単原子分子理想気体1 mol に対して、4つの状態変化(A→B→C→D→A)を繰り返すサイクルを考えます。\(p\text{-}V\) 図上で各状態と過程を正確に把握することが重要です。
状態Aにおける圧力を \(p_A\)、体積を \(V_A\) とし、状態Bにおける圧力を \(p_B\)、体積を \(V_B\) とします。
このサイクルは古典的な熱機関のサイクルの一種です。各過程で状態方程式・第一法則・断熱条件を適切に使い分ける力が問われます。
状態Aにおける気体の圧力を \(p_A\)、体積を \(V_A\) とし、状態Bにおける圧力を \(p_B\)、体積を \(V_B\) とします。
理想気体の状態方程式(1 mol):
$$ p_A V_A = RT_A, \quad p_B V_B = RT_B $$よって \(p_A\) を \(p_B\), \(V_A\), \(V_B\) で表すと、A→Bは等温変化なので \(T_A = T_B\):
$$ p_A V_A = p_B V_B $$ $$ p_A = \frac{p_B V_B}{V_A} $$等温変化ではボイルの法則 \(pV = \text{const}\) が成り立ちます。
A→B は等温変化なので \(T_A = T_B \equiv T\) です。
状態方程式から(1 mol):
$$ T_A = \frac{p_A V_A}{R} $$問1の結果 \(p_A = \frac{p_B V_B}{V_A}\) を代入すると:
$$ T_A = \frac{p_B V_B}{R} $$同様に状態Bから直接:
$$ T_B = \frac{p_B V_B}{R} $$B→C は断熱変化なので、ポアソンの関係式:
$$ T_B V_B^{\gamma-1} = T_C V_C^{\gamma-1} $$単原子分子では \(\gamma = \frac{5}{3}\) なので \(\gamma - 1 = \frac{2}{3}\):
$$ T_C = T_B \left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{2/3} $$状態Bの温度 \(T_B = \frac{p_B V_B}{R}\) を代入すると:
$$ T_C = \frac{p_B V_B}{R}\left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{2/3} $$断熱変化のもう一つの表現 \(pV^{\gamma} = \text{const}\) を使うこともできます:
$$ p_B V_B^{5/3} = p_C V_C^{5/3} $$ $$ p_C = p_B \left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{5/3} $$これを状態方程式に代入して \(T_C = p_C V_C / R\) を求めても同じ結果が得られます:
$$ T_C = \frac{p_B}{R}\left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{5/3} V_C = \frac{p_B V_B}{R}\left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{2/3} $$断熱変化の関係式には3つの表現があります:\(TV^{\gamma-1}\)、\(pV^{\gamma}\)、\(T^{\gamma}p^{1-\gamma}\) のいずれも定数。問題の条件(どの量が与えられているか)に応じて使い分けましょう。
C→D は定圧変化なので \(p_D = p_C\) です。D→A は定積変化なので \(V_D = V_A\) です。
問題文では状態Dの温度 \(T_D\) を \(p, V_A, V_B, V_C\) のうち必要な記号で表すことが求められています。
状態Dの状態方程式:
$$ T_D = \frac{p_D V_D}{R} = \frac{p_C V_A}{R} $$ここで \(p_C\) は断熱変化の結果から:
$$ p_C = p_B \left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{5/3} $$したがって:
$$ T_D = \frac{p_B V_A}{R}\left(\frac{V_B}{V_C}\right)^{5/3} $$問題文の指定する形式(\(X\) と \(Y\))として \(T_D = XT_A + YT_C\) の形にするなら:
状態方程式から:
$$ T_D = \frac{p_C V_A}{R} $$\(p_C = \frac{RT_C}{V_C}\) を代入:
$$ T_D = \frac{T_C V_A}{V_C} $$定圧変化では \(V/T = \text{const}\)(シャルルの法則)、定積変化では \(p/T = \text{const}\) が成り立ちます。これらの関係を組み合わせて未知の状態量を求めます。
D→A は定積変化(\(V_D = V_A\))なので、気体がする仕事は \(W = 0\) です。
熱力学第一法則 \(Q = \Delta U + W\) より:
$$ Q_{D \to A} = \Delta U = \frac{3}{2}R(T_A - T_D) $$問題文では「状態Dから状態Aに戻る際に気体が放出した熱量 \(Q_2\)」を求めています。D→Aでは温度が上昇(\(T_D < T_A\)、なぜなら \(p_D < p_A\) で定積のため)するので、気体は熱を吸収します。
しかし問題の設定を確認すると、D→A は定積変化で圧力が増加する過程(\(p_D \to p_A\)、\(p_A > p_D\))なので温度も上昇し、気体は熱を吸収します。
問題文の表現を \(Q_2 = \alpha Q_1 + \beta T\) の形で求めるなら:
$$ Q_{D \to A} = \frac{3}{2}R(T_A - T_D) $$ここで \(T_A = \frac{p_B V_B}{R}\) なので:
$$ Q_{D \to A} = \frac{3}{2}(p_B V_B - RT_D) = \frac{3}{2}(p_B V_B - p_C V_A) $$サイクル1周で内部エネルギーは元に戻るので \(\Delta U_{\text{cycle}} = 0\) です。したがって:
$$ Q_{\text{total}} = W_{\text{total}} $$各過程の仕事:
これらの合計がサイクルの正味仕事(\(p\text{-}V\) 図の囲む面積)になります。
定積変化では \(W = 0\) なので \(Q = \Delta U = nC_V \Delta T\) です。単原子分子では \(C_V = \frac{3}{2}R\) を使います。
C→D は定圧変化なので、シャルルの法則:
$$ \frac{V_C}{T_C} = \frac{V_D}{T_D} = \frac{V_A}{T_D} $$ $$ T_D = T_C \cdot \frac{V_A}{V_C} $$D→A は定積変化(\(V_D = V_A\))なので:
$$ \frac{p_D}{T_D} = \frac{p_A}{T_A} $$また \(p_D = p_C\)(定圧変化)で、\(p_A = \frac{p_B V_B}{V_A}\)(問1)なので:
$$ T_D = \frac{p_C V_A}{p_A} T_A = \frac{p_C V_A}{\frac{p_B V_B}{V_A}} T_A = \frac{p_C V_A^2}{p_B V_B} T_A $$\(p_C = \frac{RT_C}{V_C}\) と \(p_B = \frac{RT_B}{V_B}\) を代入:
$$ T_D = \frac{\frac{T_C}{V_C} \cdot V_A^2}{\frac{T_B}{V_B} \cdot V_B} T_A = \frac{T_C V_A^2}{V_C T_B} \cdot T_A \cdot \frac{V_B}{V_B} $$より直接的に、\(T_D = T_C \cdot \frac{V_A}{V_C}\) と表せます。ここで \(V_A/V_C\) を \(T_A, T_B, T_C\) で書き換えたいのですが、
A→B等温:\(p_A V_A = p_B V_B\) で \(T_A = T_B\)
B→C断熱:\(T_B V_B^{2/3} = T_C V_C^{2/3}\) つまり \(\frac{V_B}{V_C} = \left(\frac{T_C}{T_B}\right)^{3/2}\)
A→B等温:\(\frac{V_A}{V_B} = \frac{p_B}{p_A}\) なので \(V_A = V_B \cdot \frac{p_B}{p_A}\)。ただし \(p_A, p_B\) を温度だけで書くのは困難(\(p\) と \(V\) が独立変数)。
結論として、\(T_D = T_C \cdot \frac{V_A}{V_C}\) が最も簡潔な表現であり、\(V_A/V_C\) は一般には温度だけでは書けません(体積の情報が必要)。
状態Cと状態Dの状態方程式を比較します(定圧変化 \(p_C = p_D\)):
$$ p_C V_C = RT_C, \quad p_C V_A = RT_D $$辺々割ると:
$$ \frac{V_A}{V_C} = \frac{T_D}{T_C} $$ $$ T_D = \frac{V_A}{V_C} T_C $$これは定圧変化のシャルルの法則そのものです。
サイクル問題では、各過程の特性(等温・断熱・定圧・定積)を正しく適用し、状態量を順に求めていくことが大切です。特に断熱変化の指数関係は計算ミスしやすいので注意しましょう。