ブリッジ回路と交流回路の総合問題。3つの段階に分かれる。
立式:検流計Gに電流が流れないので、R₁→R₂は直列、R₃→R₄も直列。両枝とも電圧は$E$ で両端に同じ電圧が掛かる。
左枝(R₁, R₂)を流れる電流:
$$I_{12} = \frac{E}{R_1+R_2}$$各抵抗での電圧降下(オームの法則):
$$V_1 = R_1 I_{12} = \frac{R_1}{R_1+R_2}E$$ $$V_2 = R_2 I_{12} = \frac{R_2}{R_1+R_2}E$$これは抵抗分圧の法則で、直列抵抗では電圧がR値に比例して分配される。
数値例:$R_1 = 2$ Ω, $R_2 = 3$ Ω, $E = 12$ V:
$$V_1 = \frac{2}{5}\cdot 12 = 4.8 \text{ V}, \quad V_2 = \frac{3}{5}\cdot 12 = 7.2 \text{ V}$$確認:$V_1 + V_2 = 12$ V = $E$。
検流計に電流が流れるとき、R₁とR₂は厳密には直列ではない(検流計経由で電流が分岐する)。その場合は、キルヒホッフの法則(電流保存と電圧の総和=0)を各ループで書き、連立方程式で解く必要がある。
ブリッジ平衡時=検流計に電流ゼロ=R₁R₂とR₃R₄が独立直列。抵抗分圧則 $V_n = R_n E/(R_1+R_2)$ を即座に書けるようにする。
平衡条件:検流計の両端(R₁-R₂間の節点 と R₃-R₄間の節点)の電位が等しい。問1の結果を両枝で使うと:
$$\frac{R_1}{R_1+R_2}E = \frac{R_3}{R_3+R_4}E$$両辺を $E$ で割って:
$$\frac{R_1}{R_1+R_2} = \frac{R_3}{R_3+R_4}$$交差してクロスに掛ける:
$$R_1(R_3+R_4) = R_3(R_1+R_2)$$ $$R_1 R_3 + R_1 R_4 = R_1 R_3 + R_2 R_3$$ $$R_1 R_4 = R_2 R_3$$$R_4$ について解いて:
$$\boxed{R_4 = \frac{R_2 R_3}{R_1}}$$数値例:$R_1 = 2$ Ω, $R_2 = 3$ Ω, $R_3 = 4$ Ω:
$$R_4 = \frac{3 \cdot 4}{2} = 6 \text{ Ω}$$左側電源端を電位 $0$、右側を $E$ とする。R₁-R₂ の中点電位:
$$V_P = 0 + \frac{R_1}{R_1+R_2}E$$R₃-R₄ の中点電位:
$$V_Q = 0 + \frac{R_3}{R_3+R_4}E$$検流計に電流が流れない条件は $V_P = V_Q$。
※電源の極性によって式は $\dfrac{R_2}{R_1+R_2}$ となる場合もあるが、最終的に $R_1 R_4 = R_2 R_3$ の関係は同じ。
ブリッジ平衡条件は「対角の積が等しい」という覚えやすい形: $R_1 R_4 = R_2 R_3$。未知抵抗の精密測定に使われる重要な回路。
回路方程式:電源$E$、直列抵抗 $R_2 + R_3 = R_\text{直列}$、非線形抵抗X の直列回路。キルヒホッフ電圧則:
$$E = I_X(R_2 + R_3) + V_X$$$I_X$ と $V_X$ はXの関係(非線形曲線)を満たさなければならない。
図式解法(動作点法):横軸 $V_X$、縦軸 $I_X$ のグラフに以下の2つを描く:
2つの交点が動作点。$V_X$ と $I_X$ を同時に満たす唯一の値。
数値例:$E = 4.0$ V, $R_2+R_3 = 3.0$ Ω, Xが「(あ)」特性($V=1$ V で $I \fallingdotseq 1.0$ A のカーブ)の場合:
負荷直線:$I = (4.0 - V)/3.0$ は切片 $(0, 4/3)$、$(4, 0)$ の直線。
Xの特性カーブとの交点を読み取って $V_X \fallingdotseq 0.8$ V, $I_X \fallingdotseq 1.07$ A(グラフから)。
非線形抵抗では $V/I$ が電圧により変化する。例えばダイオードは $V$ が小さいときは $I \approx 0$、ある電圧を超えると急激に $I$ が増える。線形抵抗なら $V = RI$ の直線だが、非線形は曲線なので代数で解けず、グラフか数値計算(反復法)が必要。
一方、電源回路側は線形(オームの法則有効)なので、電圧則から直線(負荷直線)が書ける。この「線形側の直線」と「非線形側の曲線」の交点で解く手法は電子回路設計でも標準的。
非線形素子を含む回路は負荷直線法(動作点法)で解く。$I = (E-V)/R$ を描いて曲線と交差させる。グラフから値を読む問題では、方眼の目盛を正確に使う。
設定:交流電源電圧 $E = E_0 \cos\omega t$。点ウ・点イに流れる電流は $I_S \cos(\omega t - \phi)$ と $I_C \sin(\omega t - \phi)$。
コイルの電圧:$V_L = L\dfrac{dI}{dt}$ で、$I = I_S\cos(\omega t - \phi)$ とすると:
$$V_L = L \cdot I_S \cdot (-\omega\sin(\omega t - \phi)) = -L\omega I_S \sin(\omega t - \phi)$$よって(a)は $-L\omega I_S \sin(\omega t - \phi)$ に比例する、つまり電流より電圧が $\pi/2$ 進む(または電流が電圧より遅れる)。
コンデンサの電圧:$V_C = \dfrac{Q}{C}$, $I = \dfrac{dQ}{dt} = I_C\sin(\omega t - \phi)$ とすると:
$$Q = \int I\,dt = -\frac{I_C}{\omega}\cos(\omega t - \phi)$$ $$V_C = \frac{Q}{C} = -\frac{I_C}{\omega C}\cos(\omega t - \phi) = \frac{I_C}{\omega C}\cos(\omega t - \phi + \pi)$$つまり(b)は $\dfrac{I_C}{\omega C}\sin(\omega t - \phi)$ に比例(1/ωC倍)。
位相関係の確認:
コイルのインピーダンスは $Z_L = j\omega L$(純虚数、正)、コンデンサは $Z_C = 1/(j\omega C) = -j/(\omega C)$(純虚数、負)。どちらも $\pm j = \pm \pi/2$ の位相回転を意味する。
$$V_L = Z_L I_L = j\omega L I_L, \quad V_C = Z_C I_C = \frac{1}{j\omega C}I_C$$電気工学では複素数で扱うと計算が素早い。
LとCの電圧は「微分」「積分」で作られるので正弦から余弦への位相ズレ $\pm\pi/2$ を生む。大きさは $\omega L$(誘導リアクタンス)と $1/(\omega C)$(容量リアクタンス)に比例。
立式:コンデンサの基本関係 $Q = CV_C$ を時間で微分:
$$I_C = \frac{dQ}{dt} = C\frac{dV_C}{dt}$$電圧を $V_C = V_0 \cos(\omega t - \phi_C)$ と仮定:
$$I_C = -C V_0 \omega \sin(\omega t - \phi_C) = C V_0 \omega \cos\!\left(\omega t - \phi_C + \frac{\pi}{2}\right)$$つまり:
振幅の関係:
$$I_{C,\max} = \omega C \cdot V_{C,\max}$$または:
$$V_{C,\max} = \frac{1}{\omega C} I_{C,\max}$$ここで $1/(\omega C) = X_C$ を容量リアクタンスと呼ぶ。オームの法則 $V = RI$ と同じ形。
数値例:$C = 10\ \mu$F, $\omega = 2\pi\times 50$ rad/s(50 Hz), $V_0 = 100$ V:
$$I_{C,\max} = 10\times 10^{-6} \times 2\pi\times 50 \times 100 = \pi \fallingdotseq 0.314 \text{ A}$$抵抗の交流版。$V = X_C I$ がそのまま成り立つ(実効値で)。周波数が高いと $X_C$ が小さく、コンデンサはほぼ短絡(電流が流れやすい)。周波数が低いと $X_C$ が大きく、直流($\omega=0$)では $X_C \to \infty$(完全に遮断)。これが「コンデンサは低周波を遮断、高周波を通す」(ハイパスフィルタ)の原理。
コンデンサ電流 $I = CdV/dt$、振幅比は $I_\text{max}/V_\text{max} = \omega C$。位相は電流が $\pi/2$ 進む。これは高校物理の交流回路で頻出。
各枝のインピーダンス:
ブリッジ平衡条件:対角の積が等しい:
$$Z_L \cdot Z_C = Z_5 \cdot Z_6$$代入:
$$j\omega L \cdot \frac{1}{j\omega C} = R_5 R_6$$左辺の $j$ は消えて:
$$\frac{L}{C} = R_5 R_6$$$C$ について解く:
$$\boxed{C = \frac{L}{R_5 R_6}}$$大事な特徴:この条件は$\omega$ に依存しない。つまり周波数が変わってもブリッジは平衡を保つ。マクスウェルブリッジの利点(精密な $L/C$ 比測定が可能)。
数値例:$L = 0.1$ H, $R_5 = 100$ Ω, $R_6 = 200$ Ω:
$$C = \frac{0.1}{100 \times 200} = \frac{0.1}{20000} = 5.0\times 10^{-6} \text{ F} = 5.0\ \mu\text{F}$$もしブリッジの構造が異なり、実部と虚部で独立な2条件が出る場合(一般的な配置):
$$\text{Re}[Z_L Z_C] = \text{Re}[Z_5 Z_6]$$ $$\text{Im}[Z_L Z_C] = \text{Im}[Z_5 Z_6]$$本問は $Z_L Z_C = L/C$(実数)かつ $Z_5 Z_6 = R_5 R_6$(実数)なので、両方実数で虚部条件は自動成立。1本の式だけで決まる。
実験室でコイルのインダクタンスを測定する標準的な装置。$R_5, R_6, C$ の3つを調整して平衡点を探すと、対象のインダクタンス $L = C R_5 R_6$ が精密に決定できる。商用測定器の LCR メータも同様の原理を高度化したもの。
交流ブリッジの平衡条件は「対角インピーダンスの積が等しい」$Z_1 Z_4 = Z_2 Z_3$。コイルとコンデンサの $j$ が打ち消し合うと $\omega$ に依存しない条件が得られる(マクスウェルブリッジの特徴)。