基本問題144 床との斜めの衝突

設問(1)(2) 斜め衝突の解析

直感的理解
なめらかな床では、衝突時に働く力は垂直抗力だけ(法線方向のみ)。したがって床に平行な速度成分は変わらず、垂直成分だけが \(e\) 倍に減少します。スライダーで \(e\) と入射角を変えると、反射角がどう変わるか確認できます。

速度の分解:法線(垂直)方向と接線(平行)方向に分解します。入射角 $\theta$(法線からの角度)で速さ $v$ の小球が衝突するとき

衝突前:

$$v_x = v\sin\theta \text{(接線成分)}, \quad v_y = v\cos\theta \text{(法線成分)}$$

衝突後:(なめらかな床 → 接線成分不変)

$$v_x' = v\sin\theta, \quad v_y' = ev\cos\theta$$

はね返り後の速さ:

$$v' = \sqrt{v_x'^2 + v_y'^2} = \sqrt{v^2\sin^2\theta + e^2 v^2\cos^2\theta} = v\sqrt{\sin^2\theta + e^2\cos^2\theta}$$

はね返り角 $\theta'$:

$$\tan\theta' = \frac{v_x'}{v_y'} = \frac{v\sin\theta}{ev\cos\theta} = \frac{\tan\theta}{e}$$
答え:
$$v' = v\sqrt{e^2\cos^2\theta + \sin^2\theta}$$ $$\tan\theta' = \frac{\tan\theta}{e}$$

(\(e < 1\) のとき \(\theta' > \theta\):はね返り角は入射角より大きくなる)

補足:反発係数との関係

反発係数 $e$ の定義は:

$$e = -\frac{v_1^{\prime} - v_2^{\prime}}{v_1 - v_2}$$

完全弾性衝突($e = 1$)では運動エネルギーも保存されます。

Point

斜め衝突の鍵は法線方向と接線方向の分解。反発係数は法線方向のみに作用し、なめらかな面なら接線方向は不変です。

🧮 具体的な数値例

たとえば質量 \(m_1 = 2.0\) kg(速度 \(v_1 = 3.0\) m/s)と \(m_2 = 1.0\) kg(静止)の衝突(\(e = 0.5\)):

$$\text{運動量保存:} 2.0 \times 3.0 = 2.0 v_1' + 1.0 v_2' \quad \cdots (1)$$ $$\text{反発係数:} 0.5 = \frac{v_2' - v_1'}{3.0 - 0} \quad \cdots (2)$$ $$(2) \text{より } v_2' - v_1' = 1.5 \text{、}(1)\text{と連立して } v_1' = 1.5 \text{ m/s},\; v_2' = 3.0 \text{ m/s}$$