大問Ⅱは大きく 2部構成。前半は正弦波の重ね合わせ(合成波の波形・定常波の節)、後半は音波のドップラー効果(壁反射・うなり・等加速度音源)。前半で固めた「波の式・三角公式」が後半の波長・振動数の計算でそのまま効いてくる。
三つの場合をそれぞれ「大きい波(ベース)+小さい波(装飾)」の構造で読み解こう。横軸が時刻なので、短い周期=細かく振動、長い周期=ゆっくり大きく揺れる と覚えればよい。
| 場合 | 振幅 | 周期 | 合成波の特徴 | 選択肢 |
|---|---|---|---|---|
| (あ) | \(A_1 = \dfrac12 A_2\) | \(T_1 = 30\,T_2\) | 大きい速波(波2)+ゆっくりしたベース変動(波1) | (イ) |
| (い) | \(A_1 = \dfrac12 A_2\) | \(T_1 = \dfrac{T_2}{30}\) | 大きく遅い波(波2)+細かい速波の装飾(波1) | (ア) |
| (う) | \(A_1 = A_2\) | \(T_1\) は \(T_2\) よりわずかに小 | 同振幅・近周期 ⇒ うなり(包絡線が \(0\) と \(2A\) を行き来) | (ウ) |
なぜそうなるのか — 合成波の数式:
(う) のうなりは和積公式そのもの。\(y_1+y_2 = 2A\cos\!\left(\pi\bigl(\tfrac{1}{T_1}-\tfrac{1}{T_2}\bigr)t\right)\sin\!\left(\pi\bigl(\tfrac{1}{T_1}+\tfrac{1}{T_2}\bigr)t\right)\) と書ける。
$$ y_1+y_2 = \underbrace{2A\cos\!\left(\pi\Delta f\,t\right)}_{\text{ゆっくり変化する振幅}}\;\underbrace{\sin\!\left(\pi\bar f\,t\right)}_{\text{平均振動数の高周波}} $$ここで \(\Delta f = 1/T_1 - 1/T_2\)、\(\bar f = 1/T_1 + 1/T_2\)。\(\Delta f\) が小さいので包絡線がゆっくり振動 → 振幅が大きく膨らむ「うなり」 が見える。
(あ) (い) は振幅が異なる2つの周期を単純に重ね合わせる。振幅大の波がベース、振幅小の波が「上に乗る」装飾。周期が極端に違うので「ベース + さざ波」の図になる。
合成波の包絡線(envelope)を支配するのは「振幅差が小さく、周期が近い」ペア。これが (う) の状況。
振幅差が大きいと「大きい方の波 ≒ 元の波」に「小さい方が乗っかる」だけになり、うなりは見えない((あ) (い))。
逆に、振幅は等しく周期が大きく違う場合は「2つの全く別物の波が単純に重ねられた」感じで、うなりにはならない(高周波と低周波の単純加算)。
合成波の見た目は 「振幅比」と「周期比」の両方 で決まる。「うなり」は 同振幅・近周期 の特殊条件で初めて出現する。普段の波形問題ではこの2条件を最初にチェック。
(a) 波の速さ \(v\):正弦波の標準形 \(y = A\sin\!\left(2\pi\!\left(\dfrac{t}{T} - \dfrac{x}{\lambda}\right)\right)\) と \(y_3 = A\sin 2\pi(t/a - x/b)\) を比較すると、周期 \(T = a\)、波長 \(\lambda = b\)、進行方向は +x 方向。
波の速さは「波長 ÷ 周期」だから
(b) 定常波の節の位置:合成波 \(y = y_3 + y_4\) を和積公式で展開する。
\(\sin\alpha + \sin\beta = 2\sin\dfrac{\alpha+\beta}{2}\cos\dfrac{\alpha-\beta}{2}\) を適用(\(\alpha = 2\pi(t/a - x/b)\)、\(\beta = 2\pi(t/a + x/b)\) )。
\(\dfrac{\alpha+\beta}{2} = 2\pi\dfrac{t}{a}\)、\(\dfrac{\alpha-\beta}{2} = -2\pi\dfrac{x}{b}\) より
これが 定常波(定在波)の式。節は媒質が常に変位 0 となる場所、つまり \(\cos(2\pi x/b) = 0\) を満たす \(x\)。
\(0 < x < b\) の範囲では \(n = 0, 1\) で
状況確認:壁が \(x=0\)(左)、観測者が \(x=L\)(右)、音源は壁と観測者の間を時刻 \(0\) から速さ \(v\)(\(v < V\))で +x 方向(壁から遠ざかる側) に等速運動。音源は振動数 \(f\) を出し続ける。求めたいのは、時刻 \(0\) から時刻 \(a\) までの間に音源から出て壁で反射した音を観測者が聞くときの振動数 \(f_\text{反}\) と、その音波の波長 \(\lambda_\text{反}\)。
音源から見て壁側(-x方向)に進む音波の波長を考える。音源は +x 方向に速さ \(v\) で動いているので、後方(-x側)に出される波は波長が伸びる。1周期 \(1/f\) の間に音源は距離 \(v/f\) だけ +x 方向に進み、音は -x方向に距離 \(V/f\) 進むので、隣り合う波頭の間隔(後方で見た波長)は
$$ \lambda_\text{後} = \frac{V}{f} + \frac{v}{f} = \frac{V+v}{f} $$この音波が壁にぶつかって反射するとき、波長は変わらず、進行方向だけが反転する(壁は固定端で位相は反転するが、波長・振動数は不変)。よって反射後、+x方向へ向かう音波の波長は
$$ \lambda_\text{反} = \frac{V+v}{f} $$観測者は静止しているので、波長 \(\lambda_\text{反}\) の音波が音速 \(V\) で来るのをそのまま受け取る。振動数は \(V \div \lambda_\text{反}\):
$$ f_\text{反} = \frac{V}{\lambda_\text{反}} = \frac{V}{\dfrac{V+v}{f}} = \frac{V f}{V + v} $$音源が壁から遠ざかる = 後方反射音は 低音化(\(f_\text{反} < f\))。直感と一致する。
ステップ1:壁が音源から音波を「受信」するとみなす。壁は静止、音源は壁から離れる速さ \(v\)。壁が受け取る振動数は
$$ f_\text{壁受} = \frac{V}{V - (-v)} f = \frac{V}{V+v} f $$(音源が観測者から離れるときの公式 \(f' = Vf/(V+v_s)\))
ステップ2:壁が振動数 \(f_\text{壁受}\) で「再放射」する音源と見なす。壁は静止、観測者も静止なのでドップラー変位なし:
$$ f_\text{反} = f_\text{壁受} = \frac{Vf}{V+v} $$同じ答えに至る。
直接音(音源前方 = +x方向に出される音)の波長は \(\lambda_\text{前} = (V-v)/f\)。観測者が静止しているので
$$ f_\text{直} = \frac{V}{\lambda_\text{前}} = \frac{V f}{V - v} $$こちらは 高音化(音源が観測者に接近)。後の問4 でこれと反射音の差からうなりの振動数が出る。
移動音源のドップラーは 「波長変換 → 静止観測者の波数カウント」 の2段で必ず解ける。前方 \(\lambda = (V-v)/f\)、後方 \(\lambda = (V+v)/f\) の2式は丸暗記。壁反射は波長保存・方向反転だけ。
直接音と反射音の振動数の差が単位時間あたりのうなり回数:
$$ n = \left|\,f_\text{直} - f_\text{反}\,\right| = \frac{Vf}{V-v} - \frac{Vf}{V+v} $$通分する。
$$ n = Vf\cdot\frac{(V+v)-(V-v)}{(V-v)(V+v)} = Vf\cdot\frac{2v}{V^2 - v^2} $$ $$ n = \frac{2 V v f}{V^2 - v^2} $$直接音の到達時間を求める。時刻 \(0\) では音源は壁の位置 \(x = 0\) (初期位置を壁の極近とみなす標準近似)にあり、観測者まで \(L\)。最初の直接音が観測者に届くのは時刻 \(L/V\)。
時刻 \(a\) には音源は \(x = va\) に達しているので、最後の直接音が観測者に届くのは時刻 \(a + (L - va)/V\)。よって直接音が観測者に届いている時間は
反射音の到達時間:時刻 \(t\) の音は音源位置 \(vt\) から壁まで \(vt/V\) で行き、壁から観測者まで \(L/V\) で来る。観測者到達時刻は \(t + vt/V + L/V\)。
\(t=0\) の音は \(L/V\) に到達、\(t=a\) の音は \(a(V+v)/V + L/V\) に到達。よって
2つの音の到達区間の重なりは \([L/V,\;L/V + \Delta t_\text{直}]\)(直接音が先に終わる)と \([L/V,\;L/V + \Delta t_\text{反}]\) の共通部分なので、結局 短い方の \(\Delta t_\text{直}\) が継続時間。
$$ \Delta t = \frac{a(V - v)}{V} $$うなりの周期 \(T_\text{n}\) は \(1/n\)。1秒間に \(f_\text{直}\) 回と \(f_\text{反}\) 回の振動が観測者に届くので、振動数の差 \(|f_\text{直}-f_\text{反}|\) 回だけ「位相のズレ」が1サイクル進み、これが振幅の脈動の1回分(うなり1回)に対応する。
音源が出す音は時間 \(0 \le t \le a\) の間。観測者に届くまでに直接音は 音源接近で詰まるから短く、反射音は 音源後退で伸びるから長く到達する。同じ時刻に両方が届いている期間が「うなり継続時間」で、これは短い方(直接音)の長さ。
もし音源が静止していれば \(\Delta t = a\)(音源放出時間そのまま)、音源が \(v \to V\) に近づくほど \(\Delta t \to 0\)(直接音は瞬間的に届く)。
うなりの振動数は \(|f_1 - f_2|\)。継続時間は音の到達期間の重なり=短い方。移動音源では「ドップラーで波長が伸びる/縮む」と同じ理屈で「到達期間も伸びる/縮む」。
音源が時刻 \(0\) から速さ \(v\) で +x方向に等加速度運動を開始し、加速度 \(\alpha\) で時刻 \(\Delta a\) まで加速されたとする。終時刻の速度は \(v + \alpha\,\Delta a\)。これを \(v'\) と書く。
音波が追い抜かない条件を考える。時刻 \(t_1\) と \(t_2\)(\(t_1 < t_2\))に音源から出た直接音が観測者に同時に届いてしまうと、その間の音は「中断」して聞こえる。観測者位置を \(L\) とすると、時刻 \(t\) の直接音は時刻 \(t + (L - x_s(t))/V\) に観測者に届く。「観測者の到着時刻」が時刻 \(t\) の単調増加関数であるための条件は
$$ \frac{d}{dt}\!\left[t + \frac{L - x_s(t)}{V}\right] = 1 - \frac{v_s(t)}{V} > 0 $$ $$ v_s(t) < V \quad (\text{すべての } t \text{ で}) $$等加速度運動なら最大速度は終端の \(v' = v + \alpha\,\Delta a\)。よって観測者が中断なく聞ける条件は
$$ v + \alpha\,\Delta a < V \quad \Longleftrightarrow \quad v' < V $$音源速度が音速にちょうど等しくなった瞬間、その瞬間に出された音は音源と一緒に進むので、いつまでも音源の位置にとどまる(観測者には決して届かない)。さらに \(v_s > V\) になると、後の音波が前の音波を追い抜き、マッハ円錐(衝撃波面)ができる。観測者の位置にいつ音が届くかは「同時刻に複数到来 → 静寂 → 反対順で到来」という現象になる。
瞬時 Doppler 公式 \(f_\text{観} = Vf/(V - v_s)\) は \(v_s = V\) で発散する。この発散が「音波の重複」のサイン。分母が正であり続ける条件がそのまま \(v_s < V\)。
音源が音速を超えると 「観測者の音の到着時刻」が単調でなくなる ので中断が起きる。連続聴取の必要十分条件は \(v_s(t) < V\) がすべての時刻で成立。これは 瞬時 Doppler の分母正値性とも等価。
状況の整理:壁を取り除き、音源は原点 \(O\)(\(x = 0\))に静止している状態から、時刻 \(0\) を境に加速度 \(\alpha\)(\(\alpha > 0\))の等加速度運動を +x方向に始める。観測者は \(x = L\)(\(L > 0\))で静止。音源は時刻 \(0\) から振動数 \(f\) を出し続ける。音源は観測者の右側に到達することはない(観測者に追突する前を考える)。音源の速さは音速 \(V\) を超えない(設問(5) の条件下)。
時刻 \(t\) のとき音源は位置 \(x_s(t) = \dfrac{1}{2}\alpha t^2\) におり、ここから出た音は音速 \(V\) で +x方向に進む(音源の動きは音波の進み方に影響しない — 媒質基準)。観測者の位置 \(L\) まで距離 \(L - x_s(t)\) を音速で進むので、観測者がその音を聞く時刻は
$$ \tau = t + \frac{L - x_s(t)}{V} = t + \frac{L - \tfrac12 \alpha t^2}{V} $$瞬時ドップラー公式を導く。\(\tau\) を \(t\) の関数とみたとき、観測者の経過時間 \(\Delta\tau\) に対して音源が放出した波の数 は \(f \Delta t\)。観測者は \(\Delta\tau\) の間にこの \(f\Delta t\) 個の波を受け取るので、観測振動数は
$$ \bar f = f\,\frac{\Delta t}{\Delta\tau} = \frac{f}{\;d\tau/dt\;} $$\(d\tau/dt\) を計算する。
$$ \frac{d\tau}{dt} = 1 - \frac{1}{V}\frac{dx_s}{dt} = 1 - \frac{v_s(t)}{V} = 1 - \frac{\alpha t}{V} = \frac{V - \alpha t}{V} $$よって観測者が時刻 \(\tau\) に聞く振動数(音源が時刻 \(t\) に出した音)は
$$ \bar f = \frac{f}{(V - \alpha t)/V} = \frac{V f}{V - \alpha t} $$注意:音源は +x方向に動いている=観測者から見て遠ざかるので、\(v_s(t) = +\alpha t\) は後退速度。後退の場合 \(f_\text{観} = Vf/(V + |v_s|) = Vf/(V + \alpha t)\) が直感的に正しい。
↑式の符号をもう一度確認すると、観測者は音源より +x側(\(L > x_s\))にいて、音源は +x方向(観測者方向)に動いている → 実は接近。よって \(v_s\) は接近成分として扱うべきで、観測振動数は \(Vf/(V - v_s)\)(接近時の高音化公式)。これが上の式と一致する。
もし観測者が音源の 左側 にいる場合、音源の +x方向運動は「遠ざかる」ことになり、観測振動数は \(Vf/(V + \alpha t)\) と分母の符号が逆になる。問題文の設定(観測者は音源の右側)に合わせて答えを書く。
音源が時刻 \(t\) に出した音波の波頭は、時刻 \(\tau\) に位置 \(x_s(t) + V(\tau - t)\) にある。これが観測者位置 \(L\) と一致する条件 \(L = x_s(t) + V(\tau - t)\) より、\(\tau = t + (L - x_s(t))/V\)。
両辺を \(t\) で微分。
$$ \frac{d\tau}{dt} = 1 - \frac{v_s(t)}{V} $$観測者が単位時間あたりに受け取る波の数(観測振動数)は \(f \cdot dt/d\tau = f / (1 - v_s/V) = Vf/(V - v_s)\)。これが 瞬時ドップラー公式の正体。
等加速度なら \(\tau = t + (L - \tfrac12 \alpha t^2)/V\) は \(t\) の2次関数。これを \(t\) について解くと \(t\) が \(\tau\) の関数として書ける(解の公式で2次方程式を解く)。
$$ \alpha t^2 - 2V t + 2(V\tau - L) = 0 \;\Rightarrow\; t = \frac{V - \sqrt{V^2 - 2\alpha(V\tau - L)}}{\alpha} $$(負の符号を選ぶ理由:\(t < V/\alpha\) の根を採用)。観測者が時刻 \(\tau\) のときに直接聞く振動数 \(f_\text{観}(\tau)\) は \(Vf/(V - \alpha t(\tau))\) に上式を代入したもの。試験本番では \(t\) のまま答える方が簡潔。
等加速度音源のドップラーは 「瞬時 Doppler 公式 \(f_\text{観} = Vf/(V - v_s)\) に瞬時の \(v_s(t)\) を代入」 がすべて。観測時刻 \(\tau\) と放出時刻 \(t\) の対応は \(\tau = t + (L - x_s(t))/V\)。微分して \(d\tau/dt = 1 - v_s/V\) → 観測振動数は \(f/(d\tau/dt)\)。
節は「全ての時刻で変位が 0 となる点」。\(2A\sin(2\pi t/a)\cos(2\pi x/b)\) の式で、\(\sin(2\pi t/a)\) は時刻によって ±1 まで変化するので、これが 0 でない時刻を選んでも変位が 0 となるためには \(\cos(2\pi x/b)=0\) が必要。同じ結論に至る。
逆に \(\cos(2\pi x/b) = \pm 1\) の場所は腹(最大振幅 \(2A\))。腹の位置は \(x = 0, b/2, b\)(\(0 \le x \le b\))。図を描くと節と腹が交互に並んでいるのが分かる。
\((2n+1)b/4\) の差は \(b/2 = \lambda/2\)。これは 「定常波の節は半波長おきに並ぶ」 という普遍的な性質。腹と腹の間隔も同じ \(\lambda/2\)。腹と節の間隔は \(\lambda/4\)。この比は弦・気柱・電磁波すべてで共通。
正弦波の式から速さ \(v\)・周期 \(T\)・波長 \(\lambda\) を読み取るのは反射神経で。「\(t/a - x/b\)」は \(T=a, \lambda=b, v=b/a\)、+x方向。和積公式で 時間項 × 空間項 の形に分離 → cos の零点が節、cos の極値が腹。