物理基礎の各分野(力学・電気・原子・波動)から1問ずつ出題される小問集合です。各設問は独立しており、基本的な法則・公式の正確な理解が問われます。
氷山が浮いて静止しているなら、浮力と重力がつり合っている。浮力はアルキメデスの原理より「海面下に沈んでいる部分の体積 × 海水の密度 × 重力加速度」で決まる。体積 \(V\) のうち海面上に出ている部分が \(aV\) なら、沈んでいる部分は \((1-a)V\) である。
設定:密度 \(\rho_s\) の氷山が密度 \(\rho\) の海水に浮いて静止している。氷山の体積を \(V\)、海面上に出ている部分の体積を \(aV\ (0 < a < 1)\) とする。
立式:アルキメデスの原理より、浮力は「氷山が排除した海水の重力」に等しい。海面下に沈んでいる部分の体積は:
$$V_{\text{水面下}} = V - aV = (1-a)V$$排除した海水の質量は \(\rho \times (1-a)V\) なので、浮力は:
$$F_{\text{浮力}} = \rho (1-a) V g$$これが空欄 \(\boxed{101}\) に入る式である。
検算:つり合いの条件 \(F_{\text{浮力}} = mg\) を確認する。
$$\rho (1-a) V g = \rho_s V g$$ $$\therefore\ 1 - a = \frac{\rho_s}{\rho}$$氷の密度 \(\rho_s \fallingdotseq 917\) kg/m\(^3\)、海水の密度 \(\rho \fallingdotseq 1025\) kg/m\(^3\) を代入すると:
$$a = 1 - \frac{917}{1025} \fallingdotseq 0.105$$氷山の約10%が海面上に出ているという事実と一致する。
① \(\rho_s a V g\):氷山の密度 × 海面上の体積。浮力は海水の密度で決まるので誤り。
② \(\rho_s (1-a) V g\):氷山の密度 × 水面下の体積 = 重力。浮力ではなく重力の式。
③ \(\rho a V g\):海水の密度 × 海面上の体積。排除しているのは水面下の体積なので誤り。
⑤ \((\rho - \rho_s) a V g\):密度差を使った式だが、浮力の定義と合わない。
⑥ \((\rho - \rho_s)(1-a) V g\):密度差に水面下体積をかけた式。浮力は海水の密度のみで決まる。
静止条件(浮力 = 重力)を先に立て、浮力の式を確認する方法もある。
重力は \(mg = \rho_s V g\)。静止しているので浮力も \(\rho_s V g\)。
浮力 = \(\rho \times V_{\text{排除}} \times g\) なので:
$$\rho \cdot V_{\text{排除}} \cdot g = \rho_s V g$$ $$V_{\text{排除}} = \frac{\rho_s}{\rho} V = (1-a)V$$よって浮力 \(= \rho(1-a)Vg\) が再確認できる。
浮力はつねに「排除した流体の重力」で求める。海面上の体積 \(aV\) ではなく、海面下の体積 \((1-a)V\) を使う。密度は流体側(海水)の \(\rho\) であることに注意。
電気抵抗は「水が通るホース」で考える。ホースが長いほど水は流れにくく(比例)、ホースが太いほど流れやすい(反比例)。この比例定数が「抵抗率」であり、材質固有の値である。単位は抵抗の式 \(R = \rho \frac{L}{S}\) から \(\Omega \cdot \text{m}\) と導ける。
立式:材質が同じ導線の抵抗値 \(R\) は、長さ \(L\) に比例し、断面積 \(S\) に反比例する:
$$R = \rho \frac{L}{S}$$ここで比例定数 \(\rho\) が抵抗率と呼ばれる。これは材質固有の量である。
単位の導出:\(\rho\) について解くと:
$$\rho = R \cdot \frac{S}{L}$$各物理量の単位を代入する:
$$[\rho] = \Omega \times \frac{\text{m}^2}{\text{m}} = \Omega \cdot \text{m}$$よって抵抗率の単位は \(\Omega \cdot \text{m}\)(オームメートル)である。
まとめ:空欄 \(\boxed{7}\) は「比例」、空欄 \(\boxed{\text{イ}}\) は「反比例」、空欄 \(\boxed{102}\) の単位は \(\Omega \cdot \text{m}\)。
\(\rho = R \cdot S / L\) から導くと、分子に面積 m² が入るため \(\Omega \cdot \text{m}^2 / \text{m} = \Omega \cdot \text{m}\) となる。
もし \(\Omega/\text{m}\) だとすると \(R = (\Omega/\text{m}) \times L/S\) の単位は \(\Omega / \text{m}^2\) になってしまい、抵抗の単位 \(\Omega\) にならない。
銅の抵抗率 \(\rho = 1.7 \times 10^{-8}\ \Omega \cdot \text{m}\)。長さ \(L = 100\) m、断面積 \(S = 1.0\) mm\(^2 = 1.0 \times 10^{-6}\) m\(^2\) の銅線の抵抗は:
$$R = 1.7 \times 10^{-8} \times \frac{100}{1.0 \times 10^{-6}} = 1.7\ \Omega$$長さを2倍(200 m)にすると \(R = 3.4\ \Omega\)(比例)。断面積を2倍(\(2.0\ \text{mm}^2\))にすると \(R = 0.85\ \Omega\)(反比例)。
\(R \propto L\)(比例)と \(R \propto 1/S\)(反比例)の関係は頻出。単位を求めるときは \(\rho = RS/L\) から \(\Omega \cdot \text{m}^2 / \text{m} = \Omega \cdot \text{m}\) と導出する。\(\Omega/\text{m}\) と混同しやすいので注意。
放射線の単位は「出す側」と「受ける側」で分かれている。ベクレル(Bq)は放射性物質が1秒間に崩壊する原子核の数で、放射能の強さを表す。シーベルト(Sv)は放射線が人体に与える影響の大きさを示す単位で、吸収エネルギーに放射線の種類による係数をかけたものである。
空欄の分析:会話文の内容を読み解く。
空欄 エ:「放射線を出す物質の放射能の強さを、1秒間に \(\boxed{\text{エ}}\) する \(\boxed{\text{オ}}\) の個数で表すのがベクレルですね。」
ベクレル(Bq)の定義は、1秒間に崩壊する原子核の数である。
$$1\ \text{Bq} = 1\ \text{崩壊/秒}$$よって エ = 崩壊、オ = 原子核。
空欄 カ:「物質が1 kgあたりに吸収するエネルギーに、放射線が \(\boxed{\text{カ}}\) へ及ぼす影響の違いを考慮した係数をかけた量の単位です。」
シーベルト(Sv)は、吸収線量(グレイ: Gy = J/kg)に放射線荷重係数をかけたもので、人体への影響を評価する単位である。
$$H\ [\text{Sv}] = D\ [\text{Gy}] \times w_R\ (\text{放射線荷重係数})$$よって カ = 人体。
放射線の種類によって人体への影響が異なる。放射線荷重係数 \(w_R\) は:
α線は電離能力が大きいため、同じ吸収線量でも人体への影響が20倍になる。これがシーベルトで評価する理由である。
放射線関連の単位を整理する:
$$\text{ベクレル [Bq]}:放射能の強さ = \frac{\text{崩壊数}}{\text{秒}}$$ $$\text{グレイ [Gy]}:吸収線量 = \frac{\text{吸収エネルギー [J]}}{\text{質量 [kg]}}$$ $$\text{シーベルト [Sv]}:等価線量 = \text{Gy} \times w_R$$Bq は放射源側の量、Gy は物質側の量、Sv は人体影響の量である。
ベクレル = 崩壊する原子核の数/秒(放射源の強さ)、シーベルト = 人体への影響を考慮した線量。「電離」は放射線が物質に与える作用の名前であり、放射能の定義(崩壊数)とは別。
スタジアムの「ウェーブ」は横波の好例。人は上下に動くだけ(媒質の振動)だが、「立ち上がり」のパターンが横方向に伝わっていく(波の伝搬)。波長・周期・速さの関係 \(v = f\lambda = \lambda/T\) がそのまま使える。
設定:波長 \(\lambda = 4.0\) m のウェーブが左から右へ伝わる。人と人の間隔は 0.50 m。図2から、0.25 s 後にウェーブが右へ移動した距離を読み取る。
波の速さ(キ):図2の破線から、0.25 s 間にウェーブのパターンが 0.50 m(1人分の間隔)だけ右に移動している。よって:
$$v = \frac{\Delta x}{\Delta t} = \frac{0.50}{0.25} = 2.0\ \text{m/s}$$振動数(ク):基本関係式 \(v = f\lambda\) より:
$$f = \frac{v}{\lambda} = \frac{2.0}{4.0} = 0.50\ \text{Hz}$$周期(ケ):振動数の逆数:
$$T = \frac{1}{f} = \frac{1}{0.50} = 2.0\ \text{s}$$これは「手を下げた状態から、手を上げて立ち上がり、再び手を下げて座った状態に戻る」までの時間が 2.0 s であることを意味する。
ウェーブでは、各人は上下方向(鉛直方向)に振動し、波は水平方向に伝搬する。振動方向と伝搬方向が垂直なので、これは横波である。
実際の「ウェーブ」は分散がなく(各人が同じ動作をする)、近似的に等速で伝わる。これは理想的な非分散媒質中の波と同じである。
もし周期を先に求められれば、速さは \(v = \lambda / T\) から計算できる。
1人分の間隔 0.50 m は波長 4.0 m の \(1/8\) に相当する。0.25 s でパターンが 0.50 m 移動するということは、1波長分移動するのに \(0.25 \times 8 = 2.0\) s かかる。これが周期 \(T = 2.0\) s。
$$v = \frac{\lambda}{T} = \frac{4.0}{2.0} = 2.0\ \text{m/s}$$振動数は \(f = 1/T = 0.50\) Hz で同じ結果になる。
波の3つの基本量の関係 \(v = f\lambda\) と \(T = 1/f\) を確実に使いこなす。図からは「波のパターンがどれだけ移動したか」を読み取って速さを求めるのが基本。振動数と周期は互いに逆数の関係。