基本問題37 走る台車からの投射

設問(1) 等速走行中に発射

直感的理解
等速走行中の台車から鉛直上向きに打ち出された球は、台車と同じ水平速度を持ち続けます(慣性の法則)。したがって、球は常に台車の真上にあり、発射装置の上に戻ってきます。地上の観測者から見ると球は放物線を描きますが、台車上の観測者から見ると真上に上がって真下に戻るだけです。

分析:

答え:
球は発射装置の上(台車上)に落ちる
Point

等速運動する台車から鉛直に打ち出した球は、水平方向に台車と同じ速度を持つので、常に台車の真上にある。これは慣性の法則の直接的な結果。

設問(2) 発射後に台車が減速した場合

直感的理解
球は発射された瞬間の水平速度 $v$ を保持し続けます(空気抵抗なし)。一方、台車は減速するので、球は台車よりも先に進みます。結果、球は台車の前方に落ちます

分析:

答え:
球は台車の前方に落ちる
補足:加速した場合は?

台車が加速した場合は、台車の方が速く進むので、球は台車の後方に落ちます

つまり:

  • 等速 → 台車上に落ちる
  • 減速 → 台車の前方に落ちる
  • 加速 → 台車の後方に落ちる
Point

球の水平速度は発射後一定だが、台車の速度が変わると相対位置がずれる。台車が減速 → 球は前方台車が加速 → 球は後方に落ちる。

具体的な数値で確認

等速で進む台車の速さを \(v = 3.0\) m/s、球の初速度(鉛直上向き)を \(v_{0y} = 14.7\) m/s、重力加速度を \(g = 9.8\) m/s² とする。

滞空時間は鉛直方向の運動から:

$$ T = \frac{2 v_{0y}}{g} = \frac{2 \times 14.7}{9.8} = 3.0 \text{ s} $$

(1) 等速の場合:台車も球も同じ水平速度 \(v\) をもつので、滞空時間中の水平移動距離は等しい。

$$ \Delta x_{\text{球}} = v \cdot T = 3.0 \times 3.0 = 9.0 \text{ m},\quad \Delta x_{\text{台車}} = 9.0 \text{ m} $$

差は \(9.0 - 9.0 = 0\) m なので、球はちょうど台車上(発射装置上)に戻る。

(2) 台車が \(a = 1.0\) m/s² で減速する場合:球の水平速度は変わらないが、台車は遅くなる。

$$ \Delta x_{\text{台車}} = vT - \tfrac{1}{2} a T^2 = 3.0 \times 3.0 - \tfrac{1}{2} \times 1.0 \times 3.0^2 = 9.0 - 4.5 = 4.5 \text{ m} $$ $$ \Delta x_{\text{球}} - \Delta x_{\text{台車}} = 9.0 - 4.5 = 4.5 \text{ m(前方)} $$

球は台車の前方 4.5 m の地点に落ちる。