基本例題12 斜面上のつりあい

設問(1)(2) 弾性力・垂直抗力・ばねの縮み

直感的理解
斜面上の物体にはたらく重力を、斜面に平行な成分(物体をすべらせようとする力)と斜面に垂直な成分(物体を斜面に押しつける力)に分解するのがポイントです。ばねの弾性力は斜面に平行な成分とつりあい、垂直抗力は垂直な成分とつりあいます。スライダーで角度を変えると、成分の大きさが変わるのを確認できます。

設定:傾きの角 $\theta$ のなめらかな斜面、ばね定数 $k$、質量 $m$ のおもり、重力加速度 $g$

(1) 力の分解とつりあい:おもりにはたらく力は重力 $mg$、垂直抗力 $N$、弾性力 $F$ の3つです。

重力を斜面に平行な成分と垂直な成分に分解します:

$$ \text{斜面に平行:} mg\sin\theta, \quad \text{斜面に垂直:} mg\cos\theta $$

斜面に平行な方向のつりあい(弾性力 = 重力の斜面平行成分):

$$ F = mg\sin\theta $$

斜面に垂直な方向のつりあい(垂直抗力 = 重力の斜面垂直成分):

$$ N = mg\cos\theta $$

(2) ばねの縮み:フックの法則 $F = kx$ より、ばねの縮み $x$ を求めます。

$$ kx = mg\sin\theta \quad \Longrightarrow \quad x = \frac{mg\sin\theta}{k} $$
答え:
(1) $F = mg\sin\theta$、$N = mg\cos\theta$
(2) $x = \dfrac{mg\sin\theta}{k}$
補足:角度の特殊値での確認

$\theta = 0°$(水平面)のとき:$F = 0$, $N = mg$, $x = 0$(ばねは縮まない)。

$\theta = 90°$(鉛直)のとき:$F = mg$, $N = 0$, $x = mg/k$(全重力をばねが支える)。

これらは直感に合っています。特殊な場合で検算するのは重要なテクニックです。

補足:なぜ斜面平行が sin で垂直が cos なのか

斜面の角度 $\theta$ は「水平面と斜面のなす角」です。重力は鉛直下向きなので、重力と斜面の法線(垂直方向)のなす角も $\theta$ になります。

したがって:

  • 斜面に垂直な成分 = $mg\cos\theta$(法線方向 = 重力に近い方向 → $\cos$)
  • 斜面に平行な成分 = $mg\sin\theta$(法線から離れた方向 → $\sin$)

$\theta = 0$ で平行成分 = 0(すべらない), $\theta = 90°$ で平行成分 = $mg$(全部すべる)と考えると $\sin$ が正しいと確認できます。

Point

斜面上のつりあい:重力を斜面に平行($mg\sin\theta$)と垂直($mg\cos\theta$)に分解する。$\theta = 0$ や $\theta = 90°$ での検算が有効。

🧮 具体的な数値例

たとえば質量 \(m = 2.0\) kg の物体が \(\theta = 30°\) の斜面上にある場合:

$$\text{斜面方向の力:} mg\sin\theta = 2.0 \times 9.8 \times \sin 30° = 9.8 \text{ N}$$ $$\text{垂直抗力:} N = mg\cos\theta = 2.0 \times 9.8 \times \cos 30° \fallingdotseq 17 \text{ N}$$