A日程1/30 全問題:万有引力・ホール効果・波動

解法の指針

直感的理解

3大問構成。第Ⅰ問は惑星の円運動と分裂(ケプラーの法則・万有引力・力学的エネルギー保存)、第Ⅱ問は導体と半導体の抵抗・ホール効果、第Ⅲ問は弦の振動と気柱の共鳴。マーク式なので解答群から選ぶ形式。

出題構成
Point

マーク式では選択肢の中から正解を選ぶ。計算結果を選択肢と照合する際、符号・次元に注意。

第Ⅰ問(1) — 惑星の円運動と万有引力([1]〜[4])

直感的理解

質量 \(m_0\) の惑星が質量 \(M\) の太陽のまわりを半径 \(R_0\) で円運動する。向心力が万有引力で与えられる。速度・周期・エネルギーを基本公式から導く。

[1] 向心力の大きさ:万有引力が向心力を提供する。

$$ F = \frac{Gm_0M}{R_0^2} $$

向き(中心向き)を負とすると \(-\frac{Gm_0M}{R_0^2}\)。→ 解答群⑦

[2] 速さ \(v_0\):向心力 = 万有引力より

$$ \frac{m_0 v_0^2}{R_0} = \frac{Gm_0M}{R_0^2} \implies v_0 = \sqrt{\frac{GM}{R_0}} $$

→ 解答群⑨

[3] 位置エネルギー:

$$ U = -\frac{Gm_0M}{R_0} $$

→ 解答群⑤。周期は \(T = 2\pi R_0 / v_0\) の関係、\(2\pi R_0 = v_0 \cdot T\) を代入。

[4] 力学的エネルギー \(E\):

$$ E = \frac{1}{2}m_0 v_0^2 + U = \frac{Gm_0M}{2R_0} - \frac{Gm_0M}{R_0} = -\frac{Gm_0M}{2R_0} $$
答え:

[1] ⑦ \(-Gm_0M/R_0^2\)、[2] ⑨ \(\sqrt{GM/R_0}\)

[3] ⑤ \(-Gm_0M/R_0\)、[4] \(-Gm_0M/(2R_0)\)

Point

円軌道の力学的エネルギーは常に負。\(E = -\frac{Gm_0M}{2R_0}\) は暗記推奨の重要結果。

第Ⅰ問(2) — 惑星の分裂([5]〜[10])

直感的理解

円運動中の惑星が点Pで2つに分裂する。運動量保存から分裂後の各片の速度が決まり、ケプラーの法則と力学的エネルギー保存から新しい軌道を求める。

[5]〜[6]:分裂比 \(R_A : R_B = 1 : 2\) のとき、ケプラー第3法則より周期の比:

$$ \frac{T_A^2}{T_B^2} = \frac{R_A^3}{R_B^3} $$

\(R_A/R_B = 1/2\) なので \(T_A/T_B = (1/2)^{3/2} = 1/(2\sqrt{2})\)。→ [5] は ② の 1/2。

[7]〜[10]:分裂時の運動量保存とエネルギー保存から、各片の速度と新しい軌道半径を求める。

$$ m_0 v_0 = m_1 v_1 + m_2 v_2 $$

分裂は分離軸と逆方向に起こるので、\(v_1, v_2\) の方向は軌道接線方向。

答え: 各空欄は解答群の番号で回答。ケプラー第3法則と運動量保存を正確に適用する。
補足:分裂と軌道変化の関係

分裂後、速い方の破片は遠日点が大きくなり(外側の軌道)、遅い方は近日点が小さくなる(内側の軌道)。分裂点では両方の破片が同じ位置にあるので、分裂点は一方にとっては近日点、他方にとっては遠日点になる。

Point

惑星の分裂問題では、分裂点での運動量保存 + 各破片の力学的エネルギー保存の2つを連立させる。

第Ⅱ問 — 導体・半導体の抵抗とホール効果([11]〜[20])

直感的理解

直方体の導体/半導体に電流を流したとき、抵抗率の違い、電位差の向き、磁場中でのホール効果(ローレンツ力による電荷の偏り)を考える。

[11]:導体の抵抗率 \(\rho_1\) と半導体の抵抗率 \(\rho_2\) の大小関係。一般に導体 < 半導体:

$$ \rho_1 < \rho_2 $$

→ 解答群①

[12]〜[16]:直方体の抵抗。電流方向の長さ \(a\)、断面積 \(b \times c\) のとき:

$$ R = \rho \frac{a}{bc} $$

電位差 \(V_A - V_C\)、電流密度 \(J = I/(bc)\)、電場 \(E = \rho J\) を計算。

[17]〜[20]:磁場 \(B\) 中でのホール効果。電流の向きと磁場の向きからローレンツ力の向きを決定し、ホール電圧を求める。

$$ F = qv_dB $$

定常状態ではローレンツ力と電場力が釣り合い:

$$ qE_H = qv_dB \implies V_H = v_d B c = \frac{IB}{aqn} $$
答え:

[11] ① \(\rho_1 < \rho_2\)

[12]〜[16] 抵抗の公式と電場の向き

[17]〜[20] ホール電圧と等電位線の形状

補足:ホール効果の応用

ホール効果はキャリアの符号(正孔か電子か)を判定できる。\(p\) 型半導体ではホール電圧が \(n\) 型と逆向きになる。磁場センサー(ホール素子)として広く使われている。

Point

ホール効果:ローレンツ力で電荷が偏る → 電場が生じる → 定常状態で \(qE_H = qv_dB\)。キャリア密度 \(n\) が求まる。

第Ⅲ問(1) — 弦の正弦波と干渉([21]〜[24])

直感的理解

線密度 \(\rho\) [kg/m] の弦に張力を加え、正弦波を送る。波の式 \(y = A\sin(kx - \omega t)\) の形から波長・振動数・速さを読み取り、反射波との干渉パターンを求める。

[21]:正弦波の波長 \(\lambda\) は波の式から読み取る。

$$ y = A\sin\left(\frac{2\pi}{\lambda}x - \frac{2\pi}{T}t\right) $$

[22]〜[24]:時刻 \(t = 0\) での波形、\(t = 0.5T\) での波形、\(t = 1.75T\) での波形をグラフから選択。

答え: 波の式の係数から \(\lambda, T, v\) を読み取り、各時刻のグラフを選択する。
Point

波の式 \(y = A\sin(kx - \omega t)\) から \(k = 2\pi/\lambda\)、\(\omega = 2\pi/T\)、速さ \(v = \omega/k = \lambda/T\)。

第Ⅲ問(2) — 気柱の共鳴と温度変化([25]〜[29])

直感的理解

弦の振動で発生した音が管(気柱)と共鳴する。温度が変わると音速が変わり、共鳴条件が変化する。弦の長さを調節して共鳴を回復させる。

[25]〜[26]:弦を伝わる波の速さと基本振動の振動数。

弦の速さ:\(v = \sqrt{T/\rho}\)(\(T\) は張力、\(\rho\) は線密度)

$$ v = \sqrt{\frac{T}{\rho}} $$

基本振動:弦の長さ \(L\) が半波長 → \(\lambda = 2L\) → \(f = v/(2L)\)

[27]〜[28]:気柱の共鳴。気温 6.0°C で音速 \(V = 331.5 + 0.6 \times 6 = 335.1\) m/s。開口端から管の長さと共鳴条件から基本振動数を求め、弦の振動数と一致する条件を探す。

[29]:気温が変化したとき、音速が変わるため共鳴条件がずれる。弦の長さを調節して共鳴を回復させる。音速の変化率は:

$$ \frac{\Delta V}{V} = \frac{0.6 \Delta T}{V} $$

弦の振動数を変えるには \(f = \frac{v}{2L}\) から \(L\) を調節する。

答え:

[25]〜[26] 弦の波の速さと基本振動の振動数を計算

[27]〜[28] 気柱の共鳴次数を決定

[29] 温度変化に対する弦の長さ調節量

補足:気温と音速の関係

空気中の音速は近似的に \(V \fallingdotseq 331.5 + 0.6t\) [m/s](\(t\) は摂氏温度)。これは気体分子の平均速度が \(\sqrt{T}\) に比例することから導かれる。1°Cの変化で約0.6 m/s、すなわち約0.2%の変化。

Point

共鳴条件:弦の振動数 = 気柱の固有振動数。温度が変わると音速が変わり、気柱の固有振動数が変わるため、弦の長さで調節する。