この大問は、平行板コンデンサーの電場・電位・静電エネルギー(Ⅰ)→ 体積電荷(空乏層)が作る電場と電位分布(Ⅱ)→ pn接合ダイオード・光電変換(Ⅲ) という流れで、半導体デバイス(太陽電池・フォトダイオード)の動作原理に迫る、東大オープン特有の「現代物理に繋げるテーマ」問題である。
立式:平行板コンデンサー A₁B₁ の電気容量 \(C_0\) は、極板間隔 \(2d\)、面積 \(S\) より:
$$C_0 = \frac{\varepsilon_0 S}{2d}$$両極板の電圧 \(V_0\) は、与えられた電場 \(E = Q/(\varepsilon_0 S)\) に極板間隔 \(2d\) を掛けて:
$$V_0 = E \cdot 2d = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \cdot 2d = \frac{2 Q d}{\varepsilon_0 S}$$静電エネルギーの公式 \(U_E = \tfrac12 Q V\) に代入:
$$U_E = \frac{1}{2} Q V_0 = \frac{1}{2} \cdot Q \cdot \frac{2 Q d}{\varepsilon_0 S} = \frac{Q^2 d}{\varepsilon_0 S}$$念のため \(U_E = \tfrac{Q^2}{2 C_0}\) でも確認:
$$U_E = \frac{Q^2}{2 C_0} = \frac{Q^2}{2} \cdot \frac{2d}{\varepsilon_0 S} = \frac{Q^2 d}{\varepsilon_0 S} \quad \checkmark$$電場 \(E\) のエネルギー密度は \(u = \tfrac12 \varepsilon_0 E^2\)。電場が存在する体積 \(V_{\text{vol}} = S \cdot 2d\) を掛けて:
$$U_E = \frac{1}{2}\varepsilon_0 E^2 \cdot 2 S d = \varepsilon_0 \left(\frac{Q}{\varepsilon_0 S}\right)^2 S d = \frac{Q^2 d}{\varepsilon_0 S}$$同じ結果。電場が存在する「空間そのもの」にエネルギーが貯まっていると考えるのが現代的な見方。
\(U_E = \tfrac12 Q V = \tfrac12 C V^2 = \tfrac{Q^2}{2C}\) の 3 表式を使い分ける。\(Q\) と \(d\) が分かっていて \(C\) を計算するのが面倒なときは、電場 \(E\) と距離から \(V\) を求めて \(\tfrac12 QV\) を使うのが最速。
ここで問われているのは「B₁ の電位」(A₁ を基準とする)。Ⅰ(2) の原文では「極板 A₂ と B₂ を挿入した図 2-2 の配置で、A₁ に対する B₁ の電位」を求める形なので、各領域の電場を重ね合わせて積分する。
無限平板(面電荷密度 \(\sigma\))の両側の電場は \(E = \sigma/(2\varepsilon_0)\)。4 枚の極板 A₁ (\(+Q\))、A₂ (\(+Q/2\))、B₂ (\(-Q/2\))、B₁ (\(-Q\)) をそれぞれ独立に考え、重ね合わせの原理で各領域の電場を求める:
領域 A₁〜A₂(\(-d < x < -d/2\)):A₂B₂ は絶縁された独立対なので、A₂B₂ の外側では A₂B₂ 自身の電場は 0(+Q/2 と -Q/2 が両側同距離で打ち消す)。よって電場は A₁B₁ のみ:
$$E_1 = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \quad (\text{+x 向き})$$領域 A₂〜B₂(\(-d/2 < x < d/2\)):A₁B₁ の電場に加えて、A₂B₂ の内部電場(+Q/2 が作る)が加わる:
$$E_2 = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} + \frac{Q/2}{\varepsilon_0 S} = \frac{3 Q}{2 \varepsilon_0 S} \quad (\text{+x 向き})$$領域 B₂〜B₁(\(d/2 < x < d\)):A₁B₁ のみ(対称性から A₂B₂ の外側):
$$E_3 = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \quad (\text{+x 向き})$$A₁ に対する B₁ の電位 \(V_{B_1} - V_{A_1} = -\displaystyle\int_{-d}^{d} E(x)\, dx\):
$$V_{B_1} - V_{A_1} = -\left[E_1 \cdot \tfrac{d}{2} + E_2 \cdot d + E_3 \cdot \tfrac{d}{2}\right]$$ $$= -\left[\frac{Q}{\varepsilon_0 S} \cdot \frac{d}{2} + \frac{3Q}{2\varepsilon_0 S} \cdot d + \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \cdot \frac{d}{2}\right] = -\frac{5Q d}{2 \varepsilon_0 S}$$4 枚の無限平板を独立に扱い、各点で場のベクトル和を取る。各平板は自分自身の両側に \(\sigma/(2\varepsilon_0)\) の電場を作る(正電荷は外向き、負電荷は内向き)。絶縁された A₂B₂ は内部でのみ \(\sigma/\varepsilon_0 = Q/(2\varepsilon_0 S)\) の電場を作り、外部では相殺する。
「絶縁された内部コンデンサー対(A₂B₂)」は、その内部でのみ電場を追加し、外部では電場を作らない。これが等価回路での直列コンデンサーと見なせる由縁。
(3) A₁ と A₂ の電位差:領域 \(-d \le x \le -d/2\) の幅 \(d/2\) に電場 \(E_1 = Q/(\varepsilon_0 S)\) が一様にかかる:
$$V_{A_1} - V_{A_2} = E_1 \cdot \frac{d}{2} = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \cdot \frac{d}{2} = \frac{Q d}{2 \varepsilon_0 S}$$(4) A₂ と B₂ の電位差:領域 \(-d/2 \le x \le d/2\) の幅 \(d\) に電場 \(E_2 = 3Q/(2\varepsilon_0 S)\) が一様にかかる:
$$V_{A_2} - V_{B_2} = E_2 \cdot d = \frac{3 Q}{2 \varepsilon_0 S} \cdot d = \frac{3 Q d}{2 \varepsilon_0 S}$$念のため B₂ と B₁ の電位差:
$$V_{B_2} - V_{B_1} = E_3 \cdot \frac{d}{2} = \frac{Q d}{2 \varepsilon_0 S}$$3 つの合計:\(\frac{Q d}{2\varepsilon_0 S} + \frac{3 Q d}{2\varepsilon_0 S} + \frac{Q d}{2\varepsilon_0 S} = \frac{5 Q d}{2\varepsilon_0 S}\)(前問 Ⅰ(2) の答えと一致 ✓)。
シム上のグラフが示すように、V(x) は各領域で一次関数(直線)。傾きの絶対値は電場の強度で、A₂B₂ の間(中央)だけ傾きが急になる。領域を渡るときの「折れ」が、A₂B₂ の存在による場の強化を視覚化している。
複数の絶縁コンデンサーを直列に並べた系では、各領域の電場は重ね合わせで、電位差は各領域での電場 × 幅の和として計算する。検算は「全領域の合計 = 全体の電位差」で行う。
立式:スイッチを閉じると A₂ と B₂ が導線で繋がる。最終的に A₂ と B₂ は等電位。総電荷は A₂ と B₂ で保存:\(Q_{A_2} + Q_{B_2} = Q/2 + (-Q/2) = 0\)。対称性と「等電位」条件から \(Q_{A_2} = Q_{B_2}\) としたいが、これでは 2 つの極板が同じ符号になる。
重ね合わせで電位差を計算:A₂ から B₂ への電位差は A₁B₁ の作る電場による \(E_0 = Q/(\varepsilon_0 S)\) で距離 \(d\) を横切る分と、A₂B₂ の内部電場による分:
A₂ の電荷を \(+q\)、B₂ の電荷を \(-q\) とおく(電荷保存の制約)。中央領域の電場:
$$E_{\text{mid}} = \frac{Q}{\varepsilon_0 S} + \frac{q}{\varepsilon_0 S}$$A₂ と B₂ の電位差:
$$V_{A_2} - V_{B_2} = E_{\text{mid}} \cdot d = \frac{(Q + q) d}{\varepsilon_0 S}$$導線で繋がれた平衡状態では \(V_{A_2} = V_{B_2}\):
$$\frac{(Q + q) d}{\varepsilon_0 S} = 0 \quad \Longrightarrow \quad q = -Q$$ところが \(q = -Q\) は「A₂ は \(-Q\)、B₂ は \(+Q\)」を意味し、極板の電荷が反転してしまう。これは絶縁された A₂B₂ 対での電荷再分配では不可能(電荷保存に加えて、A₂B₂ 間の絶縁条件も必要)。
正しい扱いは「A₂ と B₂ の総電荷 = 0(電荷保存)かつ両者が等電位になるよう、A₂B₂ 間の電場が A₁B₁ の電場を打ち消す」。A₂ の電荷を \(+q_a\)、B₂ の電荷を \(-q_a\)(対称なため。絶縁された対の電荷は元の ±Q/2 から独立に変化)としたとき:
$$\frac{Q}{\varepsilon_0 S} + \frac{q_a}{\varepsilon_0 S} = 0 \quad \Longrightarrow \quad q_a = -Q$$これは A₂ が \(-Q\)、B₂ が \(+Q\) を持つことを意味し、A₁ (+Q) と A₂ (-Q) が向かい合う。正の電荷は A₂ → B₂ へ流れ、元の A₂(+Q/2) から見て \(Q/2 - (-Q) = 3Q/2\) の正電荷が A₂ から B₂ へ移動したことになる。
A₁B₁ の間には元々 \(+x\) 向きの強い電場 \(Q/(\varepsilon_0 S)\) がある。この電場を打ち消すには、A₂B₂ の間に \(-x\) 向きの電場が必要で、それは A₂ が負、B₂ が正の電荷配置に対応する。A₂B₂ を導線で繋いだ瞬間、A₁ から伸びる電気力線を A₂ が受け止め、B₁ から伸びる電気力線を B₂ が発射する形に再分配される。結果、A₂ は \(-Q\)、B₂ は \(+Q\) となり、A₂〜B₂ 間の電場は 0 になる。
「導線で結ばれた 2 つの極板」が等電位になる条件は、その間の電場の線積分が 0になること。外部からの既存電場(A₁B₁ の場)を打ち消すように、内側の極板の電荷が再配置される。
(6) A_k と A_{k+1} 間の電場:ガウスの法則を「極板全体を覆う箱」に適用する。極板 A₁ より外側(\(x < -d\))では、系全体の電荷が中性(\(n \cdot Q/n - n \cdot Q/n = 0\))なので電場は 0。そこから A_k と A_{k+1} の間まで来たとき、エンクローズされているのは A₁, A₂, …, A_k の \(k\) 枚のみ。各極板の電荷は \(+Q/n\)。
ガウス面を「左から x = −∞、右は A_k〜A_{k+1} 間」にとり、左側の電場 = 0、右側は +x 向きに \(E\):
$$E \cdot S = \frac{1}{\varepsilon_0} \cdot k \cdot \frac{Q}{n}$$ $$E_k = \frac{k Q}{n \varepsilon_0 S}$$(7) B₁ に対する A₁ の電位:各領域での電場と幅を掛けて、A₁ から B₁ まで和を取る。領域ごとの電場を整理:
A₁ から B₁ までの電位差の和:
$$V_{A_1} - V_{B_1} = \sum_{k=1}^{n-1} E_k \cdot \frac{d}{n} + E_n \cdot \frac{2d}{n} + \sum_{k=1}^{n-1} E_k \cdot \frac{d}{n}$$ $$= 2 \sum_{k=1}^{n-1} \frac{k Q}{n \varepsilon_0 S} \cdot \frac{d}{n} + \frac{Q}{\varepsilon_0 S} \cdot \frac{2d}{n}$$\(\sum_{k=1}^{n-1} k = \dfrac{(n-1)n}{2}\) を用いて:
$$= \frac{2 Q d}{n^2 \varepsilon_0 S} \cdot \frac{(n-1)n}{2} + \frac{2 Q d}{n \varepsilon_0 S}$$ $$= \frac{(n-1) Q d}{n \varepsilon_0 S} + \frac{2 Q d}{n \varepsilon_0 S} = \frac{(n+1) Q d}{n \varepsilon_0 S}$$\(n \to \infty\) では \(V_{A_1} - V_{B_1} \to Q d / (\varepsilon_0 S)\)(ちょうど A₁B₁ 間の半分の電位差)。これは電荷を空間的に均一に塗り広げた極限であり、実は次の問 Ⅱ で扱う「空乏層」の状態そのもの。多数の薄い極板=連続的な体積電荷、というアナロジーがここで繋がる。
多数の帯電極板を並べた系では、ガウスの法則で領域ごとの電場を求め、等差数列の和で電位差を計算する。\(\sum k = n(n-1)/2\) の公式は頻出。
空欄ア〜エの選択:
ア:領域 \(-d \le x \le -a\)(\(0 < a < d\))を考える。ここで位置 \(x = a\)(負の \(x\) 領域の点)の電場 \(E(a)\)(ここの問題文の \(a\) は「大きさ a で負の位置 \(-a\) にある点」を指す模様)。ガウス面を \(x = -a\) にとり、左側(\(-d \le x' \le -a\))にある +ρ の絶縁板部分の電荷を計算:
円柱状のガウス箱(断面 \(S\)、長さ \(d - a\))に +ρ が詰まっているので、内部電荷 \(= \rho S (d-a)\)。外部(\(x < -d\))では電場 0 なので、ガウス面を貫く電束 \(= E \cdot S\):
$$E(a) \cdot S = \frac{\rho S (d - a)}{\varepsilon_0} \quad \Longrightarrow \quad E(a) = \frac{\rho (d - a)}{\varepsilon_0}$$これは正の値(+x 向き)。選択肢として ア = ② が対応(\(\rho(d-a)/\varepsilon_0\)、+x 向き)。
イ:領域 \(-a \le x \le a\)(空乏層の中心部)での電場 \(E(q)\)。ガウス面を \(x = q\) にとり、左側(\(-d \le x' \le q\))の +ρ 電荷を計算。+ρ の全幅は \(-d \le x' \le 0\) で、この範囲内に \(q\) が含まれる(\(-a \le q \le 0\))か、または \(q > 0\) の場合は +ρ 全体(幅 \(d\) × 断面 \(S\))が全て左側にある。
ここで \(-a \le q \le 0\) の場合:左側にある +ρ は \(-d \le x' \le q\)、体積 \(S(q + d)\)、電荷 \(+\rho S (q + d)\)。\(E(q) = \rho(q + d)/\varepsilon_0\)。
\(0 \le q \le a\) の場合:左側に +ρ 全部(電荷 \(+\rho S d\))、+ \(-\rho\) の一部(\(0 \le x' \le q\)、電荷 \(-\rho S q\))。合計:
$$E(q) = \frac{\rho S d - \rho S q}{\varepsilon_0 S} = \frac{\rho (d - q)}{\varepsilon_0}$$対称性と電場が端で 0 になる条件から、イ = ④(\(\rho(d - |q|)/\varepsilon_0\)、+x 向き、電場の大きさが \(|q|\) に応じて変化)。
ウ:同じく領域 \(-a \le x \le a\) での電場のグラフ。前の結果から、\(-d \le x \le 0\) では \(E = \rho(x+d)/\varepsilon_0\)(直線、0 から \(\rho d/\varepsilon_0\) へ増加)、\(0 \le x \le d\) では \(E = \rho(d-x)/\varepsilon_0\)(直線、\(\rho d/\varepsilon_0\) から 0 へ減少)。全体で三角形(中央最大)。ウ = ⑤(三角波の電場グラフ)。
エ:位置 \(x = -d\) での電位 \(V(-d)\)。\(x = -d\) で電場は 0。\(x > d\) 側を基準(電位 0)として、電場 \(E(x)\) を \(-\displaystyle\int_{-d}^{\infty} E\, dx\) ではなく、\(+d\) から \(-d\) に向かって積分する:
$$V(-d) - V(d) = -\int_{d}^{-d} E\, dx = \int_{-d}^{d} E(x)\, dx$$電場の積分は三角形の面積 = \(\tfrac12 \cdot 2d \cdot \rho d/\varepsilon_0 = \rho d^2 /\varepsilon_0\)。エ = ⑦(\(\rho d^2/\varepsilon_0\)、正の値、空乏層両端の電位差)。
Ⅱ (1) 空間の両端部の電位差 \(V_0\):\(V_0 = V(-d) - V(d) = \displaystyle\int_{-d}^{d} E(x)\, dx\)。電場 \(E(x)\) のグラフは三角形で最大値 \(\rho d/\varepsilon_0\)、底辺 \(2d\):
$$V_0 = \frac{1}{2} \cdot 2d \cdot \frac{\rho d}{\varepsilon_0} = \frac{\rho d^2}{\varepsilon_0}$$一次元ガウスの法則:\(\dfrac{dE}{dx} = \dfrac{\rho(x)}{\varepsilon_0}\)。\(-d \le x \le 0\) で \(\rho(x) = +\rho\)、\(0 \le x \le d\) で \(\rho(x) = -\rho\)、外側で 0。境界条件 \(E(-d) = 0\)(外部で場 0)から積分:
$$E(x) = \begin{cases} \rho(x+d)/\varepsilon_0 & (-d \le x \le 0) \\ \rho(d-x)/\varepsilon_0 & (0 \le x \le d) \\ 0 & (x \le -d \text{ or } x \ge d) \end{cases}$$電位は電場の積分:\(V(x) = -\displaystyle\int E\, dx\)。\(V(d) = 0\) を基準にとると、放物線を 2 枚繋いだ形になる。
一様体積電荷 \(\rho\) が作る電場の変化率は \(dE/dx = \rho/\varepsilon_0\)(微分形ガウス)。空乏層では電場は三角形、電位は放物線を 2 枚繋ぎ合わせた形になる。
(1) 空間両端の電位差:Ⅱ(1) と同じ計算:\(V_0 = \dfrac{\rho d^2}{\varepsilon_0}\)(n 側が高電位、p 側が低電位)。
(2) スイッチ S の接続先:図 2-7 で、pn 接合に順方向電圧を加えると電流が流れるが、逆方向だと空乏層が広がり電流は流れない(ダイオードの整流作用)。「電流が流れない」とあるので逆バイアス。n 型側を電池の高電位に、p 型側を低電位にする接続、つまりS を a に接続(回路図より、a 側は n 型 に V_B の正端子がつながる配置)。
(3) 抵抗 R を通過する電気量:光照射でエネルギー \(\hbar\omega\) を持つ光子が電子・正孔ペアを作る。単位時間あたり 1 個ペアが生成され、空乏層の電場で分離される。電子は n 側へ、正孔は p 側へ移動し、外部回路(R)を通って 1 個の電子が流れる。
時間 \(t\) の間に \(t\) 個のペアが生成される。外部回路を流れる電気量:
$$Q_R = e \cdot t \cdot (\text{ペア数/秒}) = e \cdot t$$問題が「半導体内で単位時間あたり 1 個のペア」としていれば、時間 \(t_0\) の間に流れる電気量は \(Q_R = e t_0\)。
(4) 抵抗 R を流れる電流の向き・大きさ:
向き:空乏層の内部電場は \(+x\)(n → p)。生成した電子は \(-x\) 向きに(電場と逆に)力を受け n 側に行き、正孔は \(+x\) 向きに p 側に行く。外部回路では、n 側の電極から流出した電子が R を通って p 側電極に入る → 電流は p 側電極から R を通って n 側電極へ(図 2-8 で c の向き)。
大きさ:単位時間あたり 1 個のペア生成、各ペアから電子 1 個が外部を流れるので:
$$I = e \times (\text{ペア数/秒}) = e \text{ [A](秒あたり1個ペア時)}$$より一般に、ペア生成率を \(n_{\text{rate}}\) [1/s] とすると \(I = e n_{\text{rate}}\)。
ここで扱ったのはまさに太陽電池(光電池)の原理。空乏層の内部電位差 \(V_0\) が出力電圧の上限を決め、光子 1 個につき電子 1 個しか生成できない(ショックレー・クワイサー限界)。実際のシリコン太陽電池の変換効率は理論最大 33% 程度。
\(V_0\) が大きいほど出力電圧は大きくなるが、空乏層を広げる必要があり光吸収率とのトレードオフ。また、\(V_0\) は半導体のバンドギャップ(シリコンで 1.1 eV)で決まり、可視光(1.8〜3 eV)のエネルギーの一部しか使えない。
pn 接合の空乏層内部電場が、光で生成した電子・正孔ペアを分離して電流を作る — これが太陽電池・フォトダイオードの原理。外部回路では p 型電極 → 抵抗 → n 型電極の向きに電流が流れる(順バイアス時とは逆)。電気量は光子数(=生成ペア数)× 素電荷 \(e\)。