基本例題28 保存力以外の力の仕事

設問(1) ばねから離れるときの速さ $v$

直感的理解
ばねが縮んでいるとき、弾性エネルギー $\frac{1}{2}kx^2$ が蓄えられています。ばねから離れるとき(自然の長さに戻るとき)、このエネルギーがすべて運動エネルギーに変わります。その後、あらい面での摩擦力が運動エネルギーを奪い、物体は止まります。

ばねから離れるまで(ばね〜点A)は面がなめらかなので力学的エネルギー保存:

$k = 100$ N/m、$x_0 = 0.70$ m、$m = 1.0$ kg、$\mu' = 0.50$、$g = 9.8$ m/s²。

初め静止、ばねの縮み $x_0 = 0.70$ m。弾性エネルギー → 運動エネルギー:

$$\frac{1}{2}kx_0^2 = \frac{1}{2}mv^2$$ $$v = x_0\sqrt{\frac{k}{m}} = 0.70 \times \sqrt{\frac{100}{1.0}} = 0.70 \times 10 = 7.0\;\mathrm{m/s}$$
答え(1):
$v = 7.0$ m/s

設問(2) AB間の距離 $l$

点Aから点Bまで、摩擦力の仕事により力学的エネルギーが減少:

動摩擦力:$f = \mu' mg = 0.50 \times 1.0 \times 9.8 = 4.9$ N

点Bで止まるので $v_B = 0$。仕事とエネルギーの関係:

$$\frac{1}{2}mv^2 = f \cdot l$$ $$\frac{1}{2} \times 1.0 \times 7.0^2 = 4.9 \times l$$ $$24.5 = 4.9l \quad \Rightarrow \quad l = \frac{24.5}{4.9} = 5.0\;\mathrm{m}$$
答え(2):
$l = 5.0$ m
別解:エネルギーの収支で一気に求める

初めのばねの弾性エネルギーがすべて摩擦の仕事に変換されると考えます:

$$\frac{1}{2}kx_0^2 = \mu' mg \cdot l$$ $$l = \frac{kx_0^2}{2\mu' mg} = \frac{100 \times 0.70^2}{2 \times 0.50 \times 1.0 \times 9.8} = \frac{49}{9.8} = 5.0\;\mathrm{m}$$

(ばね〜A間はなめらかなのでエネルギーロスなし)

Point

保存力以外の力(摩擦力)がする仕事 = 力学的エネルギーの変化。摩擦力の仕事は $W = -\mu' mg \cdot l$(常に負)。ばねの弾性エネルギーが最終的に摩擦熱に変わる。