基本問題136 運動量の保存(分裂)

設問(1) 台車Bを押し出した後の台車Aの速度

直感的理解
初め全体が静止しているので、系の運動量は 0 です。人が台車Bを押すと、Bは右に動き、反作用でA+人は左に動きます。合計の運動量はやはり 0 のままです。

設定:人の質量を \(m\)、台車Aの質量を \(M_A\)、台車Bの質量を \(M_B\)とし、Bを速さ \(v\) [m/s] で押し出したとします。

立式:初め静止しているので全運動量 = 0。Bの向きを正とすると

$$0 = (m + M_A) v_A + M_B v$$

途中計算:\(v_A\) について解くと

$$(m + M_A) v_A = -M_B v$$ $$v_A = -\frac{M_B v}{m + M_A}$$

負号なので、台車AはBと反対向きに動きます。

答え:
台車Bと反対の向きに速さ \(\dfrac{M_B v}{m + M_A}\) で動く。
Point

静止状態からの分裂は \(0 = p_1 + p_2\)。質量が大きいほど速さは小さくなります。

設問(2) 人がBに乗り移った後の速さ

直感的理解
人がBに乗り移っても、系全体の運動量は 0 のまま変わりません。台車AとB+人の運動量の和が 0 という条件から、B+人の最終速度が求まります。

立式:全体の運動量が常に 0 なので、人がBに乗り移った後も

$$M_A v_{A2} + (m + M_B) V' = 0$$

人がAから離れた後、Aに外力は働かない(なめらかな面)ので、Aの速度 \(v_{A2}\) は設問(1)で求めた値のまま変わりません。

$$v_{A2} = -\frac{M_B v}{m + M_A}$$

途中計算:\(V'\) について解くと

$$(m + M_B) V' = -M_A v_{A2} = -M_A \times \left(-\frac{M_B v}{m + M_A}\right) = \frac{M_A M_B v}{m + M_A}$$ $$V' = \frac{M_A M_B v}{(m + M_A)(m + M_B)}$$
答え:
$$V' = \frac{M_A M_B v}{(m + M_A)(m + M_B)}$$

(Bと同じ向き。人が乗り移ることでBの速さは低下する)

補足:反発係数との関係

反発係数 $e$ の定義は:

$$e = -\frac{v_1^{\prime} - v_2^{\prime}}{v_1 - v_2}$$

完全弾性衝突($e = 1$)では運動エネルギーも保存されます。

Point

外力のない系では、何が起ころうと全運動量は保存します。分裂・合体を繰り返しても合計運動量は変わりません。

🧮 数値計算で確認

質量 \(m = 3.0\) kg の物体に \(F = 12\) N の力を加えると:

$$a = \frac{F}{m} = \frac{12}{3.0} = 4.0 \text{ m/s}^2$$ $$t = 2.0 \text{ s 後: } v = at = 4.0 \times 2.0 = 8.0 \text{ m/s}$$ $$x = \frac{1}{2}at^2 = \frac{1}{2} \times 4.0 \times 4.0 = 8.0 \text{ m}$$