本問はA(気体の状態変化・問1〜3)とB(波の干渉・問4〜6)の二部構成です。
状態の確認:$n$ mol の理想気体について、状態方程式 $pV = nRT$ より状態 A の温度は
$$2p \cdot 2V = nRT_A \quad \Rightarrow \quad T_A = \frac{4pV}{nR}$$A→B(定積変化):体積一定なので気体のした仕事は
$$W_{A \to B} = 0$$B→C(定圧変化):圧力 $p$ 一定で体積が $2V \to V$ に変化するので
$$W_{B \to C} = p(V - 2V) = -pV$$$pV$ を $T_A$ で表す:状態方程式から $4pV = nRT_A$ なので
$$pV = \frac{nRT_A}{4}$$したがって、全過程で気体が外部にした仕事は
$$W = W_{A \to B} + W_{B \to C} = 0 + \left(-\frac{nRT_A}{4}\right) = -\frac{1}{4}nRT_A$$$W \lt 0$ は気体が外部から仕事をされたことを意味します。B→Cで体積が減少しているので、外部から圧縮されたということです。これは日常の「ピストンを押し込む」操作に対応します。
p-V図では、グラフの下側の面積が仕事の大きさを表し、体積が減る方向に進むと仕事は負になります。
p-V図の仕事の正負は「体積が増える=正、減る=負」。定積変化では体積変化がないので仕事はゼロ。$pV$ を $T_A$ で書き換えるために状態方程式を使うのが定番テクニック。
各状態の温度を求める:理想気体の状態方程式 $pV = nRT$ より
| 状態 | 圧力 | 体積 | 温度 |
|---|---|---|---|
| A | $2p$ | $2V$ | $T_A = \frac{4pV}{nR}$ |
| B | $p$ | $2V$ | $T_B = \frac{2pV}{nR} = \frac{T_A}{2}$ |
| C | $p$ | $V$ | $T_C = \frac{pV}{nR} = \frac{T_A}{4}$ |
グラフの形状判定:
定圧変化では $T = \frac{p}{nR} \cdot V$ なので、$T$ は $V$ の1次関数であり、しかも切片が0(原点を通る)です。この傾き $\frac{p}{nR}$ は圧力によって決まります。
一方、定積変化では $T = \frac{V}{nR} \cdot p$ なので T-p グラフでは原点を通る直線ですが、T-V グラフでは $V$ 一定の垂直線になります。
T-Vグラフの問題では、まず各状態点の座標を具体的に求める。次に変化の種類(定積・定圧・等温)からグラフの形状を判定する。定圧変化は $T \propto V$(原点を通る直線)、定積変化は垂直線、等温変化は水平線。
内部エネルギーの比較:内部エネルギー $U$ は温度のみの関数(状態量)なので、始状態 C と終状態 A が同じならば経路によらず
$$\Delta U_I = \Delta U_{II}$$仕事の比較:p-V 図で、C→A に至る経路の下側の面積が仕事 $W$ です。
したがって $W_{II} \gt W_I$(過程 II のほうが面積が大きい)
吸収した熱量の比較:熱力学第一法則 $Q = \Delta U + W$ より
$$Q_{II} - Q_I = (W_{II} - W_I) = \frac{3}{2}pV - pV = \frac{1}{2}pV \gt 0$$よって $Q_{II} \gt Q_I$
$pV = \frac{nRT_A}{4}$ を用いると
$\Delta U_I = \Delta U_{II} = nC_v(T_A - T_A/4) = \frac{3}{4}nC_v T_A$(単原子分子なら $C_v = \frac{3}{2}R$)
数値で確認すると $W_{II} = \frac{3nRT_A}{8} \gt W_I = \frac{nRT_A}{4} = \frac{2nRT_A}{8}$ で確かに $W_{II} \gt W_I$。
熱力学で最も重要な概念の一つ。
$\Delta U$ が経路によらないことは、熱力学第一法則 $Q = \Delta U + W$ から「$Q$ と $W$ は経路によって変わるが、$\Delta U = Q - W$ は常に同じ」と理解できます。
p-V 図の面積比較では、直線経路(C→A)は折れ線経路(C→B→A)よりも上側を通るため面積が大きい。内部エネルギーは状態量なので経路に依存しないが、仕事と熱量は経路量なので依存する。$Q = \Delta U + W$ から $Q$ の大小も自動的に決まる。
周期の読み取り:図4のグラフから、山→山(または谷→谷)の間隔を読むと
$$T = 0.2\;\text{s}$$振動数の計算:
$$f = \frac{1}{T} = \frac{1}{0.2} = 5\;\text{Hz}$$振幅の読み取り:グラフの最大値から
$$a_{PA} = 2\;\text{cm}$$$y_{PA} = a_{PA}\sin\{2\pi f(t - t_{PA})\}$ において
$t_{PA}$ は「波源 A から点 P まで波が到達するのにかかる時間」であり、$t_{PA} = \frac{AP}{v}$($v$ は波の速さ)です。
波形グラフの読み取りでは、周期は「同じ位相の点の時間間隔」、振幅は「中心からの最大変位」。$f = 1/T$ の関係は確実に押さえておく。共通テストではグラフの目盛りを正確に読む力が問われる。
重ね合わせの原理:
$$y_P = y_{PA} + y_{PB}$$したがって
$$y_{PB} = y_P - y_{PA}$$具体的な操作:図5($y_P$)の各時刻の値から、図4($y_{PA}$)の値を引き算すれば $y_{PB}$ のグラフが得られます。
$y_{PA} = 2\sin(2\pi ft - \alpha)$、$y_{PB} = 1\sin(2\pi ft - \beta)$ とおくと、合成波は
$$y_P = 2\sin(2\pi ft - \alpha) + 1\sin(2\pi ft - \beta)$$位相差 $\delta = \beta - \alpha$ のとき、合成波の振幅は
$$A = \sqrt{2^2 + 1^2 + 2 \cdot 2 \cdot 1 \cos\delta}$$図5の合成波の振幅を読み取り、上式と一致する $\delta$ を求めることで検証できます。$\delta = \pi/2$ のとき $A = \sqrt{4 + 1 + 0} = \sqrt{5} \fallingdotseq 2.24\;\text{cm}$ となります。
重ね合わせの原理は「各波の変位を各時刻で足し合わせる」こと。逆に $y_{PB} = y_P - y_{PA}$ と引き算すれば個別の波形を求められる。共通テストでは、グラフの各時刻で地道に引き算して選択肢と比較するのが確実。
同位相2波源の強め合い条件:波源 A, B が同位相で振動しているとき、点 P で強め合う条件は
到達時間の差から考える:波が同位相で到達するためには、到達時間の差が周期の整数倍
$$|t_{PA} - t_{PB}| = nT = \frac{n}{f} \quad (n = 0, 1, 2, \ldots)$$距離差から考える:到達時間は距離を波の速さで割ったものなので $t_{PA} = \frac{AP}{v}$、$t_{PB} = \frac{BP}{v}$。したがって
$$|t_{PA} - t_{PB}| = \frac{|AP - BP|}{v}$$これが $\frac{n}{f}$ に等しいので
$$\frac{|AP - BP|}{v} = \frac{n}{f} \quad \Rightarrow \quad |AP - BP| = \frac{nv}{f} = n\lambda$$問題の数値:$f = 8\;\text{Hz}$、$v = 4.0\;\text{m/s}$ のとき
$$\lambda = \frac{v}{f} = \frac{4.0}{8} = 0.50\;\text{m}$$逆に弱め合い(打ち消し合い)の条件は、位相差が半波長分ずれることなので
$$|AP - BP| = \left(n + \frac{1}{2}\right)\lambda \quad (n = 0, 1, 2, \ldots)$$到達時間の差では
$$|t_{PA} - t_{PB}| = \frac{2n + 1}{2f}$$これは選択肢の「紛らわしい選択肢」として出題されやすいので、$n$ か $n + 1/2$ かを問題文の条件に合わせて選ぶことが重要。
点 P での2つの波の位相差 $\Delta\varphi$ は
$$\Delta\varphi = 2\pi f(t_{PA} - t_{PB}) = 2\pi f \cdot \frac{AP - BP}{v} = \frac{2\pi(AP - BP)}{\lambda}$$強め合い: $\Delta\varphi = 2n\pi$ → $|AP - BP| = n\lambda$
弱め合い: $\Delta\varphi = (2n+1)\pi$ → $|AP - BP| = (n + 1/2)\lambda$
この「位相差→条件式」の流れを理解しておくと、逆位相の波源や反射による位相反転がある場合にも対応できます。
干渉条件は「距離差 = 波長の整数倍(強め合い)」と「到達時間差 = 周期の整数倍」の2通りで表現できるが、本質は同じ。$\lambda = v/f$ で相互変換できることを確認しておく。共通テストでは両方の表現が選択肢に混在するので、片方だけ覚えていると迷う。
第3問は A(熱力学)と B(波動)の複合大問。A は状態方程式と p-V 図の面積が鍵、B は重ね合わせの原理と干渉条件が鍵。いずれもグラフの読み取りと基本公式の正確な適用が求められる。