ダイオード(特定の電圧降下 \(V_T\) と内部抵抗 \(r\) を持つ理想モデル)を含む直流回路を [A](抵抗のみ)・[B](コンデンサー含む過渡現象)・[C](傾斜レール上の導体棒で発電)の3部構成で考察します。ダイオードは整流作用を持ち、順方向のみ電流を通す。
S が開いているとき、回路は「\(V_E\) → D₁ → R → 元」の一巡のみ(D₂ と S を含む経路は切断)。D₁ が順方向(\(V_E > V_T\) のとき)オンになり、等価的に「\(V_T\) の電池 + 内部抵抗 \(r\)」として働く。
キルヒホッフの第2法則(閉回路での電圧降下の総和 = 起電力):電源 \(V_E\) → D₁(電圧降下 \(V_T + r I\))→ 抵抗 \(R\)(電圧降下 \(RI\))→ 元に戻る:
$$V_E = V_T + r I_{Ra} + R I_{Ra}$$電流について解く:
$$\boxed{I_{Ra} = \frac{V_E - V_T}{R + r}}$$ただし \(V_E > V_T\) のときのみダイオードが順方向にオンになり、電流が流れる。問題文でもこの条件で \(I_{Ra} \neq 0\) とされている。
数値例:\(V_E = 10\,\text{V}, V_T = 2\,\text{V}, R = 3\,\Omega, r = 1\,\Omega\) なら
$$I_{Ra} = \frac{10-2}{3+1} = 2\,\text{A}$$ダイオードは順方向でも \(V_T\) 以下の電圧ではオンにならない(理想ダイオードの特性)。\(V_E < V_T\) なら電流 0。問題文に「\(V_E > V_{Ea}\)」と書かれているのがこの条件を指す。
S を閉じると、D₁ と D₂ の両方が R に並列に繋がる。両ダイオードが順方向にオン(\(V_E > V_T\))なら、2つの \((V_T, r)\) が並列で、等価的に「電池 \(V_T\)(同じ)、内部抵抗 \(r/2\)」に変わる。
両ダイオードがオンの場合:同じ \(V_T\) の電池が並列 → 合成電池はやはり \(V_T\)。一方、内部抵抗 \(r\) が2つ並列になるので \(r_{parallel} = r/2\)。
キルヒホッフの法則:
$$V_E = V_T + \frac{r}{2}\cdot I_{Rb} + R \cdot I_{Rb}$$電流について解く:
$$\boxed{I_{Rb} = \frac{V_E - V_T}{R + r/2}}$$(a) の \(I_{Ra}\) より大きい電流が流れる(内部抵抗が減ったので)。
数値例:\(V_E=10, V_T=2, R=3, r=1\) のとき \(I_{Rb} = 8/(3 + 0.5) \fallingdotseq 2.29\,\text{A}\)。(a) の 2.0 A より大きい。
理想的に同じ \(V_T\) と \(r\) のダイオードなら両方同時にオン。しかし実際のダイオードには個体差があり、片方だけオンになって残りが休むこともある(「熱暴走」問題)。本問では理想モデルなので両方オン。
まず S₁ を B 側に切替 → C₁ と C₂ が直列 → 電源 \(V_E\) で充電。C₁と C₂ の電荷は同じ(直列)、電圧は容量に反比例。次に S₂ を閉じ、ダイオード D を通じて C₁ と C₂ の一方が短絡されるので、電荷が再分配される。
ステップ1: S₁ を B 側に入れた直後
C₁ と C₂ が直列に接続され \(V_E\) に接続される(S₂ はまだ開)。直列容量 \(C_{ser} = C_1C_2/(C_1+C_2)\)、蓄えられる電荷は両コンデンサー同じ:
$$Q = V_E \cdot C_{ser} = \frac{V_E C_1 C_2}{C_1 + C_2}$$このときの電圧計の表示 \(V_{2a}\)(C₂ の電圧):
$$V_{2a} = \frac{Q}{C_2} = \frac{V_E C_1}{C_1 + C_2}$$ステップ2: S₂ を閉じる
ダイオード D が順方向にオンになり、C₁ を通じて経路ができる。十分時間後、C₁ の両端電圧は「電源 - ダイオード降下 \(V_T\)」で決まる:
$$V_{C_1} = V_E - V_T$$そのとき C₂ の電荷は電荷保存で決まる(S₂ 閉じる前の C₂ の電荷は C₁ と同じ \(Q\)、C₂ の片側はダイオードを通じて新しい経路が作られる)。結果的に:
$$\boxed{V_{2c} = (V_E - V_T)\cdot\frac{C_1}{C_1 + C_2}}$$S₂ を閉じる前、C₂ の上端(+)と下端(−)の電荷は \(\pm Q = \pm V_E C_1 C_2/(C_1+C_2)\)。S₂ を閉じても「C₂ の下端 + D の後ろ端」の合計電荷は保存する。ダイオードの状態(オン/オフ)によって細かい分岐計算が必要。
傾斜角 \(\theta\) のレール上、導体棒が重力で加速しながら滑り落ちる。磁場 \(B\) は鉛直上向き。導体棒が速度 \(v(t)\) のとき、誘導起電力は \(V_{ind} = B\ell v\cos\theta\)(斜面に垂直な磁場成分)。電流が流れていない時の D 両端の電位差は、この誘導起電力と一致する(回路が開なので全電圧が D にかかる)。
導体棒の速度(電流 0 なので純粋に重力で加速):斜面方向の運動方程式 \(ma = mg\sin\theta\)、初速 0 で
$$v(t) = g t\sin\theta$$誘導起電力:回路面が斜面に置かれ、磁場 \(B\) は鉛直上向き。回路を貫く有効磁場は \(B\cos\theta\):
$$V_{ind}(t) = B\ell\cos\theta \cdot v(t) = B\ell\cos\theta \cdot g t\sin\theta$$ $$\boxed{V_D(t) = B\ell g\sin\theta\cos\theta \cdot t}$$この電位差はダイオード D の両端にかかる。\(V_D < V_T\) の間は電流が流れない。
\(\sin\theta\cos\theta = \tfrac{1}{2}\sin 2\theta\) なので
$$V_D(t) = \frac{1}{2}B\ell g\sin(2\theta)\cdot t$$\(\theta = 45°\) のとき最大(\(\sin 2\theta = 1\))、\(\theta = 0°\) または \(90°\) で 0。
ダイオードは \(V_D(t) > V_T\) となった瞬間、初めて電流を流し始める。\(V_D(t) = B\ell g\sin\theta\cos\theta\cdot t\) が \(V_T\) に達する時刻を求めればよい。
導通開始条件:\(V_D(t_1) = V_T\) より
$$B\ell g\sin\theta\cos\theta\cdot t_1 = V_T$$\(t_1\) について解く:
$$\boxed{t_1 = \frac{V_T}{B\ell g\sin\theta\cos\theta}}$$物理的考察:
\(t > t_1\) では電流 \(I = (V_{ind} - V_T)/r\) が流れ、アンペール力 \(F = B\ell I\cos\theta\) が重力と逆向きに働く。運動方程式は:
$$m\frac{dv}{dt} = mg\sin\theta - \frac{(B\ell\cos\theta)^2(v - v_T)}{r}$$ここで \(v_T = V_T/(B\ell\cos\theta)\) はダイオード導通を始める速度。定常状態(終端速度)で解ける。
\(t > t_1\) では電流が流れ、アンペール力が導体棒にブレーキをかける。しかし問題の設定では「その後、ある時刻 \(t_2\) 以降ダイオードに一定の電流が流れ、速度 \(v_T\) が一定になる」(終端速度)。\(x = L\) に到達したときの電位差はこの終端速度に対応する。
終端速度条件:\(t_2\) 以降、加速度が 0 → 力の釣り合い(斜面方向):
$$mg\sin\theta = B\ell\cos\theta\cdot I_{terminal}$$また \(I = (V_D - V_T)/r\)、\(V_D = B\ell v\cos\theta\) より
$$I = \frac{B\ell v\cos\theta - V_T}{r}$$これを釣り合い式に代入:
$$mg\sin\theta = B\ell\cos\theta \cdot \frac{B\ell v_T\cos\theta - V_T}{r}$$\(v_T\) について解く:
$$B\ell v_T\cos\theta - V_T = \frac{mgr\sin\theta}{B\ell\cos\theta}$$ $$v_T = \frac{V_T}{B\ell\cos\theta} + \frac{mgr\sin\theta}{(B\ell\cos\theta)^2}$$終端時の電位差:
$$V_{Dg} = B\ell v_T\cos\theta = V_T + \frac{mgr\sin\theta}{B\ell\cos\theta}$$ $$\boxed{V_{Dg} = V_T + \frac{mgr\sin\theta}{B\ell\cos\theta}}$$重力が加速し続けようとする一方、電流によるアンペール力が速度に比例してブレーキをかける。両者が釣り合う瞬間(\(v = v_T\))以降は加速度 0。実際には指数関数的に近づき、厳密には \(v = v_T\) には到達しないが、「十分時間後」の近似として。