透磁率 \(\mu\)、断面積 \(S\) の鉄心を共有するコイル1(巻数 \(N_1\)、長さ \(d_1\)、電流 \(I_1\))とコイル2(巻数 \(N_2\)、長さ \(d_2\)、電流 \(I_2\))があり、コイル1 は電源・抵抗 \(R_1\)・スイッチ \(K\) を含む回路に、コイル2 は抵抗 \(R_2\) のみを含む閉回路につながっている。鉄心内の磁束 \(\phi\) は両コイルの電流がつくる磁束の和であり、磁束の時間変化が誘導起電力を生む。
(a) 磁場の強さ \(H\):長いソレノイドで単位長さあたりの巻数は \(n_1 = N_1/d_1\)。電流 \(I_1\) による磁場の強さは
$$ H = n_1 I_1 = \frac{N_1 I_1}{d_1} $$(b) コイル1 電流のみがつくる鉄心内の磁束 \(\phi_1\):磁束密度 \(B_1 = \mu H = \dfrac{\mu N_1 I_1}{d_1}\)。断面積 \(S\) を掛けて
$$ \phi_1 = B_1 \cdot S = \frac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} $$(c) コイル2 電流のみがつくる鉄心内の磁束 \(\phi_2\):コイル1 と同じ公式を \(N_2, d_2, I_2\) に適用して
$$ \phi_2 = \frac{\mu N_2 I_2 S}{d_2} $$(d) コイル1 に生じる誘導起電力 \(V\):鉄心内の全磁束 \(\phi = \phi_1 + \phi_2\) が微小時間 \(\Delta t\) の間に \(\Delta \phi\) だけ変化する。コイル1 は \(N_1\) 巻なので全磁束は \(N_1\phi\)。ファラデーの法則により、\(\mathrm{P}'\) に対する \(\mathrm{P}\) の電位(図2 の電流正方向に誘導起電力をとる向き)は
$$ V = N_1\,\frac{\Delta \phi}{\Delta t} $$全磁束 \(\phi = \dfrac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} + \dfrac{\mu N_2 I_2 S}{d_2}\) より、コイル1 の鎖交磁束は
$$ N_1 \phi = \frac{\mu N_1^2 S}{d_1}\,I_1 + \frac{\mu N_1 N_2 S}{d_2}\,I_2 = L_1 I_1 + M I_2 $$ここで \(L_1 = \dfrac{\mu N_1^2 S}{d_1}\) がコイル1 の自己インダクタンス、\(M = \dfrac{\mu N_1 N_2 S}{d_2}\) が相互インダクタンス。誘導起電力は \(V = \dfrac{d(N_1\phi)}{dt} = L_1 \dfrac{dI_1}{dt} + M \dfrac{dI_2}{dt}\) となる。
鉄心を共有する2 コイル系では「磁束は加算」がすべての出発点。誘導起電力は「巻数 \(\times\) 磁束変化率」。自己・相互インダクタンスも結局はこの公式から導かれる。
設定:スイッチ \(K\) が開いているので、コイル2 には閉回路がなく \(I_2 = 0\) で固定。\(0 < t < T\) では \(V = V_0\)(一定)となるように電源を調整。
(e) 磁束変化率:問1 (d) の式 \(V = N_1 \dfrac{\Delta\phi}{\Delta t}\) で \(V = V_0\) を代入すると
$$ N_1 \frac{\Delta\phi}{\Delta t} = V_0 \;\;\Rightarrow\;\; \frac{\Delta\phi}{\Delta t} = \frac{V_0}{N_1} $$これが一定値となる。
(f) 磁束の時間変化:変化率 \(V_0/N_1\) が一定なので、磁束は時間の 1 次関数。初期条件 \(t=0\) で \(I_1=0, I_2=0\) だから \(\phi(0) = 0\)。よって
$$ \phi(t) = \frac{V_0}{N_1}\,t \quad (0 < t < T) $$\(t = T\) では \(\phi(T) = V_0 T / N_1\)。\(t > T\) では \(V = 0\) なので \(d\phi/dt = 0\)、つまり磁束は \(V_0 T/N_1\) のまま一定値を保つ。この後の問4 のグラフで \(I_1\) が水平に推移する理由がこれである。
「電位差 \(V\) を一定に保った」という条件は、磁束 \(\phi\) を時間 \(t\) の 1 次関数にする強力な拘束。自己インダクタンス \(L\) を使った指数関数の解き直しをせずに済む。
設定:\(I_2 = 0\) なので、鉄心の磁束はコイル1 だけが作る:\(\phi = \dfrac{\mu N_1 I_1 S}{d_1}\)。
立式:問2 より \(\phi = \dfrac{V_0}{N_1}t\)。この 2 つを等しいとおいて
$$ \frac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} = \frac{V_0}{N_1}\,t $$\(I_1\) について解く:両辺に \(d_1/(\mu N_1 S)\) を掛けて
$$ I_1 = \frac{d_1}{\mu N_1 S}\cdot\frac{V_0}{N_1}\,t = \frac{V_0\,d_1}{\mu N_1^{2}\,S}\,t $$具体値で確認:仮に \(V_0 = 1\,\mathrm{V},\,d_1 = 0.1\,\mathrm{m},\,\mu = 1.0\times 10^{-3}\,\mathrm{H/m},\,N_1 = 100,\,S = 1\times 10^{-4}\,\mathrm{m^2}\) とすると \(\mu N_1^{2} S / d_1 = 1.0\times 10^{-3}\cdot 10^4 \cdot 10^{-4}/0.1 = 0.01\,\mathrm{H}\)(= 自己インダクタンス \(L_1\))。よって
$$ I_1 = \frac{V_0}{L_1}\,t = \frac{1}{0.01}t = 100\,t \;[\mathrm{A}] $$\(t = 0.01\,\mathrm{s}\) で \(I_1 = 1\,\mathrm{A}\) と、数値的にも素直な比例直線になる。
コイル1 の自己インダクタンスは \(L_1 = \dfrac{\mu N_1^{2} S}{d_1}\)。コイル1 両端の電位差は自己誘導起電力のみ(\(I_2=0\))だから \(V = L_1 \dfrac{dI_1}{dt}\)。これを \(V = V_0\) とおいて
$$ L_1\frac{dI_1}{dt} = V_0 \;\;\Rightarrow\;\; \frac{dI_1}{dt} = \frac{V_0}{L_1} = \frac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S} $$変化率一定なので \(t\) で積分して(\(I_1(0) = 0\))
$$ I_1(t) = \frac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t $$磁束を経由した本文の解と一致する。
コイル両端に抵抗がなく起電力だけで駆動されるなら \(V = L\,dI/dt\)。定電圧 \(V_0\) なら \(dI/dt = V_0/L = \text{const}\)。よって電流は時間の 1 次関数。実際の回路では抵抗 \(R_1\) がある場合 \(V_0 = L\,dI/dt + R_1 I\) となり指数関数解になるが、本問は「コイル1 両端の電位 V を一定に保った」ので抵抗込みではない点を定電圧に制御している。
鉄心内磁束の式と誘導起電力の積分値を等しくおけば、微分方程式を解かずに \(I_1(t)\) が得られる。係数 \(\mu N_1^{2} S/d_1\) は自己インダクタンス \(L_1\) そのもので、\(I_1 = V_0 t/L_1\) と書き直すと見通しが良い。
\(0 < t < T\):問3 より \(I_1 = \dfrac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t\)。つまり原点を通る直線。
\(t > T\):\(V = 0\) なので \(N_1 d\phi/dt = 0\)、すなわち磁束 \(\phi\) は \(t = T\) の値 \(\phi(T) = V_0 T/N_1\) のまま一定。\(I_2 = 0\) も変わらないから、ソレノイドの式 \(\phi = \mu N_1 I_1 S/d_1\) より \(I_1\) も定数。よって
$$ I_1(t) = \begin{cases} \dfrac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t & (0 < t < T) \\[4pt] \dfrac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,T & (t > T) \end{cases} $$連続性の確認:問題文に「\(I_1\) が不連続になることはなかった」とあり、\(t = T\) の左右極限で値が一致するから \(V\) の不連続(\(V_0 \to 0\))が許される。もし電圧源側が \(V\) を 不連続にしない 別の調整をしたら話が変わるが、問題では電源電圧 \(E\) を自由に調整できるので \(V\) はステップで良い。
「コイル両端の電位 \(V\) を一定値 \(V_0\) にしてから 0 に切り替えた」状況では、磁束=電流が直線上昇 → 水平のランプ波形になる。定電圧制御 ⇒ \(dI/dt\) 一定、電圧 0 ⇒ 電流凍結。
回路の式:電源から \(R_1\) とコイル1 を直列に見る(スイッチ K は開だからコイル2 側は切り離されている)。電源電圧 \(E\) は「抵抗での電圧降下 \(R_1 I_1\) + コイル1 両端の電位差 \(V\)」に等しい。
$$ E = R_1 I_1 + V $$(i) \(0 < t < T\) のとき:\(V = V_0\) かつ 問3 の結果 \(I_1 = \dfrac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t\)。これを代入して
$$ E = R_1 \cdot \frac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t + V_0 = V_0\left(1 + \frac{R_1 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t\right) $$(ii) \(t > T\) のとき:\(V = 0\) かつ 問4 より \(I_1\) は一定値 \(I_1(T) = \dfrac{V_0 d_1\,T}{\mu N_1^{2} S}\)。したがって
$$ E = R_1 \cdot \frac{V_0 d_1\,T}{\mu N_1^{2} S} + 0 = \frac{R_1 V_0 d_1\,T}{\mu N_1^{2} S} $$\(L_1 = \dfrac{\mu N_1^{2} S}{d_1}\) を用いると \(I_1(t) = V_0 t/L_1\)、\(I_1(T) = V_0 T/L_1\)。よって
$$ E_{(i)} = V_0 + \frac{R_1 V_0}{L_1}\,t, \qquad E_{(ii)} = \frac{R_1 V_0 T}{L_1} $$この形だと「インダクタの逆起電力 \(V_0\) + 抵抗での電圧降下」の構造が明確になる。
\(V\) を \(V_0\) から \(0\) に切り替える瞬間、抵抗 \(R_1\) での電圧降下は \(I_1(T) = V_0 T/L_1\) で連続だが、コイル両端の電位 \(V\) だけが \(V_0\) から \(0\) へ階段状に変化する。したがって電源電圧 \(E\) は瞬時に \(V_0 + R_1 I_1(T)\) から \(R_1 I_1(T)\) へ階段状に下がる。電源(理想電圧源)はどんな電圧でも生成できる前提なのでこれは許される。
電源電圧 \(E\) を計算する定石は「\(E\) = 外部抵抗での電圧降下 \(R_1 I_1\) + コイル1 両端の電位 \(V\)」。コイル1 両端の電位 \(V\) は指定されているので、\(I_1\) の値だけ問3・問4 から持ってくれば即座に求まる。
立式:問1 (d) の式 \(V = N_1\,d\phi/dt\) は \(I_2\) が流れていようがいまいが成立する。\(V = V_0\) の条件だから
$$ N_1\,\frac{d\phi}{dt} = V_0 \;\;\Rightarrow\;\; \frac{d\phi}{dt} = \frac{V_0}{N_1} $$積分:一定の変化率、初期条件 \(t = 0\) で全電流 0 だから \(\phi(0) = 0\)。よって
$$ \phi(t) = \frac{V_0}{N_1}\,t $$数値確認:例えば \(V_0 = 1.0\,\mathrm{V},\,N_1 = 100\) なら \(\phi = 0.01\,t\,\mathrm{Wb}\)、\(t = 1\,\mathrm{s}\) で \(\phi = 10^{-2}\,\mathrm{Wb}\)。
「コイル1 両端の電位 \(V\)」という量は、コイル1 を貫く全磁束の時間変化率だけで決まる(ファラデーの法則)。鉄心を共有する以上、磁束の源がコイル1 だけであろうとコイル2 からの寄与を含んでいようと、\(V\) を固定すれば鉄心の磁束変化率が固定される。磁束の内訳(コイル1 寄与か 2 寄与か)が変わるだけで、全体の振る舞いは同じ。
「\(V\) を一定に制御する」という条件は鉄心の磁束そのものを強制する。ここから \(I_1, I_2\) を逆算するのが本問の設計。問2 と問6 は条件 \(V = V_0\) が同じゆえ、磁束の時間発展も完全に同じ。
コイル2 の誘導起電力:コイル2 の鎖交磁束は \(N_2 \phi\)。その時間変化率(大きさ)は
$$ \left|\frac{d(N_2\phi)}{dt}\right| = N_2 \cdot \frac{V_0}{N_1} = \frac{N_2 V_0}{N_1} $$回路方程式:コイル2 には抵抗 \(R_2\) しかない(自己インダクタンス無視)。図2 の電流正方向を基準に符号をつけると、レンツの法則(磁束増加を妨げる向きに起電力が生じる)から、\(\mathrm{Q}\) に対する \(\mathrm{Q}'\) の電位が正になる。
$$ -N_2\,\frac{d\phi}{dt} = R_2\,I_2 $$代入:\(d\phi/dt = V_0/N_1\) を代入して
$$ -N_2\,\frac{V_0}{N_1} = R_2\,I_2 \;\;\Rightarrow\;\; I_2 = -\,\frac{N_2\,V_0}{N_1\,R_2} $$符号が負であることは、実際の電流は図2 の矢印とは逆向きに流れることを表す(レンツの法則どおり、コイル2 は磁束の増加を打ち消す磁場を作る方向に電流を流す)。
数値確認:\(V_0 = 2\,\mathrm{V},\,N_1 = 100,\,N_2 = 50,\,R_2 = 10\,\Omega\) とすると
$$ I_2 = -\frac{50 \cdot 2}{100 \cdot 10} = -0.10\,\mathrm{A} $$つまり大きさ 0.10 A の定常電流が逆向きに流れる。
コイル2 に自己インダクタンスがないため、電流と起電力は瞬時に対応する(位相遅れ 0)。\(d\phi/dt\) が一定値 \(V_0/N_1\) ⇒ 起電力一定 ⇒ 電流一定。もしコイル2 にも自己インダクタンスがあれば、\(R_2 I_2 + L_2 dI_2/dt = -N_2 d\phi/dt\) という RL 式になり、過渡期の指数関数的立ち上がりが生じる。
相互インダクタンス \(M = \dfrac{\mu N_1 N_2 S}{d_2}\) を用いると、コイル2 の鎖交磁束は \(N_2\phi = M I_1 + L_2 I_2\)(\(L_2\) は無視)。問3 (ここはKが開いていないがφ=V₀t/N₁ のみ使う) と同様に、両辺を \(R_2\) で割って
$$ R_2 I_2 = -N_2\,\frac{d\phi}{dt} = -\frac{N_2 V_0}{N_1} $$結局同じ結論。相互インダクタンス形式でも磁束直接計算形式でも答えは一致する。
コイル2 が「自己インダクタンス無視」+「磁束変化率一定」のとき、\(I_2\) は時刻によらない定数。方向はレンツの法則で「磁束増加を打ち消す向き」=図2 の正方向と逆 ⇒ 符号は負。
磁束の加算則:鉄心内の全磁束は両コイル電流の和で表される(問1 より)。
$$ \phi = \frac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} + \frac{\mu N_2 I_2 S}{d_2} $$問6・問7 の結果を代入:\(\phi = V_0 t/N_1\)、\(I_2 = -N_2 V_0/(N_1 R_2)\)。
$$ \frac{V_0}{N_1}\,t = \frac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} + \frac{\mu N_2 S}{d_2}\cdot\left(-\frac{N_2 V_0}{N_1 R_2}\right) $$ $$ \frac{V_0}{N_1}\,t = \frac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} - \frac{\mu N_2^{2} V_0\,S}{N_1\,R_2\,d_2} $$\(I_1\) について解く:
$$ \frac{\mu N_1 I_1 S}{d_1} = \frac{V_0}{N_1}\,t + \frac{\mu N_2^{2} V_0\,S}{N_1\,R_2\,d_2} $$ $$ I_1 = \frac{d_1}{\mu N_1 S}\left(\frac{V_0 t}{N_1} + \frac{\mu N_2^{2} V_0\,S}{N_1\,R_2\,d_2}\right) = \frac{V_0\,d_1}{\mu N_1^{2}\,S}\,t + \frac{N_2^{2}\,V_0\,d_1}{N_1^{2}\,R_2\,d_2} $$第1項は問3 と全く同じ(K を開いた場合の時間比例項)、第2項が スイッチを閉じたことで現れる定数オフセット。物理的には「コイル2 が吸い取ってしまう磁束をコイル1 が補填する分」である。
数値確認:\(V_0=2, d_1=0.1, \mu=10^{-3}, N_1=100, N_2=50, S=10^{-4}, R_2=10, d_2=0.1\) とすると
$$ \frac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S} = \frac{2 \cdot 0.1}{10^{-3}\cdot 10^4\cdot 10^{-4}} = 200\,[\mathrm{A/s}] $$ $$ \frac{N_2^{2} V_0 d_1}{N_1^{2} R_2 d_2} = \frac{50^2\cdot 2 \cdot 0.1}{100^2\cdot 10\cdot 0.1} = \frac{500}{1000} = 0.5\,[\mathrm{A}] $$よって \(I_1(t) = 200\,t + 0.5\,[\mathrm{A}]\)。\(t = 0\) では 0.5 A の電流が一気に立ち上がる(スイッチを閉じた瞬間にコイル2 側の打ち消しを補償するため)。
\(L_1 = \dfrac{\mu N_1^{2} S}{d_1},\;M = \dfrac{\mu N_1 N_2 S}{d_2}\) とおくと、コイル1 の全鎖交磁束は
$$ N_1\phi = L_1 I_1 + M I_2 $$コイル1 両端の電位は \(V = d(N_1\phi)/dt = L_1\,dI_1/dt + M\,dI_2/dt\)。問7 より \(I_2\) は定数なので \(dI_2/dt = 0\)、よって
$$ V_0 = L_1\,\frac{dI_1}{dt} \;\;\Rightarrow\;\; \frac{dI_1}{dt} = \frac{V_0}{L_1} $$これを積分。ただし初期条件は \(I_1(0) \neq 0\)。初期鉄心磁束 0 と \(I_2(0) = -N_2 V_0/(N_1 R_2)\) から(スイッチを閉じた瞬間にコイル2 電流は瞬時に \(-N_2 V_0/(N_1 R_2)\) へ立ち上がる)
$$ 0 = L_1 I_1(0) + M I_2(0) \;\;\Rightarrow\;\; I_1(0) = -\frac{M I_2(0)}{L_1} = \frac{N_2^{2} V_0 d_1}{N_1^{2} R_2 d_2} $$したがって \(I_1(t) = (V_0/L_1) t + I_1(0) = \dfrac{V_0 d_1}{\mu N_1^{2} S}\,t + \dfrac{N_2^{2} V_0 d_1}{N_1^{2} R_2 d_2}\)。本文と完全一致。
問題文の「\(t = 0\) のとき、どのコイルにも電流は流れていなかった」は t = 0 直前(スイッチ閉動作の前)の条件。スイッチを閉じた瞬間(\(t = 0^+\))に、コイル2 側の起電力・電流が瞬時に確立する(コイル2 は自己インダクタンス無しで抵抗回路なので瞬時応答)。同時にコイル1 も磁束 0 を保つために補正電流を流す。よって \(t > 0\) では直ちに定常項 \(\dfrac{N_2^{2} V_0 d_1}{N_1^{2} R_2 d_2}\) が立ち上がり、その後は線形増加する。厳密には \(t = 0^+\) で階段状の立ち上がりだが、「\(t > 0\)」での表式として問題は正しい。
鉄心共有の連成回路は「全磁束 \(\phi\) = 各コイルの寄与の和」を書き、条件(\(V\) 一定 ⇒ \(\phi\) の時間関数)と他コイルの回路方程式(問7 の結果)を組み合わせて \(I_1\) を解く。自己・相互インダクタンス \(L_1, M\) で書き直すと構造がよく見える:定常項は \(-M I_2(0)/L_1\)、時間項は \(V_0 t/L_1\)。