半径 \(R\) の2つの四分円弧が、長さ \(R\) の水平な直線 BC でなめらかにつながれた「U字+直線」の経路を、小物体が運動する大問です。摩擦は直線 BC だけにあり、円弧上は摩擦なし。したがって「BC を1回通過するごとに一定量 \(\mu m g R\) の運動エネルギーを失う」ことを軸に、力学的エネルギー保存と仕事とエネルギーの関係で追いかけます。
水平な直線 BC の上では、垂直抗力は \(N=mg\)、動摩擦力は \(\mu m g\)。摩擦力は進行方向と逆向きにはたらき、BC の長さ \(R\) だけ移動する間ずっと負の仕事をする。失う運動エネルギー = 摩擦力 × すべった距離、というシンプルな関係で決まる。
水平な BC 上での鉛直方向のつり合いより、垂直抗力は \(N=mg\)。動摩擦力の大きさは:
$$f_{\text{摩}} = \mu N = \mu m g$$BC の長さは \(R\)。摩擦力は進行方向と逆向きなので、1回の通過で摩擦がする仕事は \(-\mu m g R\)。仕事とエネルギーの関係より、失う運動エネルギーの大きさはこの仕事の大きさに等しい:
$$\Delta K = f_{\text{摩}}\times R = \mu m g R$$動摩擦力は必ず進行方向と逆向きにはたらくので、BC を右向きに通過しても左向きに通過しても、失う運動エネルギーは同じ \(\mu m g R\)。この「1回 \(\mu m g R\) ずつ減る」という性質が、往復回数を数える問1(4)で効いてくる。
円弧はなめらかなので、エネルギーが減るのはBC を通過するときだけ。1回の通過で必ず \(\mu m g R\) を失う。
点 A から静かに落下した小物体は、B・C を通過して円弧 CDE を上っていき、点 F でいったん止まる。A から F までで失ったエネルギーは BC の摩擦の分だけ(円弧はなめらか)。「A の高さ = F の高さ + 摩擦で失った分の高さ」というエネルギー収支で \(\cos\theta_1\) が決まる。
点 F は円弧 CDE 上で \(\angle\mathrm{CPF}=\theta_1\) の位置。中心 P は C の真上、高さ \(R\) にある。P から F までの鉛直方向の下がりは \(R\cos\theta_1\) なので、F の高さ(BC 基準)は:
$$y_\mathrm{F} = R - R\cos\theta_1 = R(1-\cos\theta_1)$$A(高さ \(R\)、静かに落下 → 初速 0)から F(速度 0)までの間で、円弧はなめらか、失うのは BC 1回通過の摩擦 \(\mu m g R\) だけ。力学的エネルギー保存+摩擦の仕事より:
$$m g R = m g\,R(1-\cos\theta_1) + \mu m g R$$両辺を \(m g R\) で割って整理する:
$$1 = (1-\cos\theta_1) + \mu \quad\Rightarrow\quad \cos\theta_1 = \mu$$\(\cos\theta_1=\mu\) で、条件 \(0\le\theta_1\lt\tfrac{\pi}{2}\) は \(0\lt\cos\theta_1\le 1\)、すなわち \(0\lt\mu\le 1\) に対応する。摩擦が大きい(\(\mu\) が 1 に近い)ほど \(\cos\theta_1\) が大きく、\(\theta_1\) は小さい(F は C に近く、あまり上がれない)。摩擦が小さいほど F は高く上がる。物理的に自然な結果。
「初速 0 → 速度 0」の運動は、位置エネルギーの差 = 摩擦で失ったエネルギーで結べる。今回はちょうど \(\cos\theta_1=\mu\) という美しい関係になる。
F で止まった小物体は、こんどは F から落下して C・B を通過し、円弧 AB の途中で止まる。ここで問われるのはB を左向きに通過する瞬間の速さ。F の高さは \(R(1-\cos\theta_1)=R(1-\mu)\)。F から B まで下る間に BC を1回通過するので、摩擦で \(\mu m g R\) を失う。\(\cos\theta_1=\mu\) を代入すれば \(\theta_1\) は消える。
F の高さは \(y_\mathrm{F}=R(1-\cos\theta_1)\)。F(速度 0)から下って B を通過する間に、円弧 CD 部分はなめらか、BC を1回通過して摩擦 \(\mu m g R\) を失う。B の高さは 0。エネルギー保存+摩擦より B での速さ \(v_\mathrm{B}\) は:
$$\frac{1}{2}m v_\mathrm{B}^2 = m g\,y_\mathrm{F} - \mu m g R = m g R(1-\cos\theta_1) - \mu m g R$$ここで問1(2)の結果 \(\cos\theta_1=\mu\) を代入すると \(\theta_1\) が消える:
$$\frac{1}{2}m v_\mathrm{B}^2 = m g R(1-\mu) - \mu m g R = m g R(1-2\mu)$$\(v_\mathrm{B}\) について解く:
$$v_\mathrm{B} = \sqrt{2 g R(1-2\mu)}$$根号の中身が正であるためには \(1-2\mu\gt 0\)、つまり \(\mu\lt\tfrac12\)。もし \(\mu\ge\tfrac12\) なら、F から下ってきても BC を1回渡り切る前後で運動エネルギーを使い果たし、B を左向きに通過できない。この境界 \(\mu=\tfrac12\) は、ちょうど問1(4)で \(n=1\) の場合の \(\mu_{\max}=\tfrac{1}{2}\) と一致する。
「\(\theta_1\) を用いてはならない」=前問の結果 \(\cos\theta_1=\mu\) を代入して消去せよ、という誘導。設問どうしのつながりを意識する。
小物体は往復を繰り返すたびに BC を通過し、そのたびに \(\mu m g R\) を失う。B を左向きに1回通過するには BC を2回渡る必要がある(A→C で1回、F→B で2回)。したがって左向き \(n\) 回目の通過には BC を \(2n\) 回渡る。全エネルギー \(mgR\) から \(2n\) 回分の摩擦 \(2n\,\mu m g R\) を引いてもまだ B(高さ 0)に届く、が条件。
まず通過回数の数え方を確認する。A から出発して B を左向きに通過するまでに BC を渡る回数は、A→C(1回目)と F→B(2回目)で計 2 回。その後も往復するたび、B を左向きに1回通過するには BC を追加で2回渡る。したがって、B を左向きに \(n\) 回目に通過するまでに BC を渡る回数は:
$$(\text{BC 通過回数}) = 2n$$全エネルギーは A の位置エネルギー \(m g R\)(初速 0)。BC を \(2n\) 回渡って B(高さ 0)に到達するには、失う摩擦の合計 \(2n\,\mu m g R\) が全エネルギー以下でなければならない:
$$m g R - 2n\,\mu m g R \ge 0$$\(\mu\) について解く:
$$1 - 2n\,\mu \ge 0 \quad\Rightarrow\quad \mu \le \frac{1}{2n}$$\(n=1\) なら \(\mu_{\max}=\tfrac12\)。これは問1(3)で \(v_\mathrm{B}=\sqrt{2gR(1-2\mu)}\) が実数であるための条件 \(\mu\le\tfrac12\) とぴったり一致する。\(\mu=\tfrac{1}{2n}\) ちょうどのときは、B に速度 0 で「かろうじて到達」する境界。\(n\) 回以上の通過を保証する \(\mu\) の最大値は \(\mu_{\max}=\dfrac{1}{2n}\) となる。
摩擦で一定量ずつ減るエネルギーは「階段」でイメージする。\(n\) 回の左向き通過には \(2n\) 段(= \(2n\) 回の BC 通過)が必要。
こんどは A で鉛直下向きに初速を与える。小物体は D を過ぎても円弧に沿って上り、円弧 DE の途中の点 G で離れて放物運動を始める。「離れる」とは垂直抗力 \(N=0\) になること。このとき、円運動に必要な向心力を重力の中心向き成分だけがまかなう。この条件式から G での速さが出る。
点 G は円弧 DE 上で \(\angle\mathrm{EPG}=\theta_2\)(上向きの PE から測る)の位置。半径 PG が鉛直上向きとなす角が \(\theta_2\) なので、重力 \(mg\) の中心 P 向き(向心方向)成分は \(mg\cos\theta_2\)。
小物体が円弧から「離れる」瞬間は垂直抗力 \(N=0\)。このとき向心力は重力の向心成分だけがまかなう。半径 \(R\) の円運動の向心方向の運動方程式は:
$$m g\cos\theta_2 = \frac{m v_\mathrm{G}^2}{R}$$\(v_\mathrm{G}\) について解く:
$$v_\mathrm{G}^2 = g R\cos\theta_2 \quad\Rightarrow\quad v_\mathrm{G} = \sqrt{g R\cos\theta_2}$$円運動では、物体にはたらく力の中心向き(向心方向)成分の合計が \(\dfrac{mv^2}{R}\) に等しい。円弧の上側(DE)では、物体は円の内側から押されて動くので、通常は垂直抗力 \(N\) が中心向きにはたらく。離脱の瞬間は \(N=0\) となり、向心力を担うのは重力の中心向き成分 \(mg\cos\theta_2\) だけになる。経路の構造上 \(N\lt 0\)(引っぱり)はありえないので、ここで離れる。
「経路から離れる」=垂直抗力 \(N=0\)。向心方向の運動方程式で \(N=0\) とおくのが定石。
G で離脱した小物体は放物運動をし、直線 PE 上で G と同じ高さの点 H を通過する。「同じ高さに戻る」=放物運動の対称性が使える。G から H への水平方向の移動距離(右から左へ \(R\sin\theta_2\))が、放物運動の水平到達距離に一致する、という条件で \(\cos\theta_2\) が決まる。
中心 P を原点にとると \(\mathrm{G}=(R\sin\theta_2,\ R\cos\theta_2)\)(上向き正)。G での速度は円の接線方向(E へ向かう向き)で、大きさ \(v_\mathrm{G}\)。その成分は水平(左向き)に \(v_\mathrm{G}\cos\theta_2\)、鉛直(上向き)に \(v_\mathrm{G}\sin\theta_2\)。
H は直線 PE 上(P の真上、水平位置 0)で G と同じ高さ。G から H への水平移動距離は \(R\sin\theta_2\)。放物運動で「同じ高さに戻る」までの時間は \(t=\dfrac{2 v_\mathrm{G}\sin\theta_2}{g}\)。その間の水平移動距離が \(R\sin\theta_2\) に等しい:
$$v_\mathrm{G}\cos\theta_2\cdot\frac{2 v_\mathrm{G}\sin\theta_2}{g} = R\sin\theta_2$$\(\sin\theta_2\ (\ne 0)\) で割り、\(v_\mathrm{G}^2=gR\cos\theta_2\)(問1(5))を代入する:
$$\frac{2 v_\mathrm{G}^2\cos\theta_2}{g} = R \quad\Rightarrow\quad \frac{2(gR\cos\theta_2)\cos\theta_2}{g} = R$$整理すると \(\cos\theta_2\) が決まる:
$$2R\cos^2\theta_2 = R \quad\Rightarrow\quad \cos^2\theta_2 = \frac{1}{2} \quad\Rightarrow\quad \cos\theta_2 = \frac{1}{\sqrt{2}}$$「発射点と同じ高さの点を通過する」放物運動は、発射点まわりで左右対称。水平到達距離は打ち上げ角(水平からの角)を \(\alpha\) とすると \(\dfrac{v^2\sin 2\alpha}{g}\)。G での速度は水平から \(\theta_2\) だけ上を向くので \(\alpha=\theta_2\)、水平距離 \(=\dfrac{v_\mathrm{G}^2\sin2\theta_2}{g}=\dfrac{2v_\mathrm{G}^2\sin\theta_2\cos\theta_2}{g}\)。これが \(R\sin\theta_2\) に等しいとして \(2v_\mathrm{G}^2\cos\theta_2=gR\)、同じく \(\cos\theta_2=\tfrac{1}{\sqrt2}\) を得る。
「同じ高さに戻る」放物運動では往復時間 \(t=\dfrac{2v\sin\theta}{g}\)と水平等速をつなぐ。前問の \(v_\mathrm{G}^2=gR\cos\theta_2\) を代入するのが鍵。
放物運動の最高点の高さは、鉛直方向の初速だけで決まる(\(\dfrac{v_{\text{鉛直}}^2}{2g}\))。G での鉛直初速は \(v_\mathrm{G}\sin\theta_2\)。\(v_\mathrm{G}^2=gR\cos\theta_2\) と、問1(6)で決まった \(\cos\theta_2=\tfrac{1}{\sqrt2}\)(よって \(\sin^2\theta_2=\tfrac12\))を代入すれば、\(\theta_2\) の文字を消して数値係数付きの高さが得られる。
放物運動の最高点の高さ(発射点 G 基準)は、鉛直方向の初速 \(v_\mathrm{G}\sin\theta_2\) だけで決まる:
$$h_{\max} = \frac{(v_\mathrm{G}\sin\theta_2)^2}{2g} = \frac{v_\mathrm{G}^2\sin^2\theta_2}{2g}$$\(v_\mathrm{G}^2 = g R\cos\theta_2\)(問1(5))を代入する:
$$h_{\max} = \frac{g R\cos\theta_2\cdot\sin^2\theta_2}{2g} = \frac{R\cos\theta_2\,\sin^2\theta_2}{2}$$問1(6)より \(\cos\theta_2=\dfrac{1}{\sqrt2}\)、したがって \(\sin^2\theta_2 = 1-\cos^2\theta_2 = 1-\dfrac12 = \dfrac12\)。これらを代入して \(\theta_2\) を消す:
$$h_{\max} = \frac{R}{2}\cdot\frac{1}{\sqrt2}\cdot\frac{1}{2} = \frac{R}{4\sqrt2} = \frac{\sqrt2}{8}R$$放物運動は G と H(同じ高さ)で対称。最高点は G と H のちょうど中間(水平位置で \(\tfrac12 R\sin\theta_2\))にあり、そこで鉛直速度が 0 になる。\(\sin^2\theta_2=\tfrac12\) より \(\sin\theta_2=\tfrac{1}{\sqrt2}\) だから水平距離 \(R\sin\theta_2=\tfrac{R}{\sqrt2}\)、その中点で最高点。高さ \(\tfrac{\sqrt2}{8}R\) は、この水平スケールに対して自然な大きさになっている。
最高点の高さは鉛直初速の2乗 ÷ 2g。「\(\theta_2\) を用いない」= \(\cos\theta_2=\tfrac{1}{\sqrt2}\) を代入して数値化せよ、の合図。
問2では小物体が台車に固定され、中心 O・P との距離 \(d\) を半径とする円運動をする。すべての経路と台車の間に摩擦がないので、力学的エネルギーは保存する。点 A から静かに出発し、点 X(\(\angle\mathrm{CPX}=\phi\)、P からの距離 \(d\))に来るまでの高さの下がりだけで、そこでの運動エネルギーが決まる。
まず高さを押さえる。小物体は距離 \(d\) の円運動をするので、出発点 A では中心 O と同じ高さ(BC 基準で高さ \(R\))にある。点 X は P からの距離 \(d\)、\(\angle\mathrm{CPX}=\phi\)(PC は真下向き)なので、その高さは P(高さ \(R\))から \(d\cos\phi\) 下がった位置:
$$y_\mathrm{X} = R - d\cos\phi$$A から X までの下がりは \(R-(R-d\cos\phi)=d\cos\phi\)。摩擦がなく力学的エネルギーが保存するので、A(初速 0)から X までで得た運動エネルギーは位置エネルギーの減少分に等しい:
$$\frac{1}{2}m v_\phi^2 = m g\,(d\cos\phi)$$よって高さを変化させる直前の運動エネルギーは:
$$K_\mathrm{X} = \frac{1}{2}m v_\phi^2 = m g\,d\cos\phi$$台車が経路(半径 \(R\))に沿って動いても、小物体は中心から距離 \(d\) を保つので、小物体の軌跡は半径 \(d\) の円弧。高さは「中心の高さ ± \(d\times\)(角度の余弦)」で決まる。A では水平だから高さ \(=R\)、X では \(R-d\cos\phi\)。この差 \(d\cos\phi\) がそのままエネルギーになる。台車の幅・質量は無視できるので、運動エネルギーは小物体の分だけ考えればよい。
摩擦ゼロの経路では運動エネルギー = 高さの下がり × \(mg\)。円運動の半径が \(d\) でも、高さは中心からの鉛直投影 \(d\cos\phi\) で測る。
点 X で中心 P との距離を \(d\to f\)(\(f\lt d\))にすばやく縮める。力は P に向かう中心向き(半径方向)なので、P まわりの面積速度(=角運動量)が保存する。半径を縮めると速さが増える(フィギュアスケートのスピン加速と同じ)。その後、半径 \(f\) の円運動で D まで行き、鉛直上向きに飛び出す。飛び出し速度から最高点の高さが決まる。
ステップ1(面積速度の保存):点 X で半径を \(d\to f\) にすばやく変化させる。問題文で与えられた面積速度一定 \(\dfrac12 d v_\phi = \dfrac12 f v'_\phi\) より、変化直後の速さ \(v'_\phi\) は:
$$v'_\phi = \frac{d}{f}\,v_\phi$$ステップ2(X から D へエネルギー保存):変化直後、小物体は P から距離 \(f\)、角 \(\phi\) の位置にあり、高さは \(R-f\cos\phi\)。半径 \(f\) の円運動で D(P と同じ高さ \(R\))に達したときの速さを \(v_\mathrm{D}\) とすると、摩擦なしより:
$$\frac{1}{2}m v_\mathrm{D}^2 = \frac{1}{2}m v'^2_\phi + m g\big[(R-f\cos\phi)-R\big] = \frac{1}{2}m v'^2_\phi - m g f\cos\phi$$ステップ3(\(v_\phi\) を消す):問2(8)より \(v_\phi^2 = 2 g d\cos\phi\) なので \(v'^2_\phi = \dfrac{d^2}{f^2}v_\phi^2 = \dfrac{2 g d^3\cos\phi}{f^2}\)。代入して \(v_\mathrm{D}^2\) を求める:
$$v_\mathrm{D}^2 = \frac{2 g d^3\cos\phi}{f^2} - 2 g f\cos\phi = 2 g\cos\phi\left(\frac{d^3}{f^2}-f\right) = \frac{2 g\cos\phi\,(d^3-f^3)}{f^2}$$ステップ4(鉛直投げ上げ):D で速度は鉛直上向き \(v_\mathrm{D}\)。最高点の高さ(D 基準)は \(h=\dfrac{v_\mathrm{D}^2}{2g}\):
$$h = \frac{v_\mathrm{D}^2}{2g} = \frac{(d^3-f^3)\cos\phi}{f^2}$$中心 P に向かう力だけがはたらくとき、P まわりの角運動量 \(L=m v r\)(\(r\) は P からの距離、\(v\) は接線速度)が保存する。面積速度 \(\tfrac12 r v\) が一定というのはこれと同じこと。半径が \(d\to f\)(小さく)なると、\(L\) 一定を保つため \(v\) が \(\dfrac{d}{f}\) 倍に増える。この速さの増加が \(f^2\) の分母を生み、\(f\) が小さいほど \(h\) が大きくなる(ただし高さの分 \(-gf\cos\phi\) も効くので、正味 \(d^3-f^3\) の形になる)。
中心向きの力では角運動量(面積速度)が保存。半径を縮めると速くなる。エネルギー保存(半径 \(f\) 区間はなめらか)と組み合わせて飛び出し速度を出す。
問2(9)の \(h=\dfrac{(d^3-f^3)\cos\phi}{f^2}\) を見ると、\(d,f\) は固定、変えられるのは \(\phi\) だけ。\(h\) は \(\cos\phi\) に比例している。比例なので、\(\cos\phi\) を最大にすればよい。\(0\le\phi\lt\dfrac{\pi}{2}\) の範囲で \(\cos\phi\) が最大になるのは \(\phi=0\)、すなわち最も低い(=最も速い)点で半径を縮めるとき。
問2(9)で得た最高点の高さは:
$$h = \frac{(d^3-f^3)\cos\phi}{f^2}$$ここで \(d\) と \(f\) は与えられた定数(\(0\lt f\lt d\))なので、係数 \(\dfrac{d^3-f^3}{f^2}\) は正の定数。したがって \(h\) は \(\cos\phi\) の1次(比例)関数で、\(\cos\phi\) が大きいほど \(h\) は大きい:
$$h = \underbrace{\frac{d^3-f^3}{f^2}}_{\text{正の定数}}\times\cos\phi$$変域 \(0\le\phi\lt\dfrac{\pi}{2}\) では \(0\lt\cos\phi\le 1\)。\(\cos\phi\) が最大となるのは \(\phi=0\) のとき:
$$\cos\phi = 1\quad(\phi = 0)$$\(\phi=0\) は点 X が C の真上、つまり円弧 CD の最下点にあたる。ここは A からの下がり \(d\cos\phi = d\) が最大で、半径変化直前の速さ \(v_\phi\) も最大。面積速度保存で速さが \(\dfrac{d}{f}\) 倍になるとき、元の速さが大きいほど得られる速度も大きい。だから「最も低く・最も速い点で半径を縮める」のが、飛び出し速度=最高点の高さを最大にする。角運動量保存を使った加速を最大限に活かす戦略になっている。
答えの式が\(\cos\phi\) の単調な関数なら、微分するまでもなく端点で最大・最小を判断できる。ここは \(\cos\phi\) に比例なので \(\phi=0\)(\(\cos\phi=1\))で最大。
この大問はすべて文字(\(m,R,g,\mu,\theta,d,f,\phi\))で答えるが、代表値を入れて「だいたいどれくらいの速さ・高さになるか」を確かめておくと、係数ミスや符号ミスに気づきやすい。ここでは \(R=2.0\) m, \(g=9.8\) m/s², \(\mu=0.20\) として主要量の規模感を見る。
\(R=2.0\) m, \(g=9.8\) m/s², \(\mu=0.20\) を代入して規模感を確かめる。まず問1(3)の点 B での速さ:
$$v_\mathrm{B} = \sqrt{2 g R(1-2\mu)} = \sqrt{2\times 9.8\times 2.0\times(1-0.40)} = \sqrt{23.52} \fallingdotseq 4.9\ \text{m/s}$$問1(7)の放物運動の最高点の高さ(\(\theta_2=45^\circ\) で確定):
$$h_{\max} = \frac{\sqrt2}{8}R = \frac{1.414}{8}\times 2.0 \fallingdotseq 0.35\ \text{m}$$問1(4)は例えば \(n=3\) 回以上通過させたいなら、\(\mu\) の上限は:
$$\mu_{\max} = \frac{1}{2n} = \frac{1}{2\times 3} = \frac{1}{6} \fallingdotseq 0.17$$\(R=2.0\) m のとき \(v_\mathrm{B}\fallingdotseq 4.9\) m/s、最高点 \(h_{\max}\fallingdotseq 0.35\) m。\(n=3\) 回通過には \(\mu\le\tfrac16\fallingdotseq 0.17\)。
この大問は文字が主役で、最終的な数値答えは要求されない。だからこそ代表値を入れて「\(v_\mathrm{B}\) は数 m/s、最高点は \(R\) の 2 割弱」といった規模感を持っておくと、\(1-2\mu\) の符号や \(\sqrt2/8\) の係数のミスに気づきやすい。物理的にありえない大きさ(例えば速さが桁違いに大きい)になったら、途中式のどこかで間違えている合図。
文字式で答えたら代表値で数値を入れて規模感を確認する。半径 2 m のレールで、B での速さ約 5 m/s、飛び上がり約 35 cm、と現実的な大きさになる。