前期 大問1:力学(衝突・ばね・傾斜面上の運動)

解法の指針

水平面上で物体Bが物体Aに衝突し一体化した後、ばねを縮め、傾斜面上での運動を分析する問題です。

段階的な構成
  1. (1)〜(3):水平面上での衝突とばね圧縮(摩擦なし→基本)
  2. (4)〜(9):傾斜面上での衝突と摩擦がある場合(発展)
直感的理解
物体Bを「弾丸」、物体A+台を「的」と考えると、弾丸が的に刺さる(完全非弾性衝突)問題です。衝突後の合体物がばねを縮め、台を押す力が最大静止摩擦力を超えると台が動き出します。

水平面上の衝突((1)〜(3))

(1) 物体Bを加速する仕事

質量 \(m\) の物体Bを速度 \(V\) まで加速するために必要な仕事は:

$$ W = \frac{1}{2}mV^2 $$
🧮 数値例

たとえば \(m = 0.50\) kg、\(V = 4.0\) m/s のとき:

$$ W = \frac{1}{2} \times 0.50 \times 4.0^2 = \frac{1}{2} \times 0.50 \times 16 = 4.0 \text{ J} $$
答え
\(W = \frac{1}{2}mV^2\)

(2) 衝突直後の速度

物体B(質量 \(m\)、速度 \(V\))が静止している物体A(質量 \(m\))に衝突し一体化。運動量保存:

$$ mV = (m + m)V_1 = 2mV_1 $$ $$ V_1 = \frac{V}{2} $$

ただし問題では物体Aの質量が \(m\) と明示されているので:

答え
$$ V_1 = \frac{m}{m + M_A}V $$ 物体Aの質量が \(m\) なら \(V_1 = V/2\)。

(3) ばねの縮みの最大値と台が動き出す条件

衝突後の運動エネルギーがばねの弾性エネルギーに変換:

$$ \frac{1}{2}(2m)V_1^2 = \frac{1}{2}kX_{\max}^2 $$ $$ X_{\max} = V_1\sqrt{\frac{2m}{k}} $$

ばねが物体を押し戻す力 \(kX_{\max}\) が台の最大静止摩擦力 \(\mu_0(M + 2m)g\) を超えると台が動きます。

答え
\(V\) が大きくなると \(X_{\max}\) が大きくなり、\(kX_{\max}\) が静止摩擦力を超えるとき台が動き出す。 \(V > V_c\) の条件を \(\mu_0, m, M, g, k\) で表す。

傾斜面上の運動((4)〜(9))

(4) ばねの自然長からの縮み

傾斜角 \(\theta\) の斜面上で、台が静止しているとき、物体A+Bの重力の斜面方向成分とばねの力がつり合います。さらに物体B→Aの接触力と摩擦も考慮:

$$ k\delta = (m + M_A)g\sin\theta + \mu_0(m + M_A)g\cos\theta $$

(摩擦は台との間にのみ作用)

答え
力のつり合いから \(\delta\) を求めます。重力の斜面成分 + 摩擦力 = ばね復元力。

(5) 衝突直後の速度

斜面上での衝突も運動量保存が成立(瞬間的な衝突なので重力・摩擦は無視):

$$ mV = (m + m)V_1 $$
答え
水平面の場合と同じ \(V_1 = mV/(m+M_A)\)

(6)〜(7) エネルギー保存とばねの最大縮み

斜面方向の運動でエネルギー保存(摩擦仕事を含む):

$$ \frac{1}{2}(2m)V_1^2 = \frac{1}{2}k(X_{\max}^2 - \delta^2) + (2m)gX_{\max}\sin\theta + \mu_0(2m)gX_{\max}\cos\theta $$

(重力による位置エネルギーの変化 + ばねの弾性エネルギー + 摩擦による仕事)

答え
エネルギー保存から \(X_{\max}\) を \(V_1, k, m, g, \theta, \mu_0, \delta\) で表す。

(8)〜(9) 台が動き出す条件

ばねの力が最大静止摩擦力 \(F\) を超えると台が動きます。台に作用する力のつり合い:

$$ kX_{\max} > F + (M + 2m)g\sin\theta $$

初速度 \(V\) が十分大きい(\(V > V_c\))とき台が動き始めます。\(H = V_c\) として \(H_1\) を求めます。

答え
\(H_1\) は、ばねの最大縮み時の復元力が台の静止摩擦力を超える最小の初速度から決まります。 \(X_{\max}\) と \(F\) の関係に \(V\) を代入して不等式を解きます。
💡 別解:エネルギーの観点から

衝突で失われるエネルギーは \(\frac{1}{2}mV^2 - \frac{1}{2}(2m)V_1^2 = \frac{1}{4}mV^2\)(質量が等しい場合)。

残りのエネルギー \(\frac{1}{4}mV^2\) がばねの弾性エネルギーに変換され、台を押す力になります。

まとめ