大きさが同じで符号が逆の二つの点電荷(電気双極子)が作る電場と等電位線から始まり、導体紙を用いた等電位線の測定実験に発展する問題です。電場と電位の関係を正しく理解しているかが問われます。
正負の点電荷が作る電位の特徴:
電荷 $+Q$ が位置 $\vec{r}_+$ に、$-Q$ が位置 $\vec{r}_-$ にあるとき、点 $P$ での電位は
$$V(P) = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac{+Q}{r_+} + \frac{-Q}{r_-}\right) = \frac{Q}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac{1}{r_+} - \frac{1}{r_-}\right)$$ここで $r_+$、$r_-$ はそれぞれ $+Q$、$-Q$ から点 $P$ までの距離です。
等電位線のパターンを判断するポイント:
選択肢の検討:
同じ大きさの正電荷が2つある場合:
逆符号の場合は中間点で $V=0$ の直線が現れ、正負それぞれの側に閉じた等電位線ができる点が大きな違いです。
電気双極子の等電位線の特徴:①中央の垂直二等分線上で $V=0$(直線状の等電位線)、②各電荷の近くでほぼ同心円、③正電荷側は $V>0$・負電荷側は $V<0$。これは同符号の電荷のパターン(中間点で $V\neq 0$)と明確に異なる。
各文の真偽を判定します:
(a) 「電気力線は、電場(電界)が強いところほど密である」— 正しい ✓
電気力線の定義そのもの。単位面積あたりの電気力線の本数が電場の大きさに比例するように描くのが約束です。
(b) 「すべての隣り合う等電位線の間の距離は等しい」— 誤り ✗
等電位線は「一定の電位差ごと」に描かれますが、電場の強い場所(電荷の近く)では等電位線が密になり、電場の弱い場所では疎になります。間隔は一定ではありません。
電場の大きさと等電位線の間隔の関係:
$$E = \left|\frac{\Delta V}{\Delta d}\right|$$$\Delta V$(電位差)が一定でも、$E$ が大きければ $\Delta d$(間隔)は小さくなります。
(c) 「等電位線と電気力線は直交する」— 正しい ✓
電場ベクトルは電位の勾配方向(等電位線に垂直)を向きます。もし電場が等電位線に平行な成分を持つと、等電位線に沿って移動するだけで仕事が生じ、「等電位」に矛盾します。
平行板コンデンサー内部のような一様電場では $E$ が至る所で一定なので
$$\Delta d = \frac{\Delta V}{E} = \text{一定}$$このときに限り等電位線の間隔は等しくなります。しかし「すべての」場合に成り立つわけではないので (b) は誤りです。
電場ベクトルは電位の負の勾配で定義されます:
$$\vec{E} = -\nabla V = -\left(\frac{\partial V}{\partial x}\hat{x} + \frac{\partial V}{\partial y}\hat{y}\right)$$等電位線上では $V = \text{const}$ なので、等電位線に沿った方向 $\vec{dl}$ では
$$dV = \nabla V \cdot \vec{dl} = 0$$これは $\nabla V$(つまり $-\vec{E}$)が $\vec{dl}$ に垂直であることを意味します。したがって電場ベクトル(電気力線の接線方向)は等電位線に常に垂直です。
等電位線と電気力線の3つの基本関係:①電気力線は電場が強い所ほど密、②等電位線の間隔は電場が弱い所ほど広い(一定ではない)、③両者は常に直交する。「すべての場合に等間隔」と言い切っているものは誤り。一様電場の特殊な場合と混同しないこと。
導体紙の辺の境界条件から推論します。
ステップ1:等電位線が辺に垂直(問題文の条件)
図2で導体紙の辺(上下の長辺)の近くでは、等電位線が辺に対して垂直に描かれています。
ステップ2:電場の向き(ア)
電場は等電位線に垂直です。等電位線が辺に垂直ということは
$$\vec{E} \perp \text{等電位線} \quad \Rightarrow \quad \vec{E} \parallel \text{辺}$$したがって ア=平行。
ステップ3:電流と電場の関係(イ)
導体紙はオーム性の物質なので、オームの法則のミクロ的な表現により
$$\vec{J} = \sigma\vec{E}$$電流密度 $\vec{J}$ は電場 $\vec{E}$ と同じ向きです。したがって イ=同じ。
ステップ4:電流の向き(ウ)
電場が辺に平行(ア)で、電流は電場と同じ向き(イ)なので
$$\text{辺の近くの電流は辺に}\textbf{平行}$$したがって ウ=平行。
これは物理的にも当然です。導体紙の辺は絶縁体の境界なので、電流は辺を突き抜けて外に出ることができず、辺に平行に流れるしかありません。
導体紙の辺(上下の辺)は絶縁体との境界です。電流は辺を横切って外へ出ることができないため、辺に垂直な電流成分はゼロです:
$$J_\perp = 0 \quad (\text{辺に垂直な成分})$$$\vec{J} = \sigma\vec{E}$ より $E_\perp = 0$。つまり電場は辺に垂直な成分を持たず、辺に平行です。
電場が辺に平行 → 等電位線は電場に垂直 → 等電位線は辺に垂直。
これが問題文で述べられている「等電位線は辺に対して垂直」の物理的理由です。
この問題は「等電位線⊥電場」「電場∥電流(オームの法則)」の2つの基本関係を連鎖的に使う。①等電位線が辺に垂直 → ②電場は辺に平行 → ③電流も辺に平行。絶縁体の境界では電流の垂直成分がゼロという物理的条件がすべての出発点。
電場の大きさはグラフの傾きから求めます。
電場と電位の関係:
$$E = -\frac{dV}{dx} \fallingdotseq \left|\frac{\Delta V}{\Delta x}\right|$$グラフからの読み取り:
$x = 0$ 付近でできるだけ広い範囲をとって傾きを正確に読みます:
| 読み取り範囲 | $\Delta V$〔mV〕 | $\Delta x$〔mm〕 | 傾き〔mV/mm〕 |
|---|---|---|---|
| $x = -50 \sim +50$ | $\fallingdotseq 0.7$ | $100$ | $7 \times 10^{-3}$ |
単位変換:
$$E = \left|\frac{\Delta V}{\Delta x}\right| = \frac{7 \times 10^{-3} \text{ mV}}{1 \text{ mm}} = \frac{7 \times 10^{-3} \times 10^{-3} \text{ V}}{1 \times 10^{-3} \text{ m}} = 7 \times 10^{-3} \text{ V/m}$$ここで重要なのは単位変換です:
したがって mV/mm の値がそのまま V/m の値 になります。
グラフから傾きを読む際のポイント:
より狭い範囲で確認してみます:
$x = -25$ mm で $V \fallingdotseq -0.30$ mV、$x = +25$ mm で $V \fallingdotseq +0.30$ mV とすると
$$E = \frac{0.30 - (-0.30)}{25 - (-25)} = \frac{0.60}{50} = 0.012 \text{ mV/mm} = 0.012 \text{ V/m} \fallingdotseq 1 \times 10^{-2} \text{ V/m}$$これは選択肢にないので、読み取り範囲を $x = -50 \sim +50$ に広げた方が適切です。実際のグラフでは $x = 0$ 付近の傾きがやや緩やかで、$\fallingdotseq 7 \times 10^{-3}$ V/m が最も近い値になります。
グラフの読み取りには必ず誤差があるため、最も近い選択肢を選ぶことが重要です。
$E = -dV/dx$ のグラフ的解釈:$V$-$x$ グラフの傾きが電場の大きさ。単位変換 mV/mm = V/m を覚えておくと計算が速い。グラフの読み取りは広めの範囲をとって精度を上げ、最も近い選択肢を選ぶ。
抵抗率の定義から出発します。
導体のミクロなオームの法則:
$$\vec{J} = \frac{1}{\rho}\vec{E} \quad \Longleftrightarrow \quad \vec{E} = \rho\vec{J}$$ここで
電流密度 $J$ を $I$ と $S$ で表す:
断面積 $S$ の断面を電流 $I$ が一様に通るとき
$$J = \frac{I}{S}$$抵抗率 $\rho$ を求める:
$$E = \rho J = \rho \cdot \frac{I}{S}$$ $$\therefore \quad \rho = \frac{ES}{I} = \frac{SE}{I}$$マクロなオームの法則 $V = IR$ と抵抗の公式 $R = \rho \dfrac{l}{S}$ から考えます。
小さい幅 $\Delta x$ の範囲に注目すると:
オームの法則 $\Delta V = I \cdot \Delta R$ より:
$$E \cdot \Delta x = I \cdot \rho \frac{\Delta x}{S}$$$\Delta x$ を両辺から消去して:
$$E = \frac{I\rho}{S} \quad \Rightarrow \quad \rho = \frac{SE}{I}$$同じ結果が得られます。
$\rho = SE/I$ の単位を確認します:
$$[\rho] = \frac{[\text{m}^2] \cdot [\text{V/m}]}{[\text{A}]} = \frac{\text{V} \cdot \text{m}}{\text{A}} = \Omega \cdot \text{m}$$これは抵抗率の正しい単位 Ω・m に一致します。
次元解析は選択肢を絞るのにも有効です:
次元が合うのは $SE/I$ のみなので、物理的意味を考えなくても正解が選べます。
抵抗率の定義は2通りの見方がある:①ミクロ $E = \rho J$(電場と電流密度の比例関係)、②マクロ $R = \rho l/S$(抵抗と形状の関係)。どちらからでも $\rho = SE/I$ が導ける。次元解析 $[\rho] = \Omega \cdot \text{m}$ で選択肢を絞るのも有効な解法。