応用問題149 物体と動く台との運動

設問(1) 最高点での斜面台の速さ

直感的理解
物体が斜面台の最高点に達したとき、物体は斜面台に対して静止しています(これ以上上れない = 相対速度ゼロ)。したがって物体と斜面台は同じ水平速度 \(V\) で動きます。

水平方向の運動量保存:

最高点では物体と斜面台が同じ速度 $V$ で動くので:

$$mv + M \times 0 = (m + M)V$$ $$V = \frac{mv}{m + M}$$
答え:
$$V = \frac{mv}{m + M}$$
Point

物体が斜面台の最高点に達する → 物体と斜面台の水平速度が等しい。運動量保存で共通速度を求める。

設問(2)(3) 最高点でのエネルギーと高さ \(H\)

直感的理解
物体の初期運動エネルギーが、最高点では「物体+台の運動エネルギー」と「物体の位置エネルギー」に分配されます。台が動くので、すべてが位置エネルギーに変わるわけではありません。

設問(2):最高点での運動エネルギーの和

$$K_{\text{top}} = \frac{1}{2}(m + M)V^2 = \frac{1}{2}(m + M)\!\left(\frac{mv}{m + M}\right)^2 = \frac{m^2 v^2}{2(m + M)}$$

設問(3):エネルギー保存から高さ $H$

初期の運動エネルギー = 最高点での運動エネルギー + 位置エネルギー:

$$\frac{1}{2}mv^2 = \frac{m^2 v^2}{2(m + M)} + mgH$$ $$mgH = \frac{mv^2}{2} - \frac{m^2 v^2}{2(m + M)} = \frac{mv^2}{2}\!\left(1 - \frac{m}{m + M}\right) = \frac{mv^2}{2} \times \frac{M}{m + M}$$ $$H = \frac{Mv^2}{2g(m + M)}$$
答え:
設問(2):$\dfrac{m^2 v^2}{2(m + M)}$
設問(3):$H = \dfrac{Mv^2}{2g(m + M)}$
Point

台が動く場合、物体の位置エネルギーだけでなく台の運動エネルギーも考慮する。\(\frac{1}{2}mv^2 = \frac{1}{2}(m+M)V^2 + mgH\)。

設問(4) 物体が床にもどったときの速さ

直感的理解
物体が床にもどったとき、位置エネルギーはゼロに戻ります。つまり運動エネルギーの合計は最初と同じです。運動量保存 + エネルギー保存の2つの式で \(v_1\) と \(V_1\) が決まります。これは弾性衝突の連立方程式と同じ構造です。

運動量保存:(物体は跳ね返って左向きに $v_1$、台は右向きに $V_1$)

$$mv = MV_1 - mv_1 \quad \cdots (1)$$

エネルギー保存(床の高さに戻ったので位置エネルギー = 0):

$$\frac{1}{2}mv^2 = \frac{1}{2}MV_1^2 + \frac{1}{2}mv_1^2 \quad \cdots (2)$$

(1), (2) は弾性衝突($e = 1$)の式と同一です。弾性衝突の公式を適用:

答え:
$$V_1 = \frac{2mv}{m + M}, \quad v_1 = \frac{(M - m)v}{m + M}$$
補足:なぜ弾性衝突と同じ結果になるのか

なめらかな斜面での「乗り上げ→降りる」過程は、運動量保存とエネルギー保存を同時に満たす過程です。これは弾性衝突(\(e = 1\))の条件そのものなので、結果は弾性衝突と数学的に同一になります。

Point

なめらかな面での「乗り上げ → もどる」過程は弾性衝突と等価。運動量保存 + エネルギー保存の連立で速度が決まる。

数値例で確認

上で導いた結果に具体的な数値を代入し、計算の流れを確認します。

\(m = 2.0\) kg, \(M = 8.0\) kg, \(v = 5.0\) m/s, \(g = 9.8\) m/s\(^2\) とすると:

$$V = \frac{mv}{m+M} = \frac{2.0 \times 5.0}{2.0 + 8.0} = 1.0 \text{ m/s}$$ $$H = \frac{Mv^2}{2g(m+M)} = \frac{8.0 \times 5.0^2}{2 \times 9.8 \times 10} \fallingdotseq 1.02 \text{ m}$$ $$V_1 = \frac{2mv}{m+M} = \frac{2 \times 2.0 \times 5.0}{10} = 2.0 \text{ m/s}$$
Point

記号の式に具体的な数値を代入することで、オーダー (桁) と単位を同時に検算できる。入試でも概数での検算は有効。