空気中を伝わる音の速さを3つの異なる方法で測定する実験についての総合問題です。音速・波長・振動数の関係を正確に使えるかが問われます。
温度が高いと空気分子の熱運動が活発になり、音(疎密波)の伝搬が速くなる。振動数は音源で決まるので変わらない。\(v = f\lambda\) で \(f\) が一定なら、\(v\) が大きくなれば \(\lambda\) も大きくなる。
空気中の音速は気温に依存し、次の近似式で表される:
$$v = 331.5 + 0.6\,T \quad [\text{m/s}]$$ここで \(T\) は気温〔\(^\circ\mathrm{C}\)〕。0\(^\circ\mathrm{C}\) では \(v = 331.5\) m/s、30\(^\circ\mathrm{C}\) では:
$$v_{30} = 331.5 + 0.6 \times 30 = 349.5 \text{ m/s}$$したがって、30\(^\circ\mathrm{C}\) のときの方が音速は大きい。
次に波長について考える。音の振動数 \(f\) は音源が決める量であり、気温によって変わらない。\(v = f\lambda\) より:
$$\lambda = \frac{v}{f}$$\(f\) が同じで \(v\) が大きくなれば、\(\lambda\) も大きくなる。よって 30\(^\circ\mathrm{C}\) のときの方が波長は長い。
音は空気の疎密波として伝わる。気温が高いと空気分子の熱運動が活発になり、分子間の力の伝達が速くなるため、音速が増加する。
理想気体の音速は \(v = \sqrt{\gamma R T / M}\) で与えられ、絶対温度 \(T\) の平方根に比例する。常温付近ではこれを線形近似したのが \(v \fallingdotseq 331.5 + 0.6\,T\) である。
振動数は音源で決まるので媒質の温度が変わっても変化しない。\(v = f\lambda\) で \(f\) 一定なら、音速と波長は比例して増減する。
140 m 離れた地点で太鼓の音が届くまでの時間を測り、\(v = d/t\) で音速を求める。0.42 秒で 140 m 進むから、\(v = 140/0.42 \fallingdotseq 333\) m/s。有効数字2桁で \(3.3 \times 10^2\) m/s。
Aさんが太鼓をたたき、140 m離れたBさんが音を聞いてストップウォッチを止める。測定時間は 0.42 秒。
音速の計算:
$$v = \frac{d}{t} = \frac{140}{0.42}$$割り算を実行する:
$$v = \frac{140}{0.42} = \frac{14000}{42} = 333.3\cdots \text{ m/s}$$有効数字2桁で表すと:
$$v = 3.3 \times 10^{2} \text{ m/s}$$よって、空欄 \(\fbox{11}\) = 3、\(\fbox{12}\) = 3、\(\fbox{13}\) = 2 である。
距離 140 m は有効数字2桁または3桁(末尾の0が有効かは文脈による)。時間 0.42 s は有効数字2桁。
割り算の結果の有効数字は、元のデータのうち最も桁数の少ないものに合わせる。ここでは2桁。
$$333.3\cdots \rightarrow 3.3 \times 10^2 \text{ m/s(有効数字2桁)}$$指数表記 \(a.b \times 10^n\) では、\(1 \leq a.b < 10\) とする。333 = 3.33 × 102 → 有効数字2桁で 3.3 × 102。
有効数字の処理:掛け算・割り算の結果は最も少ない有効数字の桁数に合わせる。指数表記の指数部分 \(10^n\) の \(n\) は整数の桁数から1を引いた値。
\(v = d/t\) で測定値が教科書値より小さい → \(t\) が教科書から計算される値より大きい(時間を長く測りすぎた)ということ。ストップウォッチの開始が早すぎる or 停止が遅すぎると、時間が実際より長くなる。
測定値が教科書値より小さいということは、\(v = d/t\) で \(t\) が実際より大きい(長く測りすぎた)ことを意味する。
表1の各操作を分析する:
Bさん(ストップウォッチ操作者)の誤差要因:
$$v_{\text{測定}} = \frac{d}{t_{\text{測定}}} < v_{\text{真}} = \frac{d}{t_{\text{真}}}$$ $$\therefore\; t_{\text{測定}} > t_{\text{真}}$$スタートが早すぎる場合: (b) Bさんは太鼓をたたくのを見てストップウォッチをスタートするが、光は瞬時に届くので、太鼓をたたくと同時にスタートすることになる。これは音が出発する瞬間からの計測であり、正しい操作に近い。
ストップが遅すぎる場合: (d) 音が届いた後にストップウォッチを止める。人間の反応時間の遅れにより、音が届いてからボタンを押すまでに時間がかかり、\(t_{\text{測定}} > t_{\text{真}}\) となる。
つまり、スタートが早すぎる or ストップが遅すぎると測定時間が長くなり、音速が小さく出る。
ここで問題を整理する:Bさんが遠くにいてAさんの太鼓をたたく動作を見てスタートし、音が聞こえてストップする。(b) のように「太鼓をたたくと同時にスタート」は光の速さで見えるので正しいタイミング。(d) のように「音が届いた後にストップ」は反応遅延で \(t\) が長くなる。
選択肢を確認すると、(b)と(d) の組合せが答えとなる。
\(t_{\text{測定}} > t_{\text{真}}\) が条件。各操作で測定時間がどう変化するか確認する。
ただし実際の問題では、Bさんは「太鼓をたたくのを見て」スタートする。光は瞬時に届くので、(b)「太鼓をたたくと同時にスタート」が実際の操作。問題は「どの操作の組合せが測定値を小さくする原因か」であり、(b)と(d)の組合せ(⑤)が正解。
測定値が小さい → \(t\) が大きい → スタートが早すぎる or ストップが遅すぎる。光は瞬時に届くので、Bさんが太鼓を「見て」スタートするタイミングと、音を「聞いて」ストップするタイミングの反応遅延を考える。
2台のメトロノーム(毎分300回 = 5 Hz)を同期させて1台をAが持ち、遠ざかっていく。70 m離れると音が再び同時に聞こえる → 音の遅延がちょうど1周期分(0.2秒)になった。\(v = d/T = 70/0.2 = 350\) m/s。
2台のメトロノームは毎分300回のビートを打つ。同じ場所で同期させると同時に聞こえる。
メトロノームの周期:
$$T = \frac{60}{300} = 0.2 \text{ s}$$Aさんが1台を持ってゆっくり離れていく。距離が大きくなると、Aのメトロノームの音がBに届くまでの遅延時間が増え、2つの音がずれて聞こえる(うなり)。
Aさんが 70 m 離れたとき、再び2つの音が同時に聞こえた。これは音の遅延がちょうど1周期分になったことを意味する:
$$\frac{d}{v} = T$$ $$v = \frac{d}{T} = \frac{70}{0.2} = 350 \text{ m/s}$$メトロノームは等間隔でビートを刻む。Bの手元のメトロノームが「ピッ」と鳴る瞬間を基準とする。
Aのメトロノームから出た音がBに届くまでに \(\Delta t = d/v\) の遅延がある。
つまり遅延が周期の整数倍になるたびに同期する。最初に再同期するのは \(\Delta t = T\) のとき。
うなりが消える条件は音の遅延 = 周期の整数倍。最初に同期する距離から \(v = d/T\) で音速が求まる。この方法は太鼓法より高精度(人間の反応遅延の影響が小さい)。
気柱共鳴では、隣り合う共鳴位置の差は半波長に等しい。共鳴位置の差が 34 cm なら半波長 = 34 cm → 波長 = 68 cm = 0.68 m。500 Hz の音叉を使うので \(v = f\lambda = 500 \times 0.68 = 340\) m/s。
気柱共鳴管(閉管)では、開口端が腹、水面(閉端)が節となる定常波ができる。隣り合う共鳴位置の気柱長の差は半波長に等しい。
第1共鳴と第2共鳴の気柱長の差が 34 cm なので:
$$L_2 - L_1 = \frac{\lambda}{2} = 34 \text{ cm}$$ $$\lambda = 2 \times 34 = 68 \text{ cm} = 0.68 \text{ m}$$500 Hz の音叉を使っているので、音速は:
$$v = f\lambda = 500 \times 0.68 = 340 \text{ m/s}$$閉管(一端閉・一端開)の共鳴条件は、開口端補正 \(\Delta\) を含めると:
$$L_n + \Delta = \frac{(2n-1)\lambda}{4} \quad (n = 1, 2, 3, \ldots)$$隣り合う共鳴位置の差をとると開口端補正 \(\Delta\) が消える:
$$L_2 - L_1 = \frac{3\lambda}{4} - \frac{\lambda}{4} = \frac{\lambda}{2}$$これが気柱共鳴法の大きな利点で、開口端補正の値を知らなくても正確に波長が求まる。
気柱共鳴で隣り合う共鳴位置の差 = \(\lambda/2\)。この方法は開口端補正に影響されないため、最も精度の高い音速測定法の一つ。
超音波は可聴音より振動数が大きい。\(\lambda = v/f\) で \(f\) が大きいほど \(\lambda\) は短くなる。34000 Hz の超音波の波長は、340 Hz の可聴音の 1/100。可聴音の波長が約 1 m なので、超音波は約 1 cm。
ヒトの可聴域はおよそ 20 Hz〜20000 Hz。それより振動数が大きい音波を超音波という。超音波の波長は可聴音より短い。
34000 Hz の超音波の波長を求める。音速を 340 m/s とすると:
$$\lambda = \frac{v}{f} = \frac{340}{34000} = 0.01 \text{ m} = 1 \text{ cm}$$比較として、可聴音の下限(20 Hz)の波長は:
$$\lambda_{20} = \frac{340}{20} = 17 \text{ m}$$可聴音の上限(20000 Hz)の波長は:
$$\lambda_{20000} = \frac{340}{20000} = 0.017 \text{ m} = 1.7 \text{ cm}$$超音波(34000 Hz)の波長 1 cm は、可聴音の波長(1.7 cm〜17 m)より短い。
超音波は波長が短いため回折しにくく、直進性が高い。これを利用した技術に以下がある:
\(v = f\lambda\) より、振動数が大きいほど波長は短い(音速一定の場合)。超音波は波長が短いため回折しにくく、直進性が高い。