基本問題134 運動量の保存(合体)

設問(1) 合体直後の速さ

直感的理解
弾丸が木片に埋まって一体になる=完全非弾性衝突です。衝突の瞬間は非常に短いので、外力(重力)の影響は無視でき、運動量保存則が成り立ちます。合体後は質量が増えた分、速さは小さくなります。

立式:運動量保存則より(衝突前:弾丸のみ運動、木片は静止)

$$mv + M \times 0 = (m + M)V$$

途中計算:\(V\) について解くと

$$mv = (m + M)V$$ $$V = \frac{mv}{m + M}$$
答え:
$$V = \frac{mv}{m + M}$$
Point

合体(完全非弾性衝突)では \(mv = (m + M)V\)。質量が大きくなるので速さは減少する。

設問(2) 木片が上がる高さ

直感的理解
合体後の運動エネルギーがすべて位置エネルギーに変わるとき、最高点に達します。エネルギー保存則で高さを求めます。

立式:合体後の力学的エネルギー保存則より(最高点で速度 0)

$$\frac{1}{2}(m + M)V^2 = (m + M)gh$$

途中計算:両辺を \((m+M)\) で割ると

$$h = \frac{V^2}{2g}$$

設問(1)の結果 \(V = \dfrac{mv}{m+M}\) を代入すると

$$h = \frac{1}{2g}\left(\frac{mv}{m+M}\right)^2 = \frac{m^2 v^2}{2g(m + M)^2}$$
答え:
$$h = \frac{m^2 v^2}{2g(m + M)^2}$$
補足:弾丸のめりこむ過程でのエネルギー損失

衝突前の運動エネルギーは \(\frac{1}{2}mv^2\)、衝突後は \(\frac{1}{2}(m+M)V^2 = \frac{m^2 v^2}{2(m+M)}\) です。

損失率は \(1 - \frac{m}{m+M} = \frac{M}{m+M}\) で、木片が弾丸よりずっと重いとほとんどのエネルギーが熱に変わります。

Point

弾丸の打ち込み問題は2段階で解く:(1) 衝突 → 運動量保存、(2) 衝突後 → エネルギー保存。

数値例で確認

上で導いた結果に具体的な数値を代入し、計算の流れを確認します。

\(m = 0.020\) kg, \(M = 2.0\) kg, \(v = 400\) m/s, \(g = 9.8\) m/s\(^2\) とすると:

$$V = \frac{mv}{m+M} = \frac{0.020 \times 400}{0.020 + 2.0} = \frac{8.0}{2.02} \fallingdotseq 3.96 \text{ m/s}$$ $$h = \frac{V^2}{2g} = \frac{3.96^2}{2 \times 9.8} \fallingdotseq 0.80 \text{ m}$$ $$h = \frac{m^2 v^2}{2g(m+M)^2} \fallingdotseq 0.80 \text{ m}$$
Point

記号の式に具体的な数値を代入することで、オーダー (桁) と単位を同時に検算できる。入試でも概数での検算は有効。