基本例題26 力学的エネルギーの保存

設問(1) ばね定数 $k$

直感的理解
ばねで吊るされた物体がつりあっている位置では、ばねの弾性力と重力がつりあいます。自然長の位置Qから静かにはなすと、つりあいの位置Pを中心に単振動します。点Pを通過するとき速さが最大になります。

つりあいの条件:

点Pで物体が静止しているとき、ばねの復元力 = 重力:

$$kd = mg \quad \Rightarrow \quad k = \frac{mg}{d}$$
答え(1):
$k = \dfrac{mg}{d}$

設問(2) 点Pを通過するときの速さ $v$

点Pを重力による位置エネルギーの基準とします。

点Qでのエネルギー:

点Pでのエネルギー:

エネルギー保存則 $E_Q = E_P$:

$$0 + mgd + 0 = \frac{1}{2}mv^2 + 0 + \frac{1}{2}kd^2$$

$k = \dfrac{mg}{d}$ を代入すると $\dfrac{1}{2}kd^2 = \dfrac{1}{2} \cdot \dfrac{mg}{d} \cdot d^2 = \dfrac{mgd}{2}$:

$$mgd = \frac{1}{2}mv^2 + \frac{mgd}{2}$$ $$\frac{mgd}{2} = \frac{1}{2}mv^2 \quad \Rightarrow \quad v^2 = gd$$ $$v = \sqrt{gd}$$
答え(2):
$v = \sqrt{gd}$
補足:つりあい位置を中心とした単振動

Qからはなした物体はPを中心に単振動します。Pから下方向にも $d$ だけ伸びて折り返します(振幅 $d$)。

単振動の速さは中心(P)で最大で $v_{\max} = A\omega = d\sqrt{k/m} = d\sqrt{g/d} = \sqrt{gd}$ と一致します。

Point

ばねの問題ではつりあい条件で $k$ を求め、エネルギー保存で速さを求める。位置エネルギーの基準を適切に設定し、重力の位置エネルギー弾性エネルギーの両方を考慮する。

具体的な数値で確認

おもりの質量 \(m = 0.20\) kg、つりあい位置でのばねの伸び \(d = 0.040\) m、重力加速度 \(g = 9.8\) m/s² として計算する。

(1) ばね定数 \(k\):つりあい条件 \(kd = mg\) より。

$$ k = \frac{mg}{d} = \frac{0.20 \times 9.8}{0.040} = 49 \text{ N/m} $$

(2) 自然長の位置Qでおもりを静かに離したとき、つりあいの位置Pを通過する速さ \(v\):Q→P間でエネルギー保存(重力+弾性力)。

$$ \tfrac{1}{2} m v^2 = mgd - \tfrac{1}{2} k d^2 $$

ここで \(kd = mg\) なので \(\tfrac{1}{2}kd^2 = \tfrac{1}{2}mgd\)。よって:

$$ \tfrac{1}{2} m v^2 = mgd - \tfrac{1}{2} mgd = \tfrac{1}{2} mgd $$ $$ v = \sqrt{gd} = \sqrt{9.8 \times 0.040} = \sqrt{0.392} \fallingdotseq 0.626 \text{ m/s} $$

(3) 振動の周期 \(T\):

$$ T = 2\pi \sqrt{\frac{m}{k}} = 2\pi \sqrt{\frac{0.20}{49}} \fallingdotseq 2\pi \times 0.0639 \fallingdotseq 0.401 \text{ s} $$