基本問題122 保存力以外の力の仕事

あらい斜面と摩擦力の仕事

直感的理解
あらい斜面では摩擦力が仕事をするため、力学的エネルギーは保存しません。位置エネルギーの減少分が運動エネルギーと摩擦による熱エネルギーに分配されます。

設定:あらい斜面上の高さ $h = 5.0$ m の位置から質量 $m = 2.0$ kg の物体が滑り落ちる。動摩擦係数 $\mu'$、斜面の傾き $\theta$。$g = 9.8$ m/s²。

エネルギーの関係式

斜面の長さ:

$$d = \frac{h}{\sin\theta}$$

垂直抗力は $N = mg\cos\theta$ なので、動摩擦力:

$$f = \mu' N = \mu' mg\cos\theta$$

摩擦力の仕事(非保存力):

$$W_f = -fd = -\mu' mg\cos\theta \times \frac{h}{\sin\theta} = -\mu' mgh \cdot \frac{\cos\theta}{\sin\theta} = -\mu' mgh\cot\theta$$

底での速さ

頂上(速さ 0、高さ $h$)→ 底(速さ $v$、高さ 0)でエネルギーの関係:

$$\frac{1}{2}mv^2 - 0 = mgh + W_f = mgh - \mu' mgh\cot\theta$$ $$v^2 = 2gh(1 - \mu'\cot\theta)$$ $$v = \sqrt{2gh(1 - \mu'\cot\theta)}$$
答え:
底での速さ:$v = \sqrt{2gh(1 - \mu'\cot\theta)}$
摩擦力の仕事:$W_f = -\mu' mgh\cot\theta$
補足:力の見落とし防止チェックリスト

力を列挙する際は、①重力 ②垂直抗力 ③張力 ④摩擦力 ⑤弾性力 の順に確認し、接触力と遠隔力を分けて図示すると見落としを防げます。

Point

非保存力がある場合:$\Delta K = W_{\text{保存力}} + W_{\text{非保存力}}$、すなわち $\frac{1}{2}mv^2 - \frac{1}{2}mv_0^2 = (mgh_1 - mgh_2) + W_f$。摩擦力は常に負の仕事をし、力学的エネルギーを減少させる。