起電力 \(V_0\) の電池と2つのコンデンサー \(C_1\), \(C_2\) を含む回路で、スイッチの切り替えにより充電・放電・電荷の再分配が起こる問題です。コイル \(L\) による振動電流も扱います。
図1の回路の状態1では、起電力 \(V_0\) の電池でコンデンサー \(C_1\) を充電します。十分時間が経過して定常状態に達すると、電流はゼロになり、\(C_1\) の電圧は電池の起電力と等しくなります。
\(C_1\) に蓄えられる電荷:
$$ Q_1 = C_1 V_0 \quad [\text{ア}] $$\(C_1\) に蓄えられるエネルギー:
$$ U_1 = \frac{1}{2}C_1 V_0^2 \quad [\text{イ}] $$このとき \(C_2\) は回路に接続されていないか、電荷を持っていません(\(Q_2 = 0\))。
金属板の電荷について:コンデンサー \(C_1\) は2枚の金属板で構成されており、電池の正極側の板に \(+Q_1\)、負極側の板に \(-Q_1\) の電荷が蓄えられます。金属板の外側の面の電荷は相殺されてゼロです [ウ][エ]。
電池がコンデンサーを充電する過程で行う仕事は:
$$ W_{\text{bat}} = Q_1 V_0 = C_1 V_0^2 $$一方、コンデンサーに蓄えられるエネルギーは \(\frac{1}{2}C_1 V_0^2\) であり、電池の仕事の半分です。残りの半分は回路の抵抗で熱として散逸します。
$$ W_{\text{bat}} = U_C + Q_{\text{heat}} $$ $$ C_1 V_0^2 = \frac{1}{2}C_1 V_0^2 + \frac{1}{2}C_1 V_0^2 $$これは抵抗値に依存しない普遍的な結果です(\(R \to 0\) でも半分は散逸する)。
定常状態ではコンデンサーに電流は流れない。コンデンサーの電圧は電池の起電力と等しく \(V_C = V_0\)。コンデンサーのエネルギーは \(U = \frac{1}{2}CV^2 = \frac{Q^2}{2C}\) の2つの表現を使い分けましょう。
スイッチを状態2に切り替えると、\(C_1\)(電荷 \(Q_0 = C_1 V_0\))がコイル \(L\) を通じて \(C_2\) に接続されます。電池は回路から切り離されます。
電荷保存則:
回路が閉じた系なので、\(C_1\) と \(C_2\) の電荷の合計は一定です:
$$ Q_1(t) + Q_2(t) = Q_0 = C_1 V_0 \quad [\text{オ}] $$平衡状態の電荷:
コイルにエネルギーが残らない瞬間(電流ゼロ)で、かつ2つのコンデンサーの電圧が等しくなる状態が平衡です:
$$ \frac{Q_1}{C_1} = \frac{Q_2}{C_2}, \quad Q_1 + Q_2 = Q_0 $$この連立方程式を解くと:
$$ Q_1^{\text{eq}} = \frac{C_1}{C_1 + C_2} Q_0 = \frac{C_1^2 V_0}{C_1 + C_2} $$ $$ Q_2^{\text{eq}} = \frac{C_2}{C_1 + C_2} Q_0 = \frac{C_1 C_2 V_0}{C_1 + C_2} \quad [\text{カ}] $$LC回路の角振動数:
\(C_1\) と \(C_2\) が直列に接続された状態でコイル \(L\) と振動するので、合成容量は:
$$ C_{\text{eq}} = \frac{C_1 C_2}{C_1 + C_2} $$LC振動の角振動数:
$$ \omega = \frac{1}{\sqrt{L \cdot C_{\text{eq}}}} = \sqrt{\frac{C_1 + C_2}{L C_1 C_2}} \quad [\text{キ}] $$電流の最大値 \(I_2\):
エネルギー保存より、初期状態のエネルギーと平衡状態のエネルギーの差がコイルの最大エネルギーになります:
$$ \frac{Q_0^2}{2C_1} = \frac{(Q_1^{\text{eq}})^2}{2C_1} + \frac{(Q_2^{\text{eq}})^2}{2C_2} + \frac{1}{2}L I_{\max}^2 $$初期エネルギー:
$$ U_0 = \frac{(C_1 V_0)^2}{2C_1} = \frac{1}{2}C_1 V_0^2 $$平衡時のエネルギー:
$$ U_{\text{eq}} = \frac{(Q_1^{\text{eq}})^2}{2C_1} + \frac{(Q_2^{\text{eq}})^2}{2C_2} = \frac{C_1 C_2 V_0^2}{2(C_1 + C_2)} \cdot \frac{C_1 + C_2}{C_1 + C_2} $$整理すると:
$$ U_{\text{eq}} = \frac{C_1^2 V_0^2}{2(C_1 + C_2)} $$ $$ \frac{1}{2}L I_{\max}^2 = U_0 - U_{\text{eq}} = \frac{C_1 V_0^2}{2} - \frac{C_1^2 V_0^2}{2(C_1 + C_2)} = \frac{C_1 C_2 V_0^2}{2(C_1 + C_2)} $$ $$ \boxed{I_{\max} = V_0 \sqrt{\frac{C_1 C_2}{L(C_1 + C_2)}}} \quad [\text{ケ}] $$訂正表に従い、\(I_2\) の大きさの最大値は [キ] \(\times\) [ケ](角振動数 \(\times\) ある量)となります。
\(C_1 = 20\) \(\mu\)F, \(C_2 = 10\) \(\mu\)F, \(V_0 = 10\) V, \(L = 0.50\) H のとき:
初期電荷:
$$ Q_0 = C_1 V_0 = 20 \times 10^{-6} \times 10 = 2.0 \times 10^{-4} \text{ C} = 200 \text{ \(\mu\)C} $$平衡時の電荷分配:
$$ Q_1^{\text{eq}} = \frac{20}{20 + 10} \times 200 = 133 \text{ \(\mu\)C}, \quad Q_2^{\text{eq}} = \frac{10}{30} \times 200 = 66.7 \text{ \(\mu\)C} $$合成容量と角振動数:
$$ C_{\text{eq}} = \frac{20 \times 10}{20 + 10} = 6.67 \text{ \(\mu\)F} $$ $$ \omega = \frac{1}{\sqrt{0.50 \times 6.67 \times 10^{-6}}} = \frac{1}{\sqrt{3.33 \times 10^{-6}}} = 548 \text{ rad/s} $$電流の最大値:
$$ I_{\max} = 10 \times \sqrt{\frac{20 \times 10 \times 10^{-12}}{0.50 \times 30 \times 10^{-6}}} = 10 \times \sqrt{\frac{200 \times 10^{-12}}{15 \times 10^{-6}}} = 10 \times \sqrt{1.33 \times 10^{-5}} = 0.0365 \text{ A} = 36.5 \text{ mA} $$振動周期:
$$ T = \frac{2\pi}{\omega} = \frac{2\pi}{548} = 0.0115 \text{ s} = 11.5 \text{ ms} $$LC回路の振動は力学のばね振り子と完全に対応します:
| 電気量 | 力学量 |
|---|---|
| 電荷 \(Q\) | 変位 \(x\) |
| 電流 \(I = dQ/dt\) | 速度 \(v = dx/dt\) |
| インダクタンス \(L\) | 質量 \(m\) |
| 容量の逆数 \(1/C\) | ばね定数 \(k\) |
コイルの運動エネルギー \(\frac{1}{2}LI^2\) はばねの物体の \(\frac{1}{2}mv^2\)、コンデンサーのエネルギー \(\frac{Q^2}{2C}\) はばねのポテンシャル \(\frac{1}{2}kx^2\) に対応します。
理想的なLC回路(抵抗ゼロ)では、エネルギーは完全に保存され、振動が永続します。しかし実際の回路では抵抗によるジュール熱で振動は減衰します。
初期エネルギーのうち、平衡状態に「落ちる」分のエネルギーが振動の振幅を決めます:
$$ \Delta U = \frac{1}{2}C_1 V_0^2 - \frac{C_1^2 V_0^2}{2(C_1 + C_2)} = \frac{C_1 C_2 V_0^2}{2(C_1 + C_2)} $$抵抗がある場合、この \(\Delta U\) が最終的にすべて熱になります。
スイッチ切替後の問題では、(1) 電荷保存と(2) エネルギー保存の2つの保存則が解法の柱です。電流最大の瞬間は「2つのコンデンサーの電圧が等しい瞬間」であり、コイルのエネルギーが最大になる瞬間でもあります。角振動数は合成容量 \(C_{\text{eq}} = \frac{C_1 C_2}{C_1 + C_2}\) とコイル \(L\) で決まります。