前期 大問1(力学)

解法の指針

ばねに接続された質量 $m$ の物体が水平面上で単振動する問題です。ばねを2本並列に接続した場合や、鉛直ばね振り子への拡張も扱います。

問題の構成

全体を貫くポイント

設問(1)

直感的理解
ばねにつながれた物体を引っ張って離すと、ばねの復元力によって往復運動する。復元力が変位に比例するとき、この運動は単振動になる。重いほど動きにくく周期が長くなり、ばねが硬いほど速く戻るので周期が短くなる。

立式:運動方程式は $ma = -kx$ です。$a = \ddot{x}$ とすると、

$$m\ddot{x} = -kx \quad \Longrightarrow \quad \ddot{x} = -\frac{k}{m}x$$

これは角振動数 $\omega = \sqrt{\dfrac{k}{m}}$ の単振動の式です。

周期:

$$T = \frac{2\pi}{\omega} = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$

答え:
$$T = 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$

数値例:例えば質量 m = 0.50 kg、ばね定数 k = 200 N/m のとき、周期は T = 2π × √(0.50 ÷ 200) = 2π × √(0.0025) = 2π × 0.050 = 0.31 s。振幅 A = 0.10 m なら最大速度は v = A × √(k ÷ m) = 0.10 × √(200 ÷ 0.50) = 0.10 × 20 = 2.0 m/s。

Point

単振動の周期は振幅によらない。ばね定数 $k$ が大きいほど、質量 $m$ が小さいほど周期は短くなる。

設問(2)

直感的理解
単振動する物体の速さが最大になるのは、変位がゼロの位置(つり合いの位置)を通過する瞬間。ばねの弾性エネルギーがすべて運動エネルギーに変換される瞬間に対応する。

立式:エネルギー保存より、

$$\frac{1}{2}kA^2 = \frac{1}{2}mv_{\max}^2 + \frac{1}{2}k \cdot 0^2$$

つり合い位置($x=0$)で弾性エネルギーがゼロとなり、すべて運動エネルギーに変換されます。

答え:
$$v_{\max} = A\sqrt{\frac{k}{m}} = A\omega$$

速度が最大になるのは $x = 0$(つり合い位置)

Point

エネルギー保存を使えば、運動方程式を解かなくても最大速度が求まる。単振動では $v_{\max} = A\omega$ は頻出公式。

設問(3)

直感的理解
ばねを2本並列に並べると、どちらのばねも同じ伸びだけ変形するため、合成ばね定数は $k_1 + k_2$ になる。ばねが硬くなるほど振動は速くなるので、周期は短くなる。

立式:2本のばね(ばね定数 $k$)を並列に接続すると、合成ばね定数は $k' = 2k$ です。

$$T' = 2\pi\sqrt{\frac{m}{2k}} = \frac{1}{\sqrt{2}} \cdot 2\pi\sqrt{\frac{m}{k}} = \frac{T}{\sqrt{2}}$$

答え:
$$T' = \frac{T}{\sqrt{2}} = \sqrt{2}\,\pi\sqrt{\frac{m}{k}}$$
補足:直列ばねの場合

直列の場合は $\dfrac{1}{k'} = \dfrac{1}{k} + \dfrac{1}{k} = \dfrac{2}{k}$ より $k' = k/2$ となり、周期は $T' = 2\pi\sqrt{2m/k} = \sqrt{2}\,T$ と長くなる。

Point

並列ばね → 合成ばね定数は和($k_1 + k_2$)で硬くなる → 周期は短くなる。直列ばね → 合成ばね定数は逆数の和の逆数で柔らかくなる → 周期は長くなる。