力学の総合問題です。水平方向は右向きを正、鉛直方向は上向きを正、重力加速度の大きさ \(g\)、空気抵抗は無視します。問1はばねで小球 A を発射し、力学的エネルギー保存と(可動台では)運動量保存を使って発射台を越える条件を求めます。問2は斜面へ向けた斜方投射と斜面での反発(はねかえり)を、斜面方向・斜面垂直方向に分解して追います。
縮めたばねに蓄えられた弾性エネルギーが、すべて小球 A の運動エネルギーに変わる。水平面はなめらか(摩擦なし)なので、エネルギーが逃げないぶん、ばねを強く(\(k\) 大)・深く(\(d\) 大)縮めるほど速く、重い球(\(m\) 大)ほど遅くなる。
ばねを自然長から距離 \(d\) 縮めたときの弾性エネルギーは \(\dfrac{1}{2}kd^2\)。水平面はなめらかなので、ばねから離れる瞬間、これがすべて A の運動エネルギーになる。力学的エネルギー保存則より:
$$\frac{1}{2}kd^2 = \frac{1}{2}m v^2$$両辺を 2 倍して \(v^2\) について解く:
$$v^2 = \frac{k d^2}{m} \quad\Rightarrow\quad v = d\sqrt{\frac{k}{m}}$$ばねの力は縮みに比例して変化するため、A は等加速度運動ではない。時々刻々変わる力を積分するのは大変だが、エネルギー保存を使えば「最初」と「最後」だけを見比べればよく、途中の詳細を追わずに済む。これがエネルギー法の強みである。
ばねが押し出す運動は弾性エネルギー \(\tfrac12 kd^2\) が運動エネルギーに移ると考える。摩擦がないので、位置エネルギーの変化がなければエネルギーはそのまま速さに変わる。
発射台はストッパーで固定されている。A は高さ \(h\) の斜面(発射台)を駆け上がる。上りきる(=飛び出す)ためには、飛び出す直前の運動エネルギーが、高さ \(h\) まで上る位置エネルギー \(mgh\) 以上であればよい。台がなめらかなので、途中でエネルギーは失われない。
問1(1)より、A が水平面を滑るときの速さは \(v=d\sqrt{k/m}\)、運動エネルギーは \(\dfrac{1}{2}mv^2=\dfrac{1}{2}kd^2\)。発射台は固定されているので、A だけが高さ \(h\) を上る。頂上でちょうど速さ 0 になる境目が「上りきる」ぎりぎりの条件。エネルギー保存より、飛び出すには:
$$\frac{1}{2}kd^2 \ge mgh$$これを \(d\) について解く:
$$d^2 \ge \frac{2mgh}{k} \quad\Rightarrow\quad d \ge \sqrt{\frac{2mgh}{k}}$$「飛び出す」ためには頂上を速さ 0 より速く通過する必要があるので、等号を除いて:
$$d > \sqrt{\frac{2mgh}{k}}$$\(\tfrac12 kd^2 = mgh\) ちょうどだと、A は頂上に達した瞬間に速さ 0 になり、そこから戻ってしまう(飛び出さない)。だから条件は不等号(等号なし)。厳密に「越える」ことを問われたら等号を含めない、と覚えておくとよい。
固定された台を上る問題は運動エネルギー ≥ 位置エネルギー \(mgh\) が飛び出し条件。台がなめらかなら途中の形状によらず、頂上の高さ \(h\) だけで決まる。
今度はストッパーを外したので、A が斜面を押すと発射台も動き出す。A が斜面を上りきって「発射台に対して静止した」瞬間は、A も発射台も同じ速度で並んで動いている状態。水平方向に外から力がはたらかない(床はなめらか)ので、系全体の運動量が保存する。
A がばねから離れた直後の速度を \(v_0\) とする。A が発射台に対して静止した瞬間、A(質量 \(m\))と発射台(質量 \(M\))は同じ速度 \(V\) で動いている。床はなめらかで水平方向の外力がないので、A が台に触れる前後で運動量が保存する:
$$m v_0 = (M+m)\,V$$これを \(V\) について解く:
$$V = \frac{m v_0}{M+m}$$A が発射台に対して静止する=台から見て A の速度が 0=台上で最も高く上った瞬間である。このあと A は台に対して左(後ろ)へ滑り落ち、台を押し返しながら分離していく。共通速度 \(V\) はこの折り返し点で一度だけ現れる特別な値で、問1(4)のエネルギー計算の要になる。
可動台の上で物体が「台に対して静止」した瞬間は両者が共通速度で動く。水平方向に外力がなければ運動量保存 \(mv_0=(M+m)V\) で共通速度が一発で出る。
台が動けるので、A の運動エネルギーの一部は台を動かすエネルギーに使われてしまう。A が高さ \(h\) を上りきる(=飛び出す)ためには、A と台が共通速度 \(V\) で動く分の運動エネルギーを差し引いても、なお \(mgh\) を賄えるだけの初期エネルギーが必要。運動量保存で \(V\) を、エネルギー保存で高さの条件を組み合わせる。
ばねの縮み \(d'\) から A の初速 \(v_0\) は \(\dfrac{1}{2}kd'^2=\dfrac{1}{2}mv_0^2\)、すなわち \(v_0^2=\dfrac{kd'^2}{m}\)。A が台の頂上(高さ \(h\))でちょうど台に対して静止するのが「飛び出す」ぎりぎり。このとき A と台は共通速度 \(V=\dfrac{mv_0}{M+m}\)(問1(3))で動く。力学的エネルギー保存を「発射直後」と「頂上」で立てる:
$$\frac{1}{2}m v_0^2 = \frac{1}{2}(M+m)V^2 + mgh$$\(V=\dfrac{mv_0}{M+m}\) を代入して運動エネルギー項を整理する:
$$\frac{1}{2}(M+m)V^2 = \frac{1}{2}(M+m)\cdot\frac{m^2 v_0^2}{(M+m)^2} = \frac{1}{2}\cdot\frac{m^2 v_0^2}{M+m}$$これをエネルギー式に戻し、\(\dfrac12 mv_0^2\) をくくり出す:
$$\frac{1}{2}m v_0^2\left(1 - \frac{m}{M+m}\right) = mgh \;\Rightarrow\; \frac{1}{2}m v_0^2\cdot\frac{M}{M+m} = mgh$$\(v_0^2\) について解き、飛び出すぎりぎり(頂上で相対速度 0)の境目を出す:
$$v_0^2 = \frac{2gh(M+m)}{M}$$\(v_0^2=\dfrac{kd'^2}{m}\) を代入して \(d'\) の条件にする。飛び出す(頂上を越える)には等号を除いて:
$$\frac{k d'^2}{m} > \frac{2gh(M+m)}{M} \;\Rightarrow\; d'^2 > \frac{2mgh(M+m)}{kM}$$共通速度 \(V\) で動く座標系に乗ると、A は台に対して相対速度 \(v_{\text{rel}}=v_0-V=v_0\cdot\dfrac{M}{M+m}\) で上り始める。この相対運動の運動エネルギーを換算質量 \(\mu=\dfrac{mM}{M+m}\) で表すと \(\dfrac12\mu v_0^2\) となり、これが高さ \(h\) 分の位置エネルギー \(mgh\) に等しくなればよい:
$$\frac{1}{2}\cdot\frac{mM}{M+m}\,v_0^2 = mgh \;\Rightarrow\; v_0^2 = \frac{2gh(M+m)}{M}$$本文と完全に一致する。\(M\to\infty\)(固定台)で \(v_0^2\to 2gh\) となり、問1(2)の結果に戻ることも確認できる。
可動台では運動量保存で共通速度 \(V\) を出し、エネルギー保存に代入する2段構え。固定台の条件に因子 \(\dfrac{M+m}{M}\) が付き、台が軽いほど飛び出しにくくなる。
ここからは斜方投射。小球 A を速さ \(v_1\)、水平から角 \(\alpha\) 上向きに射出する。水平方向は力がはたらかないので等速、鉛直方向は重力で一定の割合で減速(やがて逆向きに加速)する。水平・鉛直を独立に扱うのが斜方投射の鉄則。
射出時の速度を水平・鉛直に分解する。水平成分は \(v_1\cos\alpha\)、鉛直成分は \(v_1\sin\alpha\)。水平方向は力がはたらかないので等速:
$$v_x = v_1\cos\alpha \quad(\text{時間によらず一定})$$鉛直方向は上向きを正として、重力による加速度は \(-g\)。時間 \(t_1\) 後の鉛直成分は等加速度の速度式より:
$$v_y = v_1\sin\alpha - g\,t_1$$\(t_1 < \dfrac{v_1\sin\alpha}{g}\) なら \(v_y>0\)(まだ上昇中)、\(t_1 = \dfrac{v_1\sin\alpha}{g}\) で \(v_y=0\)(最高点)、それを過ぎると \(v_y<0\)(下降中)。水平成分 \(v_1\cos\alpha\) はこの間ずっと一定なので、放物線の頂上でも水平に動き続けている。
斜方投射は水平=等速、鉛直=等加速度の重ね合わせ。速度成分は水平が \(v_1\cos\alpha\)(不変)、鉛直が \(v_1\sin\alpha-gt\)。
斜面は右下がりに角 \(\beta\) 傾いている。重力は真下向き(大きさ \(g\))。これを斜面に沿う方向(右下向き正)と斜面に垂直な方向(右上向き正)に分解する。重力は斜面を滑り下ろす向きに \(g\sin\beta\)、斜面へ押しつける向き(垂直の負側)に \(g\cos\beta\) となる。
斜面は水平から右下へ角 \(\beta\) 傾いている。斜面に沿う「右下向き」の単位ベクトルは \((\cos\beta,\,-\sin\beta)\)、斜面に垂直な「右上向き」の単位ベクトルは \((\sin\beta,\,\cos\beta)\)。重力加速度ベクトルは真下向きで \((0,\,-g)\)。それぞれの方向への成分は内積で求まる。
斜面方向成分(右下向き正):
$$(0,\,-g)\cdot(\cos\beta,\,-\sin\beta) = 0\cdot\cos\beta + (-g)(-\sin\beta) = g\sin\beta$$斜面に垂直な方向成分(右上向き正):
$$(0,\,-g)\cdot(\sin\beta,\,\cos\beta) = 0\cdot\sin\beta + (-g)\cos\beta = -g\cos\beta$$重力は物体を斜面に沿って下らせる方向(右下=正)に \(g\sin\beta\) 引くので、斜面方向成分は正。一方、重力は物体を斜面へ押しつける(右上向き正の逆=斜面の内側へ)ので、垂直成分は負で \(-g\cos\beta\)。角度チェックとして \(\beta\to 0\)(水平)では斜面方向成分が 0、垂直成分が \(-g\) となり、真下向きの重力そのものに戻る。
重力を斜面に分解すると斜面方向 \(g\sin\beta\)、垂直方向 \(g\cos\beta\)。正負は「どちら向きを正と決めたか」で付ける。ここでは垂直の正が右上なので、押しつける向きは負。
射出点は斜面上(原点)。A は放物線を描いて飛び、右下がりの斜面 \(y=-x\tan\beta\) と再び交わったところが衝突点。放物線の式と斜面の直線の式を連立して、\(t=0\) 以外の交点の時刻を求める。
射出点を原点とし、水平右向きを \(x\)、鉛直上向きを \(y\) とする。A の位置は水平が等速、鉛直が等加速度で:
$$x = v_1\cos\alpha\cdot t,\qquad y = v_1\sin\alpha\cdot t - \frac{1}{2}g t^2$$斜面は右下がりに角 \(\beta\) なので、その直線は \(y=-x\tan\beta\)。衝突は放物線が斜面と交わる瞬間なので \(y=-x\tan\beta\) を代入する:
$$v_1\sin\alpha\cdot t - \frac{1}{2}g t^2 = -(v_1\cos\alpha\cdot t)\tan\beta$$\(t\ne 0\) なので両辺を \(t\) で割り、\(t\) について整理する:
$$v_1\sin\alpha - \frac{1}{2}g t = -v_1\cos\alpha\,\tan\beta \;\Rightarrow\; \frac{1}{2}g t = v_1\sin\alpha + v_1\cos\alpha\,\tan\beta$$右辺を \(\cos\beta\) で通分すると加法定理 \(\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta=\sin(\alpha+\beta)\) が現れる:
$$t = \frac{2v_1}{g}\cdot\frac{\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta}{\cos\beta} = \frac{2v_1\sin(\alpha+\beta)}{g\cos\beta}$$斜面に垂直な方向だけを見ると、A は初速 \(v_1\sin(\alpha+\beta)\)(射出速度の斜面垂直成分)で放り上げられ、垂直方向の加速度の大きさ \(g\cos\beta\)(問2(6))で戻ってくる等加速度運動。斜面へ戻る(垂直変位が 0 に戻る)時間は、鉛直投げ上げと同じく「初速の 2 倍を加速度で割る」形:
$$t = \frac{2\,v_1\sin(\alpha+\beta)}{g\cos\beta}$$放物線と直線の連立と同じ答え。斜面基準に分解すると「垂直方向だけの投げ上げ」に単純化できるのが強力。
斜面への衝突時刻は放物線 \(=\) 斜面直線 \(y=-x\tan\beta\) の連立、または斜面垂直方向の投げ上げで求める。加法定理で \(\sin(\alpha+\beta)\) にまとめるのが定石。
水平方向は等速なので、水平距離は「水平速度 \(v_1\cos\alpha\) × 衝突までの時間」で一発。時間は問2(7)で求めた \(t=\dfrac{2v_1\sin(\alpha+\beta)}{g\cos\beta}\) をそのまま使う。
水平方向は等速なので、水平距離 \(x\) は「水平速度 × 時間」。水平速度は \(v_1\cos\alpha\)、衝突までの時間は問2(7)の \(t=\dfrac{2v_1\sin(\alpha+\beta)}{g\cos\beta}\):
$$x = v_1\cos\alpha \cdot t = v_1\cos\alpha\cdot\frac{2v_1\sin(\alpha+\beta)}{g\cos\beta}$$まとめると:
$$x = \frac{2v_1^{\,2}\cos\alpha\,\sin(\alpha+\beta)}{g\cos\beta}$$\(\beta\to 0\) とすると \(\cos\beta\to 1\)、\(\sin(\alpha+\beta)\to\sin\alpha\) となり
$$x \to \frac{2v_1^{\,2}\cos\alpha\sin\alpha}{g} = \frac{v_1^{\,2}\sin 2\alpha}{g}$$これは水平面上の斜方投射の射程の公式そのもの。斜面の式が水平面の一般化になっていることが確認できる。
水平距離は水平速度 \(v_1\cos\alpha\) と衝突時間の積。時間さえ求めれば水平距離は掛け算で出る。
\(v_1\) を固定して射出角 \(\alpha\) だけ変える。水平距離 \(x\) は \(\alpha\) の関数で、\(\cos\alpha\,\sin(\alpha+\beta)\) の部分が最大になる \(\alpha\) を探す。積を和に直す公式を使うと、\(\sin(2\alpha+\beta)\) が最大(=1)になる条件に帰着する。
問2(8)より \(x=\dfrac{2v_1^{\,2}}{g\cos\beta}\cdot\cos\alpha\,\sin(\alpha+\beta)\)。\(v_1,\beta\) は固定なので、\(\alpha\) について変わるのは \(\cos\alpha\,\sin(\alpha+\beta)\) の部分。与えられた公式 \(\sin\theta\cos\phi=\dfrac{1}{2}\{\sin(\theta+\phi)+\sin(\theta-\phi)\}\) を、\(\theta=\alpha+\beta,\ \phi=\alpha\) として使う:
$$\sin(\alpha+\beta)\cos\alpha = \frac{1}{2}\bigl\{\sin(2\alpha+\beta) + \sin\beta\bigr\}$$\(\sin\beta\) は \(\alpha\) によらない定数。よって \(x\) が最大になるのは \(\sin(2\alpha+\beta)\) が最大値 1 をとるとき:
$$2\alpha+\beta = \frac{\pi}{2}$$\(\alpha\) について解く(\(0<\alpha<\dfrac{\pi}{2}\) を満たす):
$$\alpha = \frac{\pi}{4} - \frac{\beta}{2}$$水平面(\(\beta=0\))では \(\alpha=\dfrac{\pi}{4}\)(45°)が最遠になる、という有名な結果に一致する。斜面が下がっている(\(\beta>0\))ほど最適角は 45°より小さくなる(水平寄りに撃つほうが遠くまで届く)。\(\beta=\dfrac{\pi}{6}\) なら \(\alpha=\dfrac{\pi}{4}-\dfrac{\pi}{12}=\dfrac{\pi}{6}\)(30°)が最適。射出方向 \(\alpha\) は、水平方向(0)と斜面方向(\(-\beta\))のちょうど中間の向きになっていることも読み取れる。
積 \(\cos\alpha\sin(\alpha+\beta)\) の最大は積和公式で \(\sin(2\alpha+\beta)\) にまとめ、\(=1\) とする。答えは \(\alpha=\dfrac{\pi}{4}-\dfrac{\beta}{2}\)、水平面の 45°の自然な一般化。
反発(はねかえり)は斜面に垂直な方向にだけ効く。摩擦がないので斜面方向の速度はそのまま、斜面に垂直な方向の速度は大きさが \(e\) 倍になって逆向き。だから、まず衝突直前の速度を斜面方向・垂直方向に分解し、垂直成分だけ \(-e\) 倍にすればよい。
まず衝突直前の速度を求める。\(\alpha=\dfrac{\pi}{3},\ \beta=\dfrac{\pi}{6}\) では \(\sin(\alpha+\beta)=\sin\dfrac{\pi}{2}=1\)、\(\cos\beta=\dfrac{\sqrt3}{2}\) なので、衝突までの時間は \(t_c=\dfrac{2v_1\cdot 1}{g\cdot\frac{\sqrt3}{2}}=\dfrac{4v_1}{\sqrt3\,g}\)。衝突直前の速度成分(水平・鉛直)は:
$$v_x = v_1\cos\frac{\pi}{3} = \frac{v_1}{2},\qquad v_y = v_1\sin\frac{\pi}{3} - g t_c = \frac{\sqrt3}{2}v_1 - \frac{4v_1}{\sqrt3} = -\frac{5\sqrt3}{6}v_1$$これを斜面方向(右下向き正、単位ベクトル \((\cos\beta,-\sin\beta)=(\tfrac{\sqrt3}{2},-\tfrac12)\))と斜面垂直方向(右上向き正、\((\sin\beta,\cos\beta)=(\tfrac12,\tfrac{\sqrt3}{2})\))に分解する。斜面方向成分:
$$v_\parallel = \frac{v_1}{2}\cdot\frac{\sqrt3}{2} + \left(-\frac{5\sqrt3}{6}v_1\right)\left(-\frac12\right) = \frac{\sqrt3}{4}v_1 + \frac{5\sqrt3}{12}v_1 = \frac{2\sqrt3}{3}v_1$$斜面垂直方向成分(衝突直前):
$$v_\perp = \frac{v_1}{2}\cdot\frac12 + \left(-\frac{5\sqrt3}{6}v_1\right)\cdot\frac{\sqrt3}{2} = \frac{v_1}{4} - \frac{5v_1}{4} = -v_1$$衝突は摩擦なし。斜面方向成分はそのまま、垂直成分は反発係数 \(e\) で符号反転:衝突直後の垂直成分 \(=-e\times(-v_1)=e v_1\)。よって:
$$v_\parallel' = \frac{2\sqrt3}{3}v_1\ (\text{不変}),\qquad v_\perp' = e v_1$$衝突直前の速さの2乗は \(v_x^2+v_y^2=\left(\tfrac{v_1}{2}\right)^2+\left(\tfrac{5\sqrt3}{6}v_1\right)^2=\tfrac{v_1^2}{4}+\tfrac{75v_1^2}{36}=\tfrac{7}{3}v_1^2\)。分解した成分でも \(v_\parallel^2+v_\perp^2=\left(\tfrac{2\sqrt3}{3}v_1\right)^2+v_1^2=\tfrac{4}{3}v_1^2+v_1^2=\tfrac{7}{3}v_1^2\) となり一致する。分解が正しいことの確認になる。
斜面での反発は斜面方向は保存、垂直方向のみ \(-e\) 倍。まず直前速度を斜面座標に分解し、垂直成分だけ処理する。
衝突直後の速度を水平・鉛直(もとの xy)に戻して、鉛直成分が上向き(正)であれば「水平より上へ跳ねる」。反発が弱い(\(e\) が小さい)と、斜面に沿って下る成分が勝ってしまい下向きに跳ねる。境目を \(e\) の不等式で出す。
問2(10)の衝突直後の速度(斜面方向 \(\tfrac{2\sqrt3}{3}v_1\)、垂直方向 \(e v_1\))を、水平・鉛直の xy 成分に戻す。斜面方向単位ベクトルは \((\tfrac{\sqrt3}{2},-\tfrac12)\)、垂直方向は \((\tfrac12,\tfrac{\sqrt3}{2})\) だから:
$$v_x' = \frac{2\sqrt3}{3}v_1\cdot\frac{\sqrt3}{2} + e v_1\cdot\frac12 = v_1 + \frac{e}{2}v_1 = v_1\Bigl(1+\frac{e}{2}\Bigr)$$鉛直成分(上向き正):
$$v_y' = \frac{2\sqrt3}{3}v_1\cdot\Bigl(-\frac12\Bigr) + e v_1\cdot\frac{\sqrt3}{2} = -\frac{\sqrt3}{3}v_1 + \frac{\sqrt3}{2}e v_1 = \sqrt3\,v_1\Bigl(\frac{e}{2}-\frac13\Bigr)$$「水平方向より上に跳ねる」とは鉛直成分が上向き、すなわち \(v_y'>0\):
$$\sqrt3\,v_1\Bigl(\frac{e}{2}-\frac13\Bigr) > 0 \;\Rightarrow\; \frac{e}{2} > \frac13 \;\Rightarrow\; e > \frac23$$反発係数は \(0\le e\le 1\) の範囲。したがって上へ跳ねるのは \(\dfrac23 < e \le 1\) の範囲に限られる。\(e=\dfrac23\) ちょうどでは跳ね返り後ちょうど水平方向に飛び出す(\(v_y'=0\))。反発が弱いと、斜面に沿って滑り下る成分(斜面方向 \(\tfrac{2\sqrt3}{3}v_1\))の鉛直下向き寄与が勝ち、下向きに跳ねてしまう。
「水平より上か下か」は衝突直後の速度を xy に戻して鉛直成分の符号で判定する。斜面座標のまま符号を論じないよう注意。
問2(11)の条件(\(e>\tfrac23\))を満たすので、跳ね返った A はふたたび放物線を描いて上がり、最高点に達する。跳ね返り直後の速度(\(v_x',\,v_y'\))を初速とするふつうの斜方投射。最高点までの時間は \(v_y'/g\)、その間の水平距離は \(v_x'\times(v_y'/g)\)。
問2(11)より跳ね返り直後の速度は、水平 \(v_x'=v_1\Bigl(1+\dfrac{e}{2}\Bigr)\)、鉛直 \(v_y'=\sqrt3\,v_1\Bigl(\dfrac{e}{2}-\dfrac13\Bigr)\)(上向き)。以後は空中の斜方投射なので、水平は等速、鉛直は重力で減速。最高点は鉛直速度が 0 になる時刻で、最高点までの時間は:
$$t_{\text{top}} = \frac{v_y'}{g} = \frac{\sqrt3\,v_1}{g}\Bigl(\frac{e}{2}-\frac13\Bigr)$$その間の水平距離は「水平速度 × 時間」:
$$x = v_x'\cdot t_{\text{top}} = v_1\Bigl(1+\frac{e}{2}\Bigr)\cdot\frac{\sqrt3\,v_1}{g}\Bigl(\frac{e}{2}-\frac13\Bigr)$$係数を整理する。\(1+\dfrac{e}{2}=\dfrac{2+e}{2}\)、\(\dfrac{e}{2}-\dfrac13=\dfrac{3e-2}{6}\) なので:
$$x = \frac{\sqrt3\,v_1^{\,2}}{g}\cdot\frac{2+e}{2}\cdot\frac{3e-2}{6} = \frac{\sqrt3\,v_1^{\,2}(2+e)(3e-2)}{12g}$$\(e>\dfrac23\) のとき \(3e-2>0\)、\(2+e>0\) なので \(x>0\)(前方=右へ進む)。物理的に意味のある正の水平距離になる。分子を展開すると \((2+e)(3e-2)=3e^2+4e-4\) だから
$$x = \frac{\sqrt3\,v_1^{\,2}(3e^2+4e-4)}{12g}$$とも書ける。\(e=1\)(完全弾性)なら \((2+1)(3-2)=3\) より \(x=\dfrac{\sqrt3\,v_1^2\cdot 3}{12g}=\dfrac{\sqrt3\,v_1^2}{4g}\)。
数値例:\(v_1 = 20\ \text{m/s}\)、\(g = 9.8\ \text{m/s}^2\)、\(e = 0.8\) を代入してみる。\((2+e)(3e-2)=(2.8)(0.4)=1.12\) なので
$$x = \frac{\sqrt3 \times 20^2 \times 1.12}{12 \times 9.8} = \frac{1.732 \times 400 \times 1.12}{117.6} \fallingdotseq 6.6\ \text{m}$$初衝突点から約 \(6.6\ \text{m}\) 先の水平位置で最高点に達する、と具体的な長さが得られる。
跳ね返った後は新しい初速による斜方投射。最高点までの水平距離は \(v_x'\cdot\dfrac{v_y'}{g}\)。反発係数 \(e\) が大きいほど鉛直成分が増え、上へ長く飛ぶ。