応用問題147 木材への弾丸の打ちこみ

設問(1) 一体となった直後の速さ

直感的理解
弾丸が木材にめり込んで一体になる過程は完全非弾性衝突です。運動量は保存されますが、多くの運動エネルギーが熱に変わります。木材の質量が弾丸の3倍なので、一体後の速度は \(v_0/4\) になります。

運動量保存則(水平方向に外力なし):

弾丸(質量 $m$, 速度 $v_0$)が木材(質量 $3m$, 静止)にめり込んで一体になる:

$$mv_0 + 3m \times 0 = (m + 3m)V$$ $$mv_0 = 4mV$$ $$V = \frac{v_0}{4}$$
答え:
$$V = \frac{v_0}{4}$$
Point

弾丸の打ちこみ = 完全非弾性衝突。\(m_1 v_1 = (m_1 + m_2) V\) で合体後の速度を求める。

設問(2) 弾丸が止まるまでの時間

直感的理解
弾丸は木材からの摩擦力 \(F\) で減速します。弾丸の運動量変化 = 力積の関係から、めり込み時間が求まります。

弾丸に着目した力積と運動量の関係:

弾丸は速度 $v_0$ から $V = v_0/4$ まで減速。摩擦力 $F$ が時間 $t$ だけ作用。

力積 = 運動量の変化(弾丸に対して、進行方向と逆向きに $F$ が作用):

$$Ft = mv_0 - mV = m\!\left(v_0 - \frac{v_0}{4}\right) = m \times \frac{3v_0}{4} = \frac{3mv_0}{4}$$

$t$ について解くと:

$$t = \frac{3mv_0}{4F}$$
答え:
$$t = \frac{3mv_0}{4F}$$
Point

力積 \(Ft\) = 運動量の変化。一定の力 \(F\) が作用する時間 \(t\) を求められる。

設問(3) 失われたエネルギーと弾丸の移動距離

直感的理解
失われた運動エネルギーは、弾丸と木材の間の摩擦力 \(F\) がした仕事(\(F \times d\)、\(d\) は弾丸の木材内での移動距離)に等しい。これは弾丸と木材の「相対変位」に注意が必要です。

失われた力学的エネルギー:

衝突前後のエネルギー差を計算:

$$\Delta K = \frac{1}{2}mv_0^2 - \frac{1}{2}(4m)\!\left(\frac{v_0}{4}\right)^2 = \frac{1}{2}mv_0^2 - \frac{1}{2} \times 4m \times \frac{v_0^2}{16}$$ $$= \frac{mv_0^2}{2} - \frac{mv_0^2}{8} = \frac{4mv_0^2 - mv_0^2}{8} = \frac{3mv_0^2}{8}$$

弾丸が木材中を移動した距離 $d$:

摩擦力 $F$ × 相対変位 $d$ = 失われたエネルギー:

$$Fd = \Delta K = \frac{3mv_0^2}{8}$$ $$d = \frac{3mv_0^2}{8F}$$
答え:
失われた力学的エネルギー:$\dfrac{3}{8}mv_0^2$
弾丸の木材中での移動距離:$d = \dfrac{3mv_0^2}{8F}$
補足:「相対変位」と「各物体の変位」の違い

弾丸が木材中を距離 \(d\) 進む間に、木材自体も少し前に動きます。

弾丸の変位を \(s_1\)、木材の変位を \(s_2\) とすると、\(d = s_1 - s_2\)(相対変位)です。

摩擦力がした仕事は \(F \times d = F(s_1 - s_2)\) であり、これが散逸したエネルギーに等しくなります。

Point

完全非弾性衝突のエネルギー損失 = \(\frac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2\)(\(\mu\): 換算質量)。摩擦力 \(F\) × 相対変位 \(d\) = 損失エネルギーで \(d\) を求める。