設定:動滑車に質量 $M$ の物体をつるし、糸の一端を天井に固定、他端を定滑車を通して力 $F$ で引きます。重力加速度 $g$。
動滑車のつりあい(滑車の質量無視):
動滑車を支える糸は2本分あり、各張力は等しく $T$ です。動滑車の鉛直方向のつりあいを立てます。
$$ 2T - Mg = 0 $$ $$ T = \frac{Mg}{2} $$定滑車は力の向きを変えるだけで大きさは変えないので、糸全体の張力は一定です。
糸を引く力 $T_1$ は糸の張力 $T$ に等しいので:
$$ T_1 = T = \frac{Mg}{2} $$天井の固定端にも同じ張力 $T$ がかかるので:
$$ T_2 = T = \frac{Mg}{2} $$動滑車を使うと引く力は半分になりますが、引く距離は2倍になります。物体を高さ $h$ だけ持ち上げるには、糸を $2h$ だけ引く必要があります:
$$W = F \times 2h = \frac{Mg}{2} \times 2h = Mgh$$仕事量は変わりません。これが仕事の原理です。
動滑車:力は半分($F = \frac{Mg}{2}$)、距離は2倍。定滑車:力の向きを変えるだけ($F = Mg$)。1本の糸の張力はどこでも同じ(軽い糸の場合)。
動滑車に吊るされた物体の質量を \(M = 5.0\) kg、重力加速度 \(g = 9.8\) m/s² として、つり下げに必要な力 \(F\) と仕事を計算する。
物体にはたらく重力:
$$ Mg = 5.0 \times 9.8 = 49 \text{ N} $$動滑車では糸が両側から物体を支えるので、糸の張力 \(T\) は重力の半分:
$$ 2T = Mg \;\Longrightarrow\; T = \frac{Mg}{2} = \frac{49}{2} = 24.5 \text{ N} $$引く力は張力に等しいので:
$$ F = T = 24.5 \text{ N} $$物体を \(h = 0.50\) m 持ち上げるとき、糸を引く距離は \(2h = 1.0\) m(動滑車の幾何学)。仕事の原理が成り立つ:
$$ W_{\text{人}} = F \times 2h = 24.5 \times 1.0 = 24.5 \text{ J} $$ $$ W_{\text{重力}} = Mgh = 49 \times 0.50 = 24.5 \text{ J} $$力は半分でも仕事は同じ —— 動滑車を使っても得られる仕事量は変わらない。