半径 \(R\) の球の中に正電荷が「一様に」詰まっていて、その中を負電荷 \(-e\) が動く問題です。ポイントは冒頭に書かれたシェルの定理(殻の定理):「距離 \(r\) の点の電場は、半径 \(r\) の球の内側の正電荷だけで決まり、外側の正電荷は効かない」。これを使うと、球の中では力が \(F=Kr\)(=ばねと同じ!)、球の外では \(F\propto 1/r^2\)(=点電荷と同じ)になります。
3つの状況設定 \([\text{A}]\sim[\text{C}]\) がありますが、すべての土台は「球内で復元力 \(F=Kr\) が働く」という1点です。この \(K\) を最初に求め、あとはそれを使い回します。
\(N=1\) なので正電荷の総量は \(e\)。球の中では、原点に近づくほど「自分を取り囲む正電荷」が減るので、力は距離 \(r\) に比例して弱まり(\(F=Kr\)、まさにばね)、球の外では点電荷 \(e\) とみなせて\(1/r^2\) で弱まる。位置エネルギーはそれぞれ「ばねの \(\tfrac12Kr^2\)」「点電荷の \(-ke^2/r\)」の形になります。
(ア)\(K\):球内 \(r\le R\) の力の比例定数。 半径 \(r\) の球内にある正電荷は、体積比より
$$q_{\text{内}}=e\cdot\frac{\frac{4}{3}\pi r^3}{\frac{4}{3}\pi R^3}=e\,\frac{r^3}{R^3}$$これが原点に集中したとみなせるので、粒子 \(-e\) が受ける力の大きさは
$$F=k\frac{e\cdot q_{\text{内}}}{r^2}=k\frac{e\cdot e\,r^3/R^3}{r^2}=\frac{ke^2}{R^3}\,r$$\(F=Kr\) と比べて \(\displaystyle \boxed{K=\frac{ke^2}{R^3}}\)(原点向き)。
(イ)\(U\)(球内、原点基準)。 力の大きさが \(r\) に比例する「ばね型」なので、位置エネルギーはばねと同じ \(U=\tfrac12Kr^2\):
$$U=\frac12 K r^2=\frac{ke^2}{2R^3}\,r^2 \quad\Rightarrow\quad (\text{イ})=\boxed{\frac{ke^2}{2R^3}}$$(ウ)球外 \(r\ge R\) の力。 全正電荷 \(e\) が原点に集中したとみなせるので、点電荷どうしのクーロン力:
$$F=k\frac{e\cdot e}{r^2}=ke^2\cdot\frac{1}{r^2}\quad\Rightarrow\quad (\text{ウ})=\boxed{ke^2}$$(エ)球外の位置エネルギー \(U=(\text{エ})\dfrac1r+C\)。 引力(原点向き)なので、点電荷どうしの位置エネルギーと同じく
$$U=-k\frac{e\cdot e}{r}+C=-ke^2\cdot\frac1r+C\quad\Rightarrow\quad (\text{エ})=\boxed{-ke^2}$$(オ)定数 \(C\):\(r=R\) で内外を一致させる。
$$\underbrace{\frac{ke^2}{2R^3}R^2}_{\text{球内}(r=R)}=\underbrace{-\frac{ke^2}{R}+C}_{\text{球外}(r=R)}$$ $$\frac{ke^2}{2R}=-\frac{ke^2}{R}+C\quad\Rightarrow\quad C=\frac{ke^2}{2R}+\frac{ke^2}{R}=\boxed{\frac{3ke^2}{2R}}$$(カ)原点から無限遠まで引き離す最小の仕事 \(W\)。 無限遠では \(U(\infty)=-ke^2/\infty+C=C\)、原点は基準で \(U(0)=0\)。 「最小の仕事」= 位置エネルギーの増加分(運動エネルギーを与えず、ゆっくり運ぶ)だから
$$W=U(\infty)-U(0)=C-0=\boxed{\frac{3ke^2}{2R}}$$一様に帯電しているので、電荷は「体積に比例」して詰まっています。半径 \(r\) の球の体積は \(r^3\) に比例するので、内部電荷は \(q_{\text{内}}\propto r^3\)。一方クーロン力は \(1/r^2\) で弱まるので、両者を掛け合わせると
$$F\propto\frac{q_{\text{内}}}{r^2}\propto\frac{r^3}{r^2}=r$$となり、力が距離に比例します。これは \(F=-kx\) のフックの法則とまったく同じ形。だから球内に入れた電荷は単振動をします(この事実が \([\text{B}][\text{C}]\) で効いてきます)。
球外の \(U=-ke^2/r+C\) で \(C\) は「原点を基準」にとった結果 \(3ke^2/2R\) でした。無限遠を \(0\) にとり直すと \(U_\infty(r)=-ke^2/r\)。原点でのエネルギーは、\(r=R\) の連続性から
$$U_\infty(0)=U_\infty(R)-\int_0^R F\,dr' = -\frac{ke^2}{R}-\frac{ke^2}{2R}=-\frac{3ke^2}{2R}$$よって原点から無限遠へ運ぶ仕事は \(W=0-\left(-\dfrac{3ke^2}{2R}\right)=\dfrac{3ke^2}{2R}\)。基準の取り方によらず同じ値になります。
一様帯電球は「中はばね \(F=Kr\)、外は点電荷 \(F=ke^2/r^2\)」の二段構え。位置エネルギーは \(r=R\) で連続にして定数 \(C\) を決めるのが鉄則。
3個の \(-e\) が正三角形の頂点で静止。1個に注目すると、力は2種類:①球の正電荷が中心へ引く力(内向き、\(F=Kr_0\)、ただし総電荷は \(3e\))と、②他の2個の負電荷が反発する力(外向き)。この内向きと外向きが釣り合う距離が \(r_0\)。対称性から2個の反発の合力はきれいに中心の反対向き(外向き)になります。
1個の荷電粒子(原点から距離 \(r_0\))にはたらく力を、内向きを正として釣り合わせます。
① 球の正電荷からの引力(内向き)。 今度は総電荷が \(3e\) なので、半径 \(r_0\) 内の正電荷は \(q_{\text{内}}=3e\cdot\dfrac{r_0^3}{R^3}\)。よって
$$F_{\text{球}}=k\frac{e\cdot 3e\,(r_0^3/R^3)}{r_0^2}=\frac{3ke^2}{R^3}\,r_0 \quad(\text{内向き})$$② 他の2個の \(-e\) からの反発(外向き)。 正三角形の外接円半径が \(r_0\) なので、粒子間の距離(辺の長さ)は \(s=\sqrt{3}\,r_0\)。1個あたりの反発力の大きさは
$$f=k\frac{e^2}{s^2}=k\frac{e^2}{3r_0^2}$$他の2個からの力を合成します。注目粒子から見て他の2頂点への方向は、外向き(半径方向)から左右対称に \(30^\circ\) ずつ開いています。半径方向以外の成分は打ち消し合い、半径方向(外向き)成分だけが残ります。1個あたりの外向き成分は \(f\cos30^\circ=f\cdot\dfrac{\sqrt3}{2}\) なので、2個分では
$$F_{\text{反発}}=2\times f\cos30^\circ=2\cdot\frac{ke^2}{3r_0^2}\cdot\frac{\sqrt3}{2}=\frac{ke^2}{\sqrt3\,r_0^2}\quad(\text{外向き})$$③ つり合い(内向き = 外向き)。
$$\frac{3ke^2}{R^3}\,r_0=\frac{ke^2}{\sqrt3\,r_0^2}$$両辺を \(ke^2\) で割り、\(r_0^2\) を掛けて整理すると
$$\frac{3\,r_0^3}{R^3}=\frac{1}{\sqrt3}\quad\Rightarrow\quad r_0^3=\frac{R^3}{3\sqrt3}=\frac{R^3}{3^{3/2}}$$ $$r_0=\frac{R}{3^{1/2}}=\frac{R}{\sqrt3}=\frac{\sqrt3}{3}R$$外接円半径 \(r_0\) の正三角形では、中心角 \(120^\circ\) をはさむ2頂点の間隔が辺 \(s\)。余弦定理より
$$s^2=r_0^2+r_0^2-2r_0^2\cos120^\circ=2r_0^2-2r_0^2\left(-\tfrac12\right)=3r_0^2\ \Rightarrow\ s=\sqrt3\,r_0$$また、注目頂点から他頂点へ向かう線と「外向き半径方向」のなす角は \(30^\circ\)。だから反発力の外向き成分は \(f\cos30^\circ\)。答えに \(m,\ e,\ k\) が現れないのは、力がすべて \(ke^2\) に比例して両辺で消えるからです(幾何だけで \(r_0\) が決まる)。
「球の引力 ∝ 総電荷 \(3e\)」を忘れずに(\(N=1\) の \(e\) ではない)。反発力は対称性で半径方向成分だけを残すのがコツ。
球内 \((a\lt R)\) で半径 \(a\) の等速円運動。中心へ引く力(向心力)は2つ:球の復元力 \(Ka\) と 磁場のローレンツ力。反時計回り(\(+z\) から見て)に動く \(-e\) には、ローレンツ力が中心向きにはたらきます。この2つの合計が円運動の向心力 \(ma\omega^2\) に等しい、という式を立てます。
向心力の内訳。 半径 \(a\) の点での球の復元力は \(F_{\text{電}}=Ka\)(中心向き)。 ローレンツ力の向きを確認します。速度 \(\vec v\)(大きさ \(a\omega\)、反時計回り)と \(\vec B=B\hat z\) について、電荷は \(-e\) なので
$$\vec F_{\text{磁}}=(-e)\,\vec v\times\vec B$$位置 \((a,0)\) で \(\vec v=a\omega\,\hat y\) のとき \(\vec v\times\vec B=a\omega B\,(\hat y\times\hat z)=a\omega B\,\hat x\)(外向き)。これに \(-e\) を掛けると \(\vec F_{\text{磁}}=-ea\omega B\,\hat x\)、すなわち中心向きで大きさ \(ea\omega B\)。
円運動の方程式(向心方向)。 向心加速度は \(a\omega^2\) なので
$$m\,a\omega^2=\underbrace{Ka}_{\text{電気力}}+\underbrace{ea\omega B}_{\text{ローレンツ力}}$$両辺を \(a\) で割って整理すると、\(\omega\) の2次方程式:
$$m\omega^2-eB\,\omega-K=0$$解の公式で(\(\omega\gt 0\) をとる)
$$\omega=\frac{eB+\sqrt{(eB)^2+4mK}}{2m}=\boxed{\dfrac{eB+\sqrt{e^2B^2+4mK}}{2m}}$$2次方程式 \(m\omega^2-eB\omega-K=0\) の2解は、解と係数の関係から積が \(-K/m\lt 0\)。よって1つは正、1つは負です。問題は「反時計回り(\(\omega\gt 0\))」を指定しているので、正の根、すなわち根号の前が \(+\) の方を採用します。負の根は「時計回り(逆向き)でも円運動が可能」という別解に対応します。
ローレンツ力の向きは \((-e)\vec v\times\vec B\) をていねいに。今回は中心向き(向心力を強める)ので、\(\omega\) を大きくする側に効く。式は \(\omega\) の2次式になる点に注意。
ぐるぐる回る1個の電荷を、長時間ならして見ると「ひとつの円電流」に見えます。電流 =「1周期あたりに1点を通過する電気量」÷「周期」。負電荷が反時計回りに回るので、電流(正電荷の流れの向き)は時計回り=符号の約束で負になります。
周期。 角速度 \(\omega\) の等速円運動なので、1周にかかる時間(周期)は
$$T=\frac{2\pi}{\omega}$$平均電流。 円軌道上のある1点を、周期に比べて充分長い時間 \(t\) 見張ると、その間に電荷は \(t/T\) 回通過し、毎回 \(-e\) を運ぶので、通過した電気量は \(\dfrac{t}{T}\times(-e)\)。これを \(t\) で割れば平均電流:
$$I=\frac{1}{t}\cdot\frac{t}{T}(-e)=\frac{-e}{T}=\frac{-e}{2\pi/\omega}=-\frac{e\omega}{2\pi}$$負電荷が反時計回り = 正電荷なら時計回りに流れるのと同じ。問題の約束(反時計回りが正)では時計回りは負なので、\(I\lt 0\) は符号の約束とも整合します。
電流の向きは「正電荷が流れる向き」と定義します。ここでは実体は負電荷 \(-e\) が反時計回りに動いているので、等価な正電荷の流れは逆向き=時計回り。問題文が「反時計回りを正、時計回りを負」と定めているので、時計回りの電流は負。大きさは \(\dfrac{e\omega}{2\pi}\)、符号を付けて \(I=-\dfrac{e\omega}{2\pi}\) となります。
円運動の平均電流は \(I=\dfrac{(\text{電気量})}{T}\)、\(T=\dfrac{2\pi}{\omega}\) の一本道。電荷の符号と回転の向きから電流の符号を必ず決める。
半径 \(a\) の円電流が「その中心」につくる磁場は、公式 \(H=\dfrac{I}{2a}\)。時計回りの電流(\(I\lt 0\))なので、右ねじの法則で磁場は \(-z\) 向き = \(H_z\lt 0\) になります。前問の \(I\) を代入するだけです。
円電流中心の磁場の公式。 半径 \(a\) の円電流 \(I\) が、その中心(=原点)につくる磁場の大きさは
$$H=\frac{I}{2a}$$前問の \(I\) を代入。 \(I=-\dfrac{e\omega}{2\pi}\) を入れると、\(z\) 成分は
$$H_z=\frac{I}{2a}=\frac{1}{2a}\left(-\frac{e\omega}{2\pi}\right)=-\frac{e\omega}{4\pi a}$$符号が負なのは、電流が時計回り(上から見て)なので、右ねじの法則により磁場が \(-z\)(紙面の奥)向きになるためです。
円電流中心の磁束密度は \(B=\dfrac{\mu_0 I}{2a}\)、磁場(磁界)は \(H=\dfrac{B}{\mu_0}=\dfrac{I}{2a}\)。本問は \(H_z\) を問うているので \(\mu_0\) の付かない \(H=\dfrac{I}{2a}\) を使います。もし \(B_z\) を問われたら \(B_z=-\dfrac{\mu_0 e\omega}{4\pi a}\) となります。向きの符号は電流の回転の向きから右ねじで判断します。
中心磁場は \(H=\dfrac{I}{2a}\)。前問の \(I\) を符号ごと代入すれば向き(\(H_z\lt 0\))まで自動で決まる。
\(x\) 軸に沿って一様電場 \(E\)(\(+x\) 向き)を加えます。電子 \(-e\) は \(-x\) 向きに押されるので、\(U'\) には「右上がりの直線 \(eEx\)」が加わります。これを「球からの \(U\)(原点で0の谷)」に足すと、谷が \(-x\) 側にずれ、その先に山(越えられない壁)ができる形になります。右側 \((x\gt 0)\) は単調に上がる壁。図4でこの形は⑧。
\(U'\) の内訳。 \(x\) 軸上(\(r=|x|\))の位置エネルギーは、球からのもの \(U_{\text{球}}\) と、一様電場からのもの \(U_{\text{場}}\) の和です。 一様電場 \(E\)(\(+x\) 向き)が \(-e\) に及ぼす力は \(-eE\)(\(-x\) 向き)なので、力 \(=-\dfrac{dU_{\text{場}}}{dx}=-eE\) より
$$U_{\text{場}}=eE\,x\quad(\text{原点で }0)$$球からの位置エネルギーは(\(N=1\) の問(a)の結果)
$$U_{\text{球}}=\begin{cases}\dfrac{ke^2}{2R^3}x^2 & (|x|\le R)\\[2mm]-\dfrac{ke^2}{|x|}+\dfrac{3ke^2}{2R} & (|x|\ge R)\end{cases}$$形を読む。 合計 \(U'=U_{\text{球}}+eEx\) を場合分けで調べます。
まとめると「左に谷、その外に山、右は単調に上がる壁」という形。しかも出発点である原点 \(x=0\) は右側の増加部分にあり、\(U'(0)=0\)。この特徴を持つのは図4の中で ⑧ です(\(-R\) が谷と山の間に位置し、\(x\gt 0\) 側は急上昇)。
①②は直線で「球の放物線・点電荷の効果」が入っておらず不適。谷が右側(\(x\gt 0\))にできる③⑤⑦⑨は、電場が電子を \(-x\) に押す事実(谷は左)と矛盾。左側に特徴が出る④⑥⑧⑩のうち、④は単なる上向き放物線で山がない、⑥は谷と山の上下関係・原点の位置が \(U'(0)=0\) と合わない、⑩は山が \(x\) 軸より下(極大値が負)で「越えられない壁」にならない。山が \(x\) 軸より上にあり、原点で \(U'=0\)、右側単調増加を同時に満たすのは⑧だけです。
電場を加えたら \(U'=U_{\text{球}}+eEx\)。電子は \(-x\) に押されるので谷は左、その外に山(脱出を防ぐ壁)。出発点原点は右の増加部分(\(U'(0)=0\))。
原点で静止(力学的エネルギー \(=U'(0)=0\))した電子は、\(-x\) 側の「谷」を往復します。折り返し点は「\(U'=0\) に戻る点」。この折り返し点が \(-R\) より遠くまで届けば、電子は球の外へ出ます。ちょうど \(x=-R\) で折り返す電場が下限 \(E_1\)です。
折り返し点を求める。 原点で静止するので全力学的エネルギーは \(U'(0)=0\)。電子は \(-x\) 側へ動き、\(U'(x)=0\) となる点で速さ \(0\)(折り返し)。球内 \((|x|\le R)\) では
$$U'(x)=\frac{ke^2}{2R^3}x^2+eEx=0$$ $$x\left(\frac{ke^2}{2R^3}x+eE\right)=0\ \Rightarrow\ x=0\ \text{または}\ x=-\frac{2eER^3}{ke^2}=-\frac{2ER^3}{ke}$$この折り返し点 \(x_t=-\dfrac{2ER^3}{ke}\) が \(-R\) に届く(球外へ出る)条件は \(|x_t|\ge R\):
$$\frac{2ER^3}{ke}\ge R\ \Rightarrow\ \frac{2ER^2}{ke}\ge 1\ \Rightarrow\ E\ge\frac{ke}{2R^2}$$下限は等号のとき。よって
$$E_1=\frac{ke}{2R^2}$$球外へ出る臨界は「\(x=-R\) に速さ \(0\) で到達」。原点でのエネルギー \(0\) と \(x=-R\) でのエネルギー \(U'(-R)\) が等しい(運動エネルギー \(0\))とおくと
$$0=U'(-R)=\frac{ke^2}{2R^3}R^2+eE(-R)=\frac{ke^2}{2R}-eER$$ $$\frac{ke^2}{2R}=eER\ \Rightarrow\ E=\frac{ke}{2R^2}$$同じ \(E_1=\dfrac{ke}{2R^2}\) が得られます。
折り返し点は \(U'(x)=0\) の解。球内の放物線 \(\dfrac{ke^2}{2R^3}x^2+eEx\) から \(x_t=-\dfrac{2ER^3}{ke}\)。これが \(-R\) に届く下限が \(E_1=\dfrac{ke}{2R^2}\)。
電場を強くしすぎると、左側の「山(壁)」が低くなり、電子が乗り越えて無限遠へ逃げてしまいます。逃げないための上限は「山のてっぺんの高さがちょうど出発点のエネルギー \(0\) になる」とき。山の位置(極大)を求め、そこで \(U'=0\) とおいて \(E_2\) を出します。
山(壁)の位置を求める。 山は球外 \((x\lt -R)\) にあります。\(x\lt 0\) では \(|x|=-x\) なので \(-\dfrac{ke^2}{|x|}=\dfrac{ke^2}{x}\)。よって
$$U'(x)=\frac{ke^2}{x}+\frac{3ke^2}{2R}+eEx\qquad(x\lt -R)$$極大は \(\dfrac{dU'}{dx}=0\):
$$\frac{dU'}{dx}=-\frac{ke^2}{x^2}+eE=0\ \Rightarrow\ x^2=\frac{ke^2}{eE}=\frac{ke}{E}\ \Rightarrow\ x_{\text{山}}=-\sqrt{\frac{ke}{E}}$$閉じ込めの臨界条件。 出発点のエネルギーは \(0\)。電子が無限遠へ逃げない上限は「山のてっぺきの高さがちょうど \(0\)」、すなわち \(U'(x_{\text{山}})=0\)。\(u=\sqrt{ke/E}\) とおくと、2つの項がともに \(e\sqrt{keE}\) にまとまり(下の補足参照)
$$U'(x_{\text{山}})=-e\sqrt{keE}+\frac{3ke^2}{2R}-e\sqrt{keE}=\frac{3ke^2}{2R}-2e\sqrt{keE}=0$$これを \(E\) について解きます:
$$2e\sqrt{keE}=\frac{3ke^2}{2R}\ \Rightarrow\ \sqrt{keE}=\frac{3ke}{4R}$$ $$keE=\frac{9k^2e^2}{16R^2}\ \Rightarrow\ E=\frac{9ke}{16R^2}$$上限は
$$E_2=\frac{9ke}{16R^2}$$整合性チェック。 \(E_1=\dfrac{ke}{2R^2}=\dfrac{8ke}{16R^2}\lt E_2=\dfrac{9ke}{16R^2}\)。 よって \(\dfrac{8ke}{16R^2}\lt E\lt \dfrac{9ke}{16R^2}\)(\(E_1\lt E\lt E_2\))という狭い範囲で、電子は球の外まで出るが無限遠へは行かず往復運動します。これは問題文の状況「球内にとどまらず、しかし無限遠に到達しない」と完全に一致します。
\(u=\sqrt{ke/E}\) とすると \(x_{\text{山}}=-u\)。第1項は
$$\left|\frac{ke^2}{x_{\text{山}}}\right|=\frac{ke^2}{u}=\frac{ke^2}{\sqrt{ke/E}}=ke^2\sqrt{\frac{E}{ke}}=e\sqrt{keE}$$第3項は
$$|eE\,x_{\text{山}}|=eE\,u=eE\sqrt{\frac{ke}{E}}=e\sqrt{keE}$$どちらも \(e\sqrt{keE}\) で等しく、符号は両方とも \(U'\) を下げる向き(\(x\lt 0\) で \(ke^2/x\lt 0\)、\(eEx\lt 0\))。だから \(U'(x_{\text{山}})=\dfrac{3ke^2}{2R}-2e\sqrt{keE}\) となります。なお臨界 \(E_2\) での山の位置は \(u=\sqrt{ke/E_2}=\dfrac{4R}{3}\gt R\) で、確かに球外(外部式が有効)です。
脱出しない上限は「山の高さ = 出発エネルギー \(0\)」。山は \(x_{\text{山}}=-\sqrt{ke/E}\)(球外)にあり、\(U'(x_{\text{山}})=0\) から \(E_2=\dfrac{9ke}{16R^2}\)。\(E_1\lt E_2\) となるのが往復の条件。