応用問題19 等加速度直線運動

設問(1) 加速度 $a_B$, $a_A$ を求める

直感的理解
ブレーキをかけたBは速度が直線的に下がっていきます。一方、途中から加速するAは速度が上がっていきます。2台の速度が一致した瞬間($t=4.0$ s)が車間距離最小のタイミング。それまでBの方が速いので距離は縮まり続け、その後Aの方が速くなるので距離は広がります。上のシミュレーションで実際の車の動きを確認できます。

Bの加速度 $a_B$:

立式:$v$-$t$ グラフの傾きが加速度です。

$$a_B = \frac{\Delta v}{\Delta t}$$

数値代入:$t=0$ s で $v_B = 24.0$ m/s、$t=2.0$ s で $v_B = 18.0$ m/s を代入すると

$$a_B = \frac{18.0 - 24.0}{2.0 - 0} = \frac{-6.0}{2.0} = -3.0 \text{ m/s}^2$$

$t=4.0$ s での条件(車間距離最小):

車間距離が最小 = 2台の速さが等しい瞬間なので、$t=4.0$ s でのBの速さとAの速さが一致します。

Bの速さ($t=4.0$ s):

$$v_B(4.0) = 24.0 + (-3.0) \times 4.0 = 24.0 - 12.0 = 12.0 \text{ m/s}$$

Aの加速度 $a_A$:

Aは $t=2.0$ s から加速度 $a_A$ で加速し始めるので、$t=4.0$ s(加速開始から $2.0$ s 後)の速さは:

$$v_A(4.0) = 8.0 + a_A \times (4.0 - 2.0) = 8.0 + 2.0\,a_A$$

$v_A(4.0) = v_B(4.0)$ より、

$$8.0 + 2.0\,a_A = 12.0$$ $$2.0\,a_A = 4.0 \quad \Rightarrow \quad a_A = 2.0 \text{ m/s}^2$$
答え:
$$a_B = -3.0 \text{ m/s}^2 \qquad a_A = 2.0 \text{ m/s}^2$$
Point

車間距離が最小となる条件 = 2台の速度が一致する瞬間。 相対速度 $v_B - v_A$ が正の間は距離が縮まり、負になると広がる。ゼロになった瞬間が最接近です。$v$-$t$ グラフ上では2本の線が交わる時刻に対応します。

設問(2) $t=2.0$ s の車間距離 $l$ を求める

直感的理解
車間距離の最小値($5.0$ m)と最小になる時刻($t=4.0$ s)がわかっているので、逆算で初期の車間距離 $d_0$ を求め、そこから $t=2.0$ s の車間距離を計算します。グラフのアニメーションで、車間距離が減少してから増加に転じる様子を確認できます。

設定:$t=0$ でBの位置を原点、Aの位置を $d_0$($d_0 > 0$)とする。進行方向を正。

各車の位置:

自動車Bの位置($t \geq 0$):

$$x_B(t) = 24.0\,t + \frac{1}{2}(-3.0)\,t^2 = 24.0\,t - 1.5\,t^2$$

自動車Aの位置($0 \leq t \leq 2.0$、等速):

$$x_A(t) = d_0 + 8.0\,t$$

自動車Aの位置($t \geq 2.0$、加速開始後):

$$x_A(t) = d_0 + 8.0\,t + \frac{1}{2}(2.0)(t - 2.0)^2 = d_0 + 8.0\,t + (t - 2.0)^2$$

$t=4.0$ s での車間距離が $5.0$ m から $d_0$ を求める:

車間距離 $= x_A(4.0) - x_B(4.0) = 5.0$ m に数値を代入します。

$$x_B(4.0) = 24.0 \times 4.0 - 1.5 \times 4.0^2 = 96.0 - 24.0 = 72.0 \text{ m}$$ $$x_A(4.0) = d_0 + 8.0 \times 4.0 + (4.0 - 2.0)^2 = d_0 + 32.0 + 4.0 = d_0 + 36.0$$ $$x_A(4.0) - x_B(4.0) = (d_0 + 36.0) - 72.0 = d_0 - 36.0 = 5.0$$ $$d_0 = 41.0 \text{ m}$$

$t=2.0$ s の車間距離 $l$:

$$x_B(2.0) = 24.0 \times 2.0 - 1.5 \times 2.0^2 = 48.0 - 6.0 = 42.0 \text{ m}$$ $$x_A(2.0) = 41.0 + 8.0 \times 2.0 = 41.0 + 16.0 = 57.0 \text{ m}$$ $$l = x_A(2.0) - x_B(2.0) = 57.0 - 42.0 = 15 \text{ m}$$

補足:初期車間距離 $d_0 = 41$ m の意味

ブレーキをかけ始めた $t=0$ の時点で、BはAの $41$ m 後方にいました。Bが $24.0$ m/s、Aが $8.0$ m/s と速度差が大きいため、急速に車間距離が縮まります。$t=4.0$ s で $5.0$ m まで縮まり、ギリギリ衝突を免れています。

答え:
$$l = 15 \text{ m}$$
別解1:微積による車間距離最小条件の導出

車間距離を時間の関数 $d(t)$ として表し、$d'(t) = 0$ となる条件から最小値を求めます。

$t \geq 2.0$ s の車間距離:

$$d(t) = x_A(t) - x_B(t) = \bigl[d_0 + 8.0\,t + (t-2.0)^2\bigr] - \bigl[24.0\,t - 1.5\,t^2\bigr]$$

$d(t)$ を $t$ で微分すると:

$$d'(t) = v_A(t) - v_B(t) = \bigl[8.0 + 2.0(t - 2.0)\bigr] - \bigl[24.0 - 3.0\,t\bigr]$$ $$= 8.0 + 2.0\,t - 4.0 - 24.0 + 3.0\,t = 5.0\,t - 20.0$$

$d'(t) = 0$ のとき:

$$5.0\,t - 20.0 = 0 \quad \Rightarrow \quad t = 4.0 \text{ s}$$

これは$v_A(t) = v_B(t)$(速さが等しくなる瞬間)と一致します。$d''(t) = 5.0 > 0$ なので確かに極小値です。

直感的理解(微積の視点)
車間距離 $d(t)$ の時間微分は $d'(t) = v_A - v_B$(前の車の速度 $-$ 後ろの車の速度)です。$d'(t) = 0$ ⇔ $v_A = v_B$ が最小条件。これは「速さが等しくなる瞬間が最接近」という物理的条件を、微分の言葉で表現したものです。
別解2:相対速度の視点

Bから見たAの相対速度 $v_{A/B}(t) = v_A(t) - v_B(t)$ を考えます。

相対加速度:

$t \geq 2.0$ s において:

$$a_{A/B} = a_A - a_B = 2.0 - (-3.0) = 5.0 \text{ m/s}^2$$

$t = 2.0$ s での相対速度:

$$v_{A/B}(2.0) = v_A(2.0) - v_B(2.0) = 8.0 - 18.0 = -10.0 \text{ m/s}$$

(相対速度が負 = BがAに接近している)

相対速度が0になる時刻:

$$v_{A/B}(t) = v_{A/B}(2.0) + a_{A/B}(t - 2.0) = -10.0 + 5.0(t - 2.0) = 0$$ $$t - 2.0 = \frac{10.0}{5.0} = 2.0 \quad \Rightarrow \quad t = 4.0 \text{ s}$$

相対速度が $0$ になった瞬間、BはAにそれ以上近づかなくなります。これが車間距離最小の時刻です。

Point

位置の式を立て、既知の条件(最小車間距離と時刻)を代入して未知数を逆算する。 等加速度直線運動では $x = x_0 + v_0 t + \frac{1}{2}at^2$ を各物体に適用し、位置の差をとることで車間距離を時間の関数として表せます。