大問1:力学(斜面上の2物体・摩擦・衝突・エネルギー)

解法の指針

あらい斜面上に、上に物体 A(質量 $m$)、下に物体 B(質量 $M$)が距離 $l$ をへだてて置かれています。A がすべり下りて B に衝突し、B がそのまま点 O まですべり下りる――という「摩擦・斜方運動・衝突・エネルギー」を一気通貫で問う総合問題です。

問題の構成

全体を貫くポイント

問1 (1):A にはたらく垂直抗力

直感的理解
斜面の上では、重力 $mg$ は「斜面に押しつける向き($\cos\theta$ 成分)」と「斜面に沿って下る向き($\sin\theta$ 成分)」に分かれる。斜面が押し返す力(垂直抗力)は押しつける成分とつり合うので、$mg\cos\theta$ になる。

立式:斜面に垂直な方向で力のつり合いを考えます。物体 A にはたらく重力 $mg$ の斜面に垂直な成分は $mg\cos\theta$ で、これが垂直抗力 $N$ とつり合います。

$$N = mg\cos\theta$$

数値で確認:仮に $m = 2.0\ \text{kg}$, $\theta = 60^\circ$, $g = 9.8\ \text{m/s}^2$ とすると、$\cos 60^\circ = 0.50$ なので

$$N = 2.0 \times 9.8 \times 0.50 = 9.8\ \text{N}$$
答え (1):
$$N = mg\cos\theta$$
Point

垂直抗力は重力の「斜面に押しつける成分」とつり合う。$\cos\theta$ と $\sin\theta$ を取り違えないこと。スライダーで $\theta$ を $90^\circ$ に近づけると $N \to 0$(壁を滑り落ちる状況)になるのを確認しよう。

問1 (2)(3):静止摩擦力と動摩擦力

直感的理解
止まっているときの摩擦(静止摩擦)は「ちょうど動かないように必要なだけ」はたらく――つまり斜面を下ろうとする力 $mg\sin\theta$ とつり合う分だけ。いっぽうすべり出した瞬間からの摩擦(動摩擦)は係数で決まる一定値 $\dfrac{\mu}{2}mg\cos\theta$ に切りかわる。

(2) 静止摩擦力:A が静止している間、斜面方向の力のつり合いが成り立ちます。斜面を下ろうとする重力成分 $mg\sin\theta$ を、静止摩擦力 $f$ が斜面上向きに支えています。

$$f = mg\sin\theta \quad (\text{斜面上向き})$$

静止摩擦力は「最大静止摩擦力 $\mu mg\cos\theta$」ではなく、つり合いに必要なだけの大きさになる点に注意します。

(3) 動摩擦力:A がすべり下りているときは動摩擦力にかわります。動摩擦係数は $\dfrac{\mu}{2}$ なので、垂直抗力 $N = mg\cos\theta$ を用いて

$$f_d = \frac{\mu}{2}\,N = \frac{\mu}{2}\,mg\cos\theta$$

数値で確認:$m=2.0\ \text{kg}$, $\theta=60^\circ$, $\mu=0.80$ とすると $\cos60^\circ=0.50$ なので

$$f_d = \frac{0.80}{2}\times 2.0\times 9.8\times 0.50 = 3.9\ \text{N}$$
答え:
(2) $f = mg\sin\theta$(斜面上向き)
(3) $f_d = \dfrac{\mu}{2}mg\cos\theta$
補足:静止摩擦力と最大静止摩擦力のちがい

静止摩擦力は $0$ から最大値 $\mu N$ までの間で「必要なだけ」変化します。いま外力を加えていない静止状態では、斜面を下ろうとする $mg\sin\theta$ をちょうど打ち消す値になり、$f = mg\sin\theta$ です。これが最大静止摩擦力 $\mu mg\cos\theta$ に達した瞬間にすべり出します。

Point

「静止摩擦=つり合いで決まる量」「動摩擦=係数×垂直抗力の一定値」。動き出すと摩擦は $mg\sin\theta$ から $\dfrac{\mu}{2}mg\cos\theta$ に切りかわり、ふつう小さくなる。シムで矢印の長さが変わるのを確認しよう。

問2 (4):すべり出す条件から μ を決定

直感的理解
「無視できるほど小さな力でちょうど動き出した」――これは、すでに摩擦が限界(最大静止摩擦力)ぎりぎりで踏ん張っていたという意味。つまり下ろうとする力と最大静止摩擦力がちょうど等しい。この“すべり出す瞬間”の天秤から $\mu$ が決まる。

立式:すべり出す限界では「斜面方向の重力成分」と「最大静止摩擦力」が等しくなります。$N = mg\cos\theta$ を用いて、

$$mg\sin\theta = \mu \, mg\cos\theta$$

両辺を $mg\cos\theta$ で割ると $\mu = \tan\theta$ となります。$\theta = \dfrac{\pi}{6}$ なので、

$$\mu = \tan\frac{\pi}{6} = \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{3}$$
答え (4):
$$\mu = \frac{1}{\sqrt{3}}\;\left(=\frac{\sqrt{3}}{3} \fallingdotseq 0.58\right)$$
補足:なぜ「無視できるほど小さな力」が手がかりになるのか

もし $\mu mg\cos\theta > mg\sin\theta$ なら、A を動かすには有限の大きさの力が必要です。ところが「無視できるほど小さな力」でちょうど動き出したということは、$\mu mg\cos\theta$ と $mg\sin\theta$ がすでにほぼ等しかったことを意味します。よって $\mu mg\cos\theta = mg\sin\theta$ とおけ、$\mu = \tan\theta$ が確定します。

Point

「ちょうど動き出す」という言葉は「最大静止摩擦=下る力」のサイン。$\mu = \tan\theta$ は摩擦の限界角(安息角)の関係そのもの。スライダーで2本の棒の高さが一致する角度を探すと $\tan\theta = \mu$ が見える。

問2 (5)(6):衝突までの時刻と速さ

直感的理解
すべり出した A は、下る重力成分から動摩擦力を引いた分だけ加速する「等加速度直線運動」。スタートからゴール(B の位置)まで距離 $l$ を走るので、等加速度運動の式から時刻と速さが一発で出る。赤い速度矢印がどんどん伸びるのを見よう。

加速度を求める:$\theta=\dfrac{\pi}{6}$ で $\sin\theta=\dfrac12,\ \cos\theta=\dfrac{\sqrt3}{2}$、動摩擦係数は $\dfrac{\mu}{2}=\dfrac{1}{2\sqrt3}$ です。A の運動方程式(斜面下向きを正)は

$$ma = mg\sin\theta - \frac{\mu}{2}mg\cos\theta$$

右辺を計算すると、$mg\sin\theta = \dfrac12 mg$、動摩擦力 $=\dfrac{1}{2\sqrt3}\cdot mg\cdot\dfrac{\sqrt3}{2}=\dfrac14 mg$ なので、

$$ma = \frac12 mg - \frac14 mg = \frac14 mg \quad\Rightarrow\quad a = \frac{g}{4}$$

(5) 衝突までの時刻:初速 $0$ の等加速度直線運動で距離 $l$ 進むので、$l=\dfrac12 a t^2$ より

$$l = \frac12\cdot\frac{g}{4}\,t^2 = \frac{g}{8}t^2 \quad\Rightarrow\quad t = \sqrt{\frac{8l}{g}} = 2\sqrt{\frac{2l}{g}}$$

(6) 衝突直前の速さ:$v=at$ に代入します。

$$v = \frac{g}{4}\cdot 2\sqrt{\frac{2l}{g}} = \frac{g}{2}\sqrt{\frac{2l}{g}} = \sqrt{\frac{g^2}{4}\cdot\frac{2l}{g}} = \sqrt{\frac{gl}{2}}$$
答え:
(5) $t = 2\sqrt{\dfrac{2l}{g}}$ 〔s〕
(6) $v = \sqrt{\dfrac{gl}{2}}$ 〔m/s〕
別解:(6) はエネルギー保存で直接求める

A が距離 $l$ すべる間に、重力がする仕事 $mg\sin\theta\cdot l$ から動摩擦の仕事 $\dfrac{\mu}{2}mg\cos\theta\cdot l$ を引いた分が運動エネルギーになります。$\dfrac12 mv^2 = \left(\dfrac12 mg - \dfrac14 mg\right)l = \dfrac14 mgl$ より、

$$v^2 = \frac{gl}{2} \quad\Rightarrow\quad v = \sqrt{\frac{gl}{2}}$$

時間を経由せず速さだけ欲しいときはこちらが速い。

Point

まず加速度 $a=\dfrac{g}{4}$ を運動方程式で確定 → あとは初速 $0$ の等加速度公式 $l=\dfrac12 at^2$, $v=at$ に乗せるだけ。$\sin\theta,\cos\theta$ の代入と $\dfrac{\mu}{2}$ の使用を丁寧に。

問2 (7):衝突直後の B の速さ

直感的理解
衝突は一瞬なので、その間の重力・摩擦は無視できる。だから「ぶつかる前の A の勢い」がそのまま「ぶつかった後の B の勢い」に移る――運動量保存。A はピタッと止まり、その運動量を丸ごと B が受け取る。

立式:衝突は十分短く、その間の重力・摩擦は無視できます。よって斜面方向の運動量保存が成り立ちます。衝突前は A が速さ $v$、B は静止。衝突後は A が静止、B が速さ $V_B$。

$$mv + M\cdot 0 = m\cdot 0 + M V_B$$

$V_B$ について解くと、

$$V_B = \frac{m}{M}\,v$$

(6) で求めた $v=\sqrt{\dfrac{gl}{2}}$ を代入します。

$$V_B = \frac{m}{M}\sqrt{\frac{gl}{2}}$$
答え (7):
$$V_B = \frac{m}{M}\sqrt{\frac{gl}{2}}\;\;\text{〔m/s〕}$$
補足:「A が静止する」という条件の効き方

一般の衝突では衝突後の両者の速度は反発係数 $e$ によって決まりますが、本問は「A が静止し B が動き出した」と結果が与えられているため、運動量保存の1本だけで $V_B$ が決まります。$M>m$ なので $V_B

Point

「衝突時間が十分短い → その間の重力・摩擦は無視 → 運動量保存」が定石。A が静止する条件のおかげで保存則1本で解ける。$M>m$ だから $V_B

問2 (8):B が等速になることから動摩擦係数

直感的理解
B が「等速直線運動」=速さが変わらない=合力ゼロ。つまり下る重力成分と動摩擦力がちょうど打ち消し合っている。この天秤から B 側の動摩擦係数が求まる。

立式:B が等速直線運動するということは、斜面方向の合力が $0$ ということです。B の動摩擦係数を $\mu_B$ とおくと、斜面方向(B の質量 $M$)について、

$$Mg\sin\theta = \mu_B\, Mg\cos\theta$$

両辺を $Mg\cos\theta$ で割って、

$$\mu_B = \tan\theta = \tan\frac{\pi}{6} = \frac{1}{\sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3}}{3}$$
答え (8):
$$\mu_B = \frac{1}{\sqrt{3}}\;\left(=\frac{\sqrt{3}}{3}\right)$$
補足:質量 M が消えること・A の係数との比較

等速条件 $Mg\sin\theta=\mu_B Mg\cos\theta$ では両辺に $M$ が共通なので消え、$\mu_B=\tan\theta$ と質量によらない結果になります。偶然にも A のすべり出しの静止摩擦係数 $\mu=\tan\theta$ と同じ値になりますが、A は「動き出すと係数が $\mu/2$ に下がって加速」したのに対し、B は「動摩擦係数がちょうど $\tan\theta$ なので加速も減速もせず等速」という、別々の物理状況である点に注意します。

Point

「等速直線運動 = 合力ゼロ」。下る力と動摩擦が完全につり合うので $\mu_B=\tan\theta$。質量 $M$ は両辺で消える。

問3 (9):B が点 O に達するまでの全所要時間

直感的理解
全体の時間は2つに分かれる。前半は「A が距離 $l$ をすべって B にぶつかるまで(等加速度)」、後半は「B が距離 $d$ を等速ですべって O に着くまで」。前半は (5) で出ているので、後半を出して足すだけ。

前半 $t_1$(A が $l$ をすべる時間):(5) の結果より、

$$t_1 = 2\sqrt{\frac{2l}{g}}$$

後半 $t_2$(B が $d$ を等速で進む時間):B は速さ $V_B=\dfrac{m}{M}\sqrt{\dfrac{gl}{2}}$ の等速直線運動。距離 $d$ を進む時間は $t_2 = \dfrac{d}{V_B}$ です。

$$t_2 = \frac{d}{\dfrac{m}{M}\sqrt{\dfrac{gl}{2}}} = \frac{Md}{m}\cdot\frac{1}{\sqrt{\dfrac{gl}{2}}} = \frac{Md}{m}\sqrt{\frac{2}{gl}}$$

全所要時間:前半と後半を足します。

$$t = t_1 + t_2 = 2\sqrt{\frac{2l}{g}} + \frac{Md}{m}\sqrt{\frac{2}{gl}}$$
答え (9):
$$t = 2\sqrt{\frac{2l}{g}} + \frac{Md}{m}\sqrt{\frac{2}{gl}}\;\;\text{〔s〕}$$
補足:単位と次元の確認

$\sqrt{\dfrac{l}{g}}$ は $\sqrt{\dfrac{\text{m}}{\text{m/s}^2}}=\sqrt{\text{s}^2}=\text{s}$ で、確かに時間の次元です。後半の $\dfrac{Md}{m}\sqrt{\dfrac{2}{gl}}$ も $\dfrac{\text{kg}\cdot\text{m}}{\text{kg}}\cdot\sqrt{\dfrac{1}{(\text{m/s}^2)\text{m}}}=\text{m}\cdot\dfrac{1}{\text{m/s}}=\text{s}$ となり、両項とも秒で揃っています。

Point

運動を「等加速度(前半)」と「等速(後半)」の2段階に分けて時間を別々に求めて足す。後半は $t_2=\dfrac{d}{V_B}$ という等速のシンプルな関係。

問3 (10)〜(13):失われた力学的エネルギー

直感的理解
力学的エネルギーが減る原因は2種類だけ――摩擦による発熱衝突による損失。だから「A の摩擦」「B の摩擦」「衝突」の3つに分けて足せば全損失になる。摩擦損失は(摩擦力)×(移動距離)で出るのが基本。

(11) A の運動で失ったエネルギー:A は距離 $l$ をすべる間、動摩擦力 $f_A=\dfrac{\mu}{2}mg\cos\theta=\dfrac14 mg$ がはたらき続けます((5) で計算済み)。摩擦で失われる力学的エネルギーは(摩擦力)×(移動距離)です。

$$\Delta E_A = f_A\cdot l = \frac14 mg\cdot l = \frac{mgl}{4}$$

(12) B の運動で失ったエネルギー:B は距離 $d$ を等速で進みます。等速なので運動エネルギーは変わらず、失われた位置エネルギー $Mg\cdot d\sin\theta$ がすべて摩擦熱になります。$\sin\theta=\dfrac12$ なので、

$$\Delta E_B = Mg\,d\sin\theta = Mg\,d\cdot\frac12 = \frac{Mgd}{2}$$

(動摩擦力 $\mu_B Mg\cos\theta=\dfrac{1}{\sqrt3}Mg\cdot\dfrac{\sqrt3}{2}=\dfrac{Mg}{2}$ に距離 $d$ をかけても同じ $\dfrac{Mgd}{2}$ になります。)

(13) 衝突で失ったエネルギー:衝突前の A の運動エネルギーから、衝突後の B の運動エネルギーを引きます。$v=\sqrt{\dfrac{gl}{2}}$、$V_B=\dfrac{m}{M}v$ より、

$$\Delta E_{\text{col}} = \frac12 mv^2 - \frac12 M V_B^2 = \frac12 mv^2 - \frac12 M\left(\frac{m}{M}v\right)^2$$ $$= \frac12 mv^2\left(1-\frac{m}{M}\right) = \frac12 m\cdot\frac{gl}{2}\cdot\frac{M-m}{M} = \frac{mgl}{4}\cdot\frac{M-m}{M}$$

(10) 失われた力学的エネルギーの総和:3つを合計します。

$$\Delta E = \Delta E_A + \Delta E_B + \Delta E_{\text{col}} = \frac{mgl}{4} + \frac{Mgd}{2} + \frac{mgl}{4}\cdot\frac{M-m}{M}$$

$\dfrac{mgl}{4}+\dfrac{mgl}{4}\cdot\dfrac{M-m}{M} = \dfrac{mgl}{4}\left(1+\dfrac{M-m}{M}\right) = \dfrac{mgl}{4}\cdot\dfrac{2M-m}{M} = \dfrac{mgl}{2}-\dfrac{m^2 gl}{4M}$ と整理できるので、

$$\Delta E = \frac{mgl}{2} + \frac{Mgd}{2} - \frac{m^2 gl}{4M}$$
答え:
(10) $\Delta E = \dfrac{mgl}{2} + \dfrac{Mgd}{2} - \dfrac{m^2 gl}{4M}$ 〔J〕
(11) $\Delta E_A = \dfrac{mgl}{4}$ 〔J〕
(12) $\Delta E_B = \dfrac{Mgd}{2}$ 〔J〕
(13) $\Delta E_{\text{col}} = \dfrac{mgl}{4}\cdot\dfrac{M-m}{M}$ 〔J〕
別解:(10) を「初め」と「終わり」のエネルギー差で直接確認

点 O を高さの基準にとります。はじめは A も B も静止。A は斜面上 $d+l$ の位置(高さ $(d+l)\sin\theta$)、B は $d$ の位置(高さ $d\sin\theta$)。終わりは A が $d$ の位置で静止(高さ $d\sin\theta$)、B は点 O で速さ $V_B$(等速のまま到達)です。

$$\Delta E = \Bigl[mg(d+l)\sin\theta + Mgd\sin\theta\Bigr] - \Bigl[mgd\sin\theta + \tfrac12 M V_B^2\Bigr]$$

位置エネルギーの項を整理すると、A の高さの差 $(d+l)\sin\theta - d\sin\theta = l\sin\theta$ だけが残り、B の位置エネルギーの項 $Mgd\sin\theta$ は前半・後半で打ち消されません(B は O まで下りきるため丸ごと残る)。よって、

$$\Delta E = mgl\sin\theta + Mgd\sin\theta - \frac12 M V_B^2$$

$\sin\theta=\dfrac12$、$V_B^2=\left(\dfrac{m}{M}\right)^2\dfrac{gl}{2}$ を代入すると、$mgl\sin\theta=\dfrac{mgl}{2}$、$Mgd\sin\theta=\dfrac{Mgd}{2}$、$\dfrac12 M V_B^2=\dfrac{m^2 gl}{4M}$ なので、

$$\Delta E = \frac{mgl}{2} + \frac{Mgd}{2} - \frac{m^2 gl}{4M}$$

3項を積み上げた結果と一致します。終わりに B がまだ速さ $V_B$ をもっている(運動エネルギーが残っている)点を忘れないのがコツです。

補足:数値で大きさのイメージをつかむ

$m=2.0\ \text{kg},\ M=4.0\ \text{kg},\ l=3.0\ \text{m},\ d=4.0\ \text{m},\ g=10\ \text{m/s}^2$ とすると、

$$\Delta E_A=\frac{2.0\times10\times3.0}{4}=15\ \text{J},\quad \Delta E_B=\frac{4.0\times10\times4.0}{2}=80\ \text{J}$$ $$\Delta E_{\text{col}}=\frac{2.0\times10\times3.0}{4}\cdot\frac{4.0-2.0}{4.0}=15\times0.5=7.5\ \text{J}$$ $$\Delta E = 15+80+7.5 = 102.5\ \text{J}$$

B の摩擦損失が一番大きいことが分かります。スライダーで $M, l, d$ を変えると各損失の大小関係が入れかわる様子を確認できます。

Point

力学的エネルギーの損失は「摩擦熱」と「衝突損失」だけ。摩擦損失=(摩擦力)×(距離)、衝突損失=(衝突前KE)−(衝突後KE)。全損失は3つの和。検算は「初めの全エネルギー − 終わりの全エネルギー」で、終わりに B が運動エネルギーを残していることを忘れないこと。