応用問題148 斜面との衝突

設問(1) 衝突直後の速さと \(\theta\)

直感的理解
斜面との衝突では、斜面に平行な成分は変化せず、垂直な成分だけが反発係数に従って変化します。弾性衝突(\(e = 1\))なら垂直成分の大きさは同じで向きが反転します。

衝突前の速さ:高さ $h$ から自由落下するので、エネルギー保存より

$$\frac{1}{2}mv_0^2 = mgh \quad \Rightarrow \quad v_0 = \sqrt{2gh}$$

速度の分解(斜面に対して):

衝突前の速度 \(\vec{v} = (0, -v_0)\) を斜面に平行な成分と垂直な成分に分解:

衝突後(弾性衝突, \(e = 1\)):

衝突後の速さ:

$$v' = \sqrt{v_{\parallel}'^2 + v_{\perp}'^2} = \sqrt{\left(\frac{v_0}{\sqrt{2}}\right)^2 + \left(\frac{v_0}{\sqrt{2}}\right)^2} = \sqrt{\frac{v_0^2}{2} + \frac{v_0^2}{2}} = v_0$$

衝突後の向き:水平・鉛直に分解し直すと、$\vec{v'} = (-v_0, 0)$(水平に斜面の下方向)

答え:
衝突直後の速さ:\(v_0 = \sqrt{2gh}\)
\(\theta\) の値:斜面に対して \(\theta = 45°\)(斜面からの射出角)。水平方向に飛び出す。
Point

斜面との衝突:平行成分は不変、垂直成分は \(e\) 倍で反転。45° 斜面+鉛直落下+弾性衝突 → 水平に跳ね返る。

設問(2) 斜面から受ける力積の大きさ

直感的理解
力積は運動量の変化です。衝突前後で速度の大きさは同じ \(v_0\) ですが、方向が90°変わるので、力積の大きさは \(\sqrt{2}\,mv_0\) です。

衝突前後の運動量:

衝突前:$\vec{p} = m(0,\;-v_0)$、衝突後:$\vec{p'} = m(-v_0,\;0)$

力積 = 運動量の変化:

$$\vec{I} = \vec{p'} - \vec{p} = m(-v_0,\;0) - m(0,\;-v_0) = m(-v_0,\;v_0)$$

大きさ:

$$|\vec{I}| = m\sqrt{v_0^2 + v_0^2} = \sqrt{2}\,mv_0 = \sqrt{2}\,m\sqrt{2gh} = 2m\sqrt{gh}$$
答え:
力積の大きさ:$2m\sqrt{gh}$
Point

衝突の力積はベクトル差 \(\vec{I} = m\vec{v'} - m\vec{v}\) で求める。斜面からの垂直抗力の力積に等しい。

設問(3)(4) 点Aから点Bまでの時間とAB間の距離

直感的理解
衝突後、小球は水平方向に \(v_0\) で飛び出し、重力による放物運動をします。斜面との再衝突点(点B)は、放物線と斜面の交点として求まります。

Aを原点、右向きを $x$ 正、上向きを $y$ 正とする座標系:

衝突後、小球は水平左向きに速さ $v_0$ で飛び出すので:

$$x(t) = -v_0 t, \quad y(t) = -\frac{1}{2}gt^2$$

斜面の方程式:45° 斜面なので、斜面上では $y = x$(左下方向に傾斜)。点Bで $y(t) = x(t)$ とおくと:

$$-\frac{1}{2}gt^2 = -v_0 t$$ $$\frac{1}{2}gt = v_0 \quad (\text{$t \neq 0$ を除く})$$ $$t = \frac{2v_0}{g}$$

$v_0 = \sqrt{2gh}$ を代入:

$$t = \frac{2\sqrt{2gh}}{g} = 2\sqrt{\frac{2h}{g}}$$

AB間の距離:

$$|x(t)| = v_0 t = \sqrt{2gh} \times 2\sqrt{\frac{2h}{g}} = 2\sqrt{\frac{2gh \times 2h}{g}} = 2\sqrt{4h^2} = 4h$$ $$|y(t)| = \frac{1}{2}g t^2 = \frac{1}{2}g \times \frac{4 \times 2gh}{g^2} = 4h$$ $$AB = \sqrt{x^2 + y^2} = \sqrt{(4h)^2 + (4h)^2} = 4h\sqrt{2} = 4\sqrt{2}\,h$$
答え:
設問(3):\(t = 2\sqrt{\dfrac{2h}{g}}\)
設問(4):\(AB = 4\sqrt{2}\,h\)
別解:斜面に沿った座標系で解く

斜面に沿って \(s\) 軸、垂直に \(n\) 軸を取ると、重力の成分は

$$g_s = g\sin 45° = \frac{g}{\sqrt{2}}, \quad g_n = g\cos 45° = \frac{g}{\sqrt{2}}$$

衝突後の速度は斜面に沿って \(v_0/\sqrt{2}\)、垂直に \(v_0/\sqrt{2}\)(斜面から離れる向き)。

斜面に戻る時間は \(n\) 方向で \(0 = v_0/\sqrt{2} \cdot t - \frac{1}{2} \cdot g/\sqrt{2} \cdot t^2\) より \(t = 2v_0/g\)。

この間の斜面に沿った移動距離が AB です。

Point

斜面での跳ね返り後の放物運動は、斜面との再交点を求める。座標を設定して放物運動の式と斜面の式を連立する。