基本例題21 重心

重心の求め方(切り抜き法)

直感的理解
切り抜いた板の重心を直接求めるのは難しいので、「元の円板」と「切り取った小円板」に分解して考えます。元の円板の重心(O)と切り取った部分の重心(P)がわかれば、残った板の重心は「逆の方向」にずれます。切り取った部分の反対側に重心が移動するイメージです。

Step 1:質量の整理

板の厚さが一様なので、質量は面積に比例します。

Step 2:重心の式を立てる

Oを原点とし、Pの方向を正にとります。切り取った小円板の中心Pの座標は $x = \frac{r}{2}$。

「元の円板 = 残った板 + 切り取った板」と考えると:

$$4m \times 0 = 3m \times x_G + m \times \frac{r}{2}$$

$x_G$ について解くと:

$$0 = 3m \cdot x_G + \frac{mr}{2}$$ $$x_G = -\frac{m \cdot r/2}{3m} = -\frac{r}{6}$$

(元の円板の重心はO、座標0。負号はPと反対方向を意味する)

答え:
重心Gは点Oより左に $\dfrac{r}{6}$ の位置(Pと反対方向)
数値検証:$r = 12$ cm の場合

半径 $r = 12$ cm の円板から半径 $6$ cm の小円板を切り取った場合:

$$\text{元の円板の面積} = \pi \times 12^2 = 144\pi \text{ cm}^2$$ $$\text{小円板の面積} = \pi \times 6^2 = 36\pi \text{ cm}^2 = \frac{144\pi}{4}$$

質量を $4m$ とおくと、小円板は $m$、残りは $3m$。重心の式:

$$4m \times 0 = 3m \times x_G + m \times 6$$ $$x_G = -\frac{6}{3} = -2.0 \text{ cm}$$

確認:$r/6 = 12/6 = 2.0$ cm なので Oから左に $2.0$ cm ✓

別解:積分による重心計算

面密度を $\sigma$ とすると、切り抜き後の板の重心は:

$$x_G = \frac{\iint_{\text{残り}} x \, \sigma \, dA}{\iint_{\text{残り}} \sigma \, dA} = \frac{\sigma \iint_{\text{元}} x \, dA - \sigma \iint_{\text{穴}} x \, dA}{\sigma(\pi r^2 - \pi r^2/4)}$$

元の円板は対称なので $\iint_{\text{元}} x \, dA = 0$。穴の部分は中心が $x = r/2$ なので $\iint_{\text{穴}} x \, dA = \frac{r}{2} \cdot \frac{\pi r^2}{4}$。よって:

$$x_G = \frac{0 - \frac{\pi r^3}{8}}{\frac{3\pi r^2}{4}} = -\frac{r}{6}$$

同じ結果が得られます。

Point

切り抜き型の重心は「元の物体 = 残り + 切り取り」と分解し、重心の公式 $m_1 x_1 + m_2 x_2 = (m_1 + m_2) x_{\text{全体}}$ を使う。切り取った部分の反対方向に重心がずれる。