基本例題3 相対速度

設問(1)

直感的理解
正面から向かってくる車は、自分の速さ+相手の速さで迫ってくるように感じます。AとBは反対向きに走っているので、Aから見たBの速さは $10 + 15 = 25$ m/s。「観測者を切り替え」ボタンでAの視点に切り替えて確認してみましょう。

設定:東向きを正とする。

立式:相対速度の公式を使います。

Aから見たBの相対速度 $v_{\rm AB} = v_{\rm B} - v_{\rm A}$。A: 東向き $+10$ m/s、B: 西向き $-15$ m/s とすると:

計算:

$$v_{\rm AB} = v_{\rm B} - v_{\rm A} = (-15) - (+10) = -25 \text{ m/s}$$

負の値なので西向きです。

答え:
$$\text{西向きに } 25 \text{ m/s}$$
Point

一直線上で反対向きに進む物体の相対速度は、2つの速さのになる。向かい合う車はより速く近づくように見える。

設問(2)

直感的理解
東に走る車Aの中からボートCを見ると、ボートは北に進みつつ「東の景色が後ろに流れる」ように西にもずれて見えます。北向き10 m/s と西向き10 m/s の合成なので、北西45°の方向に $10\sqrt{2}$ m/s で進むように見えます。上のシーンで「観測者を切り替え」て確かめましょう。下のベクトル図ではドラッグで速度を変えて相対速度がどう変わるか探れます。

設定:東を $x$ 軸正、北を $y$ 軸正とします。

立式:相対速度の定義より、

$$\vec{v}_{\rm CA} = \vec{v}_{\rm A} - \vec{v}_{\rm C}$$

A: $\vec{v}_{\rm A} = (10,\;0)$ m/s(東向き)、C: $\vec{v}_{\rm C} = (0,\;10)$ m/s(北向き)。

$$\vec{v}_{\rm CA} = (10 - 0,\;0 - 10) = (10,\;-10) \text{ m/s}$$

しかし、Aから見たCの相対速度 $\vec{v}_{\rm AC} = \vec{v}_{\rm C} - \vec{v}_{\rm A} = (0-10,\;10-0) = (-10,\;10)$ を求めます。

大きさの計算:

$$|\vec{v}_{\rm AC}| = \sqrt{(-10)^2 + 10^2} = \sqrt{100 + 100} = \sqrt{200} = 10\sqrt{2} \fallingdotseq 14 \text{ m/s}$$

方向の計算:

$$\tan\theta = \frac{10}{10} = 1 \quad \Rightarrow \quad \theta = 45°$$

成分が(西, 北)なので、北西の向き(北から西へ45°)です。

答え:
$$\text{北西の向きに } 10\sqrt{2} \fallingdotseq 14 \text{ m/s}$$
別解:成分分解

$\vec{v}_{CA}$ の各成分を直接計算します。

$x$ 成分(東西):

$$v_{CA,x} = v_{C,x} - v_{A,x} = 0 - 10 = -10 \text{ m/s}$$

$y$ 成分(南北):

$$v_{CA,y} = v_{C,y} - v_{A,y} = 10 - 0 = 10 \text{ m/s}$$

大きさ:

$$|\vec{v}_{CA}| = \sqrt{(-10)^2 + 10^2} = \sqrt{200} = 10\sqrt{2} \text{ m/s}$$

方向:

\(\tan\theta = \dfrac{10}{10} = 1\) より、

$$\theta = 45°$$

$x$ 成分が負(西)、$y$ 成分が正(北)なので、北から西へ45°、すなわち北西の向きです。

補足:相対速度の一般公式

相対速度 $\vec{v}_{BA} = \vec{v}_B - \vec{v}_A$ はベクトルの引き算です。1次元では符号つきの引き算で済みますが、平面上では成分ごとに計算します:

$$v_{BA,x} = v_{B,x} - v_{A,x},\quad v_{BA,y} = v_{B,y} - v_{A,y}$$

そのあと大きさ $|\vec{v}_{BA}| = \sqrt{v_{BA,x}^2 + v_{BA,y}^2}$ と、$\tan\theta = v_{BA,y} / v_{BA,x}$ を満たす方向 $\theta$ を求めます。

補足:等速で直交する場合の相対速度

2物体が同じ速さ $v$ で直交する方向に進む場合、相対速度の大きさは常に $v\sqrt{2}$ 、方向は45°になります。これはピタゴラスの定理から直接導けます。ベクトル図で $v_A$ と $v_C$ の大きさを同じにして確かめてみましょう。

Point

相対速度 $\vec{v}_{BA} = \vec{v}_B - \vec{v}_A$(ベクトルの引き算)。2次元では成分に分けて引き算し、合成する。互いに直交する等速の場合、大きさは $\sqrt{2}$ 倍、方向は45°になる。