応用問題20 等加速度直線運動のグラフ

[ア][イ] 加速度を求める

直感的理解
$v$-$t$ グラフで水平な直線は等速運動(加速度ゼロ)を意味します。右下がりの直線は一定の負の加速度(減速)です。傾きをそのまま読み取れば加速度がわかります。上のアニメーションで、物体の動きと速度グラフが同時に進む様子を確認しましょう。

物体Aの加速度 [ア]:

グラフより、物体Aの速度は時間によらず一定($v_A = 2$ m/s の水平線)です。速度が変化しないので、

$$a_A = 0$$

物体Bの加速度 [イ]:

立式:$v$-$t$ グラフの傾きが加速度です。

$$a_B = \frac{\Delta v}{\Delta t}$$

数値代入:グラフより $t=0$ で $v_B = 6$ m/s、$t=4$ s で $v_B = 2$ m/s(Aとの交点)を代入すると

$$a_B = \frac{2 - 6}{4 - 0} = \frac{-4}{4} = -1.0 \text{ m/s}^2$$
答え:
$$\text{[ア]}\ a_A = 0 \qquad \text{[イ]}\ a_B = -1.0 \text{ m/s}^2$$
Point

$v$-$t$ グラフの傾き = 加速度。 水平な直線 → 加速度ゼロ(等速運動)。右下がりの直線 → 負の加速度(減速)。

[ウ] $t=2$ s における距離

直感的理解
$v$-$t$ グラフの下の面積 = 変位(移動距離)です。スライダーを動かして、各時刻でのA・Bそれぞれの変位(色付き面積)と、その差が2物体の距離であることを確認しましょう。$t=0$ ~ $2$ s の間に、速度の大きいBの方がAよりも多く進みます。
t = 2.0 s

$v$-$t$ グラフの面積で変位を求める:

$t=0$ ~ $2$ s の物体Aの変位(長方形の面積):

$$x_A = v_A \times t = 2 \times 2 = 4 \text{ m}$$

$t=0$ ~ $2$ s の物体Bの変位(台形の面積):

数値代入:$t=0$ で $v_B = 6$ m/s、$t=2$ s で $v_B = 6 + (-1.0) \times 2 = 4$ m/s なので

$$x_B = \frac{(v_{B,\text{初}} + v_{B,\text{終}})}{2} \times t = \frac{(6 + 4)}{2} \times 2 = 5 \times 2 = 10 \text{ m}$$

$t=0$ で同じ位置にいたので、$t=2$ s での距離は:

$$x_B - x_A = 10 - 4 = 6 \text{ m}$$
答え:
$$\text{[ウ]}\ 6 \text{ m}$$
Point

$v$-$t$ グラフの面積 = 変位。 台形・三角形・長方形の面積公式を使って変位を求めます。2物体の変位の差が距離です。

[エ][オ] 再び同じ位置になる時刻と相対速度

直感的理解
最初にBが速いのでBが先に進みますが、$t=4$ s 以降はAの方が速いのでAが追いつきます。$x$-$t$ グラフで2つの曲線が再び交わる時刻が「同じ位置に戻る」瞬間です。$t=6$ s でBは停止し、その後は逆方向に動き始めます。$t=8$ s でAとBが再会します。

[エ] 再び同じ位置になる時刻:

立式:物体Aの変位と物体Bの変位を等しいとおきます。

$$x_A(t) = 2t, \qquad x_B(t) = 6t - \frac{1}{2}(1.0)\,t^2 = 6t - 0.50\,t^2$$

$x_A(T) = x_B(T)$ とすると:

$$2T = 6T - 0.50\,T^2$$ $$0.50\,T^2 - 4T = 0$$ $$T(0.50\,T - 4) = 0$$

$T = 0$(初期状態)以外の解は:

$$0.50\,T = 4 \quad \Rightarrow \quad T = 8 \text{ s}$$

[オ] $t=8$ s におけるBに対するAの相対速度:

数値代入:$t=8$ s での各物体の速度を求めます。

$$v_A(8) = 2 \text{ m/s}$$ $$v_B(8) = 6 + (-1.0) \times 8 = 6 - 8 = -2 \text{ m/s}$$

Bに対するAの相対速度は:

$$v_{A/B} = v_A - v_B = 2 - (-2) = 4 \text{ m/s}$$

補足:$v_B(8) = -2$ m/s の意味

$t=6$ s で $v_B = 0$ になり、Bは一旦停止します。$t > 6$ s ではBは負の方向(逆向き)に動き始めます。$t=8$ s ではBは $-2$ m/s で逆走しています。一方Aは $+2$ m/s で進み続けているので、2物体は逆方向に動いており、相対速度は $4$ m/s と大きくなっています。

$t=8$ s で再会するものの、$v_A > v_B$(実際 $v_A - v_B = 4$ m/s)なので、再会後は互いに離れていく方向に動いています。つまり $t=8$ s は「追いついて追い越す」瞬間です。

答え:
$$\text{[エ]}\ 8 \text{ s} \qquad \text{[オ]}\ 4 \text{ m/s}$$
[ウ] 別解:積分による距離の計算

$t=0$ ~ $2$ s における2物体の距離は、速度差の積分で直接求められます:

$$x_B(2) - x_A(2) = \int_0^2 \bigl(v_B(t) - v_A(t)\bigr)\,dt = \int_0^2 \bigl((6-t) - 2\bigr)\,dt = \int_0^2 (4-t)\,dt$$ $$= \left[4t - \frac{t^2}{2}\right]_0^2 = \left(8 - 2\right) - 0 = 6 \text{ m}$$
直感的理解(積分の視点)
2物体の距離の変化は、速度差 $v_B - v_A$ の積分で求められます。$v$-$t$ グラフ上では、BのグラフとAのグラフに挟まれた面積が距離の変化量に対応します。$t=0$ ~ $2$ s では常に $v_B > v_A$ なので、Bの方が多く進み、距離は正です。
[エ] 別解:積分で再会条件を導出

2物体が再び同じ位置に来る条件は、変位の差が $0$ になること、すなわち速度差の積分が $0$ になることです:

$$\int_0^T \bigl(v_B(t) - v_A(t)\bigr)\,dt = 0$$ $$\int_0^T (4 - t)\,dt = 0$$ $$\left[4t - \frac{t^2}{2}\right]_0^T = 4T - \frac{T^2}{2} = 0$$ $$\frac{T(8 - T)}{2} = 0$$

$T = 0$(初期状態)以外の解は $T = 8$ s です。

直感的理解(積分の視点)
$v$-$t$ グラフで「Bの方が速い区間の面積」と「Aの方が速い区間の面積」が等しくなるとき、合計の変位が一致します。$t=0$ ~ $4$ s ではBの方が速く離れ、$t=4$ ~ $8$ s ではAの方が速く追いつきます。ちょうど同じだけの面積になる $T=8$ s が再会の時刻です。
[オ] 補足:相対速度の物理的意味

$t=8$ s における相対速度 $v_{A/B} = 4$ m/s の符号と大きさに注目します。

  • $v_{A/B} > 0$:AはBに対して正の方向に運動 → Aの方が先に進んでいく
  • $|v_{A/B}| = 4$ m/s:再会の瞬間にAがBを $4$ m/s の速さで追い抜いている

これは、相対速度の時間変化 $v_{A/B}(t) = v_A - v_B = 2 - (6-t) = t - 4$ を見ても確認できます。$t=4$ s で $v_{A/B} = 0$(最接近)、$t=8$ s で $v_{A/B} = 4$ m/s(追い抜き中)です。

Point

2物体が再び同じ位置 → 変位が等しい → $v$-$t$ グラフの面積が等しい。 $x$-$t$ グラフで2つの曲線が交わる時刻を求めることと、位置の方程式を連立して解くことは同じです。