起電力 \(3.0\,\mathrm{V}\) の電池,電気容量 \(1.0\,\mu\mathrm{F}\) と \(2.0\,\mu\mathrm{F}\) の 2 つのコンデンサー, 自己インダクタンス \(5.0\,\mathrm{mH}\) のコイル,抵抗値 \(10\,\Omega\) の抵抗からなる回路を扱う問題です。 スイッチ \(S\) の位置(a / b / c)を切り替えることで, RC 回路の充電・放電 と RLC 回路の減衰振動 の 2 つの典型的な現象を順番に考えさせています。
スイッチを a 側に入れた瞬間,コンデンサーにはまだ電荷がたまっておらず, 電位差が 0 V とみなせます。 したがって,右側の回路は事実上「電池 \(3.0\,\mathrm{V}\) と抵抗 \(10\,\Omega\) だけ」の直列回路です。
オームの法則より,抵抗を流れる電流の大きさ \(I\) は $$ I = \frac{V}{R} = \frac{3.0}{10} = 0.30\,\mathrm{A} $$ となります。これが [あ] に入る値です。
スイッチ操作の「直後」はコンデンサーの電圧が連続(急に変わらない)。未充電なら電圧 0 として扱う。
$ f = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}} $
$ \frac{1}{2}LI^2 + \frac{Q^2}{2C} = \text{const} $
$ Q = Q_0 \cos(\omega t) $
スイッチを a 側に入れてから時間がたつにつれて, 2.0 \(\mu\mathrm{F}\) のコンデンサーが充電され, 抵抗を流れる電流は $$ I(t) = I_0 \exp\!\left(-\frac{t}{\tau}\right) $$ のように指数関数的に減少します(\(\tau = RC\) は時定数)。 それに伴い,コンデンサーの電気量 \(Q(t)\) は $$ Q(t) = Q_{\infty}\left(1 - \exp\!\left(-\frac{t}{\tau}\right)\right) $$ と,時間とともに単調に増加し飽和していきます。
よって, 電流のグラフは「最初が最大で 0 に指数的に近づく曲線」, 電気量のグラフは「0 から始まり,飽和値に指数的に近づく曲線」 を選べばよいことになります。 問題文中の 8 個のグラフの中から,この形に対応するものを [ア](電流)・[イ](電気量)として選びます。
十分時間が経過したとき(\(t\to\infty\)),電流はほぼ 0 となり, コンデンサーには電池と同じ電圧 \(3.0\,\mathrm{V}\) がかかります。 したがって, $$ Q_{\infty} = C V = 2.0\times 10^{-6}\,\mathrm{F} \times 3.0\,\mathrm{V} = 6.0\times 10^{-6}\,\mathrm{C} $$ となり,これが [う] に入る値です。
RC 回路の電流は \(I_0 e^{-t/\tau}\)(減衰),電気量は \(Q_\infty(1-e^{-t/\tau})\)(飽和上昇)。グラフの「形」を見て判別する。
[2] までで,2.0 \(\mu\mathrm{F}\) のコンデンサーは 電圧 \(3.0\,\mathrm{V}\) まで充電され,回路の電流は 0 になっています。 ここでスイッチを b 側に切り替えると, 電池は外れ,1.0 \(\mu\mathrm{F}\) と 2.0 \(\mu\mathrm{F}\) の 2 つのコンデンサーが 抵抗 \(10\,\Omega\) を介してつながれた回路になります。
2.0 \(\mu\mathrm{F}\) には電圧 \(3.0\,\mathrm{V}\) がかかっており, 1.0 \(\mu\mathrm{F}\) はまだ無充電(電圧 0)なので, 抵抗をはさんで電位差 \(3.0\,\mathrm{V}\) が生じているとみなせます。 切り替え直後の電流の大きさは,再びオームの法則から $$ I = \frac{3.0}{10} = 0.30\,\mathrm{A} $$ となり,これが [え] に入る値です。
その後は,2 つのコンデンサーに電荷が再分配されていき, 抵抗を流れる電流は再び指数的に 0 に近づきます。 最終的には 2 つのコンデンサーが同じ電位差をもつため, 合成容量 \(C_{\text{eq}} = 1.0 + 2.0 = 3.0\,\mu\mathrm{F}\) に対して 初期に蓄えられていた電気量が均等に配分される形になります。
充電済みコンデンサーから未充電コンデンサーへの放電も,「直後」はオームの法則で電流を求められる。最終状態は電圧が等しくなる条件から決まる。
[3] の後,十分時間がたつと 2 つのコンデンサーの電位差は等しくなり, 抵抗を流れる電流は 0 になります。 この状態からスイッチを c 側に切り替えると, 抵抗 \(10\,\Omega\),コイル \(5.0\,\mathrm{mH}\), 2 個のコンデンサーがすべてつながったRLC 回路になります。
抵抗がなければ,コイルとコンデンサーの間でエネルギーが 完全にやり取りされるため,電流と電気量は $$ \sin,\ \cos $$ のような単振動(正弦波)になります。 実際には抵抗 \(10\,\Omega\) によるジュール熱でエネルギーが失われるので, 振幅が時間とともに少しずつ減少する 減衰振動となります。
よって,スイッチを c 側に入れた直後からの コンデンサーの電気量・回路電流の時間変化は, 問題文中のグラフのうち 中心 0 のまわりで振動しながら, 振幅が指数的に減少していく波形 (いわゆる「減衰振動」のグラフ)に対応するもの [ウ]・[エ] を選べばよいことになります。
RLC 回路の減衰振動は「振動しながら包絡線が指数的に減少する」波形。抵抗が小さいほど振動が長く続き,LC 回路の正弦波に近づく。
抵抗が十分小さいとき,RLC 回路はほぼ LC 回路の固有振動 を行うと考えられます。 有効な電気容量を \(C_{\text{eq}}\),インダクタンスを \(L\) とすると, 固有角振動数 \(\omega_0\) は $$ \omega_0 = \frac{1}{\sqrt{L C_{\text{eq}}}} $$ で与えられ,振動電流の周波数 \(f\) は $$ f = \frac{\omega_0}{2\pi} = \frac{1}{2\pi\sqrt{L C_{\text{eq}}}} $$ となります。
本問では,c 側に切り替えたときに 1.0 \(\mu\mathrm{F}\) と 2.0 \(\mu\mathrm{F}\) がどのように接続されているかを回路図から読み取り, その合成容量 \(C_{\text{eq}}\) を計算して上の式に代入することで, 振動電流の周波数 [く] を数値として求めることになります。
LC 回路の固有角振動数 \(\omega_0 = 1/\sqrt{LC}\),周波数 \(f = 1/(2\pi\sqrt{LC})\) を覚えておく。コンデンサーの直列・並列を見極めて合成容量を正しく求めることが重要。
RLC 直列回路のインピーダンスは \(Z = \sqrt{R^2 + (\omega L - 1/\omega C)^2}\)。\(\omega L = 1/\omega C\) のとき共振が起こり、\(Z = R\) が最小となって電流が最大になる。