(P_A = P_C = P_0\)、\(P_B = 4P_0\)、\(V_A = V_B = V_0\)、\(V_C = 4V_0\) と読み取れたとする(概数):
ただしこれでは \(T_B = T_C\) になってしまう。実際には断熱曲線 \(PV^\gamma = \text{const}\) の形状から、\(P_C V_C \lt P_B V_B\) となる(\(\gamma \gt 1\) のため断熱線は等温線より急降下する)。
具体的に \(\gamma = 5/3\)(単原子分子)で \(P_B V_B^{5/3} = P_C V_C^{5/3}\) から:
$$\frac{P_C}{P_B} = \left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{5/3}$$ $$P_C V_C = P_B V_B^{5/3} V_C^{-5/3} \cdot V_C = P_B V_B \left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{2/3} \lt P_B V_B$$したがって \(T_C \lt T_B\) が成立し、\(T_A \lt T_C \lt T_B\) が確認できる。
熱力学第一法則:\(\Delta U = Q - W\)
断熱変化では \(Q = 0\) なので \(\Delta U = -W\)。膨張(\(W \gt 0\))のとき \(\Delta U \lt 0\)、つまり内部エネルギーが減少し、温度が下がる。
直感的には「気体が仕事をするのに、外から熱をもらえないので、自分の持つエネルギー(温度)を使って仕事をする」ためである。
理想気体の内部エネルギー \(U\) は温度のみの関数。p-V 図上で温度を比較するには \(PV\) の積を比べる。断熱膨張は温度を下げ、断熱圧縮は温度を上げる。等温線(\(PV = \text{const}\))と断熱線(\(PV^\gamma = \text{const}\))のカーブの違いを意識すること。
2本の導線に同じ方向に電流を流すと、互いに引き合う。これは一方の電流がつくる磁場の中に他方の電流があり、その電流が磁場から力を受けるため。右ねじの法則とフレミングの左手の法則を順に適用する。
図5のように、2本の平行な導線(導線1, 導線2)が間隔 \(r\) で配置され、同じ上向きに電流 \(I_1\), \(I_2\) が流れている。
右ねじの法則を使う。電流 \(I_1\) が上向き(紙面奥向き = +z 方向)に流れている。右ねじを電流の向きに回すと、磁力線は電流を中心に反時計回り(上から見て)に回る。
導線2は導線1の右側にあるので、導線2の位置での磁場は紙面に垂直で奥向き(\(-y\) 方向)。図5の選択肢では方向 (a) に相当する。
フレミングの左手の法則(または \(\vec{F} = I\vec{l} \times \vec{B}\))を使う。
つまり導線1に引き寄せられる方向。図5の選択肢では方向 (b) に相当する(導線1の側)。
導線1が導線2の位置につくる磁場の大きさは:
$$B_1 = \frac{\mu_0 I_1}{2\pi r}$$この磁場中で電流 \(I_2\) が流れている長さ \(l\) の導線が受ける力は:
$$F = I_2 l B_1 = I_2 l \cdot \frac{\mu_0 I_1}{2\pi r} = \frac{\mu_0 I_1 I_2}{2\pi r} l$$この結果は一般法則として覚えておくと便利:
直感的な覚え方:同方向の電流は「2人が同じ方向に走っている」ようなもので、互いに近づこうとする。
実際、アンペアの定義(2019年改定前)は「1 m の間隔で平行に配置された無限長の導体に同じ電流を流したとき、1 m あたり \(2 \times 10^{-7}\) N の力を生じさせる電流」として 1 A を定義していた。
力の大きさの式で \(\frac{1}{r}\) か \(\frac{1}{r^2}\) かで迷いやすい。整理すると:
クーロンの法則(\(\frac{1}{r^2}\))や万有引力(\(\frac{1}{r^2}\))と混同しないこと。直線電流の磁場は「点」ではなく「線」から出ているため、距離の依存性が異なる。
平行電流間の力は3ステップで求まる:① 右ねじの法則で磁場の向きを決定、② フレミング左手の法則(または外積)で力の向きを決定、③ \(F = BIl\) で大きさを計算。同方向電流は引力、逆方向は斥力。力は距離 \(r\) に反比例(\(r^2\) ではない)。