基本問題145 壁との斜めの衝突

壁との斜め衝突の解析

直感的理解
壁との衝突は「床との衝突を90度回転させたもの」と同じ原理です。壁に垂直な成分(壁に近づく/離れる方向)だけが反発係数の影響を受け、壁に沿う方向の速度は変わりません。スライダーで確認してみましょう。

速度の分解:壁の法線方向(垂直)と壁に平行な方向に分けます。入射角 $\theta$(法線からの角度)で速さ $v$ の小球:

衝突前:

$$v_{\perp} = v\cos\theta, \quad v_{\parallel} = v\sin\theta$$

衝突後:(なめらかな壁 → 壁に平行な成分は不変)

$$v_{\perp}' = ev\cos\theta, \quad v_{\parallel}' = v\sin\theta$$

はね返り後の速さ:

$$v' = \sqrt{e^2 v^2\cos^2\theta + v^2\sin^2\theta} = v\sqrt{e^2\cos^2\theta + \sin^2\theta}$$

はね返り角 $\theta'$:

$$\tan\theta' = \frac{v_{\parallel}'}{v_{\perp}'} = \frac{v\sin\theta}{ev\cos\theta} = \frac{\tan\theta}{e}$$
答え:
$$v' = v\sqrt{e^2\cos^2\theta + \sin^2\theta}$$ $$\tan\theta' = \frac{\tan\theta}{e}$$

(\(e < 1\) のとき \(\theta' > \theta\):反射角は入射角より大きい)

補足:床の問題との比較

基本問題144(床との斜め衝突)と全く同じ式になります。「法線方向」と「接線方向」を正しく見極めれば、壁でも床でも同じ方法で解けます。

方向衝突前衝突後
法線(垂直)\(v\cos\theta\)\(ev\cos\theta\)
接線(平行)\(v\sin\theta\)\(v\sin\theta\)
Point

壁でも床でも原理は同じ。法線方向に \(e\) をかける、接線方向は不変(なめらかな面の場合)。これだけ覚えておけばどんな方向の衝突にも対応できます。

🧮 具体的な数値例

たとえば質量 \(m_1 = 2.0\) kg(速度 \(v_1 = 3.0\) m/s)と \(m_2 = 1.0\) kg(静止)の衝突(\(e = 0.5\)):

$$\text{運動量保存:} 2.0 \times 3.0 = 2.0 v_1' + 1.0 v_2' \quad \cdots (1)$$ $$\text{反発係数:} 0.5 = \frac{v_2' - v_1'}{3.0 - 0} \quad \cdots (2)$$ $$(2) \text{より } v_2' - v_1' = 1.5 \text{、}(1)\text{と連立して } v_1' = 1.5 \text{ m/s},\; v_2' = 3.0 \text{ m/s}$$