xy平面内で、直線AB上および曲線ABC上を運動する質点の問題です。重力加速度 \(g\)、直線ABが鉛直下向きとなす角度 \(\theta\) を用いて解析します。
点A(0, 2L) と点B(πL, 0) を結ぶ直線上を質量 \(m\) の物体が運動します。直線ABの方向を \(s\) 軸、鉛直下向きからの角度を \(\theta\) とします。
直線ABの傾きから:
$$ \tan\theta = \frac{\pi L}{2L} = \frac{\pi}{2} $$よって \(\sin\theta = \frac{\pi}{\sqrt{4+\pi^2}}\)、\(\cos\theta = \frac{2}{\sqrt{4+\pi^2}}\) となります。
直線ABに沿った方向(A→Bが正)の加速度を \(a\) とすると、重力の直線AB方向成分は \(mg\sin\theta\)(A→B向き)です。
直線ABの方向が鉛直下向きとなす角度が \(\theta\) なので、重力の斜面方向成分は:
$$ ma = mg\sin\theta $$ただし問題文で「A→Bの向きを正」としているため、\(s\) が増加する方向に重力成分が作用し:
初速度0、加速度 \(g\sin\theta\) の等加速度運動です。直線ABの長さは:
$$ AB = \sqrt{(\pi L)^2 + (2L)^2} = L\sqrt{\pi^2 + 4} $$等加速度運動の公式 \(s = \frac{1}{2}at^2\) より:
$$ L\sqrt{\pi^2 + 4} = \frac{1}{2}g\sin\theta \cdot t_B^2 $$\(\sin\theta = \frac{\pi}{\sqrt{\pi^2+4}}\) を代入すると:
$$ L\sqrt{\pi^2+4} = \frac{1}{2} \cdot \frac{g\pi}{\sqrt{\pi^2+4}} \cdot t_B^2 $$ $$ t_B^2 = \frac{2L(\pi^2+4)}{g\pi} $$たとえば \(L = 1.0\) m、\(g = 9.8\) m/s² のとき:
$$ t_B = \sqrt{\frac{2 \times 1.0 \times (\pi^2 + 4)}{9.8 \times \pi}} = \sqrt{\frac{2 \times 13.87}{30.79}} = \sqrt{0.901} = 0.95 \text{ s} $$曲線ABC上では、変位 \(s\) と角度 \(\theta\) の間に次の関係があります:
$$ s = 4L(1 - \cos\theta) \quad \cdots \text{①} $$この式を \(\theta\) で微分すると:
$$ \frac{ds}{d\theta} = 4L\sin\theta $$物体の位置での接線方向が鉛直下向きとなす角度が \(\theta\) なので、接線方向の重力成分は \(mg\sin\theta\) です。
接線方向の加速度を \(\ddot{s}\) とすると:
$$ m\ddot{s} = -mg\sin\theta $$ここで負号は復元力方向(A→B→C方向が正のとき、\(\theta > 0\) では引き戻す方向)を表します。
式①を時間で2回微分します。まず1回微分:
$$ \dot{s} = 4L\sin\theta \cdot \dot{\theta} $$2回微分:
$$ \ddot{s} = 4L\cos\theta \cdot \dot{\theta}^2 + 4L\sin\theta \cdot \ddot{\theta} $$運動方程式 \(m\ddot{s} = -mg\sin\theta\) に代入し、微小振動近似(\(\theta \ll 1\) で \(\sin\theta \fallingdotseq \theta\), \(\cos\theta \fallingdotseq 1\))を用いると:
$$ 4L(\dot{\theta}^2 + \theta\ddot{\theta}) = -g\theta $$ただし本問では \(s\) を直接変数として扱います。式①より \(s\) が微小のとき \(1-\cos\theta \fallingdotseq \frac{\theta^2}{2}\) なので \(s \fallingdotseq 2L\theta^2\)。一方、復元力は:
$$ F = -mg\sin\theta = -mg \cdot \frac{s}{4L}\text{(①の微分関係から)} $$これは \(s\) に比例する復元力で、単振動を表します。角振動数は:
$$ \omega^2 = \frac{g}{4L} $$角振動数 \(\omega = \sqrt{\frac{g}{4L}}\) より:
$$ T = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{4L}{g}} $$曲線ABC上でAからBまでの時間は半周期:
$$ t_{\text{curve}} = \frac{T}{2} = \pi\sqrt{\frac{4L}{g}} $$直線AB上でAからBまでの時間は (2) で求めた \(t_B = \sqrt{\frac{2L(\pi^2+4)}{g\pi}}\) です。
比を計算します:
$$ \frac{t_{\text{curve}}}{t_B} = \frac{\pi\sqrt{\frac{4L}{g}}}{\sqrt{\frac{2L(\pi^2+4)}{g\pi}}} = \pi\sqrt{\frac{4L}{1}} \cdot \sqrt{\frac{\pi}{2L(\pi^2+4)}} = \pi \cdot \frac{2\sqrt{\pi}}{\sqrt{2(\pi^2+4)}} $$ $$ = \frac{2\pi\sqrt{\pi}}{\sqrt{2(\pi^2+4)}} = \frac{2\pi^{3/2}}{\sqrt{2\pi^2+8}} $$エネルギー保存則を用います。A(0, 2L) から B(πL, 0) まで高さ 2L 下降するので:
$$ \frac{1}{2}mv_B^2 = mg \cdot 2L $$ $$ v_B = \sqrt{4gL} = 2\sqrt{gL} $$直線でも曲線でも、AからBへの高低差は同じ \(2L\) なので、Bでの速さは経路によらず同じ値 \(2\sqrt{gL}\) になります。エネルギー保存則は経路に依存しません。
質量 \(m\) の物体が点A(0, 2L) から、質量 \(2m\) の物体が曲線BC上の \(y = L\) の位置から、同時に初速度0で運動を開始します。ある時刻に完全非弾性衝突し、合体して一つの物体になります。
質量 \(m\) は点Aから曲線に沿って単振動(角振動数 \(\omega = \sqrt{g/(4L)}\))で運動し、質量 \(2m\) は曲線BC上で同じ角振動数の単振動をします。
曲線ABCの性質から、両方の物体は同じ周期の単振動を行います。衝突する(同じ位置に到達する)時刻は、両者の変位が一致するときです。
質量 \(m\) の物体の位置は \(s_1 = 4L(1 - \cos(\omega t))\) に対応する \(\theta_1 = \omega t\)。
質量 \(2m\) の物体は \(y = L\) の位置、すなわち \(\cos\theta_2 = \frac{1}{2}\)、\(\theta_2 = \frac{\pi}{3}\) を初期位置とし、Bを中心に振動します。
衝突は両者が同じ位置に来たときに起こります。対称性と周期の考察から:
$$ t_{\text{collision}} = \frac{T}{4} = \frac{\pi}{2}\sqrt{\frac{4L}{g}} = \pi\sqrt{\frac{L}{g}} $$衝突直前の各物体の速度をエネルギー保存則で求めます。
質量 \(m\) の速度:A(y=2L) から衝突点まで降下した高さから:
$$ \frac{1}{2}mv_1^2 = mg(2L - y_c) $$質量 \(2m\) の速度:y=L の位置から衝突点まで降下した高さから:
$$ \frac{1}{2}(2m)v_2^2 = 2mg(L - y_c) $$ただし衝突点の高さ \(y_c\) は両者が出会う位置です。曲線の対称性から衝突はB点(y=0)付近で起こりますが、正確には衝突位置を求める必要があります。
運動量保存則(曲線の接線方向):
$$ mv_1 - 2mv_2 = 3mv_{\text{after}} $$エネルギー保存則(合体後):
$$ \frac{1}{2}(3m)v_{\text{after}}^2 = 3mg \cdot y_{\max} $$エネルギー保存則を用いて、合体前の全運動エネルギーと合体後の運動エネルギーから最高点を求めます。質量 \(m\) は高さ \(2L\) から、質量 \(2m\) は高さ \(L\) から出発し、衝突点の高さ \(y_c\) で衝突します。
衝突前の速度の大きさ:
$$ v_1 = \sqrt{2g(2L - y_c)}, \quad v_2 = \sqrt{2g(L - y_c)} $$衝突点が \(y_c = 0\)(点B)の場合:
$$ v_1 = 2\sqrt{gL}, \quad v_2 = \sqrt{2gL} $$運動量保存(両者とも点Bに向かって動いているが、逆方向から接近):
$$ mv_1 - 2mv_2 = 3mv' $$ $$ v' = \frac{v_1 - 2v_2}{3} = \frac{2\sqrt{gL} - 2\sqrt{2gL}}{3} $$合体後のエネルギー保存(衝突点 y=0 から最高点 \(y_{\max}\) まで):
$$ \frac{1}{2}(3m)v'^2 = 3mg \cdot y_{\max} $$ $$ y_{\max} = \frac{v'^2}{2g} = \frac{(2\sqrt{gL} - 2\sqrt{2gL})^2}{18g} $$ $$ = \frac{4gL(1 - \sqrt{2})^2}{18g} = \frac{4L(3 - 2\sqrt{2})}{18} = \frac{2L(3-2\sqrt{2})}{9} $$曲線上の単振動では、質量によらず同じ周期で運動します(等時性)。したがって両者の衝突点は曲線の幾何学的性質から決まります。
質量 \(m\) は \(\theta_1 = 0\) から出発し、質量 \(2m\) は \(\theta_2 = \frac{2\pi}{3}\)(\(y = L\) に対応する位置で C 寄り)から出発します。同じ角振動数で振動し、同じ位置に来るときが衝突時刻です。