前半(設問1〜4)は、上下に置いた2枚の金属板 A・B の各面に現れる電荷 \(Q_1\sim Q_4\) を、ガウスの定理と導体内部の電場ゼロ・電荷保存則から決定する問題です。後半(設問5〜9)は、板間の一様電場中に打ち込んだイオンの偏向(=水平投射と同じ運動)から比電荷を測定し、さらに電場と磁場のつり合い(速度選別)と磁場中の円運動を扱います。
座標は「A が上・B が下、\(z\) 軸は上向き」(図1)。板Aの上面が \(Q_1\)、下面が \(Q_2\)、板Bの上面が \(Q_3\)、下面が \(Q_4\)。各面電荷が観測点で \(+z\) と \(-z\) のどちらを向くかを、観測点が面の上か下かで機械的に判定するのがコツです。
広い平面に一様に広がった電荷は、面の両側に「面から垂直に離れていく」一様な電場を作ります。ガウス面(仮想的な直方体)を電荷をはさむように取ると、上面と下面から出ていく電気力線の合計が電荷の量で決まり、電場の大きさが求まります。点aは \(Q_1\) の面のすぐ下にあるので、\(Q_1>0\) なら電場は下向き(\(-z\))です。
板Aの上面に電気量 \(Q_1\) が面積 \(S=ld\) に一様に分布しています。問題文で与えられたガウスの定理は「電気量 \(Q\) から出る電気力線の総数は \(4\pi kQ\) 本、単位面積あたりの本数が電場の強さ \(E\)」というものです。
立式:図1の仮想直方体(下面は板A内部の \(z=\frac{h}{2}+\frac{a}{2}\)、上面は板Aの上 \(z=\frac{h}{2}+\frac{3a}{2}\))をガウス面とします。この直方体は \(Q_1\) の面をはさみ込み、上面と下面の2つの面(面積 \(S\))から電気力線が垂直に出ていきます。対称性より両面の電場の大きさは等しく \(E\)。直方体を貫く電気力線の総本数は:
$$ (\text{上面から}) + (\text{下面から}) = E\,S + E\,S = 2ES $$これが \(Q_1\) から出る全電気力線 \(4\pi k Q_1\) 本に等しい:
$$ 2ES = 4\pi k Q_1 $$途中計算:\(E\) について解き、\(\varepsilon_0=\dfrac{1}{4\pi k}\) を用いると:
$$ E = \frac{4\pi k Q_1}{2S} = \frac{2\pi k Q_1}{S} = \frac{Q_1}{2\varepsilon_0 S} $$向きと符号:点a \(\left(\frac{l}{2},0,\frac{h}{2}+\frac{a}{2}\right)\) は \(Q_1\) の面(\(z=\frac{h}{2}+a\))の下側にあります。\(Q_1>0\) の電場は面から離れる向き、すなわち点aでは下向き(\(-z\))です。したがって \(z\) 成分は負:
$$ \boxed{\,E_z = -\frac{Q_1}{2\varepsilon_0 S}\,}\qquad\left(=-\frac{2\pi k Q_1}{S},\ \ \text{大きさ}\ \frac{Q_1}{2\varepsilon_0 S}\right) $$電気力線の総本数 \(4\pi kQ_1\) が上下2つの面に半分ずつ分かれるためです。片面には \(2\pi kQ_1\) 本が通り、単位面積あたり \(\dfrac{2\pi k Q_1}{S}=\dfrac{Q_1}{2\varepsilon_0 S}\)。これが「無限平面の片側の電場」の由来で、以降の設問すべてで使い回します。
4つの面電荷それぞれが点aに作る電場を重ね合わせます。判定は単純で、その面が点aより上にあれば \(-z\)、下にあれば \(+z\)(\(Q>0\) の場合。負なら逆)に寄与し、大きさはすべて \(\dfrac{|Q|}{2\varepsilon_0 S}\) です。符号込みで足し算するだけです。
立式:点aは板A内部にあり、4つの面の位置関係は「\(Q_1\)(上面)は点aの上、\(Q_2\)(下面)・\(Q_3\)(板B上面)・\(Q_4\)(板B下面)は点aの下」です。各面が \(Q>0\) のとき点aに作る \(z\) 成分は(面の上=\(-z\)、面の下=\(+z\)):
重ね合わせ:4つを足すと、点aにおける電場の \(z\) 成分は:
$$ E_z = \frac{-Q_1 + Q_2 + Q_3 + Q_4}{2\varepsilon_0 S} $$点aは導体(板A)の内部です。導体内部では静電場は必ず 0 になるので、実際にはこの \(E_z=0\)。この事実こそが次の設問(3)で \(Q_1\sim Q_4\) を決める1本目の方程式 \(-Q_1+Q_2+Q_3+Q_4=0\) になります。設問(2)は「和の形」を答える問題なので、上の式のままが答えです。
未知数は4つ(\(Q_1\sim Q_4\))。式も4本そろえれば解けます。「板Aの全電荷 = \(Q_A\)」「板Bの全電荷 = \(Q_B\)」の電荷保存2本と、「板A内部で \(E=0\)」「板B内部で \(E=0\)」の導体条件2本。この4本を連立します。
① 電荷保存則(2本):
$$ Q_1 + Q_2 = Q_A \quad\cdots(\mathrm{i}) \qquad Q_3 + Q_4 = Q_B \quad\cdots(\mathrm{ii}) $$② 板A内部で \(E_z=0\):設問(2)より、板A内部の点では \(Q_1\) が上・他が下なので
$$ \frac{-Q_1 + Q_2 + Q_3 + Q_4}{2\varepsilon_0 S}=0 \;\Rightarrow\; -Q_1 + Q_2 + Q_3 + Q_4 = 0 \quad\cdots(\mathrm{iii}) $$③ 板B内部で \(E_z=0\):板B内部の点では \(Q_1,Q_2,Q_3\) が上・\(Q_4\) が下なので
$$ \frac{-Q_1 - Q_2 - Q_3 + Q_4}{2\varepsilon_0 S}=0 \;\Rightarrow\; -Q_1 - Q_2 - Q_3 + Q_4 = 0 \quad\cdots(\mathrm{iv}) $$連立を解く:まず(iii)と(iv)を足し引きします。
$$ (\mathrm{iii})+(\mathrm{iv}):\; -2Q_1 + 2Q_4 = 0 \;\Rightarrow\; \boxed{Q_1 = Q_4} $$ $$ (\mathrm{iii})-(\mathrm{iv}):\; 2Q_2 + 2Q_3 = 0 \;\Rightarrow\; \boxed{Q_2 = -Q_3} $$これは「外面の電荷は等しい」「内面の電荷は大きさ等しく符号反対」という平行板の基本性質です。次に(i)(ii)と組み合わせます。\(Q_4=Q_1,\ Q_3=-Q_2\) を(ii)に入れると:
$$ -Q_2 + Q_1 = Q_B \;\Rightarrow\; Q_1 - Q_2 = Q_B \quad\cdots(\mathrm{v}) $$(i) \(Q_1+Q_2=Q_A\) と (v) \(Q_1-Q_2=Q_B\) を辺々足す・引く:
$$ 2Q_1 = Q_A + Q_B \;\Rightarrow\; Q_1 = \frac{Q_A+Q_B}{2}, \qquad 2Q_2 = Q_A - Q_B \;\Rightarrow\; Q_2 = \frac{Q_A-Q_B}{2} $$残りは \(Q_4=Q_1,\ Q_3=-Q_2\) より決まります。
平行に置かれた2導体では、向かい合う内面の電荷は必ず \(+q,\,-q\) のペア(\(Q_2=-Q_3\))、外面の電荷は等しい(\(Q_1=Q_4\))。この2つは丸暗記しておくと検算に使えます。
板Aより十分上(外側)の点では、4面すべてが点の下にあるので \(E_z=\dfrac{Q_1+Q_2+Q_3+Q_4}{2\varepsilon_0 S}\)。全電荷は有限で、無限遠で電場は 0 になるべき…という議論よりも、上の「導体内部 \(E=0\)」を2枚分立てるほうが確実です。実際 (iii),(iv) から \(Q_1=Q_4,\ Q_2=-Q_3\) が即座に出て、あとは電荷保存に代入するだけで完結します。
設問(3)で電荷分布が分かったので、あとは数値を代入するだけ。点bは板間にあり、板間の電場は内面の電荷(\(Q_2,Q_3\))だけで決まります。符号を丁寧に追いましょう。
電荷分布を代入:設問(3)に \(Q_A=-3Q,\ Q_B=Q\) を入れます。
$$ Q_1 = Q_4 = \frac{-3Q+Q}{2} = -Q $$ $$ Q_2 = \frac{-3Q-Q}{2} = -2Q,\qquad Q_3 = \frac{Q-(-3Q)}{2} = +2Q $$点bの電場を立式:点b\(\left(\frac{l}{2},0,0\right)\) は板間にあり、\(Q_1,Q_2\)(板A、上)は点bの上、\(Q_3,Q_4\)(板B、下)は点bの下。よって \(z\) 成分は:
$$ E_z = \frac{-Q_1 - Q_2 + Q_3 + Q_4}{2\varepsilon_0 S} $$数値代入:
$$ E_z = \frac{-(-Q) - (-2Q) + 2Q + (-Q)}{2\varepsilon_0 S} = \frac{Q + 2Q + 2Q - Q}{2\varepsilon_0 S} = \frac{4Q}{2\varepsilon_0 S} $$ $$ \boxed{\,E_z = \frac{2Q}{\varepsilon_0 S}\,>0\,} $$向きの確認:正の値なので \(+z\)(上向き)。内面が「上=負(\(Q_2=-2Q\))/下=正(\(Q_3=+2Q\))」なので、電場は正電荷(板B側)から負電荷(板A側)へ、つまり下から上(\(+z\))。符号と一致します。
板間の電場は「内面電荷だけ」で決まり、\(E_z=\dfrac{-Q_2+Q_3}{2\varepsilon_0 S}\cdot(\pm)\) の形に整理できます。実際 \(-Q_2+Q_3 = 2Q+2Q\) を \(2\varepsilon_0 S\) で割れば同じ \(\dfrac{2Q}{\varepsilon_0 S}\)。外面電荷 \(Q_1=Q_4=-Q\) は板間には効きません。
点bの式 \(E_z=\dfrac{-Q_1-Q_2+Q_3+Q_4}{2\varepsilon_0 S}\) で、\(-Q_1-Q_2=-(Q_1+Q_2)=-Q_A\)、\(Q_3+Q_4=Q_B\) だから
$$ E_z = \frac{Q_B - Q_A}{2\varepsilon_0 S} = \frac{Q-(-3Q)}{2\varepsilon_0 S} = \frac{4Q}{2\varepsilon_0 S} = \frac{2Q}{\varepsilon_0 S} $$と、電荷分布を求めずに \(Q_A,Q_B\) から直接計算できます。
図2では板間に一様電場 \(E_0\) が下向き(\(-z\))にかかっています。原点から \(+x\) 向きに \(v_0\) で入った正イオンは、\(x\) 方向には力がないので等速、\(z\) 方向には下向きの力で等加速度。これは重力のもとでの水平投射と数式が完全に同じで、放物線を描いて下(板B側)へ曲がります。
設問(5) — 立式:\(x\) 方向には力がはたらかないので等速直線運動。
$$ x = v_0 t $$右端 \(x=l\) に到達する時刻 \(t_1\) は \(l=v_0 t_1\) より:
$$ \boxed{\,t_1 = \frac{l}{v_0}\,} $$設問(6) — 立式:電場 \(E_0\) は \(-z\) 向き。正イオン(電荷 \(q>0\))にはたらく力は \(F_z=-qE_0\)(下向き)。運動方程式は:
$$ m\,a_z = -qE_0 \;\Rightarrow\; a_z = -\frac{qE_0}{m} $$初速度の \(z\) 成分は 0、初期位置 \(z=0\) なので、等加速度運動の式より:
$$ z(t) = \frac{1}{2}a_z t^2 = -\frac{qE_0}{2m}t^2 $$代入:\(t=t_1=\dfrac{l}{v_0}\) を入れて:
$$ z_t = -\frac{qE_0}{2m}\left(\frac{l}{v_0}\right)^2 = -\frac{qE_0 l^2}{2mv_0^2} $$この運動は「重力のもとでの水平投射」と数式構造が同一です。
| 水平投射 | イオンの偏向 |
|---|---|
| 水平:\(x=v_0 t\) | \(x\):\(x=v_0 t\) |
| 鉛直:\(y=-\tfrac12 g t^2\) | \(z\):\(z=-\tfrac12\dfrac{qE_0}{m}t^2\) |
| 重力加速度 \(g\) | 電場による加速度 \(\dfrac{qE_0}{m}\) |
したがって「重力加速度 \(g\) を \(\dfrac{qE_0}{m}\) に置き換える」だけで、投射のすべての公式が流用できます。
設問(6)の式には \(q,m\) が \(q/m\) の形でしか入っていません。だから偏向量 \(|z_t|\) を測れば比電荷 \(q/m\) が求まります。得られた値を候補イオンの \(q/m\) と照合して種類を決めます。これが質量分析の第一歩です。
立式:設問(6)の \(|z_t|=\dfrac{qE_0 l^2}{2mv_0^2}\) を \(q/m\) について解きます。
$$ |z_t| = \frac{qE_0 l^2}{2mv_0^2} \;\Rightarrow\; \frac{q}{m} = \frac{2|z_t|\,v_0^2}{E_0\,l^2} $$数値代入:\(E_0=4.0\ \mathrm{V/m}\)、\(l=2.0\ \mathrm{m}\)、\(v_0=1.0\times10^{2}\ \mathrm{km/s}=1.0\times10^{5}\ \mathrm{m/s}\)、\(|z_t|=2.0\ \mathrm{cm}=2.0\times10^{-2}\ \mathrm{m}\)。
$$ \frac{q}{m} = \frac{2\times(2.0\times10^{-2})\times(1.0\times10^{5})^2}{4.0\times(2.0)^2} $$途中計算:分子・分母を順に計算します。
$$ = \frac{2\times(2.0\times10^{-2})\times(1.0\times10^{10})}{4.0\times4.0} = \frac{4.0\times10^{8}}{16} $$ $$ \boxed{\,\frac{q}{m} = 2.5\times10^{7}\ \mathrm{C/kg}\,} $$イオンの同定:候補の比電荷を \(e=1.6\times10^{-19}\ \mathrm{C}\)、核子1個 \(1.6\times10^{-27}\ \mathrm{kg}\) で計算します。1価(\(q=e\))・質量数 \(A\) のイオンなら \(\dfrac{q}{m}=\dfrac{e}{A\times1.6\times10^{-27}}=\dfrac{1.0\times10^{8}}{A}\)。
$$ {}^4\mathrm{He}^+:\ \frac{q}{m} = \frac{1.6\times10^{-19}}{4\times1.6\times10^{-27}} = 2.5\times10^{7}\ \mathrm{C/kg}\ \ ✓ $$測定値 \(2.5\times10^{7}\) に一致するのは ② \(^4\mathrm{He}^+\) です。
電荷が2価の ③ は分母が半分になり値が倍(\(5.0\times10^7\))になる点に注意。有効数字2桁で \(2.5\times10^7\) にぴたりと合うのは ② だけです。
電場はイオンを下(\(-z\))へ曲げます。これを打ち消して直進させるには、上向き(\(+z\))のローレンツ力が必要です。\(\vec{v}=v_0\hat{x}\) に対して \(q\vec{v}\times\vec{B}\) が \(+z\) を向く磁場の向きをフレミング左手(または外積)で決め、大きさは力のつり合いから求めます。これが速度選別器の原理です。
力の整理:電場 \(E_0\) は \(-z\) 向きなので、正イオンにはたらく電場力は
$$ \vec{F}_E = q\vec{E} = -qE_0\,\hat{z}\quad(\text{下向き}) $$直進させるには、ローレンツ力 \(\vec{F}_B=q\vec{v}\times\vec{B}\) が逆向き(\(+z\))で同じ大きさであればよい。
向きの決定:\(\vec{v}=v_0\hat{x}\)。\(\vec{B}=B_0\hat{y}\)(\(+y\))とすると、外積 \(\hat{x}\times\hat{y}=\hat{z}\) より
$$ \vec{F}_B = q\,(v_0\hat{x})\times(B_0\hat{y}) = qv_0 B_0\,(\hat{x}\times\hat{y}) = qv_0 B_0\,\hat{z}\quad(+z,\ \text{上向き}) $$これは電場力 \(-qE_0\hat{z}\) と逆向きなので、磁場は ③ \(y\) 軸正の向きが正解。
大きさ:つり合い \(|\vec{F}_B|=|\vec{F}_E|\) より
$$ qv_0 B_0 = qE_0 \;\Rightarrow\; \boxed{\,B_0 = \frac{E_0}{v_0}\,} $$電場と磁場を直交させて直進条件 \(qE_0=qvB_0\) を満たす装置を速度選別器といいます。直進するのは \(v=\dfrac{E_0}{B_0}\) を満たす速さのイオンだけで、電荷や質量によらず速さだけで選別できるのが特徴です。質量分析器では、選別後に磁場だけの領域へ入れて円運動半径から質量を決定します。
板間(\(0\le x\le l\))では電場と磁場がつり合って直進しましたが、板の外(\(x>l\))には電場がなく、磁場 \(B_0\)(\(+y\))だけが残ります。すると力のつり合いが崩れ、イオンはローレンツ力だけを受けて \(x\)–\(z\) 平面内で円運動し、半円を描いて再び \(x=l\) に戻ってきます。
状況:設問(8)の磁場は \(x\ge0\) の全空間にかかっています。板間(\(0\le x\le l\))では電場もあるためつり合って直進し、\(x=l\) を \(z=0\)・速度 \(v_0\hat{x}\) で通過します。板の外 \(x>l\) には電場がないので、残るのは磁場 \(B_0\)(\(+y\))だけ。イオンは磁場に垂直な \(x\)–\(z\) 平面内で等速円運動します。
円運動の半径:ローレンツ力が向心力になります。
$$ qv_0 B_0 = \frac{mv_0^2}{r} \;\Rightarrow\; r = \frac{mv_0}{qB_0} $$設問(8)の \(B_0=\dfrac{E_0}{v_0}\) を代入:
$$ r = \frac{mv_0}{q\cdot (E_0/v_0)} = \frac{mv_0^2}{qE_0} $$復帰点の \(z\) 座標:\(x=l\) を \(+x\) 向きに通過した直後、上向き(\(+z\))のローレンツ力を受けて曲がり始めます。円の中心は入口の真上 \((l,\,0,\,r)\)。イオンは半円を描いて再び \(x=l\) に戻り、このとき速度は \(-x\) 向き、位置は入口から \(2r\) だけ上:
$$ z = 2r = \boxed{\,\frac{2mv_0^2}{qE_0}\,} $$復帰までの時間:半円なので周期の半分。周期 \(T=\dfrac{2\pi m}{qB_0}\) より
$$ t = \frac{T}{2} = \frac{\pi m}{qB_0} = \frac{\pi m}{q\cdot(E_0/v_0)} = \boxed{\,\frac{\pi m v_0}{qE_0}\,} $$「板間=直進、板外=円運動」の切り替えが山場です。円運動では入口と出口が半径 \(2r\) だけ離れ、向きが反転します。時間は半周期 \(\dfrac{\pi m}{qB_0}\)。この大問全体は、電場での偏向(比電荷測定)→ 電磁つり合い(速度選別)→ 磁場での円運動(質量分離)という質量分析器の原理を一続きに体験する構成になっています。
磁場中の荷電粒子は磁場に垂直な面内で円を描きます。入口で速度が \(+x\)、中心が真上 \((+z)\) にあるので、円をたどると速度の向きは \(+x\to+z\to-x\) と回転し、ちょうど半周した点で速度は \(-x\)、位置は入口の真上 \(2r\) の高さ。そこで再び \(x=l\) の線と交わるため、「半円で復帰」になります。もし電場が板外にも続いていれば直進のままで、円運動は起こりません。