物理基礎の幅広い分野から4問が出題される小問集合です。放射線の性質、力学的エネルギー保存則、うなり、定常波の基本を扱います。
放射線防護の3原則は「距離をとる」「遮蔽する」「時間を短くする」。放射線は原子核から放出されるα線(ヘリウム原子核)、β線(電子)、γ線(電磁波)に大別される。放射線そのものは「不安定な原子核」のことではなく、不安定な原子核が崩壊する際に放出されるものである。
各記述を検証します。
(a) 「放射線の影響は、放射線源から離れること、遮蔽物を置くこと、被ばく時間を少なくすることで、減少することができる。」
これは放射線防護の3原則(距離・遮蔽・時間)そのものであり、正しい。
$$\text{被ばく線量} \propto \frac{1}{r^2} \times t$$線源からの距離 \(r\) が2倍になれば被ばく線量は \(\frac{1}{4}\) に減少します。
(b) 「放射線は、原子核、電子、電磁波に分類されることがある。」
α線はヘリウム原子核 \({}^4_2\text{He}\)、β線は電子 \(e^-\)、γ線は電磁波です。この分類は正しい。
$$\alpha\text{線} = {}^4_2\text{He}, \quad \beta\text{線} = e^-, \quad \gamma\text{線} = \text{電磁波}$$(c) 「放射線とは、ウランやラジウムなどの不安定な原子核のことである。」
不安定な原子核は放射性同位体(放射性核種)であり、「放射線」ではありません。放射線は不安定な原子核が崩壊する際に放出されるものです。この記述は誤り。
(d) 「放射線のうち、中性子線はα線に比べて透過力が弱い。」
中性子線は電荷を持たないため物質との電磁的相互作用が弱く、透過力は非常に強い。α線は紙1枚で止まるほど透過力が弱い。よってこの記述は誤り。
$$\text{透過力:} \alpha\text{線} < \beta\text{線} < \gamma\text{線} < \text{中性子線}$$各放射線を遮蔽するために必要な材料は異なります。
中性子線の遮蔽に鉛が効きにくいのは、中性子が電気的に中性で、重い原子核との弾性散乱ではエネルギーをほとんど失わないためです。
「放射線」と「放射性物質」を混同しない。放射線は不安定な原子核から放出されるものであり、原子核そのものではない。透過力の順序 α < β < γ < 中性子 は必ず覚えること。
同じ質量・同じ初速で打ち出された物体は、斜面の角度に関係なく同じ高さまで上る。力学的エネルギー保存則では水平方向の情報は不要で、高さだけが位置エネルギーを決める。斜面が急でも緩やかでも、摩擦がなければ到達高さは同じ。
同じ質量 \(m\) の小物体A, B, Cを、水平な床から同じ速さ \(v_0\) で斜面上に打ち出します。斜面の角度はそれぞれ異なりますが、滑らかな斜面(摩擦なし)であるため、力学的エネルギー保存則を適用できます。
打ち出し点を基準とした力学的エネルギー保存則より:
$$\frac{1}{2}mv_0^2 = mgh$$最高点では速度が0になるため、運動エネルギーがすべて位置エネルギーに変換されます。両辺の \(m\) を消去すると:
$$h = \frac{v_0^2}{2g}$$この式には斜面の角度が含まれていないことが重要です。到達高さ \(h\) は初速 \(v_0\) と重力加速度 \(g\) のみで決まります。
$$h_A = h_B = h_C = \frac{v_0^2}{2g}$$到達高さは同じですが、斜面に沿った移動距離は異なります。
斜面方向の移動距離を \(L\) とすると \(h = L\sin\theta\) より:
$$L = \frac{h}{\sin\theta} = \frac{v_0^2}{2g\sin\theta}$$角度 \(\theta\) が小さいほど斜面上の移動距離 \(L\) は大きくなりますが、高さ \(h\) は変わりません。
また、最高点に到達するまでの時間も角度によって異なります。斜面方向の減速度は \(g\sin\theta\) なので:
$$t = \frac{v_0}{g\sin\theta}$$角度が小さいほど時間がかかりますが、最終的な到達高さは同じです。
鉛直に速さ \(v_0\) で投げ上げた場合の最高点も:
$$h = \frac{v_0^2}{2g}$$斜面を使っても鉛直投げ上げでも、初速が同じなら到達高さは同じです。エネルギー保存則は経路に依存しません。これは保存力(重力)のみが仕事をするためです。
力学的エネルギー保存則 \(\frac{1}{2}mv^2 = mgh\) では、到達高さは初速のみで決まり、経路(斜面の角度)には依存しない。重力は保存力であるため、仕事は経路に依存せず始点と終点の高低差のみで決まる。
うなりは2つの近い振動数の音が干渉して生じる音量の周期的な変動。1秒あたりのうなりの回数は2音の振動数の差に等しい。Bの振動数を上げたときにうなりが減少したということは、BがAに近づいた= BはAより低い振動数だった。
Aさんの音の振動数を \(f_A = 1004\) Hz、Bさんの音の振動数を \(f_B\) とします。1秒あたりのうなりの回数は:
$$f_{\text{beat}} = |f_A - f_B| = |1004 - f_B|$$問題文より、うなりは1秒あたり3回聞こえたので:
$$|1004 - f_B| = 3$$よって \(f_B = 1001\) Hz または \(f_B = 1007\) Hz の2通りが考えられます。
ここで、Bさんが振動数を1 Hz増やしたとき、うなりの回数が少なくなったことを使います。
場合1:\(f_B = 1001\) Hz のとき
$$f_B' = 1001 + 1 = 1002 \text{ Hz}$$ $$f_{\text{beat}}' = |1004 - 1002| = 2 \text{ 回/s}$$うなりが 3 → 2 に減少。条件に合う。 ✓
場合2:\(f_B = 1007\) Hz のとき
$$f_B' = 1007 + 1 = 1008 \text{ Hz}$$ $$f_{\text{beat}}' = |1004 - 1008| = 4 \text{ 回/s}$$うなりが 3 → 4 に増加。条件に合わない。 ✗
うなりの回数 \(|f_1 - f_2| = n\) からは2つの候補が出ます。どちらかを特定するには「振動数を少し変化させたときにうなりが増えるか減るか」を調べます。
この判定法は一般に使える重要なテクニックです。
うなりの振動数 \(f_{\text{beat}} = |f_1 - f_2|\) の絶対値からは2候補が出る。振動数を微小変化させたときのうなりの増減で、未知の振動数がどちら側にあるかを判定する。
ばねを一端から振動させると縦波が伝わり、他端で反射して定常波ができる。縦波の「変位」とは各点がつりあいの位置から移動した距離のこと。ばねが最も密になっている部分と最も疎になっている部分の中間(疎密の境目)が変位の腹であり、変位が最大になる。振動数を変えずに振れ幅だけ大きくしても、波の速さ \(v\) と振動数 \(f\) は変わらないので波長 \(\lambda = v/f\) も変わらない。
ばねに沿った方向に振動させて縦波(疎密波)を発生させ、右端の固定端で反射させることで定常波ができます。
ア:変位が最も大きい点
縦波の定常波では、各点のつりあいの位置からの変位を考えます。図3(b)のばねの疎密パターンにおいて:
点Bは、密から疎(または疎から密)へ移り変わる位置にあり、変位の腹に位置します。ここが変位が最も大きい点です。
$$\text{変位の腹:ばねが等間隔に見える位置(疎密の境目)}$$イ:振れ幅を大きくしたときの波長の変化
波の基本公式より:
$$\lambda = \frac{v}{f}$$ばねを伝わる波の速さ \(v\) はばねの性質(張力・線密度)で決まり、振れ幅(振幅)には依存しません。振動数 \(f\) も一定に保っているため:
$$v = \text{一定},\quad f = \text{一定} \quad \Rightarrow \quad \lambda = \frac{v}{f} = \text{一定(変わらない)}$$縦波の理解で最も重要なのは「変位」と「疎密」の対応です。
これは、変位の節では隣接する点が逆方向に集まるため密度が最大(または最小)になり、変位の腹ではすべての点が同方向に最大変位しているため密度が元のままになる、という理屈です。
横波に変換して考えると理解しやすくなります。ばねの各点の「変位」を縦軸にプロットすれば、通常の正弦波のグラフになります。
固定端では変位の節ができます。固定端から半波長ごとに節が並び、節と節の中間に腹があります。
$$\text{固定端} = \text{変位の節}$$ $$\text{節間の距離} = \frac{\lambda}{2}$$図3の右端が固定端なので、右端は変位の節。そこから \(\lambda/4\) の位置に変位の腹があります。点Bはこの腹の位置に対応しています。
縦波の定常波で変位の腹は疎密の境界(ばねが均等に見える場所)にある。また、波長 \(\lambda = v/f\) は振幅(振れ幅)に依存しない。振れ幅を変えても波の速さと振動数が変わらなければ波長は一定。