基本問題29 鉛直投げ上げ

設問(1) 重力加速度の大きさ $g$

直感的理解
$v$-$t$ グラフの傾きは加速度を表します。鉛直投げ上げでは加速度は $-g$(一定)なので、$v$-$t$ グラフは右下がりの直線になります。その傾きの絶対値が $g$ です。

立式:$v$-$t$ グラフの傾きが加速度を表すので:

$$a = \frac{\Delta v}{\Delta t}$$

鉛直投げ上げでは加速度は $-g$(重力加速度、下向き)なので、グラフの傾きの絶対値が $g$ です。

グラフから $v_0$ と $v = 0$ となる時刻 $t_1$ を読み取ると:

$$g = \left|\frac{0 - v_0}{t_1 - 0}\right| = \frac{v_0}{t_1}\;\mathrm{[m/s^2]}$$
答え:
$v$-$t$ グラフの傾きの絶対値が重力加速度 $g$ であり、 $$g = \frac{v_0}{t_1}\;\mathrm{[m/s^2]}$$
Point

$v$-$t$ グラフの傾き = 加速度。等加速度運動では直線になり、その傾きから加速度が求まる。

設問(2) $v$-$t$ グラフの面積の意味

直感的理解
$v$-$t$ グラフと時間軸で囲まれた面積は変位を表します。正の部分の面積は上昇距離、負の部分の面積は下降距離に対応します。
答え:
$v$-$t$ グラフと時間軸で囲まれた面積は変位(位置の変化量)を表す。
Point

$v$-$t$ グラフの面積 = 変位。速度が正の部分は正の変位(上昇)、負の部分は負の変位(下降)。

設問(3) 最高点到達時刻

直感的理解
最高点では速度が 0 になります。$v$-$t$ グラフで直線が横軸と交わる時刻が最高点到達時間です。

立式:最高点では速度が 0 になるので、$v = v_0 - gt$ に $v = 0$ を代入します:

$$0 = v_0 - gt_1$$

$t_1$ について解くと:

$$gt_1 = v_0 \quad \Longrightarrow \quad t_1 = \frac{v_0}{g}$$
答え:
$$t_1 = \frac{v_0}{g}\;\mathrm{[s]}$$
Point

$v$-$t$ グラフで速度が 0 になる時刻 = 最高点到達時刻。

設問(4) もとの高さに戻る時刻

直感的理解
投げ上げの運動は最高点に対して対称です。上昇にかかる時間と下降にかかる時間は等しいので、もとの高さに戻る時刻は最高点到達時刻の2倍です。$v$-$t$ グラフの正の面積と負の面積が等しくなる時刻とも一致します。

立式:もとの高さに戻るとき変位 $y = 0$ なので、$y = v_0 t - \frac{1}{2}gt^2 = 0$ を解きます:

$$t\!\left(v_0 - \frac{1}{2}gt\right) = 0$$

$t = 0$(投げた瞬間)は除くと:

$$v_0 - \frac{1}{2}gt_2 = 0 \quad \Longrightarrow \quad t_2 = \frac{2v_0}{g}$$

これは最高点到達時刻 $t_1 = v_0/g$ のちょうど2倍です:

$$t_2 = 2 \times \frac{v_0}{g} = 2t_1$$
答え:
$$t_2 = \frac{2v_0}{g} = 2t_1\;\mathrm{[s]}$$

もとの高さに戻る時刻は最高点到達時刻の2倍

Point

鉛直投げ上げは最高点に対して時間的に対称。往復時間 $= 2v_0/g$。$v$-$t$ グラフでは正負の面積が等しくなる時刻に対応する。

💡 補足:解法の着眼点

この問題では、まず与えられた条件を整理し、使うべき物理法則を見極めることが重要です。式を立てたら、単位の次元が合っているか確認しましょう。また、極端な場合(例えば角度が 0° や 90°)で結果が常識と合うかチェックすると、立式ミスを防げます。

具体的な数値で確認

初速 \(v_0 = 19.6\) m/s で鉛直に投げ上げ、重力加速度 \(g = 9.8\) m/s² として各値を求める。

(1) 重力加速度 \(g\):v-tグラフの傾きの絶対値が \(g\)。グラフから 1 秒あたり 9.8 m/s ずつ速度が減少する。

$$ g = \left|\frac{\Delta v}{\Delta t}\right| = \frac{19.6 - 0}{2.0 - 0} = 9.8 \text{ m/s}^2 $$

(2) v-tグラフと時間軸で囲まれた面積 \(S\) は変位(最高点までの高さ)に等しい。底辺 \(t_1\)、高さ \(v_0\) の三角形:

$$ S = \frac{1}{2} \times t_1 \times v_0 = \frac{1}{2} \times 2.0 \times 19.6 = 19.6 \text{ m} $$

(3) 最高点に達するまでの時間 \(t_1\)(\(v = 0\) になる時刻):

$$ 0 = v_0 - g t_1 \;\Longrightarrow\; t_1 = \frac{v_0}{g} = \frac{19.6}{9.8} = 2.0 \text{ s} $$

(4) 投げ上げ点に戻ってくる時刻 \(t_2\):上昇と下降は対称なので最高点までの時間の2倍。

$$ t_2 = \frac{2 v_0}{g} = \frac{2 \times 19.6}{9.8} = 4.0 \text{ s} $$