基本例題14 斜面上の運動

設問(1) 上昇中と下降中の加速度

直感的理解
なめらかな斜面上では、重力の斜面方向成分 $mg\sin\theta$ だけが物体を減速(上昇時)・加速(下降時)させます。摩擦がないので、上昇中も下降中も加速度の大きさは同じです。スライダーで角度を変えると、加速度がどう変わるか確認できます。

設定:傾きの角 $\theta = 30°$、初速 $v_0 = 9.8\;\text{m/s}$(斜面上向き)、$g = 9.8\;\text{m/s}^2$。

立式:斜面に沿って上向きを正とし、運動方程式を立てます。物体にはたらく力の斜面方向成分は重力の $mg\sin 30°$(斜面下向き)のみ:

$$ma = -mg\sin 30°$$

計算:両辺を $m$ で割ると:

$$a = -g\sin 30° = -9.8 \times 0.50 = -4.9\;\text{m/s}^2$$

上昇中も下降中も、加速度は斜面方向下向きに $4.9\;\text{m/s}^2$ で一定です。

答え:
上昇中・下降中とも加速度は$$\text{斜面方向下向きに}\;4.9\;\text{m/s}^2$$
Point

なめらかな斜面では、上昇中も下降中も加速度は $g\sin\theta$(斜面下向き)で同じ。向きが変わるだけで加速度の大きさは変わらない。

設問(2) 最高点Pまでの距離 $d$

直感的理解
斜面を上る物体は $mg\sin\theta$ で減速し続け、最高点Pで速度が0になります。等加速度運動の公式 $v^2 - v_0^2 = 2ad$ を使えば、最高点までの距離が求まります。

設定:最高点Pでは $v = 0$、初速 $v_0 = 9.8\;\text{m/s}$、加速度 $a = -4.9\;\text{m/s}^2$。

立式:等加速度運動の公式 $v^2 - v_0^2 = 2ad$ を使います。

計算:$v = 0$ を代入して $d$ について解きます。

$$0 - v_0^2 = 2(-g\sin 30°)\,d$$ $$d = \frac{v_0^2}{2g\sin 30°} = \frac{9.8^2}{2 \times 9.8 \times 0.50} = \frac{96.04}{9.8} = 9.8\;\text{m}$$
答え:
$$d = 9.8\;\text{m}$$
別解:エネルギー法で確認

高さ $h = L\sin 30°$ を滑り落ちるとき:

$$mgh = \frac{1}{2}mv^2 \Rightarrow v^2 = 2gL\sin 30° = 2aL$$

よって $a = g\sin 30° = 4.9$ m/s$^2$ と一致します。

Point

最高点では $v = 0$。$v^2 - v_0^2 = 2ad$ を使えば、時間を経由せずに距離が求まる。