基本例題17 静止摩擦力と動摩擦力

設問(1) 5.0Nで引いたときの摩擦力

直感的理解
物体が動かないとき、静止摩擦力は引く力と同じ大きさになって物体を静止させます。つまり $f = F$ です。引く力を大きくしても、最大静止摩擦力 $F_0 = \mu N$ に達するまでは物体は動きません。

設定:$m = 2.0\;\text{kg}$、$\mu = 0.50$、$\mu' = 0.25$、$g = 9.8\;\text{m/s}^2$。引く力 $F = 5.0\;\text{N}$。

判定:まず最大静止摩擦力を計算します。垂直抗力は $N = mg$ なので:

$$ F_0 = \mu N = \mu mg = 0.50 \times 2.0 \times 9.8 = 9.8 \;\text{N} $$

$F = 5.0\;\text{N} < F_0 = 9.8\;\text{N}$ なので、物体は動かない。

物体が静止 → 力のつりあい → 摩擦力 = 引く力

$$ f = F = 5.0 \;\text{N} $$
答え:
$$f = 5.0\;\text{N}$$
Point

静止摩擦力は「引く力とつりあう力」。$f \leq \mu N$ の範囲で変化する。最大静止摩擦力 $F_0 = \mu N$ と比較して、動くかどうかを判定する。

設問(2) 9.9Nで引いたときの摩擦力と加速度

直感的理解
$f_1 = 9.9\;\text{N}$ は最大静止摩擦力 $F_0 = 9.8\;\text{N}$ を超えているので、物体はすべっています。すべっているときの摩擦力は動摩擦力 $F' = \mu'N$ で一定です。合力 $= F - F'$ で加速度が求まります。

判定:$f_1 = 9.9\;\text{N} > F_0 = 9.8\;\text{N}$ → 物体はすべっている。

動摩擦力:すべっているときは動摩擦力 $F' = \mu' N = \mu' mg$ がはたらきます:

$$ F' = \mu' mg = 0.25 \times 2.0 \times 9.8 = 4.9 \;\text{N} $$

運動方程式:水平方向の合力で加速度を求めます:

$$ ma = f_1 - F' $$ $$ a = \frac{f_1 - F'}{m} = \frac{9.9 - 4.9}{2.0} = \frac{5.0}{2.0} = 2.5 \;\text{m/s}^2 $$
答え:
$$F' = 4.9\;\text{N}, \quad a = 2.5\;\text{m/s}^2$$
補足:力の見落とし防止チェックリスト

力を列挙する際は、①重力 ②垂直抗力 ③張力 ④摩擦力 ⑤弾性力 の順に確認し、接触力と遠隔力を分けて図示すると見落としを防げます。

Point

静止摩擦力 $\leq \mu N$(等号はすべりだす直前)。動摩擦力 $= \mu' N$(一定)。$\mu' < \mu$ なので、すべり出すと摩擦力は急に小さくなる。