基本例題29 運動量と力積

設問(1) ボールを受け止める場合

直感的理解
ボールを受け止めるということは、ボールの速度を 0 にするということ。運動量が \(mv\) から 0 に変わるので、力積は運動量の減少分だけ、飛んできた方向と反対向きに加わります。

設定:衝突前のボールの速度の向きを正とします。

\(m = 0.20\) kg、\(v = 10\) m/s、\(v' = 0\) m/s

立式:力積 = 運動量の変化

$$I = mv' - mv = 0.20 \times 0 - 0.20 \times 10 = 0 - 2.0 = -2.0 \text{ N·s}$$
答え:
力積の大きさは $2.0$ N·s、向きは飛んできたボールの向きと反対(負の向き)
Point

力積 = 運動量の変化:\(\vec{I} = m\vec{v'} - m\vec{v}\)。受け止める場合は \(v' = 0\) なので \(I = -mv\)(元の運動方向と反対)。

設問(2) 逆向きに同じ速さで打ちかえす場合

直感的理解
同じ速さで打ち返すということは、運動量が \(+mv\) から \(-mv\) に変わるということ。変化量は \(-2mv\) で、受け止める場合(\(-mv\))の2倍の力積が必要です。

設定:衝突前のボールの速度の向きを正とします。

$v = +10$ m/s → $v' = -10$ m/s

立式:

$$I = mv' - mv = 0.20 \times (-10) - 0.20 \times 10 = -2.0 - 2.0 = -4.0 \text{ N·s}$$
答え:
力積の大きさは \(4.0\) N·s、向きは飛んできたボールの向きと反対
Point

同じ速さで跳ね返す場合、力積の大きさは \(|I| = 2mv\)。受け止める場合の2倍になる。

設問(3) 90° 方向を変えて同じ速さで飛ばす場合

直感的理解
90° 方向を変えるとき、力積(運動量の変化)\(\vec{I} = m\vec{v'} - m\vec{v}\) はベクトルの引き算で求めます。\(|m\vec{v}| = |m\vec{v'}|\) なので、直角二等辺三角形が現れ、力積の大きさは \(\sqrt{2}\,mv\) になります。向きは飛んできたボールに向かって 45° の方向です。

設定:衝突前のボールの速度を \(x\) 軸正の向き、衝突後を \(y\) 軸正の向きとします。

運動量ベクトル:

$$m\vec{v} = 0.20 \times (10,\, 0) = (2.0,\, 0) \text{ kg·m/s}$$ $$m\vec{v'} = 0.20 \times (0,\, 10) = (0,\, 2.0) \text{ kg·m/s}$$

力積(運動量の変化):

$$\vec{I} = m\vec{v'} - m\vec{v} = (0 - 2.0,\; 2.0 - 0) = (-2.0,\; 2.0) \text{ N·s}$$

大きさ:

$$|\vec{I}| = \sqrt{(-2.0)^2 + 2.0^2} = \sqrt{4.0 + 4.0} = \sqrt{8.0} = 2\sqrt{2} \fallingdotseq 2.83 \text{ N·s}$$

向き:

飛んできたボールの向きに向かって 45° の方向。

答え:
運動量の変化の大きさは \(2\sqrt{2} \fallingdotseq 2.8\) kg·m/s、向きは飛んできたボールに向かって 45° の方向
補足:始点をそろえるベクトル図の描き方

運動量の変化 \(\vec{I} = m\vec{v'} - m\vec{v}\) を図で求めるには、\(m\vec{v}\) と \(m\vec{v'}\) の始点をそろえて描き、\(m\vec{v}\) の先端から \(m\vec{v'}\) の先端へ向かうベクトルが力積です。

Point

平面での力積はベクトルの引き算で求める。\(|m\vec{v}| = |m\vec{v'}|\) で 90° 方向が変わる場合、力積は \(\sqrt{2}\,mv\) で 45° 方向。